なぜいま、ゆずは25年前の『トビラ』と向き合う?“GET BACK”で向かう未来

失った未来を取り戻す。

年をまたいで開催された、大規模アリーナツアーの最中に、彼らが見出した新しいテーマ。それが「GET BACK」だ。

テレビアニメ『ポケットモンスター』のオープニングテーマとして書き下ろされ、すでに配信中の新曲“GET BACK”。そのカバーアートが発表されたときから、界隈を大いにザワつかせていた「トビラ」のアートワーク。なぜなら、ゆずの長い歴史のなかでもとりわけ異彩を放っているアルバム『トビラ』のイラストと酷似していたからだ。そうして発表されたのは、「『トビラ』リバイバルライブ」の開催。

失った未来を取り戻す――そのテーマから浮かび上がってきた2000年のアルバム『トビラ』とは、いまの彼らにとって、果たしてどんなアルバムだったのか。それがいま、文字どおり彼らが開くべき新たな「トビラ」となった理由は、どこにあるのだろうか。

未来へと進むため、かつての自分たちと対峙することを選んだ彼らの思考の流れや、いまだからこそ語ることのできる「あの頃のゆず」について、存分に振り返ってもらった。

最速で最高のクオリティを目指した“GET BACK”

―新曲“GET BACK”のアートワークが発表されたときから、ファンの方々が相当ざわついていますね。

北川:「匂わせ」どころか「まんま」じゃないかっていう(笑)。

岩沢:(笑)。古参のゆずファンが見たら、やっぱりすぐにピンときますよね。

―その話といいますか、「『トビラ』リバイバルライブ」の話はのちほど聞かせていただき、まずは5月21日に配信リリースされた“GET BACK”の話を。テレビアニメ『ポケットモンスター』(以下、アニポケ)の話がきたのは、そもそもいつ頃だったのですか?

北川:『図鑑』ツアーの神戸公演あたりだったから、去年の11月かな? 移動中にうちの宣伝部から「新たなタイアップのお話がきました」って連絡があって、「アニポケのオープニングテーマです」と。

すごく光栄な話だなって思ったんですけど、締め切りがかなりタイトだったんですよ。12月中には、完成までいかずともフルコーラスが欲しいというお話で。

―ツアー中であり、年末には初のオーケストラコンサート『ゆず晦日』も予定されていて、その準備もありましたよね。

北川:そうそう。もうガチガチのスケジュールだったんです。けれどゆずの音楽を新しい人たちに聴いてもらえる大きなチャンスだと思ったので、これはもう最速で最高のクオリティのものをつくってやろうと決めました。

まず、岩沢くんがポケモン好きで詳しいから、久しぶりに共作しよう、と。メロディ部分はTeddyLoidくんと一緒にやることを決めました。

Teddyとは“ビューティフル”と“図鑑”、あと“flowers”と、ここ最近一緒にやっていてリレーションもすごく成熟していたし、彼もポケモン好きなうえに、過去にアニポケのエンディングテーマに関わっていた経験もあったので、スケジュール内で最良のものをつくるにはこの座組が一番だと思ったんです。

ただ、その座組を引っ張っていくために、何かフラッグが必要だなって思って。そのときにパッと浮かんできた言葉が「GET BACK」でした。

前に進むため、過去と向き合う必要があった

―「GET BACK」という言葉は、どういうふうに思い至ったのでしょう?

北川:ポケモンと言えば……というアイディアの出発点はありながら、アニメのポケモンは、単純にポケモンを捕まえて前に進んでいくストーリーではない。さらにいまの自分たちも、ただ「前へ進もう」みたいなモードではないなって思って。

―というと?

北川:『図鑑』ツアー中に「あ、これ完成しちゃうな」って思ったんです。

このツアーは準備に時間をかけたぶん、すごく充実したものになって、「いまのゆずの完成形はこれだな」と見えてしまった感じがして。2023年にKアリーナ横浜でこけら落とし公演をやり遂げたときも似た感覚があったんですけど、そのときは達成感と同時に次の指針も見えたんです。でも今回は、自分たちができることをやり切ってしまう恐れがあるというか。

―確かに、素晴らしいツアーでしたよね。

北川:ありがとうございます。ただ、自分はその先の活動も見ていたので、ツアー中に自分と向き合う時間も多くありました。ここでもう一度、立ち返ることが必要なんじゃないかって。

そんな流れのなかでタイアップのお話をいただき考えていたら、ふと「GET BACK」という言葉が浮かんできたんです。

これは原点回帰とか昔に戻るってことではなく、「かつてはこういうことを目標にしていた」とか「こういう夢があった」とか、忙しい日々のなかで止まってしまっていた時計の針を動かすこと。そうとらえて〈未来をGET BACK〉というフレーズをつくりました。言葉の意味としては、ちょっと相反するところがあるんですけど。

―感覚的にわかるような気がします。話を聞いていて、コロナ禍のことを思い出しました。あのとき「失ってしまった未来」がある人もいると思うんです。状況が落ち着いたいまだからこそ、当時できなかったことを取り戻そうとアクションを起こすような……。

北川:ああ、そうですね。すごく近い感じかもしれないです。で、「GET BACK」というフラッグがバーンと立ったので、そこからの制作は一気に進みましたね。

“栄光の架橋”のように、寄り添い続ける「ゆずの曲」を

―ポケモン担当の岩沢さんとしては、今回の話を受けてどんな歌詞にしていこうと思ったんですか?

岩沢:担当ってわけではないですけど(笑)。まずはいただいた資料をひたすら読み込みました。新しく始まるアニメではなく、これまで続いてきたアニメが新章に突入したタイミングのオープニングテーマで、主人公たちもこの章から再出発するんです。なので、基本的にはそのストーリーに沿って歌詞を考えていきました。

―いま放送しているアニポケは、リコとロイという2人が主人公なんですよね。

岩沢:そうなんです。だから、ゆずに白羽の矢が立ったのかもしれないですね(笑)。主人公が2人ということで、これまでとは違った歌詞のつくり方をしました。「わたし」から始まるリコのパートを僕が書いて、「僕」から始まるロイのパートをリーダーが書くという。

―もちろんポケモンの歌ではあるんですが、先ほどの話を聞いてから歌詞を読むと、いまのゆずを表すようでもあるなって思いました。

北川:そうですね。サブリーダーが言ったように、タイアップ曲の場合、その作品の内容をしっかり把握して、それに沿ったものにすることはもちろん大事。なんですけど、それと同時に、「いまのゆずの曲」であることを特に気をつけてつくっています。

タイアップ期間が終わっても、我々はその曲を歌い続けていくわけじゃないですか。それは、“栄光の架橋”とかもしかりで、アテネオリンピックの曲として書いたものが、また違うかたちで僕たちの曲として残っていくので。

“栄光の架橋”は2004年にリリースされ、ゆずの代表作としていまも長く愛されている

アニメ曲の歴史と遊び心をかけ合わせた新たなサウンド

―曲のメロディ部分はどのように考えていったのでしょうか?

北川:ゆずはこれまで、何度かアニメのタイアップソングをやってきているんですけど、この曲に関しては……自分たちが子どもの頃に聞いていたオープニング曲やエンディング曲の要素をごちゃ混ぜにして、ぎゅっと一つに絞るようなものにしたいな、と。

―ある意味、昭和や平成初期のアニメというか……。

北川:そうそう。それで歴代のいろいろなアニメ主題歌を聞き直してみたら、アニメソングの歴史が感じられたんですよね。そのなかで気になったメロディとか特徴的な要素をTeddyと共有しながらつくっていきました。

―曲の歌い出しというか、Aメロが少しマイナー調なのが、昔のアニメ主題歌っぽいなって思いました。

北川:まさに! そこはかなり意識してつくったんですよ。最近の主題歌ってテンポ感とかスピード感を大事につくられているものが多いんですけど、僕らが見ていたアニメの曲って、ちょっとメロウで、なぜかマイナー調のものが多かった。

新章のアニポケは、内容自体が良い意味で陰の部分が見え隠れするようなストーリーだったので、変に突き抜け過ぎなくて良かったから、すごく表現しやすかったです。

―この曲の仕上がりについて、岩沢さんはどんな感想を?

岩沢:〈未来をGET BACK〉という言葉が軸にあったので、そこを目指して、いつも以上に思い切りいろんなことができました。それこそポケモンの要素を歌詞にちょっと入れてみたりして。で、Teddyもそれに呼応して、ポケモンに寄せた効果音を入れてくれたり。

―そういう遊び心も入っているんですね(笑)。

岩沢:そうなんです(笑)。あとはやっぱり、何といってもアニメに落とし込まれたときの威力ですよね。レコーディングをしながら、「ここで草原に風が吹いて、マスカーニャが出てくるのかな」とか、2番の歌詞に「ほのおのうたごえ」ってありますけど、「ここで火がブワーっと出てくれたらいいな」って思っていたら、それを上回るものがあがってきて。アニメーションが本当に素晴らしくて感動してしまい、こちらが「ありがとうございます」って感じの仕上がりでした。納期が早かったのも納得です。曲がないと、オープニングのアニメーションはつくれないので。

過去の叫びといまの響きが起こす「化学反応」

―“GET BACK”が完成して、アニメのオンエアもスタートして、今年の10月に『トビラ』リバイバルライブを開催することも発表されました。どのようにして『トビラ』につながっていったんですか?

北川:さっき話したように、『図鑑』ツアーをやりながら、「これが終わったあとゆずは何をするべきなんだろう」とずっと考えていました。そのタイミングでタイアップが決まり、「GET BACK」という言葉が思い浮かんだと同時に、「ゆずの活動自体もGET BACKするべきだな」と思ったんです。『図鑑』ツアー後の1年を、僕らにとってのGET BACKの1年にしよう、と。

ちょうどその頃、ファンクラブがリニューアルするタイミングだったこともひとつのきっかけになりました。

―今年の2月にオフィシャルファンクラブ「ゆずの輪」をリニューアルしたんですよね。

北川:そうなんです。いまの時代、ファンクラブにもいろんな形態がありますけど、僕らは活動の主軸としてファンクラブをすごく大切にしていて。2年後のゆず30周年に向けて、まずはファンクラブのみなさんと一緒にGET BACKしたいなって思ったんです。

北川:その想いをスタッフのみんなと共有して、ライブに関してもGET BACKしたいよね、そのためには、どんなライブがいいんだろうって考えて始めて。そのとき、『図鑑』ツアーで歌った“ワンダフルワールド”という曲を思い出したんです。

―通算8枚目のオリジナルアルバム『WONDERFUL WORLD』の最後を飾った一曲ですね。

北川:はい。15年以上前につくった曲なんですけど、いまのゆずの表現で演奏して歌ったら、なんか当時よりもしっくりきたんですよ。

あの頃はもっとムキになって「ワンダフルワールドだ!」って叫んでいたようなところがあったんですけど、いまはそのやり方をしなくても、歌の世界観が自分のなかでしっくりきて。それは、自分の年齢によるものなのか、時代的なものなのか、ちょっとわからないんですけど。

2008年に発表された “ワンダフルワールド”。世界にはびこる不条理や矛盾を見つめながら、それでもこの世界に希望を見つけ出し、進もうとする力強さのある楽曲

―あるいは、いまのお客さんの雰囲気や受け止め方なのか……。

北川:それもあるかもしれません。そんな環境のなか、当時の自分たちが世の中に対して違和感をもって叫んでいたことを、いまの自分たちがやったら、以前とは違う化学反応があった。

「GET BACK」という言葉と、“ワンダフルワールド”で感じたこと、そしてファンの方に「ライブ」というかたちで届けられるもの──この3つが並んだとき、「あ、『トビラ』だ……」って思いつきました。

25年後の自分が見つめる、若き日の叫び

―ゆずが2000年にリリースした、通算3枚目のオリジナルアルバム『トビラ』ですね。

北川:そう。『トビラ』はゆずの活動のなかでもひときわ異彩を放っている時期のアルバムで……いろいろ危うかったんですよね(笑)。ただ、あのアルバムがなかったら、いまのゆずはなかったなって思う。

あの頃の僕らは、“夏色”がヒットした「爽やかフォークデュオ」という見られ方をされていて……いまとなってはそれでいいというか、むしろそのイメージを自分たちから取りにいっているようなところがあるんだけど(笑)。でも当時は、生身の自分と世の中のイメージがだんだんと乖離していくようで、すごく怖かった。

―『トビラ』に収録された“飛べない鳥”が、実はゆずの歴代シングル曲で、CDセールスとしてはいちばん売れたんですよね。

北川:そうなんです。それこそ『トビラ』に収録されたシングル曲“嗚呼、青春の日々”で、僕らは初めてオリコン1位になって。ただそれにも変な感じがあった。

最初は“夏色”が徐々に売れていって、「わっ、すごいぞ!」ってキャッキャしていたんです。けど、人気が出てくるうちにだんだんと違和感が生まれはじめ……“嗚呼、青春の日々”でオリコン1位になったときには、もはやそれが自分とはかけ離れた遠い出来事のように感じられて。

―その頃って、23歳ぐらいでしたっけ?

北川:そうですね。当時の自分は、ちょっと尖っていたところもあったと思います(笑)。いろんなことに対して、違和感を抱いていたんですよね。そんな違和感や怖さ、焦りのような感情を『トビラ』にぶつけて歌っていました。

北川:そのトビラはもう一生、自分のなかで閉じておくつもりだったんですけど、大人になった自分たちが当時抱えていた違和感と向き合ってみたら、どういう世界観になるんだろうって気になったんです。半分興味本位というか、ワクワクが湧いてきたんですよね。

ただ、それでツアーを回るというより、集中して当時のゆずと向き合えないかなと考えて探していたところ、僕らのデビュー記念日である10月25日近辺で、有明アリーナを3日間押さえることができたので、それならこの期間で『トビラ』をGET BACKしようと至りました。

積み重ねたキャリアが、葛藤と向き合う強さになった

―このライブは、いわゆる「アルバム再現ライブ」ではないんですよね?

北川:「未来をGET BACK」が軸にあるので、そのまま当時に戻るわけではないです。これまで積み上げてきたキャリアと、「GET BACK」といういまのモードがあって、そこに『トビラ』を融合させることによって、まったく新しいものをつくる。

やっぱり「ING」をつけたいんですよね。僕らはこれまで、ずっと活動を止めてこなかった。ずっと「ING」であること――現在進行形であることに、こだわり続けてきました。だから決して昔を懐かしむものではなく、未来に向かうために、いま『トビラ』という過去に向き合ったんです。

―『トビラ』の話が出てきたとき、岩沢さんは、どんな感想を?

岩沢:単純に面白そうだなって思いました。それはいまの自分たちだからこそ言えるというか、もうちょっと若かったら、「それはやめておいたほうがいいんじゃない?」って思ったかもしれないし、「それだったら新曲つくろうよ」ってなったかもしれないです。

そうならなかったのは、やっぱり『図鑑』ツアーで得た充実感と成功体験が、大きな自信になっているんだと思います。いまの自分たちだったら、きっと面白いものができるんじゃないかって。

まあ、わからないですよ。もしかしたら、大失敗に終わるかもしれないので(笑)。

北川:はははは。まだやってないからね(笑)。

岩沢:ただ、いまのゆずだったら乗り越えられると思うんです。

『トビラ』は、当時の僕らでは受け止められないぐらいテーマの大きい作品だったと思っていて。歌詞の言葉ひとつ取っても、遠吠えになっていなくて。それがいまだったら、ちゃんと吠えられる気がする。だって、『図鑑』ツアーができたんだし。すごく楽しみではありますね。

23歳の挑戦が刻まれたアルバム『トビラ』

―当時のゆずを知らない人もいると思うので、もう少し『トビラ』の頃の話を教えてください。あのアルバムは、どんな心境でつくられたんですか?

北川:うーん、さっき言ったように、やっぱり危うさを持った状態でつくっていましたね。ただ、その「危うさ」というのは、自分の好きな音楽の要素のひとつでもあります。あと、音楽の大きな魅力のひとつに、「その瞬間でしか表現できないこと」があって。

『トビラ』というアルバムは、そのときの自分たちが、そのときの環境や精神状態に置かれていなかったらつくれない、刹那の瞬間にできている。自分たちの感情を心のままに出し切ったことで、僕らは本当の意味で、前に進めたんだと思うんです。

もしあのとき『トビラ』として外に出さず、内に抱えたまま進んでいたら、ひょっとするとゆずは終わっていたかもしれない。本当に分岐点のアルバムです。ゆずのなかでいちばん生々しい作品で……その分、恥ずかしさもあるんですけど(笑)。

―恥ずかしいけど、間違いなく自分たちの作品であるというか。

北川:そうですね。久しぶりに聴いてみたら、あの頃の危うさが、大人になった自分からはすっかり消えているような気がして……いや、違うな。ずっと見ないようにしていただけだ。ちゃんと向き合ってみたら、いまの自分のなかにも『トビラ』の響きがやっぱりある。だから、このリバイバルライブは自分でもすごく楽しみなんですよね。

―岩沢さんは、いかがですか?

岩沢:『トビラ』……何でしょうね。ある意味、「プロへの挑戦」みたいなアルバムだったのかもしれないです。

それまでのゆずは、勢いがあるだけのちょっとふざけた若者たちで、「どもー、路上からやってきました。ゆずです! “夏色”がヒットしました!」って若者ならではのノリで進んでいたんですけど、次第に「それで?」って問われている気がしはじめて。

一応人気者にはなったかもしれないけど、「お前らは、実力的にはプロじゃないだろ?」と突きつけられているように感じたんです。そんななかで葛藤してつくったアルバムが、『トビラ』としてかたちになった。

だから、いろんなことをやろうとしているんですよ。いま聴いてみると、そのもがいている感じが「悪くないな」って、僕は思いました。恥ずかしさはあるにせよ、何か大きなことを、この当時からやろうとしているなって。

岩沢:ただ、果敢に向かってはいるけどできていないんですよね(笑)。それが、いま聴くとすごく面白い。アマチュアだったゆずが、本気でプロを目指し始めた軌跡がこのアルバムじゃないかと。

―なるほど。

岩沢:ちなみに、当時いちばん好きな仕事だったラジオの仕事を、このアルバムのためにやめるんですよ。「俺たちプロになるから、深夜ラジオで下ネタとか言ってる場合じゃないよな」みたいな。そういう若者ならではの妙な自意識がありましたね。

―自分たちで自分たちを追い込んでいったような?

岩沢:そうですね。「“夏色”の次は?」みたいなおうかがいを、ずっと立てられている錯覚がありました。実際、そんなことはないんですよ。自由に曲づくりをして、それをちゃんとCDとしてリリースさせてもらっていたんですけど。まあ、いろんな意味で若かったんでしょうね。

そうしてつくりあげた『トビラ』をひっさげてのツアーを回り、全公演をやり終えたあと、すごく肩の荷が下りたことをいまでも覚えています。心の底からホッとしたというか。

そんな体験は初めてでした。きっと相当な想いを抱え込みながら、ツアーを回っていたんですよね。

過去を見つめ、未来に向けて土台をつくる2025年

―お話を聞いていると、『トビラ』の楽曲が、いまどんなかたちで披露されるのかとても楽しみです。

北川:ありがとうございます。ただ、僕らは2027年の30周年を見据えて『トビラ』に向き合うので、むしろライブをしたあとの自分たちがどうなっているのかのほうが楽しみですね。

なので、何かがとてつもなく大きく変わるということはないと思っています。刺激にはなるだろうけど、そこまで大袈裟にとらえていないというか。どうなるかわからないです(笑)。けど、そういう予定調和じゃないところが、なんか面白いなって思っているんですよね。

―ライブ自体は、まだちょっと先ですけど、この「GET BACK」モードは、しばらく続きそうですか?

北川:たぶんこれから1年ぐらい、いや、もう少し先まで、「GET BACK」という言葉がひとつのフラッグになっていくのかなって思っています。

ずーっと伸びていくだけじゃなくて、太くなることが必要な時期っていうのがあって。竹に「節」ができるように、今年は、30周年に向けてひとつまた土台をつくる、そんな年になるんじゃないかな。

リリース情報
ゆず 新曲“GET BACK”
2025年5月21日(水)配信リリース
イベント情報
『トビラ』リバイバルライブ
『ゆずの輪 Presents YUZU LIVE 2025 GET BACK トビラ』

2025年10月23日(木)・25日(土)・26日(日)
会場:東京都 有明アリーナ
プロフィール
ゆず

北川悠仁、岩沢厚治により1996年3月結成。横浜・伊勢佐木町での路上ライブで話題を呼び、1997年10月、1st Mini Album『ゆずの素』でCDデビュー。『夏色』『栄光の架橋』『虹』『雨のち晴レルヤ』などヒット曲を多数世に送り出す。2023年秋には世界最大級の音楽アリーナ「Kアリーナ横浜」にてこけら落とし公演を担い、約10万人を動員した。



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