坂口恭平の小説『徘徊タクシー』が、本日7月31日に刊行された。
路上生活者の住居を観察する中で見出した独自の住居論を自ら実践するほか、震災の避難所「ゼロセンター」と共に立ち上げた新政府の初代内閣総理大臣として多彩な活動を展開する坂口恭平。『0円ハウス』『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』『独立国家のつくりかた』などの著書でも知られている。
『第27回三島由紀夫賞』の候補作となった『徘徊タクシー』は、故郷・熊本で認知症の曽祖母・トキヲと再会した主人公が、徘徊老人たちが記憶の中にある場所を目指していることに気づき、時空を超えて無事に目的地に届ける「徘徊タクシー」という事業を思いつくというあらすじ。土地に堆積した時間と視線を浮かびあがらせ、世界の見方を変えることで現実を多様に捉えることが出来るという坂口のビジョンを示すとともに、爽やかな読後感をもった青春小説に仕上がっている。