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MOROHAは人の孤独と汚さに語りかける。お前の真実を見せろ

MOROHAは人の孤独と汚さに語りかける。お前の真実を見せろ

MOROHA『MOROHA IV』
インタビュー・テキスト・編集
矢島大地(CINRA.NET編集部)
撮影:HayachiN
2019/05/28

自分の弱さに打ちのめされ、愛されたいと願うあまり自分に嘘をつき、心の歪みに頭を抱えて孤独になっていく。本当の自分を探し、そのたびに傷つき、なぜこんなにもズタズタになりながら俺達は生きるのか? たったそれだけを言葉と音にしながら、Zepp Tokyoをソールドアウトさせ、7月に行われる聖地・日比谷野音での単独公演も完売。幻想や綺麗事とは無縁の音楽が確かに人の心の蓋をこじ開け、思い通りにはなりゃしない日々を力ずくで転がしていくための場所として、MOROHAは確かに今を喰らい始めている。

アコギ+ラップという他に見ない編成について、ギターのUKは「このふたりでできることをやっているだけ」と語ったが、この「最小限」の中には、自分という人間の表現が何よりもダイレクトに伝わる「最大限」が詰まっている。己の弱さと徹底的に向き合ってもんどり打つラップはただのスタイルではなく、言葉まで素っ裸にすることで自分の逃げ場をなくす覚悟としてのもの。1本でメロディとビートを両立するギターは、自分ひとりから生み出せる音楽の可能性に挑み続ける武士道。聖人のようには生きられない自分達の汚さと真実だけを凝視し、それでも愛や幸せを求めて生きていくための覚悟を自分達自身に問い続ける歌は、この徹底的にストイックな音楽と呼び合っている。

5月29日にリリースされる『MOROHA IV』は、その「自分対自分」がよりソリッドな形で表出し、一方では「愛を求めて生きている」という本音がより温かな質感でもって響き渡る、かつてなく音楽も歌も膨よかに変化を果たしたアルバムだ。元から持っていた歌の本質がより一層振り切れた作品を通じ、MOROHAの精神性と闘争の変遷を語り尽くした。

最小限でやっているからこそ、ラップの緊張感や、生き方を問われるリリックは聴き手にダイレクトにくる。楽しさとは別の音楽というか。(UK)

アフロ(MC):MOROHAとしてCINRA.NETで初めてのインタビューだから、先に訊きたいんだけど――。

―初っ端から逆質問ですか。

アフロ:(無視して続ける)CINRA.NETって、いろんなカルチャーや芸術を掘っているメディアじゃない? たとえばメディアの取材だったら、最近はインタビューの先にフェス出演があったりイベントのオファーがあったりってことも増えたけど、CINRA.NETの場合は音楽をはじめとした芸術の奥にある文化まで入ってこられるメディアだし、それを理念にしているでしょう? だから、こうしてCINRA.NETでインタビューを受ける際に、MOROHAはどんな文化と繋がれるのかなって俺は考えていてさ。どう思う?

―カルチャーというより今の概念の話になりますけど、カルチャーって、個々が人生の背景に紐づくものを好きになったり、好きになったものに自由に没頭し続けたり、その没頭が波紋みたいに広がって人と繋がっていく中で生まれると思うんです。だけど今の世の中は、「みんな」とか「共感」っていうものに縛られやすくなってきているように見える。そこに対して大事なこと――俺達はいつまでもひとりだし、温い共感じゃなく個を追求することでしか人の心に響くものは作れないと歌い続けているMOROHAの精神性はすごく大事だと思って、ここに話を聞きに来たんです。

左から:アフロ(MC)、UK(Gt)<br>MOROHA(もろは)<br>2008年結成。アコースティックギターのUKと、マイクに喰らいつくMCのアフロからなる2人組。楽曲、ライブともにGt×MCという最小最強編成で臨み、「対ジャンル」ではなく「対人間」を題目に活動。2018年に『MOROHA BEST~十年再録~』でメジャー進出。ライブハウス、ホール、フェス、場所を問わず聴き手の人生へと踏み込む楽曲を生み出し続ける。
左から:アフロ(MC)、UK(Gt)
MOROHA(もろは)
2008年結成。アコースティックギターのUKと、マイクに喰らいつくMCのアフロからなる2人組。楽曲、ライブともにGt×MCという最小最強編成で臨み、「対ジャンル」ではなく「対人間」を題目に活動。2018年に『MOROHA BEST~十年再録~』でメジャー進出。ライブハウス、ホール、フェス、場所を問わず聴き手の人生へと踏み込む楽曲を生み出し続ける。

アフロ:そういうことか。確かに、WEBメディアやインターネットって「ひとりじゃない」っていう感覚のために使われることが多い場所な気がする。その点、CINRA.NETっていうメディアは「ひとり上手」な人が比較的多そうというか、自分の好きなものはなんなのかっていうことに向き合える人が多そうだよね。だから個を大事にするメディアだし、「どこまでいってもひとりなんだ」って歌ってる俺らの音楽がより一層響くはずだっていうことだよね。

―はい。そして何より、今回の『MOROHA IV』の素晴らしさ自体がちゃんと一人ひとりに刺さると思うんです。バリエーション豊かで、ラップもギターもかつてなくメロディアスな傑作で。自分達では、どういう手応えを持ってる作品ですか。

UK(Gt):(この音楽を)「他の人がやってなくてよかったなあ」っていうのがひとつあるよね。他の人が俺らみたいな音楽、編成でやってたら悪態をついてたと思うし、嫉妬ですよね。逆に言えば、自分がカッコいいと思ってやれているっていうことだと思う。もうひとつは、「やっぱ聴いてて疲れるなあ」っていうことかな(笑)。

MOROHA

―(笑)。「他の人がこの音楽をやっていなくてよかったな」っていうことについて聞くと、ラップ+ギターっていう他にない編成でやっていること以上に、より一層音楽としてのオリジナリティを獲得できてきたっていうことですか。初期の頃、ラップに対してビートがないと揶揄されたところからナニクソで編み出していったのがUKくんの「メロディとビートが両立する」っていうプレイスタイルだと思うんですけど、それがさらに磨かれて彩り豊かになっている。

UK:この編成に関しては、このふたりでやれること――アフロの熱いところ、ギタリストとして貫きたい自分、それでやりたいだけなのは変わってなくて。だからオリジナリティというよりも、1stの頃から変わったつもりはないんだよね。ただ、その最小限でここまで振り切っている音楽は他にないと思うし、そういう意味で「他の人がやっていなくてよかったな」って思う。

―それは何に対して振り切れていると思うんですか。

UK:「聴いてて疲れる」って言ったのと通ずるけど、僕らの音楽って、情報量が少ないように見えて情報量が多いと思うんです。たとえばMOROHAを聴いたことがない人にとってみれば、「アコギとラップってなに?」っていう混乱から始まるのもわかってて。で、聴き始めてみたら、歌が入るわけでも音数が増えるわけでもなく、そのまま最後まで突っ走っていくわけで。

その最小限でやっているからこそ、アフロのラップの緊張感や、ひたすら自分の生き方を問われるリリックっていうのは聴き手に近くダイレクトにくるよね。楽しさとは別の音楽というか。

大事な人への愛と、自分に対する怒り。そういうふたつの相反する真実の両方を切り捨てることができない本質が、より一層浮き彫りになった。(アフロ)

―聴いてて疲れると言われたアフロくんは、今作についていかがですか。

アフロ:そうだな……歌を書いてる俺としては、結果、矛盾したものができあがってよかったと思う。「アフロ、気持ちよく矛盾できるようになったな」って。

―その「矛盾」っていうのは、ご自身にとってはどういうものなんですか。

アフロ:俺がこれまで歌ってきたこと――たとえば大事な人への愛と、自分に対する怒り。そういう相反する真実の両方を切り捨てることができない本質が、より一層浮き彫りになったというか。生きていく中で愛をもらったり人に伝えたりする一方で、でも自分はなんで弱いままなんだっていう気持ちや孤独があったり、認められないことへの怒りもあったりする。

それは言葉にしてみたら矛盾してるけど、その矛盾も矛盾のままでいいって受け入れられて、曲によって歌ってることが全然違ってもいいと思えた作品な気がする。

左から:アフロ、UK

―矛盾も感情の幅だと思えたということ?

アフロ:そうだね。前までだったら、「このフレーズを書いたらあっちの曲と矛盾しちゃうな」と思った瞬間に、それをよしとしてなかったの。だけど今回は、矛盾すらも「自分はこんなに膨よかな感情を持ってるんだな」って思えたんだよね。

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リリース情報

MOROHA『MOROHA IV』初回限定盤
MOROHA
『MOROHA IV』初回限定盤(CD+DVD)

2019年5月29日(水)発売
価格:4,135円(税込)
UMCK-7010

[CD]
1. ストロンガー
2. 上京タワー
3. 遠郷タワー
4. 米
5. 拝啓、MC アフロ様
6. スタミナ太郎
7. 夜に数えて
8. いくつものいつもの
9. うぬぼれ
10. 五文銭

[DVD]
2018年12月16日 Zepp Tokyo「単独」全曲収録
二文銭
奮い立つ CD ショップにて
一文銭
俺のがヤバイ
勝ち負けじゃないと思える所まで俺は勝ちにこだわるよ
三文銭
ハダ色の日々
スペシャル
革命
四文銭
tomorrow
バラ色の日々
恩学
ストロンガー
五文銭

MOROHA『MOROHA IV』通常盤
MOROHA
『MOROHA IV』通常盤(CD)

2019年5月29日(水)発売
価格:3,024円(税込)
UMCK-1620

1. ストロンガー
2. 上京タワー
3. 遠郷タワー
4. 米
5. 拝啓、MC アフロ様
6. スタミナ太郎
7. 夜に数えて
8. いくつものいつもの
9. うぬぼれ
10. 五文銭

イベント情報

『AVAY YAYVA RECORDS presents MOROHA 日比谷野外大音楽堂 単独ライブ』

2019年7月13日(土)
東京都 日比谷公園大音楽堂

プロフィール

MOROHA(もろは)

2008年結成。アコースティックギターのUKと、マイクに喰らいつくMCのアフロからなる二人組。楽曲、ライブともにGt×MCという最小最強編成で臨み、「対ジャンル」ではなく「対人間」を題目に活動。2018年に『MOROHA BEST~十年再録~』でメジャー進出。ライブハウス、ホール、フェス、場所を問わず聴き手の人生へと踏み込む楽曲を生み出し続ける。

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