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麻薬で蘇る戦争に行けなかった過去 横浜ボートシアター『さらばアメリカ!』

『さらばアメリカ!』photo by 古屋均
『さらばアメリカ!』photo by 古屋均

横浜ボートシアターの舞台『さらばアメリカ!』が5月25日から神奈川・横浜のKAAT神奈川芸術劇場で上演される。

1981年に作家・遠藤啄郎によって立ち上げられた横浜ボートシアター。横浜の千石川町駅前の運河に浮かぶ木造はしけを劇場として活動を開始し、1983年に『小栗判官・照手姫』で『第18回紀伊國屋演劇賞』を受賞。2001年には『横浜トリエンナーレ2001』に参加し、2014年から2016年にかけて人形劇『恋に狂ひて』を上演した。

1975年頃に遠藤が執筆した作品を2000年に上演し、その後『遠藤啄郎のアメリカ』と改題された『アメリカ!』をもとにした『さらばアメリカ!』は、遠藤の自伝的な作品。1980年頃の日本に生きる麻薬常習者の「私」を主人公に、戦争に行けなかった「若い私」の過酷な過去が麻薬によって蘇る、というあらすじだ。主人公の「私」役を丹下一が演じるほか、玉寄長政、奥本聡、吉岡紗矢、柿澤あゆみ、リアルマッスル泉、村上洋司がキャスティング。また語り手を近藤春菜、音楽を松本利洋が担当する。チケットは現在販売中。

遠藤は同作について「敗戦から72年、今回の作品で別に台本を新しく書きかえたのでもないが、毎回の稽古が今までになく楽しく、面白く、新しい発見が次々に見えてくる。私は古くさいことわざを思い出していた。『のどもとすぎればあつさをわすれ』。敗戦、そして戦後、その過酷な体験は、長い月日を経てやっと客観視でき、自由に喜劇として作品化できる時を迎えることができたのかもしれない。なんと長いのどであった事よ。長生きしたことのありがたさを今さらながら実感している今日この頃である」と語っている。

遠藤啄郎のコメント

のどもとすぎれば、あつさをわすれ
「さらばアメリカ!」は今から42年前、某劇団の為に私自身の戦争の体験をもとに書いた喜劇である。しかし目当ての劇団からは不適当とキャンセル。そこで私が研究生のレッスンを引き受けていた別の劇団にどうだろうと打診をしてみたものの、これもだめとのそっけない返事。やれやれと、作品はお蔵入り。
それから22年後、そうだこんな作品があったと、横浜ボートシアターでリーディングスタイルでの上演。その舞台をたまたま見たシアターXの芸術監督の上田美佐子さんがシアターXでと2000年に上演。しかし舞台は不満の残るものとなってしまった。そして今回の上演である。
敗戦から72年、今回の作品で別に台本を新しく書きかえたのでもないが、毎回の稽古が今までになく楽しく、面白く、新しい発見が次々に見えてくる。私は古くさいことわざを思い出していた。「のどもとすぎればあつさをわすれ」。敗戦、そして戦後、その過酷な体験は、長い月日を経てやっと客観視でき、自由に喜劇として作品化できる時を迎えることができたのかもしれない。なんと長いのどであった事よ。長生きしたことのありがたさを今さらながら実感している今日この頃である。

『さらばアメリカ!』photo by 古屋均
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