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『家族を想うとき』ケン・ローチ監督インタビュー 現代社会の問題訴える

ケン・ローチ ©Kazuko Wakayama
ケン・ローチ ©Kazuko Wakayama

映画『家族を想うとき』のケン・ローチ監督へのインタビューが到着した。

12月13日から公開される同作は、『わたしは、ダニエル・ブレイク』を最後に映画界からの引退を表明するも撤回したケン・ローチ監督が、イギリス・ニューカッスルを舞台に、変わっていく人々の働き方や時代の波に翻弄される「現代の家族の姿」を描いた作品。マイホーム購入を夢見て父リッキーがフランチャイズの宅配ドライバーとして独立し、母アビーはパートタイムの介護福祉士として時間外も働き、息子セブと娘ジェーンが寂しさを募らせていくなか、リッキーがある事件に巻き込まれる、というあらすじだ。

インタビューでケン・ローチ監督は引退撤回の経緯について「『わたしは、ダニエル・ブレイク』(16)を撮り終えた後、多分、これが私の最後の映画になると考えていた。でも、リサーチのために出かけたフード・バンクのことが心に残って…。そこに訪れる人々が、パートタイムやゼロ時間契約で働いていた。いわゆるギグエコノミー、自営業者あるいはエージェンシー・ワーカー(代理店に雇われている人)、パートタイムに雇用形態を切り替えられた、新しいタイプの働き方をする労働者のことが、忘れられなかった。次第に『わたしは、ダニエル・ブレイク』と対をなす、作る価値があるテーマだと思った」と明かしている。

また脚本を手掛けたポール・ラヴァティとのリサーチで何人かのドライバーと会ったことを振り返って「生活をするために働かなければならない時間の長さと、仕事の不安定さに驚愕したよ。彼らは自営業者で、理論上は自分たちのビジネスなので、もし何か不具合が生じたら、すべてのリスクを背負わなければいけないんだ。配送がうまくいかなければ、彼らはダニエル・ブレイクと同じような制裁を受けることになる」とコメント。

キャスティングについては「出演しているドライバーたちは、殆ど全員が現役のドライバーか元ドライバー。彼らは実際の仕事の段取りやプロセス、そして仕事を素早く成し遂げることのプレッシャーを理解しているから」と述べている。

また主人公のリッキーについては「マイホームを購入するために、これまで建設作業員として真面目に働いてきたけど、銀行と住宅金融組合の破綻が同時に起こり、その後は職を転々とするようになってしまう。リッキーは、稼げそうな宅配ドライバーとして働くことを決意し、再び普通の生活に戻れるチャンスを掴もうとする。だから、自らが率先して、へとへとになるまで働かなければいけなくなってしまう」と語る。

アビーについては「幸せな結婚生活を送っている母親で、リッキーと信頼関係もあり、子供たちに対しては良い両親になろうと努力している。だけど、彼女も家にいられないほど一所懸命に働かなければならず、さらに、便数のないバスで通勤しているため、長時間仕事に拘束されてしまう」とコメント。

セブとジェーンについてはそれぞれ「息子のセブは16歳だけど、彼を見守るべき両親が共に仕事で不在がちなせいで、道を踏み外していってしまう。両親は、セブが学校から逃げ出し、トラブルを起こしていると思っている。リッキーは考えが保守的だから、セブと対立してしまうけど、彼には両親が気づいていない、芸術的でクリエイティブな才能がある」「とても聡明な子で、ユーモアのセンスがある。家族の中の仲裁役として、全員がバラバラになってしまいそうになった時、彼女は家族を一つにまとめようとするんだ」と語っている。

インタビューの最後は「1日14時間、くたくたになるまで働いているバンのドライバーを介して買った物を手に入れるということが、持続可能なシステムなのか?友人や家族の関係性までに影響を及ぼしてしまうほどの、プレッシャーのもとで人々が働き、人生を狭めるような世界を、私たちは望んでいるのだろうか?資本主義のシステムは、金を儲けることが目的で、労働者の生活の質には関係がない。ごく普通の家族が、ワーキング・プアに追い込まれてしまう。だから登場人物に共感し、彼らと共に笑い、彼らの問題を自分ごとのように感じて欲しい」と締めくくった。

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