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PEDROのアユニ・Dと田渕ひさ子が語る「音楽が開く心の扉」

PEDROのアユニ・Dと田渕ひさ子が語る「音楽が開く心の扉」

PEDRO『THUMB SUCKER』
インタビュー・テキスト
柴那典
編集:矢島大地(CINRA.NET編集部) 撮影:諏訪稔

田渕さんと出会った今は、「好きすぎて、この人になりたい」っていう気持ちもわかるんです。(アユニ)

―歌詞はアユニさんが書いていますよね。これも前とは少し違う書き方になっていると思うんですが。

アユニ:今までのBiSHの曲とか前作の『zoozoosea』では、自分のことだけをなぐり書きするような書き方しかできなかったんです。でも、今回は、妄想で誰かになりきって書いてみたり、好きな映画の脇役からインスピレーションを広げて書いてみたりとか。いろんな書き方をしてみようと思いました。

SpotifyでPEDRO『zoozoosea』を聴く(Apple Musicはこちら

―好きな映画というと、例えば?

アユニ:『ローズ・イン・タイドランド』っていう、お母さんもお父さんもヤク中で死んで、誰もいない田舎の小屋で一人で暮らす女の子の物語なんですけど。そこにディキンズという、脳を取り除いた男の子が出てくるんですね。それが“Dickins”という曲になっていたり。聴く曲の幅が増えたことで「こういう表現の仕方があるんだ」って思えるようになって、自分のことを書かなくてもいいんだって思いました。もっと自由に表現してもいいんだなって思わせてもらったというか。

左から:アユニ・D、田渕ひさ子

―それで言うと、歌詞の書き方にもNUMBER GIRLの影響はあるんですか。

アユニ:そこはもう、NUMBER GIRLばっかり聴いてたんで、自然に出てしまいました。田渕さん本人がいるから、ちょっとやっても許されるかなって(笑)。

―今、この取材をしている時点で、NUMBER GIRLは再結成のツアーをする直前です。まずニュースを聞いてアユニさんはどう思いました?

アユニ:嘘だと思いました。

田渕:ははははは。

―田渕さん、当事者として、NUMBER GIRLというバンドが現在進行形のバンドになったことを、ご自身の中でどういう風に捉えていますか。

田渕:「元」が消えたなって思います。よく「田渕ひさ子(元NUMBER GIRL)」って表記されていたわけですけど、その「元」がなくなったなって。

私はいろんなバンドに所属していたので、たとえば自分の名前に注釈がつく時に「(元NUMBER GIRL、bloodthirsty butchers、toddle)」っていうふうになって、長くて申し訳ないなって思ってたんですよ(笑)。それに、今やっているバンドじゃなくて「NUMBER GIRLが好きでした」って言われてイヤだと思ったことも全くないんです。でも……やっぱり「今やってるバンドになったんだな」っていう実感がある。それはやっぱり全然違いますね。

田渕ひさ子

―PEDROの昨年の9月のライブで“透明少女”をやったときは、NUMBER GIRLは「過去の伝説」だったわけですよね。でも、それが現在進行形のものになった。それはどういう実感なんでしょうか。

田渕:不思議なめぐり合わせだと思います。去年の9月にPEDROで“透明少女”をやったときは、またNUMBER GIRLをやるって決まっていたかどうか、微妙な時期で。本当に偶然なんですよね。

しかも今、PEDROとNUMBER GIRLのツアーも併走している。自分の中ではいいバランスでやれている感じがします。PEDROのギターがすごく難しくて、今もツアーに向けて練習しているところですし、そうなるとギタープレイとしてはどっちにもいい効果がある感じがします。

―NUMBER GIRLの再結成を発表してからの反響って、どうでした?

田渕:復活するというアナウンスの後の反応の大きさはすごかったですね。その中には、賛否両論みたいなものもあったんです。熱狂的に好きだと言ってくれている方の中には「再結成してほしくなかった」という人もいて。

それもわかるんですよ。過去のライブの印象が強烈で、そこから何かが少しでも下がっていたら許せないだろうし、それが嫌だっていう気持ちがあるんだろうなと。でもまあ、そういう人こそ観てもらえればと思いますけれど。

アユニ:私も、めちゃくちゃ楽しみです。

左から:アユニ・D、田渕ひさ子

―それこそアユニさんがそうであるように、NUMBER GIRLは、いろんな人の人生を変えて、たくさんの人に影響を与えてきたバンドだと思うんです。それを田渕さんはどう捉えていますか?

田渕:まあ……いろんな人の人生を変えた自覚はないです(笑)。でも当時、そのくらいのエネルギーを持ってメンバー全員やっていたと思うので。今PEDROでやっていても、アユニさんが時を経て作品に触れて、自分のギターが好きだと言ってくれたりする。

10何年前の作品を今聴いて感動してもらえるのは嬉しいし、やってきてよかったって、本当にそういう感覚があります。胃を痛くしながら、身を削ってやっていたバンドがそう言ってもらえるのはミュージシャン冥利に尽きるというか。

―アユニさんは、NUMBER GIRLに出会って、自分の人生はどう変わったと思いますか?

アユニ:単純なことを言うと、私の女の子のファンに、たまに握手会とかで「好きすぎてアユニちゃんになりたい」みたいなことを言う子がいるんです。前はそれが理解できてなかったし、「ライブ映像を見て泣いた」とか言われても、そういう感情がなんだかわからなかったんです。でも、今はその気持ちがわかるようになった。ライブ映像を見て泣くし、「好きすぎて、この人になりたい」っていうのもわかるし。そういうのはあると思います。

アユニ・D

―新しい扉が開いた実感がある。

アユニ:そうですね。なんか、明るくなっちゃったんですよ。

田渕:明るくなっちゃった(笑)。

―そうやって自分が知らなかった自分の扉を開いてくれるのが音楽の素敵な力のひとつですよね。

アユニ:そう思います。今はとにかく、音楽が楽しいので。ライブでも、自然に笑うってことが今まで一切なかったんです。だから無表情な人みたいな印象がまわりにあったと思うんですけど。でも、今は笑いたくなくても自然と笑っちゃう。……やっと、「楽しい」という感覚がわかったのかもしれない。そういう自分になったと思います。だから、何度でも伝えたいですけど、本当に感謝してるんです。

田渕:ふふふふ。……ほんと、ギター弾いてきてよかったなあ(笑)。

左から:田渕ひさ子、アユニ・D
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リリース情報

PEDRO『THUMB SUCKER』
PEDRO
『THUMB SUCKER』初回限定版BOX仕様(2CD+Blu-ray+photobook)

2019年8月28日(水)発売
価格:10,800円(税込)
UPCH-29339

DISC1
1. 猫背矯正中
2. Dickins
3. STUPID HERO
4. NIGHT NIGHT
5. SKYFISH GIRL
6. EDGE OF NINETEEN
7. ボケナス青春
8. おちこぼれブルース
9. NOSTALGIC NOSTRADAMUS
10. ironic baby
11. 玄関物語
12. アナタワールド
13. ラブというソング

DISC2『super zoozoosea』
1. ゴミ屑ロンリネス
2. GALILEO
3. 自律神経出張中
4. 甘くないトーキョー
5. MAD DANCE
6. ハッピーに生きてくれ
7. うた
※『zoozoosea』を現在の編成で再録

Blu-ray
2018.09.25 新代田FEVER
「PEDRO first live “happy jamjam psyco”」

「Document of THUMB SUCKER」
2019年春のアルバム制作開始から、7月17日に行われたツアー初日までの舞台裏に完全密着。膨大な映像を1時間に収めた作品。

PEDRO『THUMB SUCKER』
PEDRO
『THUMB SUCKER』映像付通常盤(CD+DVD)

2019年8月28日(水)発売
価格:6,458円(税込)
UPCH-20526

1. 猫背矯正中
2. Dickins
3. STUPID HERO
4. NIGHT NIGHT
5. SKYFISH GIRL
6. EDGE OF NINETEEN
7. ボケナス青春
8. おちこぼれブルース
9. NOSTALGIC NOSTRADAMUS
10. ironic baby
11. 玄関物語
12. アナタワールド
13. ラブというソング

DVD
2018.09.25 新代田FEVER
「PEDRO first live “happy jamjam psyco”」

PEDRO『THUMB SUCKER』
PEDRO
『THUMB SUCKER』通常盤(CD)

2019年8月28日(水)発売
価格:3,240円(税込)
UPCH-20527

1. 猫背矯正中
2. Dickins
3. STUPID HERO
4. NIGHT NIGHT
5. SKYFISH GIRL
6. EDGE OF NINETEEN
7. ボケナス青春
8. おちこぼれブルース
9. NOSTALGIC NOSTRADAMUS
10. ironic baby
11. 玄関物語
12. アナタワールド
13. ラブというソング

イベント情報

『DOG IN CLASSROOM TOUR』FINAL

2019年8月29日(木)
会場:東京都 TSUTAYA O-EAST

プロフィール

PEDRO(ぺどろ)

BiSHのメンバーであるアユニ・Dによるバンドプロジェクト。アユニ・Dがベースボーカルを執り、全楽曲の作詞から一部作曲までを行う。ライブは、ギターに田渕ひさ子(NUMBER GIRL、toddle)、ドラムに毛利匠太をサポートメンバーに迎えたスリーピース形態で展開する。2018年に『zoozoosea』でデビューし、2019年8月28日に1stフルアルバム『THUMB SUCKER』をリリース。

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