Hump Backが「生活」を歌う理由。人の優しさを信じるために

弱音を吐かず前を向いて生きていこうと焚きつけるライブでの姿には強さと頑固さが強烈に滲みつつ、歌の中では、自分や人の生活の中にある悲しみも抱き締めようとする。笑顔と涙、喜びと切なさ。それらを相反するものとして捉えて引き裂かれることもなく、「そりゃそうでしょ、だって生きてるんだから」と笑顔で語れるところがHump Back・林萌々子の面白さであり、彼女らの歌の核心になっている。悲しいから楽しいことを求めるし、幸せがあるから落胆と切なさもあるーーそれらすべては生きていくことにおける同線上にあると歌い鳴らすのがHump Backの歌の居心地よさだ。

今ここにある生活を想い、誰もが必死に生きているのだと感じ取って、温かなメロディにしていく。そして人の生活を見つめれば見つめるほど、そりゃ毎日が思い通りになることなんてないよなと理解し、だからこそ爆音と大きな歌でここにある日常をなんとかドラマにしたいと願う。たったそれだけだが、それだけの中にたくさんの人の生き様が確かに存在するのだと伝える「ささやかだけど揺るぎない存在証明」がHump Backの歌なのだと思う。

そして、その歌がかつてなく潔いソングライティングに結実したのが、7月17日にリリースされたフルアルバム『人間なのさ』だ。この作品を掲げて、Hump Backは47都道府県ツアーへと赴く。そんなタイミングだからこそ、その手、その足で人の日常に近づいて寄り添ってきたライブ観を切り口に、林の歌の核心にあるものを訊いた。

自分にとってのライブ……大人になったら、あんなに大きい声を出して走り回れる場所ってなかなかないじゃないですか。

―先日リリースされたアルバム『人間なのさ』には、“僕らは今日も車の中”という曲があって。その曲でも歌われている通り、ご自身の生活がバンドとライブとツアーとともにあることを心底幸せに感じられている方だと感じているんですが、林さんご自身は、改めてHump Backをどういうバンドだと捉えられていますか。

:肯定でも否定でもない、「そこにある音楽」を鳴らしてるバンドやと思いますね。今、生活とおっしゃいましたけど、まさに自分の生活の中にあるものを歌って、それをバンドで鳴らしてるだけというか。それはポリシーというよりも、自分が好きなものを好きな音に乗せたらそうなった、っていう感じなんですけど。

Hump Back(はんぷ ばっく)
大阪府出身。2009年、林萌々子(Vo, Gt)を中心に高校の軽音楽部で結成されたロックバンド。何度かのメンバーチェンジを経て、2016年より林萌々子、ぴか(Ba, Cho)、美咲(Dr, Cho)の3人で活動。2016年12月に初の全国流通盤『夜になったら』を発表。2017年にもミニアルバム『hanamuke』をリリースし、2018年にシングル『拝啓、少年よ』でメジャーデビュー。7月17日に満を持しての1stフルアルバム『人間なのさ』を発売した。

―生活の中にある好きなものって、言葉にするとどういうものなんだと思います?

:人……ですかね。人が好きです。人と生活ってほぼイコールやと思うんですけど、たとえば人が残していった生活の跡を見るのが好きなんですよ。洗濯物、服の溜まり場になってる部屋の一角、帰り道に見たマンションに電気が点いていくところ……人の生活の匂いがするところが好きなんですよ。

―人が好きなのは、どうしてなんだと思いますか。

:うーん………なんでかは上手く言えないんですけど。ただのフェチみたいなもんやと思うんですけどね(笑)。

―(笑)。じゃあゆっくり訊いていきますね。“僕らは今日も車の中”と歌うくらい、Hump Backは年中バンに乗って、ライブをして、ツアーを回ってますよね。つまり生活そのものが、いろんな土地でいろんな人と出会う旅になっていると思うんですけど。ライブバンドとして日々を過ごしていくのも、そうやって人の生活に触れていくためなんですか。

:いや、そこはもっと単純に「行けていない土地に出会ったことがない人がいるなら出会いたい」っていう気持ちが大きいと思いますね。どんなに生身のライブで人と触れ合っても、それぞれの生活を全部知ることはできないっていうこともわかってる。だけど、人と出会うことはやっぱりとても楽しいことじゃないですか。そのためにライブをやっているんやと思います。

―ご自身にとってのライブって、自分のどういう部分が表れてくるものだと感じられてます?

:言い方は難しいんですけど、「ライブが生きがいで、ライブにこれだけのものを懸けていて」っていう感じでもないんですよ。ただ間違いなく、自分を解放できる場所ではあって。

単純に、大人になったらあんなに大きい声出して、大きい音出して、走り回れる場所ってなかなかないじゃないですか。そういう意味での解放感を感じられるのが、私にとってのライブやと思ってて。……とはいえ、別に普段から抑え込んでるものがあるかと言ったら、私の場合まったくないんですけど(笑)。

―ははははは。はい。自分をどういう人間だと思います?

:私、日常にストレスとかしんどさを自覚することが全然なくて。それに、昔から結構根性論タイプやったんです。何に関しても「簡単にしんどくなってたらあかん」って思うし、しんどさを乗り越えようっていうのとも違う、ただ「自分はこんなことでは潰れない」っていつも思うんですよね。しんどさに鈍感なだけなんかな(笑)。

たとえばね、私は自分の肩こりとかにも気づかないんですよ。痛みに強いし、痛みがあっても大丈夫って思ってる。逆に言えば、しんどいこととかダメなことよりも先に楽しいことを見つけるほうが大事やっていう気持ちがあるんですよね。ちょっとしたしんどさも根性論でやり過ごそうとする気がするというか。

2019年5月12日に行われた日比谷野外大音楽堂公演

―だからか――失礼を承知の上で敢えてこういう言い方をしますけど、昔のライブでは「あなたも前を向いて強く生きていけ」っていう、結構説教臭いところがありましたよね。

:はははははは。それは私も実感してる部分ですね(笑)。とにかくやるしかないんやっていう。

―ただ、その歌とライブ両面において変化も多く見られるのが、『人間なのさ』という作品だと思ったんです。人にも自分にも、生活の中で上手くいかないこともたくさんある。そういう前提も理解した上で、日々を愛して人に優しくしたい、というふうに歌の器が大きくなったなあと感じていて。その辺りは、自分でどういう感覚があります?

:ああー、確かにそうかもしれないですね。自分でも、「生活」を見つめれば見つめるほど、そこには根性論だけではないものがたくさんあるっていう感覚が生まれてきたと思うんですよ。大きいと思うのは――月に数日くらい、私は障がいを持っている子供たちに運動を教える仕事を続けてるんですね。

そこでいつも思うのは、その子たちにはサポートが必要やから人のサポートがついているだけで、目が悪いからメガネをかけたり、足が折れたから松葉杖をついたり、っていうのと一緒のことなんですよね。その中で、他人の「しんどい」と自分の「しんどい」の物差しが合うことは一生ないんやなって実感することが多くて。仕事と子供たちを通じて、人を許せたり人を受け入れたりできることが増えてきたと思います。

今のメンバーふたりと一緒に何かをやることへのこだわりは強烈にあります。それがバンドを選び続ける理由。

―人を許せることが増えたことは、具体的に言うと、ライブや音楽にどういう変化をもたらしたと思いますか。

:これは特にライブの変化ですけど、人に委ねられることが多くなってきたというか。たとえば今までは、「私の荷物を受け取ってください!」って言ってなんでもかんでも渡そうとしてたんです。だけど今は、これでしょ、と思うものを「ここに置いておくから好きにとってね」っていうふうにやれるようになったと思いますね。音楽は変わらず、メロディを大事にして、自分の周りにある生活と人を曲にして――その中で自分の大事なものや幸せを実感するように歌うだけやと思ってますね。

―ただ、音楽もちゃんと変化していると思ったんですね。『拝啓、少年よ』から『涙のゆくえ』に至るまでの流れ、そしてこのアルバムを聴いていると、「林さんの歌をバンドでどう鳴らすのか」という向きよりも、この3人で鳴らせる音を堂々と鳴らすという潔さがどんどん強まっていると感じて。回りくどいところが一切ない音楽になってきていると感じたんですが。

:まさに、今回のアルバムはそれを意識しましたね。自分のメロディが一番前に出るように、必要以上に飾りをつけないことを意識して。潔いと言ってくれたのは、そういう部分かもしれないですね。とにかくシンプルにやるっていう。やっぱりメジャーでのファーストアルバムっていうこともあって、自分たちの芯や核をちゃんと伝えられるものにしたかったんですよ。

―今の話でいうと、やはりメロディと歌が芯だということ?

:そうですね。やっぱり私自身がメロディと歌を大事にしてきたし、ベース、ドラム、コーラスをつけるにしても、ぴか(Ba)と美咲(Dr)が私の歌を活かすことを一番に考えてくれるんです。20016年からこの3人で着実にやってきたからこそ、歌に対してのことだけじゃなくて、3人で「やっぱりHump Backはここが大事やんな」って考えて、意思疎通が自然とできるようになってきたのが大きいと思うんですよね。

―自分の歌への自信以上に、バンドへの信頼を音楽にできるようになってきたという。それは、純粋に経てきた年月が大きいんですか。

:そうやと思います。一緒に過ごした時間もそうやし、一緒に踏んできたステージもそう。さっき言った「人に委ねられる部分が増えてきた」っていうのは、メンバーに対してもスタッフの人に対してもそうなんですよ。3人の中から生まれたものを育てて、それに対する意見があることで自分のレンジも広がっていくのが嬉しくて。バンドをいろんな角度から見られるようになったのが楽しいんですよ。そうなってくると、周りの人への感謝も生まれるし、大事な人が増えていくんですよね。

Hump Back アーティスト写真
左から:ぴか(Ba, Cho)、林萌々子(Vo, Gt)、美咲(Dr, Cho)

―そういう感覚が、より一層自分の身近な人や情景をシンプルかつ優しい目線で切り取る歌に繋がっているんですか。

:きっと、そういうことなんやと思いますね。

―2016年に今の3人で固まるまではメンバーの脱退が多かったし、林さんひとりの時期も長かったですよね。だけどひとりでも「Hump Back」というバンドの看板を掲げ続けたじゃないですか。それも、バンドという絆や、信頼できる人との繋がりが自分にとって一番大事だったということなんですか。

:バンドを選び続けた理由かあ……今言われたこともあるのかもしれないですね。ただ、周りの人からすると、「ひとりでもHump Backを背負い続けるのは相当パワーがいったでしょ」って思うみたいなんですけど、私からしたら「本当に好きでやってただけやし」って思うんですよ(笑)。もしかしたら、ひとりでやってる時は辛かったのかもしれないですけど……でも、それも覚えてないくらい(笑)。

―ははははは。それも鈍感力なんですか。

:ほんまに、なんなんでしょうね?(笑)でも結局、その時のしんどさを覚えてないっていうのも、今ちゃんと更新できているからやと思うんですよね。「あの頃の大変さも必要やった」って思えるくらい、今の自分たちを肯定できるようになってきたんやろうなって。

―まさに“拝啓、少年よ”で歌われていることですね。

:その歌にも<遠回りくらいが丁度良い>っていう歌詞がありますけど、あの歌詞も、実は高校生くらいの時に書いていたのを今改めて歌ったもので。それに対して、今の自分たちが説得力を持たせてる感覚なんですよ。それに、バンドをなぜそこまでカッコいいと思うかって考えても、「犬はなんで可愛いのか」っていうのと一緒なんですよね(笑)。

―(笑)。ただ、敢えてこういう聞き方をしますけど、林さんの曲やメロディを聴いていると、弾き語りだけでも成立するフォークソングであり美しいメロディだと思うんです。その上でバンドでなければいけないのは、ご自身が人と何かを一緒にやることに対してどういうものを投影しているからなんだと思います?

:……そう言われてみると、バンドっていうもの以上に、今のメンバー2人と一緒に何かをやることへのこだわりは強烈にありますね。言われた通り、本当に信頼できる人と何かをやることの喜び。そういう気持ちが、バンドを選び続けて、バンドが一番好きやっていうことに繋がるんやと思います。昔はそこまで言語化できなかったですけど、現状としては、ようやく本当に信頼できる人と出会えたので。そこで初めて、自分はそういう人の繋がりを欲してたんやろなって思えます。

「世の中に優しくない人なんておらんと思う」という言葉を信じたい。それは何より自分を守るためやと思います。

―そういう意味での信頼は、バシバシと歌い切って鳴らし切っていく今回の作品のストレートさにそのまま出てますよね。音の中に、ゴタゴタとした説明が一切ない。

:ほんと、頑固なラーメン屋みたいな感じですよね。「はい、メニューはひとつしかないです! これ美味しいです!」「濃いめ? そんなオーダーは聞きません!」みたいな(笑)。でも、そういうラーメン屋って自信があるからこそのスタイルなんやろうし。それは私に自信がついたというよりも、この3人のHump Backに自信が持ててるから。ライブもそうやし、大きいステージに立てるようになったこともそう。なんなら、車で一緒に移動している時間も全部が3人でやることの自信に繋がってると思うんですよね。

―それも、生活をともにできている人だからこそ信頼できるっていう感覚ですか。

:そうですそうです。基本的には人をすぐ信じちゃうタイプやとは思うんですけど――たとえば最近、友達が「世の中に優しくない人なんておらんと思う」って言ってて、私もその言葉を何よりも信じたいし信じてるんやなあって納得してしまったんですよ。

―これだけ優しくないものも多く目に入る世の中で、優しくない人はいないと信じていられるのは、どうしてだと思います?

:それはきっと、自分を守るためやと思います。だって、基本が悪やと思ったり何かを疑ったりすると、やっぱりしんどいじゃないですか。だから人は優しいものやって信じることが、人にも自分に優しくあるっていうことに繋がると思うんです。それが、しんどいことや悲しいことから自分を守る方法な気がしていて。自分自身がそう信じていれば、見返りを求めたりすることもないし、万が一裏切られても「信じ切った」って思えるから。

―しんどさに鈍感だと話してもらいましたけど、それはつまり、自分がしんどくなったり切羽詰まったりすることで人に優しくなくなるのが嫌だっていうことですか。

:そういうことなんでしょうね。人と人が優しくし合うために、まずは自分がどれだけ目の前のことに優しくあれるかっていう。それをずっと考えてる気がします。……今思いましたけど、私って、人にしか興味がないんですよ。自分に興味がないから、自分のキツさとか苦しさに気づかない。それよりも人の優しさを信じたいし、人の痛みに気づきたいっていう感じですね。

―否定もせず頑張れとも言わず、人にも自分にも寄り添うように歌う。そこに居心地のよさがあるから、Hump Backの歌は素敵だと思うんです。たとえば“オレンジ”もそういう曲ですよね。人の痛みや悲しみが鎮まるように願う歌。それが今作で最もアグレッシブなパンクロックになっている部分に面白さがあるんですけど。

:この曲は……私の大事な友達が鬱病やとわかって。私はずっとそばにいたのに、それに気づけなかったんですよ。泣きながらそのことを聞いた時に、初めて知ったんです。なんでこんなに近くにいた自分が気づけなかったのかなって思って。それで書いたのが“オレンジ”なんですよ。

―“オレンジ”は、<悲しみの種に水をやろう>と歌って、その上で<ああ世界で一番美しい花が咲いたんだよ>と結ばれるじゃないですか。人の悲しさや痛みに対して優しくありたいという気持ちは話してくれましたけど、その悲しみが世界で一番美しい花になると思うのはどうしてなんですか。

:サンボマスターに“世界はそれを愛と呼ぶんだぜ”という曲がありますけど、そこで歌われる<悲しみで花が咲くものか>っていう一節が大好きなんですよ。で、その歌を聴いて考えたんですけど、やっぱり人生にはいつだって悲しみはつきものじゃないですか。それなのに、大人になればなるほど人に涙を見せられなくなっていく。

―そうですよね。

:だけど私は、「人に隠しておこう」って思う部分にこそその人の一番ピュアな魅力が詰まっていると思うし、そこまで信じたいんです。歌うことで悲しみを肯定するつもりもないけど、それでも、悲しいことや涙も含めて人生やし、涙の行く先が希望にならないとどうしようもないじゃないですか。その気持ちが<ああ世界で一番美しい花が咲いたんだよ>っていう願望みたいな歌になっていったんやと思いますね。

ステージに立ってる時は、「こんなに子供な自分でもOKらしいよ」って思える感じがしますね。

―人の生活が好きだし生活を歌いたいとおっしゃいましたけど、その中には当然たくさんの悲しさを超えて生きてきたっていう感覚も含まれるんだという話ですよね。それでいうと、林さんご自身も、表では出せない切なさとか割り切れなさを歌の中では出せるっていう感覚はあるんですか。

:どうなんやろなあ……。

―なんでこう訊くかと言うと、林さんの曲って基本的には切ない旋律が多いからなんですよね。

:はははははは。確かに、カラッとしているものは少ないですね(笑)。どうしてそうなるんやろ………(長考)。でも、いつも私には思い浮かべることがあって。たとえば自分がどうしても苦手な人と関わらないといけない時に、その苦手な人が家で足の爪を切ってるところを想像したりするんですよ。そうやって想像したり、そういう生活を想って歌にしたりすると、この人も人間なんやって思えて許せる部分が増えるんですよね。

―ああ、非常にわかる話です。「この人にも親がいて、友達がいて、故郷があって」と思い浮かべると、急にその人に対する愛しい気持ちが生まれてきたりとか。

:そうそう! そうやっていろんなことに対して赦したり優しくしたりするために、私はいろんな人の生活を想うのかもしれない。だけど、人が人には見せない部分には切なさも入ってくるっていうか……そういう感じかもしれないですね。もしかしたら、なんでも無垢に信じるなんて難しいのかもしれないですけどね?

―先ほど、子供と触れ合う時間がとても大事だとおっしゃいましたよね。それは、純粋無垢に人や世界を信じる気持ちに憧れがあるっていうことなんですか。

:あー、そうですね。子供への憧れはずっとあります。一生懸命泣いて、一生懸命笑って、目の前の世界に対してすごく純粋に生きてる。それこそ、なにも疑わずに真っ直ぐ見るじゃないですか。そこに憧れがあるんですよ。カッコいいなって思ってしまう。

―林さんがおっしゃった「優しくない人なんていないと信じたい」っていう気持ちでいうと、まさに子供こそ、物事を善悪で割り切らないですよね。今見ているものに対して純粋に生きてる。

:ほんまに、そうですよね。

―そういう意味で言うと、これだけライブをやり続けてロックバンドにこだわり続けるのも、ある種子供に戻れる瞬間を追い求めてるっていうことなんですか。

:そうなんやと思いました、今。確かにステージに立ってる時は、「こんなに子供な自分でもOKらしいよ」って思える感じがしますね。だから、あんなに走り回りながら歌ってライブをしてるのかもしれないです。

―“生きていく”を象徴に、そういう子供と大人の狭間に対する切なさも歌の中に出てきているのが正直だと思うし、この作品の潔さの大きな部分を担っていると思いました。

:でも、大人になっていくことに対する心の揺れみたいなものは、むしろ昔のほうが強烈に出てた気がするんですよ。

:逆に今のほうが振り切れてるというか。大人になりたくない、でも歳をとる、あれはダサい――そういう抵抗は昔のほうが多かったんですよね。ただ、自分自身にも許せることが増えたし、許さないことで自分を維持しようとすることは減ったんです。それよりも今は、自分の歌を好きやと言ってくれる人が近くにいることの幸せを歌いたい。

だから昔よりものびのびとやれてるし、むしろ、昔よりも子供っぽくなれてる感じがして。それが嬉しいし楽しいって思えてるのが今なんやろうなって。こんなに子供な部分が残っている自分を好きやと言ってくれる人がいるからこそ、根本は子供の頃と変わってないって思えて、安心できるんです。だから、このまま突き進みたいなって思えてますね。

―“僕らは今日も車の中”の最後、機材車を思わせる情景が歌われた後で、<海岸線に月が浮かぶ / 「綺麗だから」って起こされて知ったんだ / こんなことを幸せと呼ぶのさ>というラインがとても美しいと思って。これはバンドに限らず、人それぞれの幸せをちゃんと抱き締めて、優しさを持って生きていくために大事な歌だなと感じました。

:ここで歌ってるのは、ただの実話なんですよ。遠征帰りの車の中で寝ていたら、ドラムの美咲が「月が綺麗やから、見て!」って起こしてきたんですよ。それをみんなで見て「綺麗やな!」って言って――生活をともにできて、全力で笑って、全力で泣くことを一緒にやれてる人がいる。月を見ながら、その幸せをまさに感じられた瞬間やったんです。だから、しんどさや悲しさも飛び越えて、人と一緒に鳴らしたい、毎日バンドをやりたいって思うんですよね。

リリース情報
Hump Back
『人間なのさ』初回限定盤(CD+DVD)

2019年7月17日(水)発売
価格:3,024円(税込)
VPCC-80701

1. LILLY
2. 拝啓、少年よ
3. サンデーモーニング
4. コジレタ
5. 生きて行く
6. オレンジ
7. Adm
8. クジラ
9. 恋をしよう
10. ナイトシアター
11. 僕らは今日も車の中

初回限定盤付属DVD内容:
「“髪はしばらく切らないツアー”2019.5.12 日比谷野外音楽堂公演」

Hump Back
『人間なのさ』通常盤(CD)

2019年7月17日(水)発売
価格:2,376円(税込)
VPCC-86281

1. LILLY
2. 拝啓、少年よ
3. サンデーモーニング
4. コジレタ
5. 生きて行く
6. オレンジ
7. Adm
8. クジラ
9. 恋をしよう
10. ナイトシアター
11. 僕らは今日も車の中

ライブ情報
『僕らの夢や足は止まらないツアー』

2019年9月2日(月)
会場:東京都 Zepp Tokyo

2019年9月4日(水)
会場:千葉県 千葉LOOK

2019年9月13日(金)
会場:愛知県 Zepp Nagoya

2019年9月16日(月・祝)
会場:大阪府 Zepp Osaka Bayside

2019年9月21日(土)
会場:山形県 酒田MUSIC FACTORY

2019年9月22日(日)
会場:秋田県 Club SWINDLE

2019年10月4日(金)
会場:新潟県 新潟LOTS

2019年10月5日(土)
会場:福井県 福井CHOP

2019年10月11日(金)
会場:高知県 X-pt.

2019年10月12日(土)
会場:愛媛県 WStudioRED

2019年10月14日(月・祝)
会場:岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM

2019年10月18日(金)
会場:北海道 小樽GOLDSTONE

2019年10月19日(土)
会場:北海道 CASINO DRIVE

2019年10月21日(月)
会場:北海道 BESSIE HALL

2019年10月22日(火・祝)
会場:北海道 札幌PENNY LANE24

2019年11月1日(金)
会場:山梨県 KAZOO HALL

2019年11月3日(日・祝)
会場:富山県 Soul Power

2019年11月4日(月・振休)
会場:石川県 vanvanV4

2019年11月21日(木)
会場:鹿児島県 SR HALL

2019年11月23日(土・祝)
会場:宮崎県 SR BOX

2019年11月24日(日)
会場:大分県 T.O.P.S Bitts HALL

2019年11月30日(土)
会場:岩手県 Club Change WAVE

2019年12月1日(日)
会場:青森県 LIVE HOUSE FOR ME

2019年12月6日(金)
会場:奈良県 生駒RHEBGATE

2019年12月8日(日)
会場:和歌山県 和歌山CLUB GATE

2019年12月12日(木)
会場:熊本県 Django

2019年12月14日(土)
会場:佐賀県 SAGA GEILS

2020年1月7日(火)
会場:京都府 KYOTO MUSE

2020年1月8日(水)
会場:兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎

2020年1月18日(土)
会場:茨城県 mito LIGHT HOUSE

2020年1月19日(日)
会場:栃木県 宇都宮HELLO DOLLY

2020年1月21日(火)
会場:神奈川県 F.A.D YOKOHAMA

2020年1月31日(金)
会場:福岡県 Zepp Fukuoka

2020年2月1日(土)
会場:長崎県 ホンダ楽器 アストロスペース

2020年2月10日(月)
会場:群馬県 高崎clubFLEEZ

2020年2月11日(火・祝)
会場:埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1

2020年2月13日(木)
会場:静岡県 Shizuoka UMBER

2020年2月14日(金)
会場:滋賀県 滋賀U★STONE

2020年2月21日(金)
会場:香川県 高松オリーブホール

2020年2月22日(土)
会場:徳島県 club GRINDHOUSE

2020年2月24日(月・振休)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2020年2月29日(土)
会場:宮城県 Rensa

2020年3月1日(日)
会場:福島県 郡山HIP SHOT JAPAN

2020年3月13日(金)
会場:鳥取県 米子 AZTiC laughs

2020年3月14日(土)
会場:島根県 松江 AZTiC canova

2020年3月15日(日)
会場:山口県 周南RISING HALL

2020年3月19日(木)
会場:三重県 M'AXA

2020年3月21日(土)
会場:岐阜県 yanagase ants

2020年3月22日(日)
会場:長野県 ALECX

2020年3月25日(水)
会場:東京都 東京国際フォーラム ホールA

2020年4月17日(金)
会場:愛知県 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

2020年4月19日(日)
会場:大阪府 大阪城野外音楽堂

2020年5月23日(土)
会場:沖縄県 桜坂セントラル

プロフィール
Hump Back
Hump Back (はんぷ ばっく)

大阪府出身。2009年、林萌々子(Vo, Gt)を中心に高校の軽音楽部で結成されたロックバンド。何度かのメンバーチェンジを経て、2016年より林萌々子、ぴか(Ba, Cho)、美咲(Dr, Cho)の3人で活動。2016年12月に初の全国流通盤『夜になったら』を発表。2017年にもミニアルバム『hanamuke』をリリースし、2018年にシングル『拝啓、少年よ』でメジャーデビュー。7月17日に満を持しての1stフルアルバム『人間なのさ』を発売した。



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