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私を解放してくれた「もの作り」 Babiインタビュー

私を解放してくれた「もの作り」 Babiインタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
インタビュー撮影:柏井万作
2013/09/11

結局いつの時代も男性は女性に敵わないのではないか? イマジネーションに富んだ女性アーティストの素晴らしい作品を耳にするたびに、ついそんな風に思わずにはいられない。中でも、今個人的に注目したいのは、アカデミックに音楽を学び、作詞作曲はもちろん、編曲までを自ら手掛ける女性音楽家の存在。例えば、コトリンゴや世武裕子といった才能がすでに幅広いフィールドで活躍をしているが、今最も注目すべきクリエイターの一人が、新作『Botanical』を発表するBabiである。

2歳からピアノを弾き始め、5歳から作曲を勉強する一方で、舞台をはじめとした様々な芸術にも触れながら、自らの音楽を育んで行ったBabi。昭和音大時代にはプログラミングやエンジニアリングなどの技術的なことを修得すると共に、音楽を学ぶ上でのとても大切な、いろいろな種類の種を講師陣との巡り会いの中で受け取り、その講師の一人である音楽プロデューサーの牧村憲一には、卒業後も師事し続けた。そんな彼女の作り出す楽曲は、ミュージカルの華やかさと、エレクトロニカの繊細さを併せ持った、チャーミングで独創的なポップス。2011年には、音楽にこだわらず、もの作り全般を行うためのレーベルuffufucucuを設立し、坂本龍一も賛辞を寄せたデビュー作『6色の鬣とリズミカル』を発表している。

Serphや土井玄臣など良質なリリースの続くnobleと、uffufucucuとのコラボレーションで発表される『Botanical』は、生の管弦楽器の重用によって、チェンバーポップ的な側面が強まり、瑞々しい躍動感が印象的な作品に仕上がった。今作のトレイラー映像も自らが撮影し、現在はCM音楽も多数手掛けるなど、Babiは根っからの「もの作り」の人であるだけに、今後彼女の表現が様々なクリエイティブと結びついて、さらなる広がりを見せることは間違いないだろう。

大学の途中である人と出会って、こっそり陰で作ってた曲を聴かせたら、「Babiは今まで媚びた音楽を作ってたでしょ?」って言われて、「ばれた!」と思って(笑)。

―Babiさんは2歳からピアノを始められて、5歳から作曲を勉強されていたそうですが、ご家族が音楽をされていたのですか?

Babi:兄がピアノを習っていて、その教室にくっついて行ったら、私の方がはまっちゃったみたいです。母はロック好きで、ギターを弾くんですけど、子どもが影響を受け過ぎないようにって、当時は隠してたらしくて(笑)。

―それでまんまとピアノの道に進んだわけですね(笑)。作曲を勉強していたというのは、ヤマハの学校とかですか?

Babi:そうです。ヤマハの専門コースに行ってたんですけど、超劣等生だったので、嗚咽しながら……。

―ヤマハって小さい頃からかなり本格的だっていうのはよく聞くんですけど、そんなに厳しいんですか?

Babi:幼稚園の年長とか小学生で、大学生でやるようなことをやるんですよ。なので、理論的なことは私に理解力が無く何を言ってるのかよくわからなかったんですけど、感覚的に体に教え込まれていたようで、それは今でも核になっていると思います。ただ、当時はアンサンブルで私が足を引っ張って、年上のお姉さんを泣かせた映像が焼き付いて、迷惑ばかりかけていた記憶が主で(笑)。

―でも、大学は昭和音大に進学されてますし、ずっと音楽の道を歩んでこられたわけですよね?

Babi:そうなんですけど、高校生から大学の途中ぐらいまでは、すごく計算して、頭で曲を作っていたので、「音楽が楽しい」っていう感覚が全然わからなくなっていて。

―計算して作っていたっていうのは、具体的にはどんなことを考えていたんですか?

Babi:Aメロ、Bメロは好き勝手に作るんですけど、サビは8小節として、ドレミファを少し癖をつけつつもきれいにわかりやすく並べて、口ずさみやすいメロディーを大体2回繰り返すって決めるようになっていたんです。「みんなこういうの好きだよね?」って思いながら作っていたので、ちょっと媚びた音楽ではあったと思います。

Babi
Babi

―最初から枠組みを自分に課して作っていたわけですね。でも、それだと本心では楽しめなかったと。

Babi:はい。「音楽がなくちゃ生きていけない」っていう音楽好きの人っていると思うんですけど、そういうのがよくわからなかったですね。でも、大学の途中である人と出会って、こっそり陰で作ってた曲を聴かせたら、「Babiは今まで媚びた音楽を作ってたでしょ?」って言われて、「ばれた!」と思って(笑)。

―そのある人とは?

Babi:牧村憲一さんです。「あなたが今隠れて作ってる音楽を、もっとちゃんとやったら楽しくなるんじゃないかな?」って言われて。

―こっそり作ってた曲っていうのは、さっきおっしゃってた枠組みなく作った曲ということですよね?

Babi:そうですね。大学の最初の方は、「サウンドプロデュース」っていう、主にJ-POPを作るサウンドプロデューサーを目指す学科だったので、ある程度型を考えて構成する事が重要だという感覚で学んでいました。特に私は、一度構成をグチャグチャにした曲を提出してすごい注意されたこともあったので、授業は授業で作りつつ、それとは別に好きなものを隠れて作るようになってて。

―それを牧村さんに、「お前はこっちだろ」と見抜かれたと。その出会いはとても大きかったですよね。

Babi:はい、ものすごくおっきいです。そこから180度変わりました(笑)。

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イベント情報

Babi『Botanical』リリース記念パーティ
『アルルカンとパラードへ』

2013年12月1日(日)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 渋谷 SARAVAH東京
出演:
Babi
caméra-stylo

リリース情報

Babi<br>
『Botanical』(CD)
Babi
『Botanical』(CD)

2013年9月13日発売
価格:2,100円(税込)
NBL-210

1. 時計草
2. Passepied
3. プレパラート
4. 昆虫採集
5. 魔法劇場
6. ファンシー魔女
7. レッスン
8. アルルカンと踊り子
9. atlier
10. owl

プロフィール

Babi(ばび)

2歳からピアノを学び、トイレソング、空腹ソングなどを作りはじめ、5歳から6年間本格的に作曲を学ぶ。高校時代、MTRを使用した多重録音に少しはまる。音大に進学し、さらに多重録音にはまり、家にこもって自宅録音する創作スタイルがはじまる。2011年、音楽の他、ものづくりを中心としたいろいろなモノを制作発表できる場として、レーベル「uffufucucu」をはじめる。1stアルバム『6色の鬣とリズミカル』をリリース。2012年、映像・展示作品の音楽やCM音楽を手がけながら製作を続ける。2013年9月、2ndアルバム『Botanical』をuffufucucuとnobleによるレーベル・コラボレーションでリリース予定。

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