赤い公園×『空挺ドラゴンズ』 勇敢で、真摯な作り手であるために

2020年1月よりフジテレビ「+Ultra」にて放送中(Netflixでは全話一挙配信)のアニメ『空挺ドラゴンズ』(2016年7月から『good!アフタヌーン』誌で連載中)。空を泳ぐ龍を狩って生活する「龍捕り(おろちとり)」たちの日常を描く本作は、群像劇であり、ファンタジーでもあり、またグルメ要素も併せ持っている。ひとつのジャンルに縛られない在り方、ダイナミックな戦闘シーンとセンシティブな心情描写をニュートラルに共存させる作品性は、とても豊潤と言える。

そして、本作のエンディングテーマ“絶対零度”を描き下ろしたのは赤い公園だ。ドラスティックに、めくるめく展開していくサウンドが『空挺ドラゴンズ』の世界とムードに寄り添い、楽曲そのものもバンドが音楽に寄せる気概を映し出すようで印象的だ。

CINRA.NETでは、赤い公園からほぼすべての楽曲を手がける津野米咲、『空挺ドラゴンズ』の原作者である桑原太矩、アニメ版の監督を務める吉平“Tady”直弘の鼎談を実施。アニメ初回放送日の翌日に行われた対話の内容は、作品の内容にとどまらず、三者にとって「真摯な表現とはなにか?」という部分にまで入り込んでいった。

赤い公園がアニメ『空挺ドラゴンズ』EDテーマに起用された理由――「この作品は個性の巣窟にしたかった」

―昨夜、『空挺ドラゴンズ』のアニメ版の初回が放送されましたが、オンエアをご覧になってどのような心境ですか?

吉平:桑原さんにとっては初のアニメ化で、僕も初の監督作品だから感慨深くて。僕自身、もういい年齢ではありますが、新人のような気持ちで初監督に取り組ませてもらうんだから、ステレオタイプではない、今までのアニメ作品がやってこなかったこと、やれなかったことを本気で取り組むことをコンセプトにしたいと思っていました。そういう提案をしたら脚本家の上江洲さん(上江洲誠)も賛同してくださって、桑原先生からも「ぜひ」と言ってくださったんですね。

―新しいチャレンジというと、具体的にはどういうことなのでしょうか?

吉平:山ほどあるんですけど、そもそもCGアニメ作品ではロボットやモンスター、クリーチャーが描かれることが多いんですね。あるいは殺伐したSFであったり。でも、今回は子どもも大人も楽しめる、誰しもが作品に興味を持てるような「ドラマ」を描きたかったんです。ドラマって、手作業で登場人物の表情を繊細に描く作画アニメのほうが表現上で圧倒的に優位性を持ってるんですね。実際の人間の演技では、特に日本人って大げさな表情の動きをするわけじゃないので。

さらに3Dアニメで表現する場合は、まるでそこに本物の人物がいるようにCGの立体を使って描くわけで、表情に極端すぎる変化があるとキャラクターが崩れてしまう。そういう不利なところも含めてジャパニメーション的な表現の常識を乗り越えて、CGアニメでより豊かで複雑な感情のドラマを描くことにトライするということが念頭にありました。

桑原:そういう挑戦的なビジョンが監督のなかに最初からあったんです。

―桑原先生もそのビジョンに共鳴したと。

桑原:そうです。監督も脚本の上江洲さんも、最初からすべての面においてチャレンジするっていうスタンスで、「こんな感じでどうですか?」じゃなくて、「ここまでやっちゃいましたけど、大丈夫ですか?」という感じの提案ばかりだったんです(笑)。僕としてもそっちのほうが楽しいし、そういうアニメにしてほしかったので嬉しかったですね。

吉平:そしたらキャッチボールがはじまって。桑原さんから「こういうのもいいんじゃないですか?」というアイデアが出てきて、上江洲さんのアイデアもそこに重なっていって。それを僕がまとめるという。

津野:すごくいいチームですね。

吉平:スタッフの個性を抽出することに着眼していたので、美術監督の方にも「一番好きな色で描いてください」とお手紙を書きまして。そしたら、実際にとんでもない色彩で描いてきてくれるわけですよ(笑)。

それを受け止めて、なおかつ作品のなかに当然あって然るべき色彩として取り扱っていくには「どうすればいいんだ!?」と考えて、その色を取り込んで。そういったふうに、この作品は個性の巣窟にしたかった。そんな作品のなかに、赤い公園さんにもエンディングテーマで参加してもらったんです。

―個性の巣窟って、いい言葉ですね。赤い公園も、まさにそういうバンドで。

津野:起用していただいたのはそういうことだったんですね。

赤い公園(あかいこうえん)
2010年1月結成。石野理子(Vo)、津野米咲(Gt)、藤本ひかり(Ba)、歌川菜穂(Dr)の4人組バンド。高校の軽音楽部で出会い、藤本、歌川、佐藤千明(前Vo)のバンドにサポートとして津野が加入。2017年8月に佐藤が脱退。ボーカリストを探す中、時を同じくして所属グループ「アイドルネッサンス」が解散した石野と運命的な出会いを果たし、即座に加入決定。2020年1月、新体制初シングル『絶対零度』をリリース。

挑戦的なアニメ作りを可能にした、監督が作り出した「一緒に作るんだ」という仲間意識

吉平:それに、桑原さんの原作自体もひとつのジャンルにカテゴライズできないストーリー性を持っているんですよね。

―ファンタジーでもあるし、食の要素もあるし、群像劇でもあると思います。

吉平:そうですね。魔法で龍を倒すわけでもないし、どんどん強い龍が出てくるわけでもない。この原作を「ファンタジーじゃん」とか「はい、冒険モノね」って単純なラベルづけをしたくなかったんです。なんなら主人公も4人いて4人それぞれに親近感を覚えられる。この複雑なバランス感は誰もやってないものだし、だからこそアニメ化に際しての自分の思想ともバチッと噛み合ったんですね。

―今の監督のお話は、赤い公園の音楽性やメンバーのキャラクターと照らし合わせても重なるところがあるんじゃないですか?

津野:ありますね。今、お話をうかがっていて“絶対零度”という曲は、サウンドプロダクションとして確実にやりすぎたと思っていたんですけど、やりすぎではなかったということがわかりました。

吉平:エンディングテーマについて、津野さんと間接的に何度かやりとりさせていただいたなかで「遠慮しないでください」「もっともっとやってください」ってリクエストして。

津野:やりとりしているなかで、この曲が持っている輪郭的なプログレッシブさというよりも、体軸に流れているクラシックな部分やシンフォニックな部分に共鳴してくださっているとわかったタイミングがあって。それがすごく嬉しかったのを覚えてます。どんどん曲が自分らしくなっていく感覚があったんです。

赤い公園『絶対零度』を聴く(Apple Musicはこちら

―“絶対零度”のサウンドプロダクションと展開はかなりプログレッシブだし、歌メロの構成も含めて組曲のような趣さえあります。でも、これぞ今の赤い公園の楽曲という説得力にも満ちていて。

津野:ありがとうございます。今回、監督とやりとりを通じて、お客さんとして居間に迎えられたというよりも、仲間として作業場にゴン! って入れてもらった感じがしたんです。それが寂しくなくてよかったんですよね。一緒にワクワクできたから。

吉平:「一緒に作るんだ」という仲間意識ですよね。

原作が体現している、なにかを言い切らない、正解を提示しないという誠実な在り方

津野:先ほど、『空挺ドラゴンズ』の原作はどのジャンルにもカテゴライズされない性格を持っている、というお話がありましたけど、私も原作を読んでいて太字の結果や正解を提示しない感じが素敵だなと思ったし、昨日のアニメ版のオンエアを見たときもそれはすごく感じました。

―ストーリー全体に行間がありますよね。

津野:そうそう。カテゴライズしにくいことは不親切で意地悪かもしれないけど、それでも私自身、「自分の表現にピュアでありたい」と常日頃から思っていて。「こういうことだよね」というわかりやすい道と、「めんどくさそうだな」というよくわからないハテナマークの道があったとしたら、私は後者を選びたいんです。

そういう私の性質と『空挺ドラゴンズ』の性質がリンクしたのかなって、生意気ながら思いました。この空を旅するみなさんたちのハテナに飛び込んでいく感じと、バンドを進めていく感じもかなり近いなと思いましたし。

―桑原先生にお聞きしますが、『空挺ドラゴンズ』がひとつのジャンルにカテゴライズできない作品性になったのはどういった要因だったのでしょうか?

桑原:単純に自分が持っている気質が大きいと思います。津野さんがおっしゃってくれたように、僕は太字で「これが正しい」と言い切れない性格で。いつもその裏にある可能性を考えて言い切れない精神構造なので、「これは正しい」「これは間違ってる」って言い切る漫画が描けないんですよね。でも、それって物語を作るうえでちょっと致命的なところがあって。

―物語としての答えを断定しないことが?

桑原:そう。断定しないで物語を描くって難しいんですよね。断定するからどちらが主人公なのかわかるわけですし。

―勧善懲悪的な構図を作りやすい、ということですよね。

桑原:そうです。断定することで主人公がなにを考えているのかもわかるんだけど、僕はそれをやるのが苦手だし、ずっとできないんですよね。

―でもそれが桑原先生の作家性であり。

桑原:言ってみればそうですね。それをどうしようかって考えたときに、様々な可能性をいろんなキャラクターに言わせるしかない、というか。

吉平:実際にそういう作品になってますよね。

桑原:だから、この物語を通して「なにが正しいのか」を言うのではなく、この世界を通していろんな考えを持っている人がいて、それぞれが答えを探しているということを描いています。もし僕が太字で言えるとしたら「いろんな人がいろんなことを考えてる」ということしかないと思う。

実際に『空挺ドラゴンズ』はそういう作り方になっていますね。結果的に、いろんな世代の多様なキャラクターがそれぞれ異なる視点で話をしているという物語が生まれている。そうやって、異なる世代の目線を入れられるようになったのもよかった点だと思います。

―それがこの作品の独立したポピュラリティーの基盤にもなっていると思います。

吉平:すごく多くの視点が詰め込まれているんですよね。クィン・ザザ号に乗っているメンバーそれぞれの価値観もそうだし、街に下りたときの市民や周囲の感情もそう。そこには多様性を恐れないという強さがある。桑原さん自身もそうなんですけど、「否定しないということは肯定である」という強さを心に持っているなと思うんです。

これまで誰も指摘してこなかった、桑原の作家性の極致とも言えるシーンに津野が触れる

津野:なるほど。私は原作の6巻だったかな? タキタがミカさんの頭をポンとするところにすべてが詰まってる感じがしたんです。

桑原:ああ、そこをピックアップしてもらえるのはすごく嬉しいです……。

津野:この作品って、人に対して「仲間」という言葉も使わないし、わかりやすく敵対する立場の描かれ方もあまりないじゃないですか。作品の在り方から、それぞれの人物に想像力があって、互いを思いやっていることがわかる。そうやって、この作品のテーマは食であり冒険でもあるんだけど、人間ドラマでもあるんだと想像させてくれるところが素晴らしいと思います。

吉平:「俺ら仲間だろ」「仲間だから助け合うんだろ」とか一言も言わないからね。

津野:それを言うと読む側も照れちゃいますしね(笑)。

桑原:性格的にそうなんですよね。照れもありますね。

吉平:仲間って定義した瞬間にそこに執着する人間関係だったり、エゴが入ってきちゃうんだけど、それを定義づけなくてもお互いを思いやっているという。

津野:「仲間」という太字がくると「仲間じゃない」という概念が生まれてしまうということですよね。

桑原:そうなんですよ。

津野:それはバンドをやるうえでも考えますね。言葉にせずともメンバーそれぞれその人しか持っていない個性を大事にしたいし、大事にしてほしいと、活動するときも、曲も書くときも思ってます。

桑原:さっきの6巻シーンに触れてくれたのは津野さんが初めてで。

津野:そうなんですか!?

桑原:じつは、僕としてはあのシーンは渾身の力で描いたんですよ。

漫画『空挺ドラゴンズ』6巻より

津野:あのシーンにセリフはないんですけど。タキタとミカが本当になんとも言えない表現をしていて。それをセリフで表現するとなると、いろんなパターンがあると思うんだけど、コミカルでもないし、悲しみが前に来るわけでもなく。そういうシーンひとつで、タキタとミカさんの関係性を想像できるのがたまらないんですよね。

桑原:指摘してくださったのはミカが落ち込んでいるシーンなんですけど、それをタキタが言葉で諭すのは違うし、言葉でミカの気持ちを引っ張り上げるのも乱暴すぎるような感じがして。

映画などでも、僕はそういうシーンを言葉で説明的に描いているのを見ると「う~ん……」となってしまうんです。だからあのシーンでは、タキタもミカにかける言葉を探してなくて。「どうしようもないけど、それでも私はここにいるし、あなたもここにいるでしょう」という、複雑な表現を描きたかったんですよね。

津野:すごく刹那的なシーンでもあるんだけど、時間の流れがスローモーションになる感じがあるというか。このシーンを描いている人は本当に優しい人なんだなって感じました。

桑原:嬉しいですね。

吉平:表現として言葉だけで示さないからこそ、今の時代にフィットしている気もします。価値観がどんどん多様化していくなかで、強いことを言うと誰かを否定することになったり、あるいは誰かから攻撃されかねないような時代のなかで、それでも人を大事に思うことは失いたくない。原作にはそういう優しい世界があるんですよね。

桑原:ありがとうございます。

津野:照れてる(笑)。

津野と桑原、それぞれの作家性の源泉について切り込む

―桑原先生のそういった作家性の源泉はどこにあるのでしょうか?

桑原:難しいですね……ハッキリとしたルーツはないような気もするんですけど。

吉平:津野さんはどうですか?

津野:難しいですね。

吉平:けっこう一番イヤな質問ですよね(笑)。

―たしかにインタビュアーっぽいイヤな質問かもしれないですね(笑)。

津野:私は強いて言うなら、父が作曲家でアニメなど子ども向けの曲も作っていたんですけど、そういった父の曲たちがルーツになっていると思います。私の童心もそこに真空パックされたままで、今もずっといるみたいなところがありますね。

―童心を殺さないというのは、赤い公園の楽曲におけるキーワードだと思いますね。

津野:あのときの全能感みたいなものは、ずっとテーマとしてあるかもしれない。

桑原:僕は、学生時代も友だちは多いほうだったと思うんですけど、小さいころから一人でいるときにものを考える時間が大切だったんですね。だから休みの日も友だちと遊ぶというより、朝から一人で自転車に乗ってどこかに出かけたりする時間が自分にとって重要だったんです。それが今の自分の作家性につながっているかは自覚ないですけど、一人でいるときにいろんなことを考えていたなと思います。

―『空挺ドラゴンズ』の登場人物たちも一人の時間を大切にしている人たちの群像劇だと思います。

桑原:そうですね。

津野:それぞれが精神的に自立しているというか。

吉平:自立しまくってますよね。

信じるものにピュアに。赤い公園にとっても、津野にとっても、この出会いは同志に出会えた喜びに満ちていた

―別のインタビュー記事で、桑原先生がフェイバリットな映画作品に山下敦弘監督の『リンダ リンダ リンダ』(2005年)を挙げていて。今日のお話を聞いていてもすごく合点がいくなと。

桑原:好きな映画はジャンルによっていろいろありますけど、本当に1本だけ挙げるとしたら『リンダ リンダ リンダ』になりますね。

津野:私もすごく好きな映画です。

―文化祭直前に空中分解してしまった軽音楽部の女子高生バンドが、急遽、韓国からの留学生をメンバーに誘って、文化祭のステージでTHE BLUE HEARTSの楽曲を演奏することを目指すという内容で。

桑原:徹夜で練習しているシーンで、鏡に向かって韓国の留学生役のペ・ドゥナが韓国語でしゃべっていて、会話は成立していないのにメンバーと心が通じ合ってるみたいなシーンがあって。異なる言語を理解するというよりは、お互いとんちんかんなことを言っていても温度が一緒だからわかり合えるという。そういう感じが好きでしたね。

―お互いとんちんかんなことを言っても通じ合ってるって、赤い公園にもそんなムードがありますよね(笑)。

津野:会話自体は永遠に噛み合ってないですからね(笑)。会話は通じてないままずっと笑い合っていて、とうとうメンバーの顔が面白くなってきちゃう。

赤い公園のライブの模様 / 撮影:安藤未優

―新ボーカルの石野理子さんが、世代感みたいなものも飛び越えて自然とそのなかに入ってるのが面白いですよね。

津野:彼女の勇気に感動するんですよね。理子ってアイドルネッサンスが解散してからも歌っていきたいと思っていたそうなんですけど、私たちから誘いがあるまでは「バンドに入ることが一番ありえないと思っていたし、想像もしてなかった」と言っていて。

でも、最終的には「この機会を逃したらバンドに入ることはないだろう」と思って加入してくれたんです。そういう思いを本人から聞いて「カッコよ!」って思ったんです。彼女は自ら一番のハテナに飛び込んできたわけで。そんな理子の姿を見て、より得体の知れないことに挑戦していく力が湧いてます。

津野:私はそうやって影響し合ってものを作ることが、すごく好きなんだと思うんです。そこに集まった人とじゃないと作れないものを作るのが好き。一方で、お二人が今一番感じているかもしれないけど、ピュアな気持ちで得体の知れないことにチャレンジしたり、見たことのないものを作りたい、届けたいって思いながら人を巻き込むのはすごく難しいことでもあって。

理解してくれてるのかわからないけど(笑)、私にはラッキーにも一緒に音楽を作ってくれる仲間がいて。『空挺ドラゴンズ』のチームと赤い公園も、とにかく自分たちが信じるいい作品を届けたいという思いが共通していると思うんです。だからこそ、この出会いはこれからバンドをやっていくうえでもすごく励みになるし、めんどくさい人たちと出会えて本当に嬉しく思います。これは褒め言葉です。

作り手として、勇敢であるためにーー「戦っているのは一人じゃないんだ」

―津野さんは『空挺ドラゴンズ』に寄せたコメントで「未来に絶対的な保障はありません。だけど飛び込んでいく、君や私の為の歌です」と綴っています。『空挺ドラゴンズ』という作品やチームとの出会いによって、その勇気がさらに増したということですよね。

津野:私は「音楽に対して不義理してはいけない」と、いつも思っていて。そういうふうに常に思っていることが、背中を押してくれてるかもしれないです。

たとえば「こういうのがみんな好きなんでしょ?」って感覚でライブをしていたら、5年、10年は後ろめたくてしょうがないと思うんです。「音楽に失礼なことをしてしまったら、こんな私に音楽が降りてくるはずがない」みたいな。それがいつも、「今までにない音楽を作りたい」という私の背中を押してくれる誓いになっていますね。

赤い公園『消えない』を聴く(Apple Musicはこちら

―では、最後にそれぞれが自分の表現と向き合ううえで、これから挑戦したいこと、あるいは貫いていきたいことをお聞かせ願えたら。

桑原:原作の連載のなかで、今、ようやく登場人物たちの意見の衝突みたいなところに手を出しはじめていて。主人公たちの存在を批判的な視点で捉える立場のキャラクターを出して対峙させていくんですけど、それがこの先どうなっていくかは全然決まってないんです。でも、そこで「こういうのが心地いいでしょ?」という描写ではなく、今まで自分が描いていなかったことを作中でどんどん着手していこうと思っています。

吉平:僕はわりとシンプルで、会社に入って20年目にして『空挺ドラゴンズ』で初監督を務めることになったんです。監督になった今だからこそ言えることでもあると思いますが、たとえば「CGの映像をもっとこうしたいです」とか「こういうジャンルにもっと挑戦したいです」とか手法やアプローチを変えるのではなく、表現するからにはあくまで表現者としての欲求を貫きたい。見てくれる人たちが作品を「好き」って言ってくれる回数や、鳥肌を立てながら一緒に感動したり、喜んでもらえる回数を1回でも多く増やしていきたいです。

津野:私は『空挺ドラゴンズ』との出会い自体が赤い公園のこれからに勇気をいただけたし、私個人としてはいい意味でちょっとめんどくさめな(笑)、このチームと出会えたのも本当に大きくて。

これから先、いい音楽を作ろうと思っても危ないときってあると思うんです。この人は説得できないと思ったり、自分で自分を信用できなくなってしまったり。でも、そんなときに戦っているのは一人じゃないんだと思える出会いだった。私はこれから先が楽しみだし心強いです。

桑原:すごい。僕もまったく同じ感覚です。

津野:嬉しい!

桑原:アニメ化が決まりこのチームに入れてもらって、「一人じゃないんだ」という感覚を得られたのは大きいです。それまでは僕自身、凡百の作家のなかの一人という意識がすごくあったんですけど、自分の漫画について最近ようやく人と違うことを描いているんだなって実感を持てるようになって。それが大きな勇気になっています。アニメ化がなかったらその勇気は持てなかったと思います。

アニメ『空挺ドラゴンズ』第1話冒頭映像(Netflixで見る

リリース情報
赤い公園
『絶対零度』(CD)

2020年1月29日(水)発売
価格:1,200円(税込)
ESCL-5208

1. 絶対零度
2. sea
3. 絶対零度 (Instrumental)
4. sea (Instrumental)

赤い公園
『絶対零度』期間生産限定盤(CD)

2020年1月29日(水)発売
価格:1,500円(税込)
ESCL-5209

1. 絶対零度
2. sea
3. 絶対零度 (TV Size Version)
4. 絶対零度 (Instrumental)
5. sea (Instrumental)

赤い公園
『THE PARK』

2020年4月15日(水)発売

作品情報
『空挺ドラゴンズ』

フジテレビ「+Ultra」にて毎週水曜日24:55から放送中
Netflixにて日本先行全話一挙配信中
関西テレビ/東海テレビ/テレビ西日本/北海道文化放送/BSフジでも放送

原作:桑原太矩『空挺ドラゴンズ』
監督:吉平“Tady”直弘

イベント情報
『SHOKA TOUR 2020 “THE PARK”』

2020年5月8日(金)
会場:東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

2020年5月17日(日)
会場:静岡県 静岡UMBER

2020年5月24日(日)
会場:埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1

2020年5月30日(土)
会場:長野県 松本Sound Hall a.C

2020年5月31日(日)
会場:新潟県 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE

2020年6月7日(日)
会場:広島県 広島SECOND CRUTCH

2020年6月14日(日)
会場:香川県 高松DIME

2020年6月20日(土)
会場:福岡県 福岡DRUM SON

2020年6月21日(日)
会場:鹿児島県 鹿児島SR HALL

2020年6月27日(土)
会場:北海道 札幌cube garden

2020年7月3日(金)
会場:大阪府 大阪umeda TRAD

2020年7月11日(土)
会場:愛知県 名古屋CLUB QUATTRO

2020年7月18日(土)
会場:岩手県 盛岡club change wave

2020年7月19日(日)
会場:宮城県 仙台CLUB JUNK BOX

プロフィール
赤い公園
赤い公園 (あかいこうえん)

2010年1月結成。石野理子(Vo)、津野米咲(Gt)、藤本ひかり(Ba)、歌川菜穂(Dr)の4人組バンド。高校の軽音楽部で出会い、藤本、歌川、佐藤千明(前Vo)のバンドにサポートとして津野が加入。東京・立川BABELを拠点に活動し、2012年2月にメジャーデビュー。ロックバンドとして高い演奏力を誇り、一度聞いたら忘れないキャッチーなメロディの融合が特徴である。2014年に2nd AL『猛烈リトミック』が『第56回 輝く!日本レコード大賞「優秀アルバム賞」』を受賞。2017年8月に佐藤が脱退。ボーカリストを探す中、時を同じくして所属グループ「アイドルネッサンス」が解散した石野と運命的な出会いを果たし、即座に加入決定。決め手はまっすぐな歌声だった。「ロックバンド」と「元アイドル」という異色が更なるスパイスとなり、本音をさらけ出して魂を鳴らす4人に乞うご期待。

桑原太矩 (くわばら たく)

1985年5月20日生まれ。北海道札幌市出身。武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科を卒業。2010年アフタヌーン四季賞にて『鷹の台フリークス』で佳作、2011年同賞にて『ミミクリ』で準入選を受賞。『とっかぶ』全4巻刊行中。2016年より雑誌『good!アフタヌーン』にて『空挺ドラゴンズ』を連載中。

吉平“Tady”直弘 (よしひら たでぃ ただひろ)

1999年、ポリゴン・ピクチュアズに入社。CGアニメーションの編集、合成、フィニッシングを専門分野として数多くの作品に関わり高い評価を得る。2015年以降は編集の枠を超えて映像演出に専念。テレビシリーズ『シドニアの騎士 第九惑星戦役』では、副監督/演出として従事。その後は、劇場作品『BLAME!』(2017年)にて副監督/CGスーパーバイザー、劇場アニメ『GODZILLA』3部作(2017年~2018年)では、副監督を務めた。2020年、テレビシリーズ『空挺ドラゴンズ』にて監督デビューを果たす。

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