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Kvi Babaが語る、生きる覚悟。愛はもらうものではなく手渡すもの

Kvi Babaが語る、生きる覚悟。愛はもらうものではなく手渡すもの

Kvi Baba『Happy Birthday to Me』
インタビュー・テキスト・編集
矢島大地(CINRA.NET編集部)
2020/06/01

この先もきっと、過去を恨んで死にたくなることはある。だけど、あの時があったから今の自分はここにいるんです。今を愛せるかどうかで、自分にとってのリアルは変えていけるんですよね。

―自分が育んだ愛のほうが体感温度が高いって、いい言葉ですね。

Kvi Baba:誰かからプレゼントをもらった時にもジワっと温かくなるけど、まず自分で愛を育むことを知らないと、人からもらう愛も愛だとわからないから。まずは自分から愛さないと、人との関係も始まっていかないんですよ。これは僕も半年前には気づけなかったことだけど、生きているっていうことをまず自分が愛さないと、何も始まらないんですよね。

やっぱり、僕は一度全部ゼロになってしまったから。なぜか周囲の人から無視されるようになってしまったり、裏切るヤツが出てきたり、それで体を壊してしまったり。すべてがそこで止まったんですよ。だからこそ、愛は増えるものじゃなくて自分から生み出さないといけないものなんだって気づけたんですよ。

Kvi Baba

―おっしゃったことはまさしく<許せない人にも言うよ ありがとう>っていうラインにも出てますね。

Kvi Baba:今は特に、愛してほしい、寂しいっていうのが共通言語になってるとは思うんですよ。だけどまず愛を育んで人に渡すことの喜びを感じないと、「愛が大事だ」って口で言いながらも愛が何かもわからないだけになっていく。誰かが愛してくれないから自分は人を愛せない、誰かに何かをされたから人を愛せないって言うだけで終わるから、寂しさや不安が裏返って人を踏み台にしたり攻撃しちゃったりする。でもそうじゃなくて、愛されないなら、まず自分が人を愛せる人になればいいんですよ。

―Kvi Babaさん自身も、心の傷になった経験が昔あったわけじゃないですか。愛してるものがぶっ壊れるところを見てきた。今は、それも赦せたんですか。

Kvi Baba:赦せた………どうだろうなあ。まあ、そのきっかけになった張本人に対して今も「ぶっ殺してえな」って思うこともありますよ。それ以上に、あの時俺は無力だったなって自分を恨むこともある。だけど、それを心の中でそっとしておく強さは身につけたんじゃないですかね。たぶん、本質的には赦せてない。だから<許せぬ人にも言うよ ありがとう>なんです。この先も過去を恨んで死にたくなることもきっとある。だけど、あの時があったから今の自分はここにいるんです。今を愛せるかどうかで、自分にとってのリアルはいくらでも変えていけるんですよね。

―わかります。

Kvi Baba:愛って、貴族みたいな人だけ手に入れられるものじゃないんですよ。日常の至るところにあるもので、実は自分たちが一番多く触れているものが愛だと思うから。死んでしまいそうな時、全部が嫌になる時にはそこに立ち返るべきなんじゃないかなって。そういうメッセージですね。

―共感合戦みたいな世の中の構造からしても、ネガティブなものをネガティブに吐き出して、そこから前向きなものを生んでいくっていう物語化のほうが「わかりやすい」とされると思うんですよ。だけどネガによる共感云々だったり「自分はダメだ」って言ったりするよりも先に、じゃあどう生きてくんだよ? って自分に問いかける強さが今作の輝きだと思うし、それはまさに“Talk to Myself”に表現されていることだなと思うし。

Kvi Baba“Talk to Myself”を聴く(Apple Musicはこちら

Kvi Baba:命について考えることが多くなったから、目線が広がった感がありますよね。“Life is short”にも<同じ時間を愛す 同じ時空を愛す>っていうラインがありましたけど、その感覚がさらに強まったというか。同じ時間に生きていることで人と人を比べ合うことは必要なくて、今をどう愛するかだけでいいよなって。そう思うんですよ。

―<誰の道 僕の意味 生きる訳を見つけた / 下向いた君が笑うとこを僕は見てみたいんだ>っていうところまで歌い切るようになったのが素晴らしくて。自分のライフストーリーに対するファイトソングでもあり、それが結果的に人へのファイトソングになっていくっていう。

Kvi Baba:今作はやっぱり、“Talk to Myself”が大きい基盤になってる感じがありますよね。人と同じ時間軸を生きている感覚が生まれたからこそ、自分への歌なんだけど人への歌でもあるって思えて。愛や気持ちって、どうしても人に手渡すものだと思いがちですけど、鏡を見れば、最初に手渡せる相手はそこにいるんですよ。自分に対してぶん投げていけばきっと、今を同じように生きている人にも届く。自分を大切にできる人はきっと、人のことも大事にできる。そう信じてるんですよ。

Kvi Baba

―最初の作品からアートワークに描かれている物語の主人公――つまりKvi Babaさんは、どんなストーリーを辿っている最中だと思えます?

Kvi Baba:1st EPで傷を負って、1stアルバムでも傷を負って。だけどその傷を歌にすることで癒されていくものがあると知って。その上で今回のEPで、本当の意味で傷を生かせた感じですかね。アートワークの主人公が、泣いてるんだけど強く立ってるというか。強くなっていくと同時に、弱さに対して優しくなっていく。そこからどうしていくかっていう勝負が始まった気がします。

Kvi Baba『Happy Birthday to Me』ジャケット写真
Kvi Baba『Happy Birthday to Me』ジャケット写真(各配信サービスで聴く
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リリース情報

Kvi Baba『Happy Birthday to Me』
Kvi Baba
『Happy Birthday to Me』

2020年5月29日(金)配信
価格:1,222円(税込)

1. Fight Song
2. No Clouds
3. By Your Side
4. Talk to Myself
5. Fight Song (Remix) feat. VIGORMAN&NORIKIYO
6. Decide feat. RYKEY

プロフィール

Kvi Baba(くゔぃ ばば)

1999年生まれ。大阪府・茨木出身。2017年よりSoundCloud上で立て続けに楽曲を発表し音楽活動をスタート。トラップ、オルタナティブロックを飲み込んだ音楽性を持つ。2019年2月に1st EP『Natural Born Pain』を、同年3月に2nd EP『19』を立て続けにドロップ。2019年9月25日に1stアルバム『KVI BABA』を発表し、2020年5月29日に『Happy Birthday to Me』をリリースした。

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