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新鋭「個性派俳優」 山本剛史インタビュー

一度見たら忘れられないウサンくさくて強烈な演技

MOVIE

新鋭「個性派俳優」 山本剛史インタビュー

新鋭「個性派俳優」 山本剛史インタビューをdel.icio.usに追加 このエントリーをはてなブックマークに追加 新鋭「個性派俳優」 山本剛史インタビューをlivedoorクリップに追加 新鋭「個性派俳優」 山本剛史インタビューをlivedoorクリップに追加 (2008/09/12)

私たちは、日々数え切れないほどの映像作品に接している。テレビをつけたり映画館におもむけば、そこには恋愛ものや冒険活劇、家族ものや学園ものなど、さまざまなジャンルの作品に触れることができる。ふと立ち止まって、それら溢れんばかりの映像作品を振り返ってみる。すると、なにが印象に残っているだろうか? 魅力的なストーリー、心を奪われる映像美、ドキッとするセリフ…もちろんそういった要素もあるだろうが、それはしばしば俳優たちの「顔」であったりする。あの女性の別れ際の意味深な表情や、あの男が死に際にカッコイイセリフを吐いたときの表情など…。われわれは、俳優たちが最もイキイキと、真剣に感情表現をする、その表情にこそ胸を打たれる。

山本剛史氏は、いま最もエキサイティングな演技をする「個性派俳優」と言えるが、その奇抜なセリフや身体表現もさることながら、じつに魅力的な表情で演技をしてくれる。これまでの活躍こそ「知る人ぞ知る存在」だったものの、そのウサンくさくて強烈な演技は一度見たら忘れられない。このたび、最新出演作『青空ポンチ』が公開されるのを記念し、山本氏にじっくりとお話を伺った。このインタビューをきっかけに、より多くの方々が「山本剛史ワールド」へと深く分け入り、その無類の「表情」を目撃する端緒になれば幸いである。

(インタビュー&テキスト:小林宏彰 撮影:内堀善之)

PROFILE

山本剛史(やまもと・たけし)
1977年、愛知県生まれ。山下敦弘監督とは高校時代からの友人で、『ばかのハコ船』('02)『リアリズムの宿』('03)『その男狂棒に突き』('03)『不詳の人』('04)『リンダ リンダ リンダ』('05)など数々の作品に出演、山下作品には欠かせない存在となっている。その他の代表作に元木隆史監督作『ピーカン夫婦』('05)など。近作としてタナダユキ監督作『百万円と苦虫女』('08)、『ロックンロール・ダイエット』('08)。また、『グミ・チョコレート・パイン』('07)で組んだケラリーノ・サンドロヴィッチ演出、新藤兼人原作の新作舞台『しとやかな獣』(09年1月29日〜2月8日 紀伊国屋ホール)が待機中。

俳優としての原点「舟木テツヲ」役

─まずは、9月13日に渋谷ユーロスペースにて公開される、最新出演作『青空ポンチ』での役どころについてお伺いしたいと思います。山本さんが演じていらっしゃるのは、元エリートサラリーマンで、超絶技巧の持ち主というギタリスト「舟木テツヲ」です。過去にやはり「舟木」役で出演された作品がいくつかありますね。この一連の「舟木」シリーズは、山本さんの魅力が最大限に発揮された素晴らしい演技ですが、役作りはどのようにされているんでしょうか?

『青空ポンチ』より

山本:そうですね…これまでに「舟木」という役を演じたときは、プロットだけ渡されてセリフはアドリブ、というケースもありましたが、今回は全部シナリオに書いてある通りのことをやりました。監督の柴田剛さんとは初めてお仕事をしたんですが、大阪芸大出身で山下(敦弘監督)の同期だし、彼の作品に出演していた僕の演技を見ていたので、シナリオはほとんどあて書き(山本剛史さんがこの役を演じると想定して脚本を書くこと)です。なので、これまでと同じような、ウサンくさいキャラクターの「舟木」像が求められていたので、特に役作りという点では苦労しなかったですね。ただ今回は、設定がギターのスペシャリストだったのですが、完成作品では全くギターを弾いているようには見えないです(笑)。

─山本さんのデビュー作は2002年の『ばかのハコ船』(監督:山下敦弘)という作品ですね。この映画で演じられた「尾崎充」役が、「舟木」の原点で、今回の『青空ポンチ』もこの役の延長上にあると言えそうですね。

山本:はい。高校を卒業して、5年ほど経ったときですね。あの役は、現場で山下と二人で作り上げたという感じでした。『ばかのハコ船』のスタッフは仲間うちばかりでとても少なく、自主映画の中の自主映画という感じでしたね。あの時僕は、まだ東京でアクセサリーの卸しの営業をしていたので、休日しか現場に行くことができず、土日役者って呼ばれてたんです(笑)。朝8時くらいに、撮影終わってからすぐに会社行ったりしていましたから、かなりつらい時もありました。そういった関わり方ができたのも、自主映画ならではの良いところだと思いますね。

─そうした「尾崎充」や「舟木テツヲ」といった山本さんの役作りに、影響を与えた役者さんはいらっしゃるのでしょうか?

山本剛史インタビュー

山本:影響を与えた、というほど大げさなものはないですが…そうですね、好きな役者さんということで言えば、伊丹十三監督の『マルサの女』の山崎努さんです。あの、足が悪い男役が、もう本当に好きですね。それから、ビートたけしさんの3億円事件を扱ったテレビシリーズに『恐怖の24時間』という番組(『実録犯罪史 恐怖の24時間~連続殺人鬼 西口彰の最後』)があるんですが、犯人役を役所広司さんがやっていて、非常に良かったんです。海外ではジーン・ハックマンや、ロバート・デ・ニーロなんかといった4,50台のおっさんは、見ててカッコイイなというか、憧れを感じます。質問を受けて気づきましたが、男らしいシブさが感じられる演技に惹かれるのかもしれないですね。今回の映画で言えば、板倉くんの演技のような。渋くて、かつ哀愁が漂っており、存在感があるんです。

─それから今おっしゃった方々には、何か「異常な男たち」のシブみというか、いまおっしゃった山崎努さんも役所広司さんの役どころも、普通ではなく、どこか異常なところがありますよね。山本さん自身、『その男狂棒に突き』という作品では、AV男優でありかつ刑事という、異常かつ男らしい(笑)印象的な役を演じられていますね。山本さんの場合、ある種パロディ的に「男らしさ」を演じることで、笑いに持っていくところが秀逸だと思います。

山本:ありがとうございます。今後は、これまでとは全くちがった役どころにも挑戦してみたい、という思いもあるんですけどね。

2/2ページ:山下作品の常連俳優から、さらなる活躍の場へ

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