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Kvi Babaが語る、生きる覚悟。愛はもらうものではなく手渡すもの

Kvi Babaが語る、生きる覚悟。愛はもらうものではなく手渡すもの

Kvi Baba『Happy Birthday to Me』
インタビュー・テキスト・編集
矢島大地(CINRA.NET編集部)
2020/06/01

ラップをやっているというより、自分なりのヒップホップをやってる。「こんなのヒップホップじゃない」って言う先輩も多いとは思うんですよ。だけど、それは大した問題じゃない。

Kvi Baba

―歌の話で言うと、ラップをやる意識でラップをしてきたのか、歌のひとつの在り方としてラップを捉えてきた方なのか、どう思います?

Kvi Baba:うーん……「ラップやってるぜ」っていう意識ではなかったですね。元々音楽を始めたきっかけがラップだっただけで。でも、自分がやってるのはヒップホップだっていう気持ちはあります。歌とメロディも、自分なりのヒップホップをやってるっていう意識の中にありますね。

―ご自身にとってのヒップホップは、どういうところに宿るものだと思いますか。

Kvi Baba:下を知ってこそ上を目指せるっていう精神性ですね。下の頃の気持ちを絶対に忘れない。問題があっても、環境が不遇でも、なんとかしたくて叫ぶのがヒップホップだと思う。そうやって日常を変えてリアルにしていくのが自分にとって大事で。だから自分はラップミュージックをやっているというより、自分なりのヒップホップをやってる。きっと、サウンド面や歌の面では「こんなのヒップホップじゃない」って言う先輩も多いとは思うんですよ。だけど自分にとっては、それは大した問題じゃないんですよね。

『KVI BABA』(2019年)収録

―むしろその定型や枠を突き破っていくことにこそ、ご自身にとってのヒップホップがある?

Kvi Baba:そうです。メロディに関しては特に心に直結して出てくるもので、以前よりもさらにストレートに出てくるようになったと思うんですよ。リリックもほぼ同時だったんですけど、でも書く前に突っかかることも増えてきた気もしますね。

―それはどうして?

Kvi Baba:さっき話したみたいに、「これがラストソングになっても悔いのないように」っていう気持ちで書くと、これでいいのかなって自分に問いかけるところが出てくるんですよ。迷いというよりも、言葉に対する重みを問うようになるっていうか。ただ、自分の心を表現しようと思い続けてるわけですから、やっぱりスッと出てくるものを一番に信じたいんですけど……そういう意味でリリックの生まれ方は変わってきたかな。だけど、生まれ方も含めて考えると、メロディは一番心に近いから。

―逆に言うと、メロディ自体が言葉を持っていて、メロディが語りたがっていることに耳を傾けていくという感覚もありますか。

Kvi Baba:ああ、そうですね。僕にとってはメロディもリリックの一部なんですよ。カラスがカラスを呼ぶように、オオカミがオオカミを呼ぶように。僕らからしたらただの音でも、そこには彼らしかわからない意味がある。で、僕にとってのメロディもそれと同じだし、<Ah>とか<Oh>も全部リリックとして必然性を持って出てきてるんです。間を埋める合いの手じゃなくて、リリックなんですよ。

―一般的な言葉ではない歌には、ご自身の何が出ているんですか。

Kvi Baba:うーん……感覚的な話ですけど、たとえば“Fight Song”の<Oh!>は何を言ってるのかっていうのが、歌詞の中のどこかに見つかるっていう感じですかね。たとえば赤ちゃんの泣き声で言えば、お母さんはきっと言葉じゃなくても「なぜ泣いてるのか」がわかるじゃないですか。で、<Oh!>のお母さんは僕なので、この<Oh!>は何を言いたいのかっていうのが僕はわかるんです。それもちゃんと歌だし、意味なんですよね。

―当たり前の話かもしれないけど、でもめちゃくちゃ面白い話です。たとえば“Fight Song”に入ってくる<Oh!>に対して、これは歓びの声だなって思わせるメロディでありサウンドになってるわけですよね。それも全部含めて、音楽は言葉を超えた言語になっていくと信じている人なんだなと、改めてよくわかります。もっと言えば、言葉にならない声や気持ちを抱えている人を掬い上げる歌としての説得力も感じる話で。

Kvi Baba:うん、めちゃくちゃ信じてますね。やっぱり、自分が救われた経験値が一番大きいのが音楽なんですよ。僕の歌で誰かが「救われました」って言ってくれる時にも嬉しさはありますけど、でも、何よりも自分が救われた時に音楽の力を感じる。本当に音楽に救われた経験って、音楽をやっている全員が持っているものなのかはわからないんですけど……でも、僕は確実にそうです。自分が音楽に救われた経験をずっと忘れてない。それはお金じゃ買えない大事なものなんですよ。

心は目に見えないし、心を心たらしめる温もりも目に見えない。目に見えるものとか、一見わかりやすいだけのものなんて、たかが知れてるんです。自殺しちゃうお金持ちだっているし、いくら金があっても治せない病気だってある。やっぱり目に見えないものに本当の価値や喜びが宿るんだなって思う。人との繋がりに喜びを感じて生きていけるのかって部分で言っても、結局はお金の繋がりじゃなくて愛であって。愛だって、本質的には目に見えないですよね。家族への愛、仲間への愛、友達への愛。種類は問えないんですけど。

―今のお話で言うと、ご自身が愛を実感するのは、もらう時より渡す時なんですか?

Kvi Baba:うん、渡す時っすね。

―何がそう言わせるんですか。

Kvi Baba:与えられるほうが幸せっていう人もいるとは思うんですけど……渡す愛のほうが幸いなのはなぜかって、ただもらうよりも、自分の中で育んだ愛のほうが、体感できる温度が高いからじゃないですかね。

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リリース情報

Kvi Baba『Happy Birthday to Me』
Kvi Baba
『Happy Birthday to Me』

2020年5月29日(金)配信
価格:1,222円(税込)

1. Fight Song
2. No Clouds
3. By Your Side
4. Talk to Myself
5. Fight Song (Remix) feat. VIGORMAN&NORIKIYO
6. Decide feat. RYKEY

プロフィール

Kvi Baba(くゔぃ ばば)

1999年生まれ。大阪府・茨木出身。2017年よりSoundCloud上で立て続けに楽曲を発表し音楽活動をスタート。トラップ、オルタナティブロックを飲み込んだ音楽性を持つ。2019年2月に1st EP『Natural Born Pain』を、同年3月に2nd EP『19』を立て続けにドロップ。2019年9月25日に1stアルバム『KVI BABA』を発表し、2020年5月29日に『Happy Birthday to Me』をリリースした。

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