メイン画像:(C) 2025映画『夏の砂の上』製作委員会
映画『夏の砂の上』の監督・玉田真也が原作への思いや映画化の原点を語ったコメントが公開された。
オダギリジョーが主演・共同プロデューサーを務める同作は、『読売文学賞』戯曲・シナリオ賞受賞の松田正隆による戯曲を、演出家・玉田真也の監督・脚本で映画化した作品。雨が降らない夏の長崎を舞台に、息子を亡くした喪失感をきっかけに人生が止まってしまった主人公と、妹が置いていった17歳の姪が共同生活をする中で、それぞれの痛みと向き合いながら小さな希望の芽を見つけていく姿を描く。7月4日公開。
主人公・小浦治役にオダギリジョー、治の姪・優子役に髙石あかり、治の妻・小浦恵子役に松たか子、優子の母で治の妹・阿佐子役に満島ひかり、優子に好意を寄せる立山役に高橋文哉、治が働いていた造船所の同僚・陣野役に森山直太朗、同じく同僚・持田役に光石研がキャスティング。音楽を原摩利彦が手がける。
玉田が戯曲『夏の砂の上』を初めて手に取ったのは大学生の時。当時、演劇を始めたばかりの玉田はシンプルながら型に収まりきれない「力強さ」を魅力に感じ、松田正隆の戯曲を読み漁っていたという。大学卒業後、劇作家・演出家の平田オリザの「青年団」演出部に入団。演出助手として経験を積んだ玉田は2012年に自身の劇団「玉田企画」を旗揚げ、すべての作品で作・演出を担当する。その後、テレビの脚本を手がけるなど活動の場を広げ、2019年『あの日々の話』で映画監督デビュー。2022年に玉田企画で『夏の砂の上』が上演される頃にはすでに映像化も視野に入れていたという。『夏の砂の上』は映画監督作品4作目となる。
「カメラを通して人間の本質を伝えたい」という玉田は、原作に対する思いについて「今まで読んできた戯曲は数多くありますが、この『夏の砂の上』は僕にとって特別な作品であり続けました。僕たちが生きる上で避けられない痛みや、それを諦めて受け入れていくしかないという虚無、そして、それでも生はただ続いていくという、この世界の一つの本質のようなものがセリフの流れの中で、どんどん立体的に浮かび上がってくる素晴らしい作品です。その作品を映画にするということは僕にとって念願であったとともに、挑戦でした。演劇としての完成度があまりにも高いと思ったからです。そして、その挑戦は間違っていなかったと長崎での撮影を始めて確信していきました。長崎の街の中に入っていくと、この街自体を主人公として捉えることができる、これはきっと映画でしかなし得ない体験だと感じていったからです。僕の頭の中だけにあった固定された小さな世界が、長崎という街と徐々に融合してより豊かに大きく膨らんでいく感覚でした。この映画を皆さんに観ていただけるのを楽しみにしています」と語っている。
【あらすじ】
雨が降らない、夏の長崎。幼い息子を亡くした喪失感から妻・恵子(松たか子)と別居中の小浦治(オダギリジョー)。働きもせずふらふらしている治の前に、妹・阿佐子(満島ひかり)が、17歳の娘・優子(髙石あかり)を連れて訪ねてくる。阿佐子は1人で博多の男の元へ行くため、しばらく優子を預かってくれという。こうして突然、治と姪の優子との同居生活がはじまることに。高校へ行かずアルバイトをはじめた優子は、そこで働く先輩の立山(高橋文哉)と親しくなる。不器用だが懸命に父親の代わりをつとめる治との二人の生活に馴染んできたある日、優子は、恵子と治が言い争う現場に鉢合わせてしまう……。

(C) 2025映画『夏の砂の上』製作委員会

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