下津光史(踊ってばかりの国)ら出演の『exPoP!!!!!』をレポ

結成1年の新鋭、all about paradiseが作り出す快楽空間

1月25日、音楽アプリ「Eggs」とCINRAの共同主催による無料音楽イベント『exPoP!!!!!』が、TSUTAYA O-nestにて開催された。

トップを飾ったのは、all about paradise。2017年1月に結成されたばかりだが、すでに『りんご音楽祭』にも出演している5ピースバンドだ。

all about paradise
all about paradise

all about paradise

「楽園の全て(=all about paradise)」というバンド名が示すように、彼らが鳴らすのは、強烈にトリッピーなコズミックファンク。ギター、ドラム、ベース、さらに2台のシンセサイザーやドラムパッドも駆使して展開される音世界は、かなり濃密、且つグルーヴィー。

サトーカンナ(Vo,Key)
サトーカンナ(Vo,Key)

ダビーなウワモノと腰にクるビートの相乗効果で、フロアを一気に快楽空間へと変貌させる。曲によってはメンバーが振り付けを踊り始めてしまうような、ステージ上のとにかく楽しそうな雰囲気もよかった。

all about paradise

all about paradise

「ROOKIE A GO-GO」出演のWanna-Gonnaが鳴らす、新世代の日本語ロック

2番手は、Wanna-Gonna。2016年には『FUJI ROCK FESTIVAL '16』の「ROOKIE A GO-GO」にも出演している5ピースバンドだ。

Wanna-Gonna
Wanna-Gonna

竹澤浩太郎(Vo.Gt)
竹澤浩太郎(Vo.Gt)

Wanna-Gonnaが鳴らすのは、新世代の日本語ロック。リズム&ブルースやロックンロールなど、アメリカ由来のポップミュージックを日本語でやることの必然性はどこにあるのか? Wanna-Gonnaは、そんな問いに真っ向から立ち向かう。

Wanna-Gonna

Wanna-Gonna

タイトなグルーヴ、ソウルフルなメロディー、竹澤浩太郎(Vo,Gt)と小口健太郎(Key)によるエモーショナルなハーモニー……音楽の歴史と自らの叫びを背負った、その全てに気迫を感じさせる熱演を披露した。

Wanna-Gonna

Wanna-Gonna

普遍的で、摩訶不思議。JAPPERSは時流やジャンルに縛られない

3番手に登場したのはJAPPERS。2017年、「KiliKiliVilla」よりアルバム『formulas and libra』をリリースした6ピースバンドだ。

JAPPERS
JAPPERS

JAPPERS

1960年代のThe Lovin' Spoonfulや1990年代のThe La'sのように、いつの時代にも、時の潮流に飲まれることなく「ポップの宝箱」を開陳するバンドはいるものだが、JAPPERSは、この2010年代に宝箱を開けてみせたバンドだと言えるだろう。

JAPPERS

1960年代型ポップス、アメリカーナ、サイケデリックロック、ギターポップ……その音から読み取れるキーワードはいくつもあるが、そのどれにも属さない、摩訶不思議な魅力を持った楽曲たち。その普遍的な輝きが、O-nestのフロアを照らし出した。

JAPPERS

JAPPERS

JAPPERS

踊ってばかりの国・下津光史が、天性の歌声で披露した名曲の数々

4番手には、踊ってばかりの国のフロントマン、下津光史がソロの弾き語りで登場。

下津光史
下津光史

下津光史

今年ソロアルバム『下津光史歌集』を出したばかりの下津だが、彼の弾き語りは、バンドのとき以上にむき出しで、彼の天性の歌と詞を感じることができる。踊ってばかりの国の“メイプルハウス”、ソロ作から“襟を立てて”、青葉市子とマヒトゥ・ザ・ピーポー(GEZAN)とのユニット「おばけ」のレパートリーである“コーラ”などなど、名曲たちを、その美声と共に惜しげもなく披露する。

下津光史

下津光史

下津光史

さらに下津は、前日(1月24日)にその死が伝えられたラッパー、ECDに“!!!”を捧げた。

曲の合間はビール片手にへらへらと笑っていたが、歌を愛し、また歌に愛された男がたった一人で立つステージは、とても深い愛と、悲しみと、祈りに満ちた空間のように思えた。

下津光史

下津光史

South Penguinが岡田拓郎らとステージで吐き出した、狂気的な熱

そして、この日のトリを飾ったのは、South Penguin。中心人物・アカツカに加え、これまでリリースされた作品『alaska』と『house』のプロデュースも手がける岡田拓郎(ex. 森は生きている)を含む五人のサポートメンバーを従えた6人編成で登場。

South Penguin
South Penguin

 
 

いかにもポップス然とした流麗なメロウネスをたたえながら、同時に、ニューウェーブ/ ノーウェーブ由来の歪なファンクネスをも操ってみせる彼らの音楽に宿る「ポップ、だけど奇妙」な質感は、ステージ上でも健在。

アカツカ

MCでは笑いを誘いながらも、冒頭“alaska”に始まり、"house"のトライバルビートと叫びの狂騒に辿り着く……そんな、曲を追うごとに熱を帯びていくステージングは、狂気的とも言えるものだった。

South Penguin

South Penguin

かなりドープな音楽愛に溢れたメンツが集まったといえる、この日の『exPoP!!!!!』。ポップとはどこから生まれるのだろう? 歌とはどこから生まれるのだろう?――そんな問いを投げかけられるような、とても面白く、興奮させられる夜だった。

all about paradise
all about paradise

Wanna-Gonna
Wanna-Gonna

JAPPERS
JAPPERS

下津光史
下津光史

South Penguin
South Penguin

イベント情報
『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! volume105』

2018年1月25日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
下津光史
JAPPERS
South Penguin
Wanna-Gonna
all about paradise
料金:無料(2ドリンク別)

プロフィール
all about paradise
all about paradise (おーる あばうと ぱらだいす)

東京を中心に活動するバンド。2017年1月に結成。6月にライブ活動を開始。8月に初の音源集『A.A.P. 1st. WORKS』を発売。9月に『りんご音楽祭2017』に出演。

Wanna-Gonna (わなごな)

竹澤浩太郎(Vo.Gt)、奥津誌朗(Gt)、高山静迪(Ba)、小口健太郎(Key)、砂井慧(Dr)からなる5人組バンド。中学時代に結成。大学在学中に砂井が加入し、本格的な活動を開始。2016年3月に3曲入り自主制作盤『THREE』をリリース。フジロック2016ルーキーステージ出演。2017年7月に初全国流通盤7インチシングル『New Town』、9月に1stミニアルバム『In the Right Place』をリリース。アメリカンルーツミュージックに敬意を表しつつ、現代の日本において、普遍的な音楽を鳴らすべく探究中。

JAPPERS (じゃっぱーず)

2009年頃、高幡不動で結成した6人組。2013年に3か月連続7インチシングルのリリースを経て、2014年に「Dead Funny Records」より1stアルバム『Imginary Friend』をリリース。下北沢Threeを中心に活動、同世代のミュージシャンの間で大きな話題となる。2017年に「KiliKiliVilla」よりアルバム『formulas and libra』をリリース。1970年代の感性、90年代のリズム、アメリカ的な大きいサウンドと自在なメロディー、今の日本にはまったくいないタイプのバンドとして頭角を表す。ペダルスティールを自在に展開させ、リズムは重くしなやか、そしてボーカルの歌声は深く力強い。

下津光史 (しもつ こうじ)

1989年生まれ。尼崎出身。中学時代より複数バンドで活動し、2008年にバンド「踊ってばかりの国」を神戸で結成。作詞・作曲・ボーカルを担当。2011年より活動の拠点を東京に移し、今まで4枚のフルアルバムを発表。並行して弾き語りでのソロ活動も行なっている。2018年1月、初のソロフルアルバム『下津光史歌集』を発売。

South Penguin (さうす ぺんぎん)

2015年デビューEP『Alaska』をリリース。同年フジロック・フェスティバル『ROOKIE A GO-GO』にも出演。その後も精力的にライブ活動を続け、ミツメやDYGL、Taiko Super Kicks等ともステージを共にし、台湾での海外初ライブも成功させるなどライブにも一定の評価を集めている。2017年にはプロデューサーに元・森は生きているの岡田拓郎を、エンジニアにD.A.N.やスカートなどを手がける葛西敏彦をそれぞれ迎えた2nd EP『HOUSE』をリリース。



フィードバック 0

新たな発見や感動を得ることはできましたか?

  • HOME
  • Music
  • 下津光史(踊ってばかりの国)ら出演の『exPoP!!!!!』をレポ

Special Feature

Crossing??

CINRAメディア20周年を節目に考える、カルチャーシーンの「これまで」と「これから」。過去と未来の「交差点」、そしてカルチャーとソーシャルの「交差点」に立ち、これまでの20年を振り返りながら、未来をよりよくしていくために何ができるのか?

詳しくみる

JOB

これからの企業を彩る9つのバッヂ認証システム

グリーンカンパニー

グリーンカンパニーについて
グリーンカンパニーについて