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SUPER BEAVERが表す、人生のすべてをハイライトにする生き方

SUPER BEAVERが表す、人生のすべてをハイライトにする生き方

SUPER BEAVER『ハイライト / ひとりで生きていたならば』
インタビュー・テキスト・編集
矢島大地(CINRA.NET編集部)
2020/06/13

SUPER BEAVERを語る際に切っても切れないのが、このバンドが「圧倒的な負け」から始まったという事実である。鳴り物入りのメジャーデビューを果たしたものの、結果が伴わない日々の中で心の原風景を失い、当時の彼らは疲弊し切ってしまった。だからこそ彼らは、もう一度自分たちの手と足と心で人と繋がりたいという願いだけを灯台にして、インディーズでの活動を選択した。それが2011年のことだ。

そんな過去を持つからこそ、SUPER BEAVERは「人との出会い」の一つひとつに意味と歓びを見出していったし、徹底的に人を大事にして、人と人がともに笑い合うにはどうしたらいいのかを探求して、歌にしてきた。初めて柳沢亮太と会って話した時のことは今も忘れられないが、2012年に直接連絡を取って「取材をしたい」と切り出した僕に対して、彼は「そう言ったって、メディアの人間は都合よく褒めて都合よく裏切るじゃないか。本当に信じていいのか」と言ったのである。これは牽制でも攻撃でもなんでもなく、ただ純粋に信用し合える人間を求め続ける「切実」の表れなんだと思った。

とにかく、人への誠実さを求めてきたバンドである。言うまでもなく、何もないところから始まったからこそ、人との出会いがエンジンになってきたバンドだからだ。僕らはひとつだなんて頭ごなしに歌わず、一人ひとりがバラバラであるからこそ、重なり合った瞬間にロマンを見られるんだと伝える。わかり合うことが難しくても、それぞれの日々と感情を尊重することはできるんだと血眼で訴える。悔しさや怒りよりも、その大元にある大事なもの・好きなものに目を向けることで、マイナスの感情を希望に転化していけるのだと大きな声を打ち上げる。トレンドには目もくれず、「自分たちを形成した音楽」にも一切嘘をつかず、ギターロックやJ-POPやパンクロックやフォークをごった煮にしてぶっ放す。綺麗事をただの綺麗事にせず、本気の理想として貫いてきた血眼の信念がSUPER BEAVERをSUPER BEAVERたらしめてきたのである。彼らが闊歩するのは、音楽の王道以上に人間の王道なんだと思う。

SUPER BEAVERがメジャーレーベルーーしかも約10年前に所属していたレーベルとの再契約を発表したことは、上記した道のりをそのまま体現したこととイコールだ。「メジャーに行くこと」が重要なのではなく、過去の悔しさを自分たちの強さに変えてきたからこそ、過去を超えていけるのだと。悲しみも、未来の歩き方によって希望に変えていけるのだと。そのことを文字通り生き様として表す姿が輝いていることに心が昂ぶるのである。活動規模にしろ音楽のスケールにしろ、もはや「負けから始まったこと」を語る必要もないところまで駆け上がってきたバンドだが、しかしすべてがドラマティックな線になった今だからこそ、SUPER BEAVERの歩みを語り尽くそうと思った。 さあビーバー、いよいよ行く時だ。行け、行け。

「メジャー再契約」っていうトピックは、メジャーに行くことが大事なんじゃない。過去を超えられるところまできたビーバーのことを歓んでくれる人がいっぱいいて、そこにロマンがあることが嬉しいんだよね。(柳沢)

―『ハイライト / ひとりで生きていたならば』というシングルが出ます。約10年越しでのメジャー再契約、当時と同じレコード会社への復帰というドラマ、そして何より、バンドのど真ん中をドンと表現した楽曲の熱量。いろいろ含めて、この作品論だけで語れる作品じゃないと感じて。SUPER BEAVER(以下、ビーバー)とはどんなバンドなのかをそのまま語り合いたいと思わされました。

渋谷龍太(Vo):ははははは。そうだよね。でも決して何かを狙ったわけじゃなく、今の自分たちを素直に表現した結果として、バンドの新しい分岐点に相応しい作品になったというか。まあ、厳密に言えば分岐点ではあっても新しいことは何もないんだけどね。バンドのスタンスが変わるわけでもないし、今まで繋がってきた人たちとも一緒にやっていくわけだから。

―今おっしゃった通り、今回の曲も決して新しい一面を見せるものではなくて、非常にストレートな疾走感とドラマティックなバラードをドンと置いていくものになっていて。自分たちでは、どんな作品ができたと感じられてますか。

上杉研太(Ba):新しいことをしてないっていうのは、まさにそうだね。でも、その都度最新の自分たちを保存し直してる感覚はあって。何かがレベルアップしていて、何かが深みを増してる。確実に最新の自分たちが表現できてるって思えるかな。

―逆に伺うと、何によってビーバーの音楽は更新されていってると思いますか。

柳沢亮太(Gt):うーん……なんだろうね。2019年はライブを中心にしてたんだけど、その裏側ではずっと制作をしていて。ゴールを設けずに自然なリズムで曲を作ってたんだけど、その中ではリズムが主役の曲もあったし、メロウな曲もあって。だから、今回の作品で言えば決して新しいことをしていないんだけど、バンド全体の音楽面で言えば、間口や選択肢が広がった上で、ストレートなものをピックアップしたっていう感じかな。その基準にはもちろん、メジャー再契約っていうタイミングもあったとは思うんだけど。

2020年1月に行われた、代々木第一体育館でのライブより(撮影:青木カズロー)<br>SUPER BEAVER(すーぱー びーばー)<br>2005年4月、東京都で結成されたロックバンド。2009年6月に、シングル『深呼吸』でメジャーデビュー。2011年よりインディーズでの活動をスタートし、自主レーベル「I×L×P× RECORDS」を立ち上げたのち、shibuya eggman内に発足した[NOiD]に所属。2018年には初の日本武道館公演を開催し、チケットは発売日に即日ソールドアウトを記録。2020年1月には代々木第一体育館でワンマンライブを2days開催し、両日完売。『未来の始めかた』『361°』『愛する』『27』『歓声前夜』などの作品を経て、2020年6月に古巣・Sony Musicより『ハイライト / ひとりで生きていたならば』をリリースする。
2020年1月に行われた、代々木第一体育館でのライブより(撮影:青木カズロー)
SUPER BEAVER(すーぱー びーばー)
2005年4月、東京都で結成されたロックバンド。2009年6月に、シングル『深呼吸』でメジャーデビュー。2011年よりインディーズでの活動をスタートし、自主レーベル「I×L×P× RECORDS」を立ち上げたのち、shibuya eggman内に発足した[NOiD]に所属。2018年には初の日本武道館公演を開催し、チケットは発売日に即日ソールドアウトを記録。2020年1月には代々木第一体育館でワンマンライブを2days開催し、両日完売。『未来の始めかた』『361°』『愛する』『27』『歓声前夜』などの作品を経て、2020年6月に古巣・Sony Musicより『ハイライト / ひとりで生きていたならば』をリリースする。

―2017年の『真ん中のこと』から『歓声前夜』、そして『予感』までのタームはリズムが主役の曲が多くて、より大きな規模でのライブを意識したリズムバリエーションを会得していった時期でしたよね。その上で、特に“ハイライト”では本来のストロングポイントを研ぎ澄ませることができたというのもありますか。

上杉:確かに。バリエーションを増やす時期を経たからこそ出せたストレートパンチな気はする。もっと歌が届くようにリズムを変えてみようとか、ライブの景色をこうしたいからアレンジを変えようとか……そうやって試行錯誤してきたのも、元々ストレートしか打てないバンドだっていう自覚があったからなんだけど。で、当時は意識的にやらないといけなかった技術的な部分が、今ようやく自然と出るようになってきたんだよね。だから、あくまでシンプルな楽曲なんだけど、以前よりもレベルアップしてるんだと思う。

SUPER BEAVER『歓声前夜』(2018年)を聴く(Apple Musicはこちら

―血肉にできた技術やアンサンブルを自然体で表現できてると。

藤原“32才”広明(Dr):具体的に言えば、以前ならクリックに対してオンであろうとしていたところがフリーフォームになってきて。意識して聴いてみると、実はサオ隊(ギターとベース)がちょこっと合ってないところとか、ドラムが微妙にズレてるところもあるの。どういうことかって、少しのズレがあったとしても、それをグルーヴにできるようになったっていうことで。これは、去年あたりから、ぶーやんの歌のリズムがすごく明確になってきたのが大きいと思うんですよ。

藤原“31才”広明(当時)(撮影:日吉“JP”純平)
藤原“31才”広明(当時)(撮影:日吉“JP”純平)

―元々、歌詞カードを見ないでも言葉が明確に入ってくるのがビーバーの歌の美点でしたけど、歌唱自体が一層丁寧になってきたから、歌に対するバンドが自在になれたっていう話?

藤原:そうそう。去年はプリプロをたくさんやったり、ライブの規模が広がったりして、ぶーやん個人の歌うことに対する努力がこれまで以上にあったからだと思うんだけど。

―去年は特にホールやアリーナでのライブが増えたり、フェスでもメインステージが主戦場になったりしたからこそ、歌を研ぎ澄ませる必要があったということ?

渋谷:そうだね。広い会場でやることも増えたからこそ、そこは意識的だったと思う。

撮影:青木カズロー
撮影:青木カズロー

バンドでもなんでもそうだけど、個々が好きなことをやれて、お互いに尊重できて心から楽しめていたら、それが本当の「まとまり」になると思うんだよ。(上杉)

藤原:やっぱり歌に対しての「正しいリズム」って、クリックに対してオンであることとは全然違うんだよね。この言葉・この歌に対しては走ったほうがいいのか、溜めたほうがいいのか……言葉とメッセージが第一であるバンドだからこそ、歌に対してリズムのアプローチを変えていくことへの意識はどんどん上がってると思う。

上杉:歌と言葉が軸だっていう意識があるバンドだからこそ、歌が明確になると、それぞれが自由になれるよね。その開放感みたいな部分はサウンドに出てると思う。バンドでもなんでもそうだと思うけど、個々が好きなことをやれてお互いに尊重できて心から楽しめていたら、それが本当の「まとまり」になると思うんだよ。だって、個人が心から好きに生きられたら、わざわざ人にとやかく言うこともなくなると思うから。

―まさに、ビーバーが歌ってきたこととも繋がりますよね。あくまで尊重し合うために、個々が本音の生き方をしたほうがいいっていう。

上杉:そこは通じてるよね、メッセージも考え方も。そういう意味では、今回の作品のストレートさっていうのは、その真ん中を改めて示したと言えるのかもしれないけど。

上杉研太(撮影:日吉“JP”純平)
上杉研太(撮影:日吉“JP”純平)

―そうですよね。10年前にドロップアウトしたレーベルに戻ることは、「メジャーに行くこと」が大事なんじゃなく、悔しい思いをした過去を歓びに変えに行くための選択であり、ロマンだと思ったんです。そのあたりの心持ちとしてはどういうものがありましたか。

柳沢:ああ、そう言われたらまさにだと思う。「メジャー再契約」っていうトピックは、メジャーに行くことが大事なんじゃなくて、ビーバーの歩みとしてのロマンがそこにあったからで。メジャーに行きますってことも、本来はただCDをリリースする場所が変わるだけの話で、ビーバーの曲を聴いているだけの人からしたら、そこまで大差ない出来事だと思うの。それでも、自分のことのように歓んでくれる人がいっぱいいて。で、そのことが俺たちは嬉しいんだよね。

4月8日に公開されたインタビュー映像にて、Sony Musicとの再契約が発表された

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リリース情報

SUPER BEAVER『ハイライト / ひとりで生きていたならば』初回生産限定盤
SUPER BEAVER
『ハイライト / ひとりで生きていたならば』初回生産限定盤(2CD)

2020年6月10日(水)発売
価格:1,900円(税込)
SRCL-11496-7

[Disc1]
1. ハイライト
2. ひとりで生きていたならば(映画『水上のフライト』主題歌)
3. まわる、まわる(P&G「ジレットスキンガード」WEBムービーテーマソング)

[Disc2]
1. 東京流星群 (17.04.30 日比谷野外大音楽堂 単独公演)
2. シアワセ (18.04.30 日本武道館 単独公演)
3. 正攻法 (19.12.30 COUNTDOWN JAPAN 19/20 EARTH STAGE)
4. 予感 (20.01.12 国立代々木競技場 第一体育館 単独公演)
5. 秘密 (20.01.12 国立代々木競技場 第一体育館 単独公演)

SUPER BEAVER『ハイライト / ひとりで生きていたならば』通常盤
SUPER BEAVER
『ハイライト / ひとりで生きていたならば』通常盤(CD)

2020年6月10日(水)発売
価格:1,300円(税込)
SRCL-11498

1. ハイライト
2. ひとりで生きていたならば(映画『水上のフライト』主題歌)
3. まわる、まわる(P&G「ジレットスキンガード」WEBムービーテーマソング)

プロフィール

SUPER BEAVER
SUPER BEAVER(すーぱー びーばー)

2005年4月、東京都で結成されたロックバンド。2009年6月に、シングル『深呼吸』でメジャーデビュー。2011年よりインディーズでの活動をスタートし、自主レーベル「I×L×P× RECORDS」を立ち上げたのち、shibuya eggman内に発足した[NOiD]に所属。2018年には初の日本武道館公演を開催し、チケットは発売日に即日ソールドアウトを記録。2020年1月には代々木第一体育館でワンマンライブを2days開催し、両日完売。『未来の始めかた』『361°』『愛する』『27』『歓声前夜』などの作品を経て、2020年6月に古巣・Sony Musicより『ハイライト / ひとりで生きていたならば』をリリースする。

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