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SEVENTEEN AGAiNが歌う、優しさのための「不関与」

SEVENTEEN AGAiNが歌う、優しさのための「不関与」

SEVENTEEN AGAiN『ルックアウト』
インタビュー・テキスト・編集
矢島大地(CINRA.NET編集部)
撮影:永峰拓也

小学校2年生の時に先生がクラス全体に対して出した掛け算の問題で、「みんな」の仕組みがわかってしまった。

―いろんなサウンドを取り込んでいくことでむしろ、パンクとは型じゃなく精神性なんだと表したいっていうことですよね。では、その「自発的にやること」というアティテュードがヤブさんの琴線に触れたのは、ご自身にどういう背景があるからなんですか。

ヤブソン:……それは考えたことがなかったかもしれない……うーん。

ヤブソン

―どうしてこういうことを訊くかというと、ひとりの人間として自発的に生きていくことを尊重できない世の中に対する気に食わなさも、この音楽と歌にはたくさん入っていると思ったからで。

ヤブソン:はははははは。確かに、気に食わないことはたくさんあると思います。振り返ってみたら……小学校2年生の時に、先生がクラス全体に対して掛け算の問題を出したんです。そしたら、その時クラスで一番勉強ができたAくんが答えたんですね。だけど僕はその回答が違うと思ったから、「〇〇だと思います」と言った。そしたら先生が、「ヤブくんとAくんの答え、正しいと思うほうに手を挙げてください」っていう公開アンケート方式にしちゃったんですよ。今思えば、そんなやり方は間違ってるってはっきりわかるんですけど。

―間違えたほうをギロチン台に上げるやり方ですからね。

ヤブソン:そうなんですよ! それでクラスのほぼ全員が、勉強のできるAくんの回答に手を挙げて。でも結局、俺のほうが正解だったんですよ。そしたら、教室全体が「なんだよ」って白けたんです(笑)。……人は自分で考えて動かないとこうなると思ったし、結局、「みんな」っていうものはこういう仕組みで成り立ってるんだろうなって思ってしまって。

今訊かれて初めて思いましたけど、自分がパンクの「自発的にやること」という思想に惹かれた要因としては、自分で考えていない人への違和感とか、枠によって自分が決定される気持ち悪さが大きかったんでしょうね。

ヤブソン

―その違和感はSEVENTEEN AGAiNが歌い続けていることでもあると思うし、今回の『ルックアウト』ではより明瞭に表現されていることだと思ったんですね。たとえば最も青春性の強いメロディを持った“So Young”で<別のとこへ行け>と歌っているのは、そのまま、SEVENTEEN AGAiNの真ん中だと思ったんですよ。

ヤブソン:ああ……自分の意志でないものに動かされることに対する気持ち悪さは、強烈に持ってきましたね。だから掛け算の件で違和感を覚えた辺りから、俺はひとりで遊ぼうって自分で決めたんです。それが苦でもなかったし、ひとりで黙々とバスケットボールのシュート練習をしてましたし(笑)。そしたらね、通信簿に「ヤブくんは昼休みにひとりだけでバスケットボールの練習をしています」って、暗にイジめられてると思われそうなことを書かれたんですよ。それに対しても、全然違うのになあと思って。だから……<別のとこへ行け>っていうのも、「ひとりで遊ぼう」と自分で決めた頃の俺が最高だと思えるものをSEVENTEEN AGAiNでやりたいと思ってるのかもしれないですね。

―音に関しても、作品ごとにギターの音響が深くなって、自分や人の場所を包む防護シェルターのような音像になっていると思ったんですね。“ピリオド”もまさに、民族音楽的でトラディショナルなメロディを、音の壁で祈りのように聴かせていて。今おっしゃったことで言うと、音楽の中に自分ひとりだけの場所を求めるような感覚もあるんですか。

ヤブソン:音に関しては、割と数学みたいに理屈で作ってきたつもりだったんですけど――とはいえ、歌の内容と音が合致してるものを作りたいとは思ってますから、実際、言われたところはあるんじゃないかなって自分でも思いました。たとえば、僕もみんなで歌うことは好きなんです。だけど一人ひとりが自ずとして歌っている光景が好きなんです。自分自身も含めて「一人ひとりが歌ってほしい」っていう願いみたいな気持ちが、そこに反映されてるのかもしれないですね。

誰も味方ではない場所で、たったひとりを味方にできたら優勝だと思ってるんです。

ヤブソン

ヤブソン:そういえば今思い出しましたけど、昔、マグネットコーティングっていうバンドがメロコア中心のイベントに出ていたことがあって。マグネットコーティングは、その中で圧倒的アウェイだったんですね。だけど死ぬほどカッコよくて、俺は初めて観たのにクラウドサーフしちゃったんです(笑)。でもアウェイのライブだから全然盛り上がってなくて……その中で飛んだら、後ろにいたヤツにめちゃくちゃ蹴られたんですよ!

―よくある「空気を読め」みたいな感じですか。

ヤブソン:そうですね。逆に言うと、誰も味方じゃない場所でたったひとりを味方にできること以上の優勝はないと思ったんですよ。アウェイでも、全然盛り上がらなくても、たったひとりを覆せることができるのか否か、というか。だから、ただ激しい音じゃなくて、自分も含めた一人ひとりの場所を尊重しようとするような……そういう音像になるのかもしれない。

ヤブソン

―そういう意味で、今回の作品は音響の深さにしてもメロディのよさにしても、歌の中にある精神性にしても、SEVENTEEN AGAiNが作ってきた音楽の総決算になるようなものだと感じました。ご自身では、どういう作品になったと感じられてます?

ヤブソン:まさに自分でも、総決算になるものを作れた気がしているんですよ。どういうポイントかって言うと、自分の言いたいことを筋道立てて歌にできたなっていうところが大きくて。僕の場合は曲ができ上がるのが先のことが多いんですけど、歌詞からでき上がる曲は自分にとって特別な曲になることが多くて。このアルバムで言うと、“戦争は終わりにしよう”と“記念日”がそうなんですけど。このふたつは、すごく社会的な感情と、すごく個人的な感情を、1曲の中で表裏一体として書けた曲で。そういうふうに歌詞が書けたこと自体がすごく嬉しい曲なんです。

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リリース情報

SEVENTEEN AGAiN『ルックアウト』
SEVENTEEN AGAiN
『ルックアウト』(CD)

2019年7月10日(水)発売
価格:2,160円(税込)
KKV-074

1. ピリオド
2. サンライズ
3. ルックアウト
4. Don't Know Why
5. So Young
6. Calling Dark
7. 悲しい顔しないでよ
8. 意味はないなんて強がらないで
9. 戦争は終わりにしよう
10. 記念日

イベント情報

『ルックアウト レコ発ツアー』

2019年9月21(土)
会場:宮城県 仙台FLYING SON

2019年9月22日(日)
会場:山形県 酒田hope

2019年9月28日(土)
会場:神奈川県 横浜F.A.D

STARVINGMAN & LINK split CD『ichigo』
SEVENTEEN AGAiN『ルックアウト』
発売記念 合同企画ライブ

2019年10月12日(土)
会場:宮崎県 宮崎ぱーく

2019年10月13日(日)
会場:佐賀県 佐賀大学校内

2019年10月14日(月祝)
会場:福岡県 博多・四次元

2019年10月19日(土)
会場:大阪府 大阪 NOON

2019年10月20日(日)
会場:愛知県 名古屋zion

2019年10月22日(火祝)
会場:東京都 某所 ツアーファイナル

プロフィール

SEVENTEEN AGAiN(せぶんてぃーん あげいん)

2000年代中旬に活動を開始。ヤブソン(Vo,Gt)、ロッキー(Ba)、スズキカズ(Dr)による3ピースパンクバンド。ライブハウスを起点にアンダーグラウンドで広域に亘るネットワークを構築し続ける。投げ銭制の自主企画『リプレイスメンツ』を主催するなど、人それぞれの価値観を問いながらD.I.Y.な活動を展開。ギターポップからインディーロック、オルタナティブロックまでを消化した音楽性を持つ。2019年7月10日に、3rdフルアルバム『ルックアウト』をリリースした。

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