SpotifyがR. Kellyらの曲を公式プレイリストから排除 「検閲」との批判も

SpotifyがR. KellyやXXXTentacionの楽曲を公式プレイリストから排除する決定を下し、議論を呼んでいる。

これは、現地時間の5月10日に発表されたヘイトコンテンツやヘイト的な行為に関するSpotifyの新たな規定に則って行なわれたもの。 彼らの楽曲は引き続きSpotifyで聴くことはできるが、「Discover Weekly」や「New Music Friday」といった公式のプレイリスト含まれることはなくなる。

R. Kellyは複数の女性への性的暴行が告発されており、XXXTentacionは元恋人に対して暴行を行なっていたことが報道されている。またR. Kellyに対しては、彼の曲をプレイすることやコンサートの中止を求める「#MuteRKelly」というキャンペーンがSNSを中心に広がっており、「#MeToo」運動から生まれた、多くのハリウッドスターたちも支援する「TIME'S UP」もこの運動を呼びかけていた。

TIME'S UPはSpotifyの決断に感謝の意を表明

R. Kelly、XXXTentacion共に決定に反発

Spotifyの担当者は米Billboardの取材に対して「Spotifyが運営する全てのプレイリストと、『Discover Weekly』などのアルゴリズムで生成されるレコメンデーションからR. Kellyの楽曲を削除する」「彼の楽曲はSpotifyで聴くことはできるが、積極的にプロモーションすることはしない」とコメントしているが、R. KellyやXXXTentacionはこの決定に反発。

R. Kellyはこれまで自身の性的暴行疑惑を否定しており、BuzzFeedはSpotifyの決定を「残念だし、短絡的」「間違った情報や実証されてない疑惑に基づいて行なわれた行動」だと非難する彼の代理人の言葉を伝えている。

またXXXTentacionの代理人もNew York Timesに対して「コメントすることはないが質問させてほしい。Spotifyはこのリストにあるアーティストの曲もプレイリストから排除しますか?」とステートメントを寄せ、ジーン・シモンズ(KISS)、マイケル・ジャクソン、オジー・オズボーン、Dr. Dreといった性的嫌がらせや暴行などの疑惑を持たれているアーティストたちの名前を挙げた。

XXXTentacionの代理人からメッセージを受け取ったNew York Timesの音楽記者のTwitterより

「検閲」との非難も Spotifyは「編集的な決定」

XXXTentacionの代理人が指摘するように、過去に性的暴行などで告発されたアーティストは彼らだけではない。SNSなどではR. KellyやXXXTentacionをプレイリストから排除するなら他のアーティストにも適用されるべきといった意見や、音楽への検閲だとする声も挙がっている。

Spotifyは5月10日の発表で「私たちはアーティストやクリエイターの行ないによってコンテンツを検閲することはしません。しかしプログラムの選定にまつわる編集的な決定について我々の価値観を反映させたいのです。だからもしアーティストやクリエイターが子供への暴力や性的暴行をはじめとする有害で差別的な行為を犯した場合、そのことが私たちとそのアーティストとの関わり方に影響することはあるかもしれません」とコメント。

また規定には「ヘイトコンテンツ」の具体的な内容として「人種や信仰、ジェンダー、性別、民族、国籍、性的指向、軍役経験、障がいといった特性にもとづいて、特定の個人や集団に対し、差別や暴力を促進、扇動するコンテンツ」と記されている。

差別や性的暴行などの行ないをしたアーティストの作品をプロモーションすべきでないという意見もある一方で、R. KellyやXXXTentacionだけが対象となっている現状には疑問も残る。この決定に対する議論についてSpotifyが今後なんらかのアクションを起こすのか。アーティストにも音楽ファンにも欠かせないツールとなってきているサービスだけに今後も波紋を広げそうだ。



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