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細美武士が語るthe HIATUSの10年。バンドという絆を育てた道のり

細美武士が語るthe HIATUSの10年。バンドという絆を育てた道のり

the HIATUS『Our Secret Spot』
インタビュー・テキスト・編集
矢島大地(CINRA.NET編集部)
撮影:関信行

「the HIATUSが一番カッコいいと思うのに周りの人にわかってもらえない」って言う子に、「お前みたいなヤツのためにやってんだよ!」って言ったんだよ。それはずっと変わらない気持ちなんだよね。

―綺麗に整えられただけの歌は心の奥には残らないっていうことですよね。今、心に残り続けるようないい歌とは何かを改めて考えるようになったのは、どうしてだと思います?

細美:これは昔から言われることだけど、デモテープが一番カッコいいっていうのが永遠の課題でさ。だって、初めてメロディが生まれた幸福感や初期衝動が全部そこに入ってるわけだから。繰り返しやればやるほど、そこと闘っていかなくちゃいけない。そういう意味で、いい歌を歌うとはどういうことなんだろう? って改めて考えるようにはなった。

細美武士

それに元々、1980年代からロックやメロディックパンクばっかり聴いてるわけじゃないし、今も、トップチャートからインディチャートまで聴いてるつもりなんだよね。研究とかじゃなくて、ただ単に音楽が好きなの。そうやって聴いてると、若い世代がレタッチされたものだけ好きかって言ったら、そんなことはないんだよね。いつもそうだけど、今のメインストリームに対してのカウンターが出てきて、音楽ってそれで転がってきたところがあるじゃん。ただ整えられたものに対する「ふざけんな」っていう音楽もたくさんあるし。その中で俺は、なるべく思い切りのいいところにいたいなと思ったんだよね。

―ロックバンドの定義の話にもなりますけど、そもそも音楽に対してより純粋でありたいし、悔いのない形でやり切りたいということですか。

細美:いわゆる「ロックだね」っていう言葉があんまり好きじゃなくて、俺。テンポが速くてギターが歪んでればロックってわけじゃないし、単にルールを破ることを「ロックだね」って言う人とかもいるけど、なんかね、それと一緒にすんなよっていう気持ちがあるんだよ。

結局ロックっていうのは、どこを向いているかの話だと思ってて。1枚でも多くレコードを売ろう、みたいなところじゃなくて、もっと奥のほう――こいつにだけ届けばいいと本気で思う純粋さ・強度のあるものだと思うんだよ。

かなり前のエピソードだけど、秋田に『OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL』っていう大好きなフェスがあって。そこに出店してた「東北ライブハウス大作戦」のブースに顔を出したの。そしたら地元の高校生の男の子が来て。「僕はthe HIATUSが大好きです。でもクラスのみんなに聴かせても、こんなのロックじゃないとか言われる。周りの人に聴かせてもピンときてくれないけど、でも僕はこれが一番カッコいいと思う」ってわざわざ言ってくれてさ。嬉しくて「俺らは、お前みたいなヤツのためにやってんだよ」って言ったの。その気持ちはずっと変わらないんだよね。

細美武士

―「お前みたいなヤツのためにやってるんだ」というエピソードもありましたが、歌の内容を見ても、細美さんが細美さん自身の内省に対しての救いを歌うものが増えた印象があるんですね。“Hunger”も、ラストに鍵盤と歌だけが広い空間に鳴って深い祈りを感じさせるし、ご自身の人生そのものや失ったものを振り返るようにして歌う歌が多い。そういう意味でも、『Our Secret Spot』の名の通りだと思ったんです。ご自身では、今の歌の種になっているのはどういうものだと思います?

細美:やっぱりガキの頃は、何にせよ白と黒をハッキリさせたかったのね。白と思ったら真っ白だし、黒と思ったら真っ黒。だけど長く生きてると、当然、20代とは違う自分なわけで。そうしてくると、白と黒の間にたくさんの色があって、その間は灰色だけじゃないってこともわかってくるんだよ。

若い頃はビッグテーマだけで歌詞を仕上げることが多かったし、特にELLEGARDENの歌には「この1曲だけで考えてることを書き切れてるじゃん」っていうものが多かったの。それはそれで素晴らしいことなんだけど、逆に言えば、生きれば生きるほど新しいテーマは見つからなくなるのかなと思うこともあったんだよ。だけど実は、もっと深く描けることが白と黒の間にたくさんあって。今俺は46だけど、それなりに長く生きてきた自分のことを振り返ったら、当然、白か黒かではない過去や経験がたくさんあったんだよね。

―20代と違うというのは、ガーッとやるだけではない、もっと心に訴えかけたり染み入ったりする歌をご自身が求めていたということでもありますか。

細美:うーん、答えになってるかわからないけど、昔、アラニス・モリセットが「作詞は自己セラピーだ」って言ってたんだけど、俺もそういう面はあるよ。メロディを生んで自分の歌いたい歌を作るのは、あくまで自分自身がポジティブな視点を持つため。俺は誰かに向けて救いの言葉を書いたことなんてなくてさ、全部自分に対してなんだよね。

だから昔は、たまに「あの曲に救われました」って言う人に会うと驚いたの。「誰かにこう言ってもらえたら俺は乗り越えられる」って思うことを自分で書いた歌が、俺と同じ心の形をした人に同じように受け取られたってことでしょ。それが言ってくれたような「祈り」に聴こえるんだったら、すごく嬉しいね。

5thアルバム『Hands Of Gravity』収録
Page 3
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リリース情報

the HIATUS『Our Secret Spot』
the HIATUS
『Our Secret Spot』(CD)

2019年7月24日(水)発売
価格:2,592円(税込)
UPCH-20519

1. Hunger
2. Servant
3. Regrets
4. Time Is Running Out
5. Chemicals
6. Silence
7. Back On the Ground
8. Firefly / Life in Technicolor
9. Get Into Action
10. Moonlight

イベント情報

『Our Secret Spot Tour 2019』

2019年7月31日(水)
会場:東京都 Zepp Tokyo

2019年8月1日(木)
会場:東京都 Zepp Tokyo

2019年8月6日(火)
会場:福岡県 Zepp Fukuoka

2019年8月8日(木)
会場:広島県 BLUE LIVE 広島

2019年8月21日(水)
会場:宮城県 仙台GIGS

2019年9月3日(火)
会場:愛知県 Zepp Nagoya

2019年9月4日(水)
会場:愛知県 Zepp Nagoya

2019年9月11日(水)
会場:新潟県 新潟LOTS

2019年9月13日(金)
会場:北海道 Zepp Sapporo

2019年9月18日(水)
会場:大阪府 Zepp Osaka Bayside

2019年9月19日(木)
会場:大阪府 Zepp Osaka Bayside

2019年9月24日(火)
会場:香川県 高松festhalle

『the HIATUS 10th Anniversary Show at Tokyo International Forum』

2019年10月1日(火)
会場:東京都 東京国際フォーラム ホールA

プロフィール

the HIATUS
the HIATUS(ざ はいえいたす)

細美武士(Vo,Gt / MONOEYES、ELLEGARDEN、the LOW-ATUS)、ウエノコウジ(Ba / ex-thee michelle gun elephant、Radio Caroline、武藤昭平 with ウエノコウジ)、masasucks(Gt / FULLSCRATCH、RADIOTS、J BAND)、柏倉隆史(Dr / toe)、伊澤一葉(Key)によるロックバンド。2009年に細美武士を中心に活動をスタート。これまでに5枚のアルバムをリリースし、2014年には日本武道館公演を開催した。7月24日に6thアルバム『Our Secret Spot』をリリース。

関連チケット情報

2019年9月3日(火)〜9月4日(水)
the HIATUS
会場:Zepp Nagoya(愛知県)
2019年9月13日(金)
the HIATUS
会場:Zepp Sapporo(北海道)
2019年9月18日(水)〜9月19日(木)
the HIATUS
会場:Zepp Osaka Bayside(大阪府)
2019年9月24日(火)
the HIATUS
会場:高松festhalle(香川県)
2019年10月1日(火)
the HIATUS
会場:東京国際フォーラム ホールA(東京都)

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