
勝井祐二(ROVO) × SYSTEM 7対談
- インタビュー・テキスト
- 金子厚武
- 撮影:柏井万作, ROVO LIVE写真:梅田航, 太田好治, 雨宮透貴, SYSTEM 7 LIVE写真:眞鍋孝太郎
驚きのコラボレーションが実現する。片や、人力ダンスミュージックの先駆者であり、孤高の音楽家集団でもあるROVO。片や、70年代から活躍するサイケデリックバンドGONGのメンバーで結成され、90年代以降のテクノミュージックにおける先駆者となったSYSTEM 7。そんな両者がお互いの曲をカバー/リミックスしたアルバム『Phoenix Rising』を発表し、さらにはライブでのスペシャルコラボレーションも行うというのだ。そもそもは、長年彼らの作る音楽の大ファンだったというROVOの勝井による「一緒に演奏をしたい」というアイデアからスタートしたプロジェクトだったが、両者の邂逅から様々なアイデアが生まれ、徐々にその規模が膨れ上がり、さらには3月に起こった震災を受けて、このプロジェクトはより大きな意味を持つこととなったのである。勝井に加え、フジロック出演のために来日したSYSTEM 7の2人、スティーブ・ヒレッジとミケット・ジローディも交え、この一大プロジェクトの背景にある想いを語ってもらった。
「マクトゥーブ」ね。アラビア語で言うところの、「そうなる運命」だったのよ。(ミケット)
―今年の春に『RAVO DUB』についてのインタビューをさせていただいた際に「今まで人にリミックスをしてもらいたいと思ったことは一度もない」という話がありましたが…
勝井:ああ、そうだったかも(笑)。でも、SYSTEM 7にだったらぜひリミックスをお願いしたいと思ったんです。ただ、今僕らと彼らで進めようとしているプロジェクトというのは、リミックスありきというわけではなくて。プロジェクトの中のひとつのパーツとして、お互いの曲をリミックスするというアイデアがあったんです。結局ROVOはバンドなので、彼らの曲をカバーするという形になりましたけどね。
スティーブ:このプロジェクトはここ1年で大きく成長して、今もなお広がってるんだ。
―ROVOとSYSTEM 7の交流はいつからスタートしているのですか?
スティーブ:2002年に開催された『武尊祭』の時に初めてROVOのライブを見て、すぐに魅了されたのはよく覚えているよ。実際に交流が始まったのは、GONGの『2032』の制作にユウジ(勝井)を招いてコラボレーションしたのがきっかけだったね。
スティーヴ・ヒレッジ
―2002年の時は、ROVOの情報を知らずにライブを見たということですか?
スティーブ:全然知らなかったよ。「あれは誰なんだ?」って、大きな発見だった。照明を担当していたSHINKILOWによるビジュアルの演出にもとても驚いて、その後に僕たちのセットでもその演出を依頼したりしたんだ。
―ビジュアルの面で言うと、迫田悠さんの存在も共通点ですよね。
スティーブ:そうそう、2007年に手塚治虫の『火の鳥』にインスパイアされた『Phoenix』っていうアルバムを作ったんだけど、収録曲の"Hinotori"のビデオを制作した時に、ムードマジックというとても素晴らしい映像制作チームに恵まれたんだ。そのメンバーにハルカサコタもいて、彼女はROVOの映像も手がけているんだよね。
ROVOのライブより
―ROVOも『ELECTRIC-BRAIN feat.Astro boy』っていう、手塚治虫の『鉄腕アトム』を題材にした作品に参加されていたりとか、両者の共通点はすごく多いんですよね。
ミケット:「マクトゥーブ」ね。アラビア語で言うところの、「そうなる運命」だったのよ。
2/4ページ:自分が作る作品っていうのは、「何か違ったことをしよう」とか思ったとしても、結局は自分の延長線上にあるものなんですよね。
リリース情報

- ROVO×SYSTEM 7
『Phoenix Rising』(CD+DVD) -
2011年10月12日発売
価格:2,300円(税込)
WRCD-541. SYSTEM 7 x ROVO / HINOTORI (ROVO Phoenix Rising version)
2. ROVO x SYSTEM 7 / ECLIPSE (SYSTEM 7 Phoenix Rising version)
3. SYSTEM 7/ HINOTORI
4. ROVO / ECLIPSE
[DVD収録内容]
1. SYSTEM 7 / Hinotori(MOOD MAGIC)
2. ROVO / Eclipse[Haruka Sakota]
イベント情報
- 『ROVO×SYSTEM 7 / Phoenix Rising Tour』
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2011年10月29日(土)OPEN 16:00 / START 17:00
会場:京都府 京都大学 西部講堂
出演:
SYSTEM 7
ROVO
VJ:迫田悠
料金:前売4,800円 当日5,800円
2011年11月5日(土)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 渋谷 O-EAST
出演:
SYSTEM 7
ROVO
VJ:迫田悠
料金:前売5,000円 当日6,000円
プロフィール
- ROVO
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「何か宇宙っぽい、でっかい音楽をやろう」と、勝井祐二と山本精一を中心に結成。バンドサウンドによるダンスミュージックシーンの先駆者として、シーンを牽引してきた。驚異のツインドラムから叩き出される強靱なグルーヴを核に、6人の鬼神が創り出す音宇宙。音と光、時間と空間が溶け合った異次元時空のなか、どこまでも昇りつめていく非日常LIVEは、ROVOでしか体験できない。国内外で幅広い音楽ファンから絶大な信頼と熱狂的な人気を集める、唯一無二のダンスミュージックバンド。
- SYSTEM7
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SYSTEM 7はスティーヴ・ヒレッジ(Steve Hillage)とミケット・ジローディ(Miquette Giraudy)の2人組ユニットで、前身である伝説のプログレバンドGONG時代から数えると、2人のキャリアは40年にもおよぶ。SYSTEM 7名義では7枚のアルバムをリリース、エレクトリックギターをフィーチャーしたサイケデリックなテクノサウンドでオリジナルなハーモニーを奏で続けている。最新作『Up』を2011年6月8日にリリースし、現在ワールドツアーを敢行中。