ブラジルでは上映禁止、性に絡めた猟奇的描写連続の殺人ポルノ映画日本公開中

インターネットが普及した現代、過去にタブー視された映像であっても容易に観ることができるようになった。海外のアンダーグラウンドサイトではポルノ映像はもちろんのこと、暴力的な映像や常軌を逸したポルノまがいの猟奇的映像も垂れ流されている。都市伝説としてあった殺人ポルノ映画を指す「スナッフフィルム」は、もしかしたら伝説ではなく、もう現実のものとして存在しているかもしれない。

『セルビアン・フィルム』場面写真
©2010 CONTRAFILM

ブラジルでノーカット版が公開された際には、当局の指示によって数日で中止処分を受けたというセルビア産の映画『セルビアン・フィルム』は、その「スナッフフィルム」にまつわる噂を下敷きにしている。主人公は元カリスマポルノ俳優のミロシュ。幸せな家庭を手に入れたことから引退した彼の前に、謎の映画監督が現れる。何でもアーティスティックなポルノ映画を製作したいらしい。内容は撮影しながら明かされるそうで、ギャラは高額である。不審に思うミロシュだが、主演を引き受けることにする。だがその撮影は、日を追うごとに異常さを増し、ついにはミロシュの目の前で血まみれの暴力が繰り広げられていく。

ポルノ産業をテーマにした映画は、『ラリー・フリント』『ブギーナイツ』などがある。特に、主人公がポルノ俳優という点で後者を思い起こさせるが、ポルノ産業の勃興に翻弄された人間たちの姿を群像劇的に描いている『ブギーナイツ』とは違い、本作ではポルノそのものに焦点を当てる。そして性衝動が簡単にも暴力衝動に変容していく様と、動画配信サイトなどで垂れ流されるブレーキを無くしたハードコア映像が、いかに暴力世界の入り口になりえるのかを指摘する。

『セルビアン・フィルム』場面写真
©2010 CONTRAFILM

それを白日の下に晒すべく、劇中では性に絡めたありとあらゆる暴力を展開させる。男性器噛みつき、血まみれレイプ、妊婦から取り上げた新生児ファックなど、容赦ない描写のつるべ打ち。その有様は、まるで「スナッフフィルム」を見せられているかのようだ。痛々しい拷問描写が物議をかもした映画『ホステル』は、トーチャー(拷問)ポルノというジャンルをホラー映画界に生み出したが、本作はポルノスプラッターという新たなジャンルを生み出したといえるだろう。ちなみに1980年代のスプラッター映画ブームの際の主要マーケットは実は日本だった。ブラジルでは上映中止になった本作だが、日本ではノーカット版でバリバリ上映されている。

作品情報
『セルビアン・フィルム』

2012年1月21日からシアターN渋谷にてレイトショー
監督・脚本:スルディアン・スパソイエヴィッチ
出演:
スルディアン・スパソイエヴィッチ
セルゲイ・トリフュノヴィッチ
エレナ・ガブリロヴィッチ
配給:エクリプス



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