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凛として時雨が語る、結成から15年。なぜ確固たる地位を築けた?

凛として時雨が語る、結成から15年。なぜ確固たる地位を築けた?

凛として時雨『#5』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:中野敬久 編集:矢島由佳子、柏井万作

言葉ではないところで共有してるものがあまりにも多いんです。ちょっと不思議なバンドではありますね。(TK)

―ここまで初期について話してもらいましたが、新作のタイトルが『#5』なのは、やはり『#4』とリンクする感覚があったということなのでしょうか?

TK:『#4』を2005年に出す以前に『#1』から『#3』というタイトルの作品があったんですけど、なんとなくそのあと『#5』にはいかなかったんですよ。別に確固たる理由があったわけではないんですけど。

ただ、今回曲を並べて聴いてみたときに、なんとなく「『#5』がいいかも」と思って仮タイトルにしていたら、ちょうど中野くんもそう思ってたみたいで。「じゃあ、『#5』でいこう」って。

中野:曲順を考えてるときに、いろいろ並べ替えたりしながら車とかで聴いてたんですけど、「すげえアルバムになったな」と思えて、「これでタイトルが『#5』だったら相当かっこよさそうだな」って思ったんですよ。そしたら、ちょうどそのタイミングでTKからきたメールを開くと、仮タイトルが『#5』ってなってて、これはすごいことだなと(笑)。

TK:僕たちがやってることって極端で、針の穴に糸を通すような活動の仕方をしているし、「今回はこうだからこうしよう」とかってバンド内で話し合うこともほぼないんですけど、そのわりには、言葉ではないところで共有してるものがあまりにも多いんですよね。

基本的には、僕がなにを作るかってところで方向性も自然と固まってくるので、全体としては明確なものが見えないまま、でも明確に進んではいるっていう。ちょっと不思議なバンドではありますね。

左から:ピエール中野、345、TK

―さっきも話に出たメロディーのポップさとか、歌詞のユニークさ、三人のバンド感とか、『#4』とリンクする要素を挙げようとすれば挙げられるとも思うんですけど、そういうことよりも、感覚的に『#5』がハマったと。

TK:そうですね。順序立てて作品を作れるタイプではなくて、今目の前にある楽器に対してなにを弾くか、できたオケにどんな言葉を当てはめるか、そういう物事の連続でしか音楽を捉えられないので、マスタリングのときに初めて「こうなったのか」ってわかるというか。

もしかしたら、唯一『#4』だけは、結成からの処女作として順序立てて作れたのかもしれないけど、その感覚はもう一生ないと思うんですよね。それ以降は常に、アルバムはその期間の自分たちで出した音でしかないと思っています。

凛として時雨『#5』
凛として時雨『#5』(Amazonで見る

―「一周した」みたいな感覚でもないわけですよね?

TK:僕ら、一周するほど変わってないと思う。新しいことだけをやろうとも思ってないですし、単に今自分が作れる音楽を作ってるだけで、それがずっと変わらずに続いている。感覚としては、同じところで足踏みをしてる感じというか、それがちょっと前だったり、後ろだったり、横だったりにずれるくらいの誤差でしかなくて……たまに不安すら覚えますよ(笑)。

―とはいえ15年間活動しているなかでは、ターニングポイントと呼べるようなタイミングもあったのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

345:ターニングポイント……でも本当に最初からずっと同じ感じでやってて……。

TK:中野くんがMCし始めたくらいじゃない?

中野:下北沢CLUB Queのライブのときね。ストイックにシリアスなライブをするバンドなのに、ドラムがいきなり前に出てきて、「ヨーヨーヨー、ヒップホップ楽しんでるか?」みたいな。

TK:ジャンル間違えちゃった(笑)。

中野:そこは転機ですね。「このバンド、こっちもか」って。賛否両論が未だに続いてますけど(笑)。

ピエール中野

―(笑)。逆に言うと、それくらいしか変化がないと。でも確かに、「瞬間の連続」だというバンドの姿勢は、『#5』に収録されている“ten to ten”によく表れているように思いました。以前にも「時雨は線じゃなくて点だ」ということをおっしゃっていたと思うんですけど、「点=瞬間、moment」で、ただそれをつないでいくだけなんだっていう。

TK:どうだろう……そのときの自分に聞くとわかるんですけどね(笑)。曲を作り終えてしまうと、歌詞とかも「なんでこんなことを書いたんだろう?」ってことの連続でしかないんです。純粋に自分の音楽に向き合ってるときって、あまりにも言葉にできないことが多くて。だからインタビューで聞かれると、なんとか答えようとするんですけど、大体あとで後悔します(笑)。「本当はそうじゃなかったかもしれない」って。

―言葉を重ねれば重ねるほど真実から遠ざかってしまう。逆に言えば、言葉にできない瞬間にこそ真理があるというか。

TK:そうですね。自分がなんでその言葉を書いたのかわからないくらいじゃないと、無意識の意識まで飛べてないんじゃないかって思うようになってからは、自分の書いてる言葉を許せるようになりました。

「なんでこの一文なんですか?」って聞かれて、答えられないのって、音楽家としてどうなんだろうと思うこともあったんです。でも、自分がその言葉を書いたり、そこにギターのリフを入れたとき、その瞬間には確実に意味があって。それは言葉で説明できないからこそ、純粋に自分の欲求に従って生み出せたんじゃないかと思えるようになってからは、それが自分の書き方なのかなって。

Maison Book Girlのバンドセットでほとんど変拍子をやっていて、時雨で6拍子をやったらかっこいいんじゃないかと思って。(ピエール中野)

―345さんやピエールさんが「こういうの作ってみたら?」って提案することはないんですか?

TK:僕がそれを引き出すことはあります。大体「激しいやつ」って言われるんですけど(笑)。

中野:速くて激しいやつ(笑)。

345:ゴリゴリに激しいやつ(笑)。

中野:あとは自宅の電子ドラムで試しにドラムパターンをいくつか録って、送って、「これでお願いします」って。

TK:「最近(中野のなかで)流行ってるフレーズちょうだい」って。

―今回そうやってできた曲ってありますか?

中野:“Chocolate Passion”の元になってるフレーズはそうですね。Aメロが6拍子になってるんですけど、TKが自発的に6拍子を作ることはあまりないので。

TK:僕のなかに「拍子」の感覚がなくて、インタビューで6拍子だって初めて知りました(笑)。

中野:僕、Maison Book Girlのバンドセットをやっていて、あそこはほとんど変拍子だから慣れてきて、時雨で6拍子やったらかっこいいんじゃないかと思って。なおかつ、すげえ速くしようと思って、BPM200くらいでいくつかパターンを送ったら、この曲が返ってきて。すげえ曲になったなと。

―ちなみに、バレンタインデーに出るアルバムのリード曲に「Chocolate」という単語が入ってることに関して、ピエールさんから一言いただけますか?(笑)

中野:僕がタイトル付けたわけじゃないですからね。「頼むよ!」とか言ってないですよ(笑)。いろんな憶測があると思いますけど……。

TK:どれがリード曲になるかとかも考えて作ってないので、最後に曲を並べたときに、どの曲でもこのアルバムを表せるとは思ったんですけど、結果的に発売日がバレンタインデーだという偶然、いや必然に引き寄せられていって……。

―Perfumeのライバルになったと。

中野:あ、言いましたね。

―出てこなそうな流れだったんで、僕のほうから言っちゃいました(笑)(参照記事:ピエール中野が愛を込めて語る、アイドル論。なぜハマったのか?)。

中野:痺れを切らせましたね(笑)。

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リリース情報

凛として時雨『#5』初回生産限定盤
凛として時雨
『#5』初回生産限定盤(CD+DVD)

2018年2月14日(水)発売
価格:4,212円(税込)
AICL-3479/80
※トールサイズ、デジパック仕様

[CD]
1. Ultra Overcorrection
2. Chocolate Passion
3. Tornado Minority
4. Who's WhoFO
5. EneMe
6. ten to ten
7. Serial Number Of Turbo
8. DIE meets HARD
9. High Energy Vacuum
10. #5

[DVD]
“Chocolate Passion” Music Video with Making Passion
“#5” Music Video
DIE HARD RADIO Season 2

凛として時雨『#5』通常盤
凛として時雨
『#5』通常盤(CD)

2018年2月14日(水)発売
価格:3,240円(税込)
AICL-3481

1. Ultra Overcorrection
2. Chocolate Passion
3. Tornado Minority
4. Who's WhoFO
5. EneMe
6. ten to ten
7. Serial Number Of Turbo
8. DIE meets HARD
9. High Energy Vacuum
10. #5

イベント情報

凛として時雨
『Tour 2018“Five For You”』

2018年3月3日(土)
会場:石川県 金沢 EIGHT HALL

2018年3月4日(日)
会場:新潟県 LOTS

2018年3月11日(日)
会場:東京都 Zepp DiverCity

2018年3月17日(土)
会場:宮城県 仙台 GIGS

2018年3月21日(水・祝)
会場:北海道 サッポロファクトリーホール

2018年3月25日(日)
会場:大阪府 Zepp Osaka Bayside

2018年4月7日(土)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2018年4月8日(日)
会場:香川県 高松 festhalle

2018年4月14日(土)
会場:福岡県 DRUM LOGOS

2018年4月15日(日)
会場:熊本県 B.9 V1

2018年4月21日(土)
会場:愛知県 Zepp Nagoya

2018年4月30日(月・祝)
会場:東京都 Zepp Tokyo

料金:立見4,860円 2階席5,400円(共にドリンク別)
※新潟公演、札幌公演はドリンク代なし
※2階席は東京2公演、宮城公演、大阪公演のみ
※高校生以下は学生証など提示で500円割引

凛として時雨
『Tour 2018 “Five For You ~Vacuum The Hall Edition~』

2018年6月1日(金)
会場:大阪府 フェスティバルホール
2018年6月11日(月)
会場:東京都 東京国際フォーラム ホールA

料金:各公演 全席指定 5,400円
※高校生以下は学生証など提示で500円割引

プロフィール

凛として時雨
凛として時雨(りんとしてしぐれ)

TK(Vocal&Guitar)、345(Vocal&Bass)、ピエール中野(Dr)。2002年、埼玉にて結成。男女ツインボーカルから生まれるせつなく冷たいメロディーと、鋭く変幻自在な曲展開は唯一無二。プログレッシブな轟音からなるそのライブパフォーマンスは、冷めた激情を現実の音にする。

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