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Czecho No Republicと発見、農業と音楽に通ずる時代の課題と工夫

Czecho No Republicと発見、農業と音楽に通ずる時代の課題と工夫

Czecho No Republic『La France』
インタビュー・テキスト・編集
矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
撮影:真名子 取材協力:髙橋フルーツランド、山形国際ホテル

「ミュージシャンと農家の対談取材をやりませんか?」。そんなオファーをもらったときの私は、正直に言うと、「え……はあ……」「その2つの職種が交わって盛り上がる対談テーマなんてあるだろうか……?」という気持ちだった。

CINRA.NETで長年取材し続けているバンド・Czecho No Republicが、『La France』というタイトルのEPを完成させたことを記念して、日本一のラ・フランス産地である山形県へ行き、ラ・フランス農家の方と話をして、ラ・フランスの魅力を伝えよう、という心意気でスタートした本企画。

早朝に渋谷で集合し、CINRA.NETらしい「カルチャー」「クリエイティブ」の話が聞けるのかどうかと不安も抱えながら、Czecho No Republic車に乗ること約5時間。到着した「髙橋フルーツランド」で迎えてくれた農家の髙橋利洋さんは、見覚えのあるロゴデザインで「Saquranbo(さくらんぼ)」と書かれたオリジナルパーカーを着ていて、出会った瞬間から「この方はきっと、ユーモア溢れる方だな」という印象を皆に与えた。

話を始めてみると、Czecho No Republicと髙橋さんのもの作りに対するこだわり、時代的に業界全体が抱えている課題、そしてそれに対する工夫など、両者の情熱とクレバーさが次々と交差していく。「音楽」「果物」とアウトプットは違えど、両者の根っこにある「どう生きていきたいか」という心は、繋がっているように思えた。

偶然リンクした、ラ・フランスの歴史と、Czecho No Republicの歴史

武井(Vo,Ba):たまたま曲に“La France”ってタイトル付けたことが、ラ・フランス畑に来る機会にまで繋がってくるとは……まったく想像してなかったです。面白いなあ。

髙橋フルーツランドに到着した、Czecho No Republic(ちぇこ のー りぱぶりっく)<br>左から:砂川一黄、武井優心、山崎正太郎、タカハシマイ<br>2010年結成。2013年に日本コロムビアよりメジャーデビュー。カラフルでポップでファンタジックなサウンドに、男女のボーカル、多重コーラスが織り成す多幸感溢れる楽曲・ステージは必聴必見。2019年4月3日にEP『Odyssey』を、11月6日にEP『La France』をリリースした。
髙橋フルーツランドに到着した、Czecho No Republic(ちぇこ のー りぱぶりっく)
左から:砂川一黄、武井優心、山崎正太郎、タカハシマイ
2010年結成。2013年に日本コロムビアよりメジャーデビュー。カラフルでポップでファンタジックなサウンドに、男女のボーカル、多重コーラスが織り成す多幸感溢れる楽曲・ステージは必聴必見。2019年4月3日にEP『Odyssey』を、11月6日にEP『La France』をリリースした。
Czecho No Republic“La France”を聴く(Apple Musicはこちら

―なぜ今回、“La France”と題した曲を作ったんですか?

武井:まず曲を書いて、まだ歌詞はほとんどできてない状態のときに、仮タイトルを「ラフランス(仮)」にしてたんです。曲調のかわいらしい感じと、この言葉の相性が、自分のなかでいいなと思って。

―「ラ・フランス」という言葉が浮かんだのは、どうして?

武井:いや、もう、降ってきたとしか言いようがなくて。

髙橋:すごいですね。メジャーな果物ではないのに(笑)。

髙橋利洋(たかはし としひろ)<br>「髙橋フルーツランド」代表取締役専務。1983年、山形県上山市生まれ。山形学院高卒業後、祖父が1983年に興した観光果樹園「髙橋フルーツランド」を継ぐことに。2007年には、奥さんと2人で農園内にてカフェ「HATAKE Café」をオープン。パーカーのロゴに注目。
髙橋利洋(たかはし としひろ)
「髙橋フルーツランド」代表取締役専務。1983年、山形県上山市生まれ。山形学院高卒業後、祖父が1983年に興した観光果樹園「髙橋フルーツランド」を継ぐことに。2007年には、奥さんと2人で農園内にてカフェ「HATAKE Café」をオープン。パーカーのロゴに注目。

武井:そこから、「歌詞に『ラフランス』って入れたら、本タイトルも“ラフランス”にできるな」と思って、特に言いたいことは決めないまま、言葉遊びの感覚で、響きを重視しながら歌詞をハメていったんです。

そうしたら……まあ多分、当時の自分の心境が反映されてはいるんだろうけど……用無しな人、役立たずな人はいないという、「用無し」と「洋梨」が自然とリンクしてきたり。自分としても曲が完成したあとに「あ、こういうメッセージか」ってわかった感じだったんですけど、そのメッセージと、ラ・フランスの歴史が見事にハマっていたり……。

左から:砂川一黄、タカハシマイ、武井優心、山崎正太郎
ラ・フランス畑を案内してもらう
ラ・フランス畑を案内してもらう

―当時の心境というのは、どういうものだったんですか?

武井:みんな、楽しい日もあれば弱い日もあると思うんですけど、弱い日に、自分と周りを比べちゃって「自分って役立たずだなあ」と思うことって、きっと誰しもにあると思うんです。自分の輝きを過小評価しちゃうことってあるし、卑下しがちだったりする。でも実は、そんなことをする必要はまったくなくて。だって、みんなオリジナルの才能を持っているはずだから。用無しの人はいない。……そういう気持ちを抱えながら、イライラしてた時期があったんですよね。

武井優心
武井優心

武井:それで曲ができたあとに、ラ・フランスのことをもっと知ろうと思って調べたら……ラ・フランスは、誕生して100年くらいあまり注目されなかったらしくて。農家の方は美味しいって言ってるけど、市場であまり流行らなかった、と。俺らも来年結成10年で、ブレイクすることなく10年やってきて……。

砂川(Gt):さっそく卑下してんじゃん!(笑)

畑でカエルを見つけて「かわいい、飼いたい」と言っている、砂川一黄
畑でカエルを見つけて「かわいい、飼いたい」と言っている、砂川一黄

武井:(笑)。でもそれがすごく愛らしいエピソードであるし、勇気をもらえるなと思ったんです。変わらずに、ブレずに居続けたから、今100年経って多くの人がラ・フランスを認めている。その歴史が自分のなかでしっくりきて。

髙橋:ラ・フランスって、山形では「みだぐなす」って呼ばれているんですよ。山形弁で「見栄えが悪い、見たくもない梨」って言われるほど、見た目が悪くて、でも美味しいっていう。今でも、ドーンと流行ることはないし、誰にでも愛されるものではなくて。そういう果物なんです。

出始めの頃は「奇跡の果物」って言われていたんですけどね。こんなに美味しい果物があったのか! って。値段も今の10倍くらいしたのかな。でもやっぱり、なかなか食べ頃が難しいし、値段もそんなに安くはない果物なので、まだまだ知られてないんです。ただ、ちゃんと食べ頃に食べると、本当に美味しいんですよ。自分も、唯一毎日食べている果物はラ・フランスくらいです。

ラ・フランスを試食させてもらって「美味しい!」と感動する、タカハシマイ
ラ・フランスを試食させてもらって「美味しい!」と感動する、タカハシマイ
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リリース情報

Czecho No Republic『La France』
Czecho No Republic
『La France』

2019年11月6日(水)発売
価格:1,540円(税込)

1. La France
2. Hi Ho
3. Milky Way
4. Forever Summer

イベント情報

Czecho No Republic
『~洋ナシ畑でつかまえて~脱!用無し能無し意気地なし 目指せ1つ上の男子女子ツアー』

2019年11月23日(土)
会場:大阪府 梅田 Shangri-La

2019年11月24日(日)
会場:愛知県 名古屋 CLUB UPSET

2019年12月1日(日)
会場:東京都 渋谷 STREAM Hall

ウェブサイト情報

髙橋フルーツランド

住所:山形県上山市阿弥陀地1368−3

山形国際ホテル

住所:山形県山形市香澄町3丁目4−5

プロフィール

Czecho No Republic
Czecho No Republic(ちぇこ のー りぱぶりっく)

メンバーは、武井優心(Vo,Ba)、タカハシマイ(Cho,Syn,Per)、砂川一黄(Gt)、山崎正太郎(Dr)。2010年結成。2013年に日本コロムビアよりメジャーデビュー。カラフルでポップでファンタジックなサウンドに、男女のボーカル、多重コーラスが織り成す多幸感溢れる楽曲・ステージは必聴必見。2019年4月3日にEP『Odyssey』を、11月6日にEP『La France』をリリースした。

髙橋利洋(たかはし としひろ)

「髙橋フルーツランド」代表取締役専務。1983年、山形県上山市生まれ。山形学院高卒業後、祖父が1975年に創業した「髙橋フルーツランド」を継ぐことに。2007年には、奥さんと2人で農園内にてカフェ「HATAKE Café」をオープン。

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