華やかなメキシコの祭り『死者の日』。2つの都市を写真家・田尾沙織が撮る

成田から直行便で約13時間の、ラテンアメリカの国メキシコ。マヤ、アステカ文明などの古代遺跡や、カリブ海のリゾート、スペイン統治時代の建物が立ち並ぶコロニアルシティの美しい街並みなど、ユニークな魅力にあふれる場所です。

そんなメキシコで、10月31日から11月2日までの期間にわたって繰り広げられるお祭りが『死者の日』。死者たちを迎え入れる、いわばメキシコ版「お盆」ですが、人々は骸骨のメイクをして仮装したり、華やかにパレードを行ったりと、明るく楽しく過ごします。

2019年の『死者の日』の数日間、首都・メキシコシティとその周辺の街・プエブラを、写真家の田尾沙織さんが訪れました。その名に反して色鮮やかなお祭りの様子を、フォトレポートでお届けします。

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

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全土が盛り上がる『死者の日』。メキシコシティの雰囲気は?

メキシコ中が盛り上がる『死者の日』はその名前とは裏腹に、とても明るいお祭りだった。先祖を迎えるため、墓地や街はマリーゴールドに象徴される色とりどりの花やお菓子で飾られ、人々はメイクをほどこし楽しんでいた。

最初に訪れたメキシコシティの『死者の日』のパレードは、メキシコの地域ごとの民族衣装も見応えがあった。パフォーマーの熱気に包まれ、観光客も地元の人も一緒になって楽しめる。

メキシコシティ郊外の小さな街・ミスキックでは、祭りの日には出店が所狭しと並び、まるで縁日のような賑わいだった。

ミスキックの中心部にあるサン・アンドレス教会の横の墓地は、たくさんの花で彩られ、蝋燭の灯りに照らされたマリーゴールドのオレンジ色が幻想的。

地元の人は、帰ってきた死者に寄り添いながら、お墓で一晩を過ごすそうで、『死者の日』をモチーフにしたディズニー映画『リメンバー・ミー』の世界が、まさに広がっていました。

宿泊はメキシコシティの街の中心にあるデザインホテル『Camino Real Polanco(カミノレアルポランコ)』。メキシコの伝説的な建築家ルイス・バラガン(1902〜1988年)に影響を受けたといわれるリカルド・レゴレッタ(1931〜2011年)の代表作で、メキシコらしい鮮やかな色と光が美しく、まるで美術館に宿泊している気分だった。

特に印象的だったのは、青い空間が広がるバー。水が張られているスペースがあり、水面できらめく光の反射が美しい。ル・コルビュジェなどの著名デザイナーによる椅子はすべてオリジナルで、「椅子の美術館」ともいわれている。

別名「天使の街」。プエブラで見つけた風景

次に訪れたのは、メキシコシティから車で2時間ほどの場所にあるプエブラ。

「タラベラ焼き」と呼ばれる陶器が有名な街で、教会などの壁で見かける可愛らしいタイル装飾も印象的だった。ここでも『死者の日』の仮装をしている人たちを見かけた。

メキシコ伝統料理のひとつに、さまざまなスパイスやチョコレートなどを煮込んでつくる複雑な味の「モーレ」ソースがある。プエブラの人たちは、この街こそがその発祥地だと言う。「モーレを食べたかい、美味しかっただろう? そうか、そうか、美味しかったか!」と、モーレの話になると誇らしげで嬉しそうだった。

メキシコシティから郊外のミスキック、そしてプエブラへと続いた今回の旅。

メキシコシティの『死者の日』は、ハロウィンのような楽しいにぎわいだった。ミスキックは、墓地を飾りつけて祈る人々の厳粛な雰囲気と、屋台が並ぶ祭りの雰囲気が相まって、なんとなく日本の大晦日を思い出した。

街によって違いはあれど、全土が盛り上がる『死者の日』は、家族とのつながりを大切にするメキシコの人たちの気持ちが伝わってくるお祭りだった。

サン・アンドレス教会
住所:Plaza Juárez, Pueblo, San Bartolo, 13600 San Andrés Mixquic, Mexico

Camino Real Polanco(カミノレアルポランコ)
住所:Calzana General Mariano Escobedo No.700, Anzures, Miguel Hidalgo, 11590 Ciudad de México, Mexico

メキシコ旅のお問い合わせ「PASELA / メキシコ観光」
Webサイト:http://www.pasela.mexicokanko.co.jp/

イベント情報
アエロメヒコ航空で行く、メキシコの旅

メキシコを代表するエアライン・アエロメヒコ航空は、成田からメキシコシティへの直行便を毎日運行しています。昼すぎにメキシコシティに到着し、メキシコ国内の主要都市へも同日乗り継ぎが可能。

成田・メキシコシティ線では、機内の全座席に、動画や音楽などの機内エンターテイメントを楽しめる個人スクリーンを設置。機内食は和食または洋食から選ぶことができ、メキシコシティ発の便では、メキシコシティで人気のレストランのトップシェフ考案のメニューが楽しめます。
プロフィール
田尾沙織 (たお さおり)

1980年東京都生まれ。2001年第18回『ひとつぼ展』写真部門グランプリ受賞。写真集『通学路 東京都 田尾沙織』『ビルに泳ぐ』(いずれもPLANCTON)を刊行。雑誌、広告、ムービーの撮影などでも活躍中。



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