家飲みを京都のクラフトジンでアップデート。バーテンダーに聞く

新型コロナウイルスの流行によって、家飲みの機会が増えている人も多いのではないだろうか。定番のビールやワインのほかにも、バーで飲むようなカクテルを手軽につくれたら、その楽しみも広がるだろう。

そこで今回は、京都発のクラフトジン「季の美」が6月にオープンしたブランドハウス『The House of KI NO BI』にて、ジンを使ったカクテルづくりのコツをプロに教えてもらった。答えてくれたのは、京都の有名バー『K6』のオーナー・バーテンダーの西田稔さん。

「水割りは、水だけでつくる究極のカクテル」「氷の使い方でジントニックの味がガラリと変わる」——ほかのリキュールにも応用できる基本の考え方は目から鱗。コンビニの材料で簡単につくれるプロのレシピをマスターして、家飲みをアップデートしよう!

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

京都が生んだ日本のクラフトジン「季の美」

京都・河原町二条に、2020年6月にオープンした『The House of KI NO BI』。京都で初めてスピリッツの製造免許を取得した『京都蒸溜所』によるプレミアムクラフトジン「季の美」のブランドハウスだ。

京町家を改装した建物に、フードとカクテルのペアリングが楽しめるレストラン、ジンの歴史や「季の美」の製造過程を知れる展示スペース、ショップ、会員制バーなどが設けられている。

「季の美」の特徴は、玉露、山椒、生姜、檜、柚子、笹など「和」の素材が調和した繊細な味わいにある。11種類のボタニカルを6つに分けて別々に蒸留し、できあがった原酒を調合してつくるという。

米からつくる「ライススピリッツ」をベースに、京都・伏見の蔵元『増田徳兵衛商店』の仕込み水を使うなど、ロンドンジン(天然のボタニカルのみを使ってつくられた伝統的なジン)のカテゴリーでありながら日本を強く感じると評価され、2016年の発売以来、国内外の品評会で数々の賞を受賞してきた。

『京都蒸溜所』のオーナーは、イギリス人のデービッド・クロールさんと妻の角田紀子クロールさん。伝統を守りながら新しいことにもオープンであり、ものづくりへのプライドを持った京都の文化にリスペクトを込めて、ジンづくりを始めたという。

構想段階から「季の美」の誕生を見守っていたという『K6』のオーナー・バーテンダーの西田さんは、その魅力をこう語る

西田:クラフトジンやクラフトビールが流行していますが、季の美は「クラフト」の域を超えていると思います。自然の食材を使いながらも、ブレない、安定した味を実現されている。素人っぽさがないから、店でも安心して使えます。

家飲みで大切なのは「ややこしくしないこと」

取材には、『The House of KI NO BI』マネージャー・バーテンダーの佐久間雅志さんも同席。佐久間さんは「季の美」をプロモートする立場として、家飲み需要の高まりに対し、可能性とともに難しさも感じているという。

佐久間:ふだん高級なバーに通っている舌の肥えた人たちが、家でカクテルをつくってみようとすると、何か味が違うということになりがちです。家で美味しいお酒を飲むために気をつけるべきことはありますか?

西田:家飲みで大切なことは「ややこしくしないこと」です。カクテルをつくるなら、混ぜあわせるのは原則2種類まで。それ以上、複雑なお酒が飲みたかったらバーへお越しください。しかしシンプルなお酒でも、きちんとつくるだけで驚くほど美味しくなりますよ。

水割りは、水だけでつくる究極のカクテル

今回は4つのカクテルのレシピを教えてもらうが、そのうちのひとつはシンプルな水割りだ。

西田:水割りはジンを水で薄めたものではありません。ジンの持つ香りや成分を、水を使って増幅させるカクテルなんです。

グラスに水とジンを1:3の割合で入れ、軽く混ぜる。重要なのが温度だ。ジンは15〜20℃のときに、人の嗅覚でとらえられるちょうどいい香りになる。常温の水を用いると香りがボケてしまうので、よく冷やした水を使うか、あるいは氷をひとつ入れると、キュッと引き締まった香りが広がるそうだ。

使うグラスはワイングラス。グラスの上部3分の2の空間に、ジンが持つ香りの成分を溜めるという意図がある。

鍵は「氷の使い方」。ジントニックの味がガラリと変わる

定番のカクテル、ジントニックは氷の使い方が鍵となるとのこと。

西田:やってはいけないのは、氷を入れて、常温のジンを入れて、トニックを入れるというやり方です。これだと水っぽくて、美味しくありません。

まずは、氷をグラスに目一杯入れてステアし、グラスを冷やす。グラスの温度で氷が溶けてくるので、いったん底に溜まった水を捨てる。そして減ったぶんの氷を足す。

そして冷えたグラスにジンを入れ、すぐにステアする。そこに3倍の量のトニックを入れ、スライスしたライムを添えて完成だ。ジンとトニックの温度を均一にすることで、炭酸が逃げにくく、ボケない味になるのだ。

佐久間:氷をたくさん入れると水っぽくなると勘違いする人がいますが、氷はたっぷり入れたほうが解けにくいんですよね。グラスのなかに冷気が溜まるから。

西田:家飲みでケチってはいけないのが氷と水です。使うべきところでは、たっぷりと使ってください。そして、水道水だと不純物が多くてカルキ臭があるので、必ずコンビニでミネラルウォーターを買いましょう。

佐久間:基本の水割りやジントニックを美味しくつくれないと、他のカクテルも美味しくつくれない。高度なテクニックや、変わった食材を使ったレシピを覚えるよりも、水や氷の扱いをマスターすることが最優先事項ということですね。

コーヒージンと茶ティーニ。カクテルのつくり方、2つの基本とは?

次に紹介するのは、コーヒーと茶という身近な素材を用いたカクテルだ。

西田:カクテルのつくり方には、ジンのなかにあるボタニカルさを増幅させる方法と、ジンのなかにはない要素を何かひとつ加える方法があります。

茶(玉露)は、「季の美」にもともと含まれるボタニカルのひとつ。「茶ティーニ」と呼ぶカクテルは、「マティーニ」で使うドライベルモットをお茶に変えたもの。お茶とジンを1:4の割合で合わせる。

佐久間:旨味のあるマティーニですね。複雑な味わいです。

一方コーヒージンは、ジンには含まれない別の要素を「加える」方法でつくられる。コーヒーとジンを1:3から1:1の割合で合わせる。コーヒーは、ブラックであればなんでもOK。飲んでいるコーヒーを少しだけ残しておいて、そのカップにジンを注いで飲むという方法もある。

西田:ちなみにぼくは、ウイスキーをストレートで飲んだあと、同じグラスで「季の美」を飲むのがお気に入りです。ウイスキーの香りが微かに感じられて、これも立派なカクテルといえるでしょう。

ジンと合うおつまみは? 意外性のあるペアリングも

ジンには、どんな食べ物が合うのか? 西田さんは水割りを「寿司」に合わせるのだという

西田:お寿司には日本酒を合わせるのが定番ですが、「米×米」になってしまい、個人的には好きではないんです。寿司とジンというと意外な感じがするけれど、口のなかを洗い流してくれるようなジンの清涼感は、魚の脂に合います。

佐久間:「季の美」には、寿司のお供である笹や生姜、玉露が使われているからピッタリでしょう。ぼくは漬物をよく合わせます。シソなど漬物に使われるボタニカルも入っているので相性がいいんです。

西田:家飲みにはメニューがないから、さまざまな組み合わせを実験できるのが魅力ですね。

なんとなくつくっていた家飲みのドリンクも、ちょっとしたコツや基本を押さえるだけで一気に美味しくなる。知れば知るほど奥深いジンやカクテルの世界に、一歩足を踏み入れるきっかけになりそうだ。

『The House of KI NO BI』ではジンづくりのワークショップも開催しており、「季の美」を構成する原酒をはじめさまざまなボタニカルでつくった蒸留酒をブレンドして、世界にひとつだけのジンを持ち帰ることができるという。ジンを味わう楽しみを一層深めてみたくなった人は、ぜひ一度足を運んでみてほしい。

『The House of KI NO BI』
住所: 京都府京都市中京区河原町通二乗上る清水町358
営業時間: 12:00〜21:00 ※最新情報は店舗にご確認ください。
定休日: 月曜
電話番号: 075-223-0457
最寄り駅: 京都地下鉄東西線 京都市役所駅
Webサイト:https://kyotodistillery.jp/
プロフィール
西田稔 (にしだ みのる)

京都市生まれ。1994年、木屋町二条に一号店となる『Bar K6』をオープン。以来、オーナーバーテンダーとして、バーやレストラン、パティスリーなどさまざまな形態の店を経営、店舗プロデュースなども行う。2020年3月、プロデュースしたバー『K36』が『ザ・ホテル青龍 京都清水』最上階にオープン。

佐久間雅志 (さくま まさし)

バーテンダーとしてロンドンに渡航し、パブやホテル、レストランなどで約10年間経験を積む。帰国後、アルコールの製造に携わりたいという想いから「京都蒸溜所」に就職。約3年間、製造に携わったのち『The House of KI NO BI』の立ち上げを担当。バー・レストランと製造で培った経験を総合的に活かして、「季の美」の魅力を伝える。



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