中沢けいの青春文学『海を感じる時』映画化、多感な少女期の性体験や母との対立描く

中沢けいの同名小説を原作にした映画『海を感じる時』が、9月13日から東京・テアトル新宿ほか全国で公開される。

原作は中沢けいが18歳のときに発表し、『第21回群像新人賞』を受賞したデビュー作。1978年の刊行当時は、現役女子高生が書いたスキャンダラスな文学として話題を呼んだ。映画版のストーリーは、高校の新聞部の先輩・洋に衝動的に体を預けてしまった恵美子が、洋に拒絶されながらも必要とされたい一心で体を差し出すようになり、次第に「女」として目覚めていく自分に気がつくというもの。

少女から女へと変貌を遂げようとする主人公・恵美子を演じるのは市川由衣。洋役には数々の映画やドラマ、舞台に出演する池松壮亮がキャスティングされている。監督は『blue』や『僕は妹に恋をする』を手掛けた安藤尋。

市川由衣のコメント

本作に出演することになり、安藤組の静かな熱をふつふつと感じながら、丁寧に恵美子に自分の心を重ねていきました。池松壮亮さんには本当に助けられ、生の感情をたくさんひきだしてもらいました。本気にさせてくれるすごい役者さんで、洋が池松さんではなかったら私は恵美子でいれなかったとおもいます。安藤監督は、すごく繊細で、私たち役者を信じてくれる人。私も監督を信じることができて、とても良い関係で作品をつくれたとおもいます。台本を読んでみて、恵美子の女としてのどうしようもないもがき、痛さに、胸がしめつけられました。覚悟がいる役でしたが、女として、役者として、挑戦したいとおもいました。出来上がった作品をみて、私自身が自分の代表作だと胸をはっていえる作品になりました。女優人生において転機となるような大事な作品なので、たくさんの人にみてもらいたいです。

池松壮亮のコメント

台本を読んでみて、素晴らしい本でした。今やるには挑戦的で、でも普遍的で、誰もやらないなら俺がやるよと思いました。この本を殺してはいけないなと直感的に思いました。そして、安藤さんと荒井さんというタッグに惹かれました。実現まで何年もの間、難航したと聞いています。様々な人の執念によって、この作品を世に送り出せるところまで来たということを誇りに思います。安藤さん、荒井さん、市川さんと共に、一石投じるつもりで自分も参加させていただきました。市川由衣さんについて、今回は絶対に市川さんに勝ってもらわないと成立しないものだったと思いますが、完成した作品をみて何より市川さんが素晴らしく、改めて市川さんがこの役で良かったなと思いました。少女性と母性の両方をちゃんと合わせ持った方で、それでいてどこか手が届きそうな、日常の先にあるような空気を身に纏った、凄く素敵な女優さんでした。安藤監督については、『blue』が強烈に残っていました。現場を共にしてみて、凄く繊細で、ちゃんと弱さを知っている方だなと思いました。赤ではなく青の炎のようなフツフツとしたものを感じました。今回もちゃんと安藤作品になっていて、安藤さんの作家性を貫く一貫した姿勢が凄く好きです。

安藤尋監督のコメント

恵美子というひとりの少女の、愛すること、泣くこと、傷つくことと傷つけること、見つめること、生きること、そのどれもがいとしく、切ない脚本でした。彼女を生きた人間で撮りたいと思いました。市川由衣さんは恵美子を生きてくれました。愛し、泣き、傷つき傷つけ、見つめ、生きてくれました。池松壮亮さんは、そんな恵美子の傍らで、洋の弱さもずるさも引き受け、そこに在り続けてくれました。恵美子と洋が自分の目の前にいて、息をし、触れあっている。自分にそう確信させてくれるふたりでした。

作品情報

『海を感じる時』

2014年9月13日(土)からテアトル新宿ほか全国ロードショー
監督:安藤尋
原作:中沢けい『海を感じる時』(講談社刊)
脚本:荒井晴彦
出演:
市川由衣
池松壮亮
阪井まどか
高尾祥子
三浦誠己
中村久美
配給:ファントム・フィルム

(画像:©『海を感じる時』製作委員会)

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