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ようやく日本でも、「フードカート」による新たな食文化が発展中

『NEWTOWN』
テキスト
天野史彬
撮影:柏井万作 編集:柏井万作、宮原朋之
ようやく日本でも、「フードカート」による新たな食文化が発展中

素晴らしい都市には、決まって素晴らしいストリートフードがある。日本・東京はどうだろう?

去る7月22日~23日の2日間、東京・青山の国連大学中庭にて、ストリートフードの祭典『Gourmet Street Food Vol.2 ~東京美食屋台~』が開催された。「素晴らしい都市には、決まって素晴らしいストリートフードがある」を基本理念に、2日間のべ35店舗以上のフードカートが参加したこのイベントは、4月の初回以来、今回が2度目の開催となる。

私たちは初日の22日に参加したのだが、この日は何とも夏らしい、気持ちのいい晴天。会場中央に設置されたDJブースからは心地よい音楽が流れ、色とりどりのフードカートに囲まれた会場は、充実した数の店舗が並んでいるが、窮屈さは感じさせない。「人と人」「食と人」がゆるやかに、でも確かに繋がっている、とても居心地のいい空間だ。客層は、友人同士やカップル、子供連れはもちろん、ひとりで来ている人たちも案外多い。

 
 

会場にはDJブースも設けられ、居心地の良さを演出していた
会場にはDJブースも設けられ、居心地の良さを演出していた

このイベントのコンセプトに関して、主催するメディアサーフコミュニケーションズの國崎泰司はこう語る。

國崎:元々、僕らには「フードカートガストロノミー」という思想があるんです。「ガストロノミー(gastronomie)」っていうのは、フランス語で「食」にまつわる思想、学問のひとつです。今では「美食」の意味合いも込められている言葉なので、一見すると、「ガストロノミー」と「フードカート」は相反するものに聞こえますよね。でも、この2つは決して矛盾せずに組み合わせることができると僕らは考えています。

たとえば、北欧やアメリカ、あるいはアジアでもバンコクのような場所では、ストリートフードがとても栄えているんです。特にアメリカでは、フードカートで活躍して有名になっている人たちが多い。それに比べていまの日本のストリートフードは、そこまで栄えていないのが現状です。でも遡れば、お寿司だって江戸時代には屋台で出していたストリートフードだったわけです。日本のストリートフードも、この先もっとレベルを上げられるんじゃないか? そういう想いが、このイベントの根本にはあります。

國崎泰司(メディアサーフコミュニケーションズ)
國崎泰司(メディアサーフコミュニケーションズ)

「ストリートフード」とは、すなわち「ストリートカルチャー」? カルチャーはいつだって「ヤバい人たち」が変えていく

たしかに、現代の日本の「ストリートフード」という言葉を思い浮かべると、地域のお祭りでの焼きそばやたこ焼きなどの屋台、あるいは、ご当地B級グルメなどの存在感が大きい。しかし、この日会場に並んだフードカートが提供する料理は、そうした「B級だからこそ」の魅力ではなく、むしろ味や素材の品質にこだわったものばかり。

たとえば、「ORGAR'S」という店の出すレモネードは、素材となるレモンを無農薬のものにこだわっていたり、「good hood food」のタコスは、皮から手作りという徹底ぶり。そして、そのどれもが、良質な素材の持ち味や、手間暇かけているからこそ感じさせる、素晴らしい美味しさ。

日本生まれのレモネード専門店「ORGAR'S」。完全ハンドメイドで材料にもこだわった無添加のクラフトレモネードを提供している
日本生まれのレモネード専門店「ORGAR'S」。完全ハンドメイドで材料にもこだわった無添加のクラフトレモネードを提供している

うだるような炎天下のなかで目が覚めるようなおいしさのレモネードは、甘さと酸っぱさが絶妙
うだるような炎天下のなかで目が覚めるようなおいしさのレモネードは、甘さと酸っぱさが絶妙

やはり、「ストリートフード」とは、すなわち「ストリートカルチャー」なのだ。「1回食べればいいや」というものではなく、そこで暮らす人の生活のなかに根差し、営みを支えていくものでなければならない。そのためにも、何度でも食べたくなる「美味しさ」は、やはり重要だ。

ブルックリン仕込みの本場のタコスを提供する「good hood food」
ブルックリン仕込みの本場のタコスを提供する「good hood food」

日本人が思い描くタコスの概念を覆す驚きのおいしさだった
日本人が思い描くタコスの概念を覆す驚きのおいしさだった

ちなみに、本イベントを主催するメディアサーフコミュニケーションズは、毎週末に同じく国連大学にて『Farmer's Market』も開催している。生産者、職人、そして消費者……そうしたそれぞれの立場、それぞれの役割に自覚的なバックグラウンドがあるからこそ、上質な料理を提供するフードカートが集まっているのだろう。

國崎:『Farmer's Market』に関わっているから余計にそう思うんですけど、農家さんや料理の素材を作っている人たちには、いい意味でヤバい人たちがたくさんいますからね(笑)。「なに、そのこだわり!?」「なに、この美味い野菜!?」というような。

そういう「ヤバい人たち」に出会うとつくづく、「食は人の心を引っ張る力があるんだな」って思うんです。それはきっと、音楽やアートや建築と同じだと思う。

國崎泰司

そしてもちろん、こだわりを持っているのは素材を作る人々だけではない。この日、会場に並んだ全てのフードカートは、料理のみならず、車のデザインなどにも、それぞれのカラーが色濃く反映されている。

カリビアンフードを提供する「虎子食堂」
カリビアンフードを提供する「虎子食堂」

キューバンポークライスは、スパイシーな肉の旨味と付け合せのバランスが絶品
キューバンポークライスは、スパイシーな肉の旨味と付け合せのバランスが絶品

フードカートの人たちは、新しい働き方をしている人たちばかり。ひとつの場所に縛られないリアル「ノマド」

店舗を持つのではなく、フードカートで料理を提供する道を選ぶということは、「食」の道を歩むうえで、一体どのような選択肢なのだろうか? 今回の『Gourmet Street Food』に出店する全てのフードカートをオーガナイズするツチヤキミにも語ってもらった。

ツチヤ:フードカートこそ、一台一台にインタビューしていったら、めちゃくちゃ面白いと思いますよ。人が面白いし、働き方が全員違うから。たとえば普段、デザイナーをやりながら週末だけフードカートをやっている人がいたり、飲食店をやりながら、2店舗目としてフードカートを持つ人もいたり、自分で作ったサトイモを食べてほしくて、週末はフードカートを動かしているっていうサトイモ農家さんがいたり。

店舗を構えると、定休日は多くても週1~2日ですよね。毎日、朝から晩までお店を開けるとなると、どうしても同じライフスタイルになってしまうけど、それに比べてフードカートの人たちは、本当に自由気ままに生きている人たちの集まりですね。新しい働き方をしている人たちばっかり。

ツチヤキミ
ツチヤキミ

國崎:海外帰りの人たちも多いですよ。フードカートをやっている人たちは、リアル「ノマド」なんです。カウンターカルチャー的と言うか、ジプシーのような人たちが多い。

フードカートってどこにでも行けるし、行きたくなければ行かなくていい。ひとつの場所に囚われていないっていうのが、強みだと思います。食材も、各地の農家さんや漁港で仕入れることができますからね。なので特に若い人たちにやりはじめてもらいたいです。18、19歳くらいの子たちの将来の選択肢のなかに、フードカートがあればいいなって思いますね。

湘南発、国産和牛を使ったハンバーガーを提供する「BUTCHER'S TRUCK」
湘南発、国産和牛を使ったハンバーガーを提供する「BUTCHER'S TRUCK」

備長炭で焼き上げたパティを湘南老舗ベーカリー「プルクワ」のオリジナルバンズにて挟んだハンバーガーはボリューム満点
備長炭で焼き上げたパティを湘南老舗ベーカリー「プルクワ」のオリジナルバンズにて挟んだハンバーガーはボリューム満点

『Gourmet Street Food』の第3回目は、8月19~20日にCINRA主催のカルチャーフェスティバル『NEWTOWN』内にて開催される。「衣食住」という言葉の通り、「食」も私たちの生活を支え、彩る大事なカルチャーのひとつ。どんなアートや音楽に触れるのかと同じように、「何を食べるのか?」を選択することも、生活のなかに文化的な豊かさをもたらす重要な要素なのだ。最後に、ツチヤが語ってくれた「食」への想いで、この記事を締めたい。

ツチヤ:私がなんで「食」の業界でやっているかと訊かれたら、「好きだから」としか答えようがない。とにかく、私はご飯と、ご飯の周りに関係している人のことが好きなんですよ。

儲けようと思ったら、もっと効率のいい仕事はいっぱいあるんだけど、でもやっぱり、みんな美味しいものが好きで、美味しいものを人に食べてもらうのが好きだから、この仕事をやっている。「食」の世界は気がいい人が多いし、常にいい空気感が流れているコミュニティーだと思うんです。もう、私にとっては「食」が人生ですね(笑)。

左から:ツチヤキミ、國崎泰司

食べ物は、私たちの体だけでなく、人生も、そして文化も作っていく。フードカートが運ぶのはきっと、私たちの食文化の未来でもあるのだ。

イベント情報

『NEWTOWN』

2017年8月19日(土)~20日(日)START 11:00 / CLOSE 20:30
※ 雨天決行 / 荒天中止
料金:入場無料
場所:東京都 日比谷公園 にれの木広場

『Gourmet Street Food vol.3』

出店者:
good hood food
Lost & Found
PIZZA VAN
Mighty Steps Coffee Stop
ZIP CODE
おにぎり弁慶
MiChoripan
BUTCHER'S TRUCK
ORGAR'S
CUMR FOOD TRUCK
Back2Brooklyn Kitchen Car(8月19日のみ)
虎子食堂(8月19日のみ)
La casa tacos(8月19日のみ)
ToGo.(8月20日のみ)
野毛山カレー(8月20日のみ)
牛煮込屋 赤ねこ(8月20日のみ)
bebible(8月20日のみ)

『「MUSICIAN'S BOOKSTORE」 Powered by Kyash』

2017年8月19日(土)、8月20日(日)
会場:東京都 日比谷公園 にれの木広場
出品アーティスト:
あいみょん
evening cinema
CHAI
トリプルファイヤー
ぼくのりりっくのぼうよみ
BOMI
モノブライト
山口元輝
LILI LIMIT
特別参加:サンカクヤマ

『「She is」×「lute」×村田倫子 インスタトーク』

2017年8月19日(土)
会場:東京都 日比谷公園 にれの木広場
出演:
村田倫子
野村由芽(She is)
五十嵐弘彦(lute)
モデレーター:武田俊(lute)
入場:無料

「NEWTOWN STAGE」弾き語りライブ

2017年8月19日(土)、8月20日(日)
会場:東京都 日比谷公園 にれの木広場
8月19日出演:
田中茉裕(She is連動企画)
にゃんぞぬデシ
8月20日出演:
カネコアヤノ
みきなつみ

『CINRA.STORE 似顔絵マーケット』

会場:東京都 日比谷公園 にれの木広場
2017年8月19日(土)、8月20日(日)
8月19日参加作家:
LEE KAN KYO
北村人
8月20日参加作家:
とんぼせんせい
小田島等
小山健
チーム未完成

『Anonymous Camp』

2017年8月19日(土)、8月20日(日)
会場:東京都 日比谷公園 にれの木広場
参加作家:
matsuda natsuru
N/no
NEWOLD STOCK by オトギデザインズ
suekko lions
tact sato
TERAI craftment
yohaku
エヒラナナエ
関川恵
玉川ノンちゃん
金さん銀さん
山田和寛
松岡マサタカ
前野めり
足立拓人
日向山葵
平木元
北村みなみ
鈴木萌子

『大人の学校 in NEWTOWN』

「休日の過ごし方をカルチャーシフト ~トレッキング・登山編~」
2017年8月19日(土)
会場:東京都 日比谷公園 にれの木広場
出演:
TWEEDEES
竹下充
MC:黒田隆憲
料金:無料

「楽器の深さを知って音楽の聴き方をカルチャーシフト ~ギター編~」
2017年8月20日(日)
会場:東京都 日比谷公園 にれの木広場
出演:
Rei
モリシー(Awesome City Club)
MC:金子厚武
料金:無料

『Awesome City Clubスペシャルトーク&ライブ』

2017年8月20日(日)
会場:東京都 日比谷公園 にれの木広場
出演:
atagi(Awesome City Club)
PORIN(Awesome City Club)
MC:金子厚武
料金:無料

『INDEPENDENT LABEL MARKET:TOKYO』

2017年8月19日(土)、8月20日(日)
会場:東京都 日比谷公園 にれの木広場

イベント情報

同時開催の入場無料イベント『exPoP!!!!! vol.100』

2017年8月20日(日)
会場:東京都 日比谷野外音楽堂
出演:
相対性理論
Yogee New Waves
クリス・コーエン
シャムキャッツ
YOOKs
料金:無料(2ドリンク別)

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