『ヴェネチア・ビエンナーレ』日本館作家は塩田千春、5万個の鍵用いる『掌の鍵』展示

2015年5月9日から11月22日までイタリア・ヴェネチアで開催される『第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展』の日本館展示概要が発表された。

日本館の作家に選出されたのは塩田千春。キュレーターは、2007年に神奈川県民ホールギャラリーで開催された塩田の個展『沈黙から』などを手掛けた神奈川芸術文化財団学芸員の中野仁詞が務める。

ベルリン在住の塩田千春は、大規模なインスタレーションや、ドレス、ベッド、靴、旅行鞄など、人が日常生活で仕様した痕跡や記憶を内包する素材を使って作品を制作するアーティスト。同展では、日本館2階の展示室と1階の野外ピロティの2つ空間を統合したインスタレーション『掌の鍵』を展示する。同作は、天井から垂れ下がって空間を埋め尽くす赤い糸と、糸の先に結ばれた約5万本におよぶ鍵、その中に置かれる2艘の舟と、子どもの写真や映像で構成されるという。

塩田は同作において、鍵を人々が日常的に手で触れ、信頼の置ける人へ託されることから、真心を伝達する媒介として用いる。約5万本の鍵を使用することから、国際交流基金では作品に使用する鍵の無償提供を募っている。

塩田千春のコメント

この度、2015年にイタリアのヴェニスで開催される第56回ヴェネチア・ビエンナーレの日本館で作品を展示することになりました。2007年に神奈川で個展を企画していただいたキュレーターの中野仁詞さんと共に、世界の中でも長い歴史を持つこの展覧会に参加させていただく貴重な機会をいただき大変光栄に思います。今回は日本館の2階にある展示室と1階のピロティを使い、2艘の舟と赤い糸、そして大量の鍵を使って《掌の鍵》と題した新作インスタレーションを展示します。私たちにとって鍵とは、大切な人や空間を守るという身近にあるとても大事なものであり、また、扉を開けて未知の世界への行くきっかけをつくってくれるものでもあります。そんな想いから、今回発表する新作インスタレーションには、皆さんの色々な思い出と沢山の毎日の歴史が積み重なり記憶が宿った鍵を使いたいと思っています。会場で作品を作りながら鍵をご提供いただいた皆さんの記憶と私の記憶がまず初めに重なっていくことでしょう。そしてその重なりあった記憶は、ビエンナーレを観に来る世界中の人々が持ってくる記憶と交錯し、お互いに感じあいながら新たなコミュニケーションをつくってゆく機会になってゆくことと思います。どうか、もう使うことのなくなった皆さんのお持ちの鍵をご提供いただき、作品の一部として使用させていただけたら大変嬉しく思います。そして、世界中の記憶が重なるこの作品をきっかけに、生きることの意味をもう一度皆さんと考えたいと思います。

イベント情報

『第56回ヴェネチア国際美術展』

2015年5月9日(土)~11月22日(日)
会場:イタリア ヴェネチア市内各所
総合ディレクター:オクウィ・エンヴェゾー

日本館展示
『「掌の鍵」- The Key in the Hand -』

2015年5月9日(土)~11月22日(日)
会場:イタリア ヴェネチア カステッロ公園内 日本館
出展作家:塩田千春
キュレーター:中野仁詞

(画像1,2枚目:『掌の鍵』模型写真, 2014, Photo:Sunhi Mang、画像3,4枚目:『掌の鍵』, 2014, Photo:Sunhi Mang, 画像:全て国際交流基金提供)

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