科学、芸術、自然をつなぐ『科学と芸術の丘 2023』が10月に千葉・松戸で開催

『科学と芸術の丘 2023「Seeds of Hope 〜ここで、あそぶ時間〜」』が10月21日、22日に千葉・松戸で開催される。
同イベントは、クリエイターやアーティストが活躍できる「クリエイティブ・シティまつど」を目指すまちづくりの一環として、2018年から行なわれている国際アート&サイエンスフェスティバル。オーストリア・リンツに拠点を置くメディアアートの文化機関「アルスエレクトロニカ」の協力のもと、市民が「未来を試す新しいお祭り」として毎年開催されている。
今年のテーマは「Seeds of Hope ーここで、あそぶ時間ー」。これまでのメイン会場である戸定が丘歴史公園、戸定邸、松雲亭に加えて、今年は江戸川の河川敷、松戸市内の各所にてエキシビジョン、トーク、ワークショップ、マルシェなどのプログラムを展開する。
ディレクターチームは殿塚建吾(omusubi)、関口智子(ゼロファクトリアル)、岩澤哲野(theater apartment complex libido:)、海野林太郎(カタルシスの岸辺)で構成。コメントが到着した。
8月20日にはプレイベントトーク第1弾『「Seeds of Hope 〜ここで、あそぶ時間〜」collaboration with ArsElectronica』を実施。総合ディレクターの関口智子と、全体監修やアーティストキュレーションで協力する清水陽子(アルスエレクトロニカ・フューチャーラボ)が登壇する。今年の開催内容について最新情報を紹介。
【殿塚建吾のコメント】
科学と芸術の丘は、誰かにやらされているのではなく、自分たちで企画して生まれたDIY精神溢れるお祭りです。多くの方の協力とチャレンジ精神によって続けてこれたお祭りは、今年で6年目を迎えることができました。
始まりは「戸定邸という重要文化財を会場にして、街なかでフェスティバルをやりたい」という、とびっきりの遊び心がきっかけでした。
多くの街の伝統的なお祭りも、ちょっとしたヒラメキから生まれ、普段できないことをやってみれる日として続いてきたのかもしれないと思いを馳せることがあります。
そこにあるのは、みんなの場所は、誰かに管理された不自由なスペースではなく、自分たちで使える自由なフィールドであるという体験。
ここが自分たちのまちであるという感覚は、共有地で行われる非日常に主体となって参加することで、生まれるのかもしれません。
松戸市と千葉県のアニバーサリー・イヤーである今年は、フィールドを拡張し、みんなで使えるわたしたちの場所に、新しいアイデアが展開されていきます。
本祭を通じて、街を見渡せば自由な遊び場が広がっていることを感じて頂けたら幸いです。
【関口智子のコメント】
今年、松戸市市制施行80周年、また千葉県誕生150周年というWアニバーサリーイヤーに、文化庁と千葉県からの大きな支援をいただき、本フェスティバルを開催できることになりました。“有難い”という言葉の通り、6年目になる今年まで継続してできることは決して簡単なことではなく、多くの方々のご協力と期待を受け、関係者全ての方が自分ごととして捉え、変化やチャレンジに対するリスクを取る決断と行動があってのことでした。その根底には、好奇心、愛情、未来への希望があり、たまに起こる衝突もありながらも、あそび心を忘れない市民たちが松戸にいます。そんな街で、今年は「Seeds of Hope 〜ここで、あそぶ時間〜」を掲げ、私たちも大きなチャレンジをいくつも行なっていきます。街というコミュニティに所属するみんながカタリスト(触媒)となり、街の魅力や文化醸成に貢献できれば幸いです。開催まで、私自身もあそび心を忘れずに真摯に取り組んでいきたいと思います。
【岩澤哲野のコメント】
丘から始まり、街へとつながってきた科学と芸術の丘。今年はさらに、その2つをつなぐ“川”ももうひとつの舞台となります。僕はまち企画のディレクターとして、まち・カタリスト関連と共に、今年から新たに生まれる河川敷の企画を担当しています。
パンデミックを経て、この数年で一度リセットされてしまった人々やものごとの余白を新たに取り戻しながら、これからどんな未来や新しい流れを生み出していくのか、今年は改めてそんなことに向き合う機会になっているのではないでしょうか。
新たな技術やイノベーションと共に、そして考えるための感覚を取り戻すために、お客さま同士はもちろん、アーティストやクリエイター、カタリストも混じり、深める時間、共に過ごす“あそび”場を創造していけたらと考えています。
自分が生まれ育ったまちで、今こうして創造活動ができていることが、とても嬉しいです。もっともっとこのまちで、この先の未来を共に創る仲間をつくっていけたらと思っています。さあ、このまちで、一緒にあそび“尽くし”ましょう。
【海野林太郎のコメント】
科学と芸術の丘には2年前にインストーラーとして初めてかかわり、去年からは展示企画やコーディネート関連を担当しています。このテキストを書いている今はまだ、今年の参加アーティストは発表されていないと思いますが、今年も国内外から本当にユニークで素晴らしいアーティスト達が参加予定です。
毎年、僕の最大の難関は美術館やギャラリーなどで展示されてきた作品(しかも大半はテクノロジカルな作品だったり、バイオアートだったり!)をいかに戸定邸という伝統的な日本建築にインストールするかです。戸定邸と一般的な展示空間では、目線の高さも、光の入り方も、導線の考えかたも何もかも違います。作品と建築、双方が美しく呼応し、エッセンスやコンセプトを損なわずに在る状態。それは何処にあるんだろう?と考えるところから毎年作品のインストールが始まります。そこが最大の難所であり、楽しみでもあるのです。(今年は街も河川敷もあるし、どうなってしまうのか。。。!?)
僕は、美術作家として作品を発表することも、コーディネーター、インストーラーとして展覧会に関わることも、どっちも本当に面白いなと思いつづけて、今もどっちも続けています。そんな僕にとって科学と芸術の丘は大切な表現の場であり、毎年が挑戦なのです。
- 科学と芸術の丘 –Matsudo International Science Art Festival
- 「Seeds of Hope 〜ここで、あそぶ時間〜」 collaboration with ArsElectronica|科学と芸術の丘

Special Feature
CINRA Inspiring Awards
CINRA Inspiring Awardsは、これからの時代を照らす作品の創造性や芸術性を讃えるアワード。芸術文化をルーツとするCINRAが、媒介者として次世代の表現者を応援できたら。そんな思いに力を貸してくださる審査員のかたがたに、作品を選出していただいた。