中川奈月の初長編映画『彼⼥はひとり』に⿊沢清、諏訪敦彦、森崎ウィンら賛辞

映画『彼⼥はひとり』に寄せられた著名人コメントが公開された。

11⽉29⽇から東京・テアトル新宿で行なわれる『⽥辺・弁慶映画祭セレクション2020「中川奈月監督特集上映 4DAYS」』でレイトショー上映される同作。ある日橋から⾝を投げるも、死ねずに⽣還してしまった⾼校⽣の澄⼦は、幼なじみの秀明が教師の波多野と密かに交際していることを知り、秀明を執拗に脅迫し始めるというあらすじだ。

主演を務めるのは同作で『第13回⽥辺・弁慶映画祭』俳優賞を受賞した福永朱梨。愛されない孤独と悲しみから他⼈を傷つけ、暴⾛していく澄⼦役を演じる。澄⼦に執拗に責められる秀明に⼤河ドラマ『麒麟がくる』の⾦井浩⼈がキャスティング。『彼⼥はひとり』が初長編作品となる中川奈月がメガホンを取った。

コメントを寄せたのは⿊沢清、諏訪敦彦、森崎ウィン、根⽮涼⾹、鶴⽥法男、まつむらしんご、安川有果。

⿊沢清のコメント

恋に悩む⾼校⽣たちの物語だと思って⾒ていたら、⻘春という⾔葉からはるか隔たった、あまりにもダークで狂気的な世界観に震撼していた。これは凄い。少なくとも⽇本映画で、このレベルに達した学園ドラマを私は他に知らない。

諏訪敦彦のコメント

破壊することでしか触れることができない世界を⽣きる、その絶対的な孤独こそが世界=映画を再⽣させるはずだという覚悟が全編に漲っている。そして「彼⼥はひとり」ですべてを敵に回し、否定することで世界を抱きしめるという離れ業を堂々とやってのけるのだ。驚嘆した。

森崎ウィンのコメント

こんなにドキドキした1時間、味わった事がない。ストーリー運び、俳優が吐く⾔葉、凄く好きです。脚本が欲しい。⼥優、福永朱梨さん、素敵過ぎました。本⼈には恥ずかしくて直
接⾔えないのですが、そう強く思えた作品に出会えました。

根⽮涼⾹のコメント

福永朱梨さん演じる澄⼦の、時折訴えかける眼の奥の寂しさに⼼が消え⼊りそうになる。
皆が皆、好き勝⼿に吐き出して、散らかして、残されたものは顧みずに踏みつけて歩いていく。
誰もこの声など聞こえていない、⾒ていない。
どこにもいない。幽霊はどちらかわからない。
引っ掻き回された世界で⽬を回さずに歩くために、世界をかき回し直す彼⼥の視界は、明るくなるどころか依然混沌として、周囲を巻き込みながら淀んだ川の底へと、ゆっくり沈んでゆく。

鶴⽥法男のコメント

死の淵から帰還した少⼥が、ある町のおぞましい⼈間関係を暴いて崩壊させていく。イーストウッドの『ペイルライダー』と横溝正史の世界が出会ったようなおぞましい物語なのに、若い⼥性監督が作った爽快なまでのギャップに度肝を抜かれる必⾒作!

まつむらしんごのコメント

ひとりの少⼥の復讐劇にみえる。
彼⼥の動機が徐々に明かされる綿密な脚本。
⾏き場のない孤独と苛⽴ちを⼀瞬で伝える俳優の眼差し。
ヘビーな世界観に⼀筋の光を差し込む繊細な演出。
あえて⼀⾔でまとめるなら…傑作。

安川有果のコメント

「彼⼥はひとり」、冷たくて突き放した響きのするタイトルだと思ったけど、そうではなかった。
彼⼥が周囲の偽善を暴き、拒絶し、破壊すればする程、カメラがその孤独に寄り添って、変化の兆しが訪れるのをじっと⾒守っているようだったのが⼼に残った。
このとんでもない映画を初めての⻑編で撮ってしまった中川監督は、⼀体今後どうなってゆくのだろうかとちょっと⼼配になる。

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