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BLUE ENCOUNT×住野よる 今の自分が痛い過去の意味を変える

BLUE ENCOUNT×住野よる 今の自分が痛い過去の意味を変える

BLUE ENCOUNT『ユメミグサ』
インタビュー・テキスト
矢島大地
撮影:新保勇樹 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)

BLUE ENCOUNTが9月2日にリリースする『ユメミグサ』。温かい質感でもって鳴り響くストリングスを土台にしつつ、何よりもバンドサウンドが壮大な情景を浮かび上がらせる、BLUE ENCOUNTの真骨頂と同時に新たなトライが随所に感じられる楽曲である。この曲は住野よる原作の映画『青くて痛くて脆い』の主題歌となっているのだが、常に新しい曲と新しいBLUE ENCOUNTを見せることに美学のあった田邊としては珍しく、7年前から存在していた曲に新たなアレンジと新たな歌詞を纏わせることでリボーンさせたという(7年前の2013年と言えば、ちょうどBLUE ENCOUNTがインディーズでの活動を軌道に乗せ始めた頃だ)。『SICK(S)』でブルエン節の王道を掴んだことにより、プロデューサーを迎えて曲ごとに音楽的な脱皮を果たしてきた今ターム。その歩みがあったからこそ、あの頃と今を丸ごと結晶化できたのが“ユメミグサ”だと言える。

また、この楽曲を呼び覚ました要因には、『青くて痛くて脆い』の中に描かれる、独りよがりな正義と自己証明の狭間を行き来する「痛い」青春模様が寄与している。長らく自分の黒歴史の象徴として高校時代を振り返り、暗黒の青春時代から逃げるようにして様々なジャンルを食い散らかしては自分の居場所を探して音楽を旅してきた田邊だが、改めて過去と今をひとつの線にする機会が『青くて痛くて脆い』の中にあったのだろう。

そんな、ブルエンにとっての重要楽曲である“ユメミグサ”と、その楽曲を呼び覚ました大きな要因である『青くて痛くて脆い』の共鳴点を探るために行ったのが、下記の対談である。以前からブルエンのライブに通い詰めるほどのファンでもあった住野よるを招き、存分に語り合った。

無観客ライブで目の前に人がいない時には、曲とバンドを信じるしかない。(田邊)

住野:(レコーダーを回すなり)……最近ブルエンの配信ライブを見たんですけど、すっごいライブハウスに行きたくなりました(笑)。

田邊(Vo,Gt):見ていただけて嬉しいです。配信ライブをやり始めた当初は、BLUE ENCOUNTがこれまでやってきたライブのスタイルから考えても、疑問があったんですよ。「本当にこれでいいのかな?」って。

BLUE ENCOUNT(ぶるー えんかうんと)<br>左から:田邊駿一、江口雄也<br>田邊駿一(Vo,Gt)、辻村勇太(Ba)、高村佳秀(Dr)、江口雄也(Gt)よる4ピースロックバンド。2004年に活動開始。2014年9月にEP『TIMELESS ROOKIE』でメジャーデビュー。2015年7月に1stフルアルバム『≒』(ニアリーイコール)をリリースし、2016年10月には日本武道館公演を開催。2017年1月には2ndフルアルバム『THE END』を、2018年3月に3rdフルアルバム『VECTOR』をリリース。最新シングルは、2020年9月2日リリースの『ユメミグサ』。2021年の4月18日には初の横浜アリーナ公演も決定している。
BLUE ENCOUNT(ぶるー えんかうんと)
左から:田邊駿一、江口雄也
田邊駿一(Vo,Gt)、辻村勇太(Ba)、高村佳秀(Dr)、江口雄也(Gt)よる4ピースロックバンド。2004年に活動開始。2014年9月にEP『TIMELESS ROOKIE』でメジャーデビュー。2015年7月に1stフルアルバム『≒』(ニアリーイコール)をリリースし、2016年10月には日本武道館公演を開催。2017年1月には2ndフルアルバム『THE END』を、2018年3月に3rdフルアルバム『VECTOR』をリリース。最新シングルは、2020年9月2日リリースの『ユメミグサ』。2021年の4月18日には初の横浜アリーナ公演も決定している。

―お客さんとともに歩んでいく、っていう思想が強いバンドだからこそ、生で交感することを大事にしてきましたもんね。

田邊:そうそう。コロナ禍でお客さんを入れることが難しいのもわかってるし、できることをやるしかないのも理解してる。でも、配信ライブが市民権を得ることになったら、「直接見に行かなくてもいいじゃん」っていう空気になっちゃうのが怖かったんです。だけど実際に配信ライブを4回やってみて、住野先生がおっしゃったように「むしろ早くライブハウスに行きたくなりました」っていう声をいただくことが増えて。自分達自身も、普通のライブとは別物ではあるけど、ちゃんと届くんだなって感じられるようになってきたのも事実なんですよ。

田邊駿一

―それはどういうポイントですか。

田邊:目の前にお客さんがいないからこそ、自分たちの作ってきた曲がどんなふうに聴かれるのか、どんな力を持っているのかを客観的に見る機会にはなったっていう部分ですかね。だって、目の前に人がいないっていうことは、曲とバンドを信じるしかないので。自分たちの曲がどう届いているのかっていうのは見えないけど、曲の力はちゃんと見えるっていうか。

―そういう意味で、ブルエンのライブに何度も足を運ばれて交流を深めてきたという住野さんにとっては、改めてブルエンのどんなところが刺さると感じられましたか。

住野:うーん……配信ライブを見て感じたのは、いろんな人の顔が見えるっていうところですかね。最初は、無観客の配信ライブであの熱量を感じられるのかなと思って見てたのも事実なんですよ。でも実際に見てみたら、単純な言い方だけど、楽曲ってすごいなと感じて。当然のことではあるんですけど、ライブの前に楽曲があって、楽曲の力が僕たちに刺さってきたんだよなって。無観客でも、この曲のここでクラウドサーフをしている人がいるんだよな、とか。この曲のこの部分で号泣している人がいるよなあ、とか。見えてくるんですよ。これまでのライブで各楽曲が作ってきた光景も、ブルエンの魅力になってるんだなっていうことを感じて。

『青くて痛くて脆い』 ©2020「青くて痛くて脆い」製作委員会<br>住野よる(すみの よる)<br>高校時代より執筆活動を開始。小説投稿サイト「小説家になろう」にアップした『君の膵臓がたべたい』(初出時は『君の膵臓を食べたい』)が編集者の目にとまり、2015年6月に同作で作家デビュー。著書に『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』『か「」く「」し「」ご「」と「』『青くて痛くて脆い』『麦本三歩の好きなもの』がある。
『青くて痛くて脆い』 ©2020「青くて痛くて脆い」製作委員会
住野よる(すみの よる)
高校時代より執筆活動を開始。小説投稿サイト「小説家になろう」にアップした『君の膵臓がたべたい』(初出時は『君の膵臓を食べたい』)が編集者の目にとまり、2015年6月に同作で作家デビュー。著書に『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』『か「」く「」し「」ご「」と「』『青くて痛くて脆い』『麦本三歩の好きなもの』がある。

江口(Gt):言われて一番嬉しいことかも。もちろんライブバンドっていう意識は常に持ってますけど、当然ながら僕たちは音楽をやっているので。ものすごく励みになる言葉ですね。それに、最初は僕が住野さんの作品のファンだったことが始まりですし、『青くて痛くて脆い』の主題歌として“ユメミグサ”をリリースできるのも、本当に嬉しいんですよ。

―そこでブルエンと住野さんの関係を紐解くと、『青くて痛くて脆い』の原作が発刊された2018年に、その原作の主題歌として“もっと光を”が書店などで流れたと。「小説に主題歌」という新鮮な手法が今回の“ユメミグサ”の紀元前に当たると思うんですが、もともとどんな交流があって、今の関係性になっていったのかを教えてもらえますか。

江口:もともと、僕が先生をTwitterでフォローしていたんです。そしたら先生がリフォローしてくれたことをきっかけに、僕が作品の感想を送ったり、逆に僕らの作品に感想をくれたりっていうことが始まったんですね。そしたら、先生のほうから「“もっと光を”を『青くて痛くて脆い』の主題歌にさせてもらえませんか」と言っていただいたんですよ。“もっと光を”は2015年の曲ですけど、とにかくガムシャラにやるしかなかった頃の曲というのもあって、『青くて痛くて脆い』の中の、キラキラしている感じとは違う青春感にフィットしたのかもしれないんですけど。

江口雄也

住野:まさに、『青くて痛くて脆い』に込めた、ひたむきな一直線のパワーと同じものをBLUE ENCOUNTに感じてたんですよ。ブルエンの音楽が持っている一心不乱なパワーを貸していただけたらいいなと思って、“もっと光を”を主題歌にしたいというお願いをしましたね。なので、今回映画化する際にもBLUE ENCOUNTとご一緒したいという気持ちがあったんです。

BLUE ENCOUNT『もっと光を』MV
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リリース情報

BLUE ENCOUNT
『ユメミグサ』初回生産限定盤(CD+DVD)

2020年9月2日(水)発売
価格:1,950円(税込)
KSCL-3255~3256

[CD]
1. ユメミグサ
2. 1%

[DVD]
2019月11月21日にZepp Tokyoにて行われた<BLUE ENCOUNT TOUR2019「B.E. with YOU>のライブパフォーマンスとツアードキュメンタリーを収録
1. #YOLO
2. HALO
3. 声
4. ポラリス
5. HANDS
6. Making of TOUR2019「B.E. with YOU」

BLUE ENCOUNT
『ユメミグサ』通常盤(CD)

2020年9月2日(水)発売
価格:1,250円(税込)
KSCL-3257

作品情報

『青くて痛くて脆い』
『青くて痛くて脆い』

全国東宝系にて公開中

監督:狩山俊輔
脚本:杉原憲明
原作:住野よる『青くて痛くて脆い』(角川文庫 / KADOKAWA刊)
主題歌:BLUE ENCOUNT“ユメミグサ”
出演:
吉沢亮
杉咲花
岡山天音
松本穂香
清水尋也
森七菜
茅島みずき
光石研
柄本佑
配給:東宝

プロフィール

BLUE ENCOUNT(ぶるー えんかうんと)

田邊駿一(Vo,Gt)、辻村勇太(Ba)、高村佳秀(Dr)、江口雄也(Gt)よる4ピースロックバンド。2004年に活動開始。2014年9月にEP『TIMELESS ROOKIE』でメジャーデビュー。2015年7月に1stフルアルバム『≒』(ニアリーイコール)をリリースし、2016年10月には日本武道館公演を開催。2017年1月には2ndフルアルバム『THE END』を、2018年3月に3rdフルアルバム『VECTOR』をリリース。最新シングルは、2020年9月2日リリースの『ユメミグサ』。

住野よる(すみの よる)

高校時代より執筆活動を開始。小説投稿サイト「小説家になろう」にアップした『君の膵臓がたべたい』(初出時は『君の膵臓を食べたい』)が編集者の目にとまり、2015年6月に同作で作家デビュー。著書に『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』『か「」く「」し「」ご「」と「』『青くて痛くて脆い』『麦本三歩の好きなもの』がある。

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