特集 PR

NIHA-Cが明かす、2年の葛藤を経て辿り着いた「自分らしさ」

NIHA-Cが明かす、2年の葛藤を経て辿り着いた「自分らしさ」

NIHA-C『アリバイ』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:永峰拓也 編集:久野剛士、矢島由佳子
2017/11/06

ヒップホップで、「常にちょっと不幸な日常」を変えたかった。

―ヒップホップって歴史的に見ても、人をいまいる場所の外側へ導き出す力を持ってきた側面もあると思うんです。NIHA-Cさんは、ヒップホップという表現を得たことで、何かから抜け出したと思いますか?

NIHA-C:……強いて言えば「退屈」、ですかね。俺、裕福ではなかったけど、恵まれていない子どもではなかったから。普通の家庭で育って、これといって不自由した記憶もない。でも、俺も含めて、日常がいつもちょっとずつ不幸な人が多い気がするんですよね。生きているだけで疲れる時代だと思います。

その中で、光を見せてくれたのが、俺にとってはヒップホップだった。ヒップホップで、「常にちょっと不幸な日常」を変えたかったんだと思う。

―でも、その「日常を変えたい」という思いが、NIHA-Cさんの人生においては、とても重要なことだったんですね。

NIHA-C:そうですね。大学を卒業したら音楽は辞めようと思って、就職先も決めたんです。でも、その後にちょっとずつ、いい話が舞い込んできて。結局、その会社は1年足らずで辞めて、音楽の道に戻りました。

俺、他に好きなことがないんですよ。学生時代、部活で野球はやっていたけど、全然打ち込めなくて、結局レギュラーになれずに終わったし。音楽を始めていなかったら、ずっと退屈な人生だっただろうなって思います。

NIHA-C

日常生活は、十分、ドラマチックだと思います。

―最新作『アリバイ』について伺う前に、2015年にSKY-HI日高さんの主宰レーベル「BULLMOOSE」からリリースされた1stアルバム『BRIGHT LIGHT』は、振り返ってみて、どんなアルバムだったと思いますか?

NIHA-C:何かメッセージがあるというよりは、当時の自分の感情を詰め込んだアルバムでした。すごい鬱屈として、モヤモヤしていたんですよ。成人しているけど、大人になれていない感じもあったし、「NIHA-C」としてのキャラクターにも自信がなかったし。

本当は、一番イケていて、一番正しいことを言っている、世代のリーダーみたいな存在になりたいと思っていたんですけど、そんな理想と現実の自分との落差をまざまざと感じている時期でした。自分ができることと、自分がやりたいことが全然マッチしていなかったんですよ。それで、「どういうラッパーになりたいんだろう?」「本当の自分って何?」と葛藤してましたね。

―ただ、先ほどNIHA-Cさんは「自分が自分であることには代えがたい価値がある」と仰っていたじゃないですか。この2年間を経て、その葛藤からは、既に抜けているということですよね?

NIHA-C:うん、そうですね。……なんか、徐々にわかってきたんですよ。もしかして、俺はそうなるべきじゃないし、周りから望まれているものも、それじゃないかもしれないって。もうちょっと等身大でいようと思いました。

NIHA-C

―実際、今作『アリバイ』のリリックは、自分を誇示するものというよりは、聴き手に対して開かれている内容のものが多い気がするんです。

NIHA-C:そうですね。このアルバムを作り始めた時期から、ライブを意識するようになったんです。お客さんとなるべく会話したいし、Twitterでリプライが来たら返したい。要は、「音楽の向こうに人がいる」ということを意識するようになって。

―そうした変化は自分でも意識していましたか?

NIHA-C:“Nothing”ができたとき、「あれ、作り方が変わった?」って自分で気づいたんですよ。この曲は、「自分に自信が持てない」「私には価値がない」と不安を抱えている他の人に向けて書いた曲で。どんな人もきっと誰かにとっての特別な存在だし、大切にしてくれる人がいることを伝えたかった。それに自ら気づくのは、意外と難しいことだと思いますね。

NIHA-Cの2ndアルバム『アリバイ』ジャケット
NIHA-Cの2ndアルバム『アリバイ』ジャケット(Amazonで見る

―ヒップホップの不良性に憧れて、「俺はカッコいい! お前はダサい!」とラップするところからNIHA-Cさんのラッパー人生が始まったことを考えると、大きな変化ですよね。

NIHA-C:そうですよね。実際、ヒップホップ的なテーマには、限界がある気がしていて。ヒップホップを普段聴かない人が「ヒップホップは、いつも同じことを言っている」と批判するのを耳にすることもありますけど、俺もそうだなって思うんですよ。「俺はすごい」「俺は強い」「金がある」、ドラッグのネタ、女のネタ……でも、日常生活ってもっといろんなことが起こるじゃないですか。

失恋とか、仕事での失敗とか、誰にでも起こり得る当たり前を自分の中で咀嚼して曲にすることを、いまはすごく有意義に感じていて。日常生活は、十分、ドラマチックだと思うんですよね。

―曲の中で虚勢を張りたい気持ちは、いまはもうないですか?

NIHA-C:ないですね。「俺は強いぜ、俺の方がラップすごいぜ」って言ったって、すごいかどうかは、本人が決めることではないから(笑)。周りの人が決めたなら、それはそうなんだろうけど。

Page 2
前へ 次へ

リリース情報

NIHA-C『アリバイ』
NIHA-C
『アリバイ』(CD)

2017年11月15日(水)発売
価格:2,700円(税込)
RCSP-0085

1.It's Going Down
2.リーダー
3.モナリザ feat. ハシシ from 電波少女
4.夜光虫
5.Touch The Sky
6.Goodbye
7.Take My Hand
8.ABCDEFG
9.Boyfirend Don't Like Me
10.トモダチ feat. Jinmenusagi
11.目を閉じれば
12.Nothing

イベント情報

NIHA-C 2nd Full Album『アリバイ』Release Party

2017年11月23日(木・祝)
会場:東京都 Shibuya Milkyway
出演:
NIHA-C
電波少女
Jinmenusagi
料金:前売2,500円 当日3,000円(共にドリンク別)

NIHA-C『アリバイ』インストアイベント@TOWER RECORDS池袋店

2017年11月17日(金)
会場:東京都 TOWER RECORDS池袋店6階イベントスペース

プロフィール

NIHA-C(にはしー)

浜松出身のラッパー、2015年にSKY-HI主宰レーベルBULLMOOSEより1st Album「BRIGHT LIGHT」をリリース。SKY-HIは「Rapperとして成功するための全ての要素を持っている状態で、シーンのキャリアを始めることができる漢」と評している。更に電波少女のフィーチャリングラッパーとして、「MO feat.NIHA-C」「COMPLEX REMIX feat.Jinmenusagi, NIHA-C」といった電波少女の代表曲にも参加し、活動の幅と広げている。2017年6月26日にJinmenusagiをフィーチャリングラッパーとして招いた第1弾配信限定シングル「トモダチ feat.Jinmenusagi」をリリース。6月26日付iTunes Storeヒップホップ/ラップシングルチャート5位を記録し、8月10日には第2弾配信限定シングルとして電波少女のハシシをフィーチャリングラッパーに迎えた「モナリザ feat.ハシシ from 電波少女」をリリース。8月10日付iTunes Storeヒップホップ/ラップシングルチャート2位を記録し満を持して2ndアルバムをリリースする。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

岩井勇気(ハライチ)『ひねくれとか言われても俺はただ自分が進みたい道を選んでるだけ』

ドリームマッチでの『醤油の魔人 塩の魔人』、ラジオで突如披露した推しキャラケロッピをテーマにしたEDM調楽曲『ダメダメケロッピ』など、音楽的な才能に注目が集まる岩井勇気。今回はミツカン「こなべっち」とタッグを組み、自らがマイクを取ってラップに挑戦。しかもこの動画、岩井がこれまでラジオや書籍の中で言及してきた、珪藻土のバスマットや、海苔、メゾネットタイプの部屋、クラウス・ノミなどのネタが詰まっていて、まさか岩井さんの自宅なのでは……? と隅々まで見てしまう。つぎはぜひ、自作のトラックとリリックによる曲が披露されることを待っています。(川浦)

  1. 秋山黄色×佐藤寛太対談 互いに認め合う「異常さ」、交わる遊び心 1

    秋山黄色×佐藤寛太対談 互いに認め合う「異常さ」、交わる遊び心

  2. 古田新太が振返る劇団☆新感線40年 演劇界に吹かせたエンタメの風 2

    古田新太が振返る劇団☆新感線40年 演劇界に吹かせたエンタメの風

  3. 青葉市子の新AL『アダンの風』詳細発表&原美術館でのライブ配信も 3

    青葉市子の新AL『アダンの風』詳細発表&原美術館でのライブ配信も

  4. 米津玄師と是枝裕和監督が初タッグ“カナリヤ”PV公開 蒔田彩珠らが出演 4

    米津玄師と是枝裕和監督が初タッグ“カナリヤ”PV公開 蒔田彩珠らが出演

  5. 角舘健悟の『未知との遭遇』たなかみさき編(後編) 5

    角舘健悟の『未知との遭遇』たなかみさき編(後編)

  6. 坂本龍一の過去ライブ映像が本日から3週にわたってYouTubeでプレミア公開 6

    坂本龍一の過去ライブ映像が本日から3週にわたってYouTubeでプレミア公開

  7. 三浦春馬主演、映画『天外者』五代友厚の「志」と「天外者」な部分を紹介 7

    三浦春馬主演、映画『天外者』五代友厚の「志」と「天外者」な部分を紹介

  8. 小沢健二が「手紙」を読み上げる生配信番組『キツネを追ってゆくんだよ』 8

    小沢健二が「手紙」を読み上げる生配信番組『キツネを追ってゆくんだよ』

  9. 『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』論評 自立と解放への戦い描く 9

    『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』論評 自立と解放への戦い描く

  10. 『あつ森』とジェラート ピケのコラボブック刊行 表紙は松岡茉優 10

    『あつ森』とジェラート ピケのコラボブック刊行 表紙は松岡茉優