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丹下紘希(Mr.ChildrenなどPV監督)インタビュー
今回リリースされた『TANGE KOUKI VIDEO COLLECTION』は、文字通り丹下紘希が手がけたミュージックビデオをコンパイルしたDVD。Mr.Childrenにはじまり、コブクロ、山下達郎、浜崎あゆみと、大物ミュージシャンの名前が連ねられている。そのラインナップを見て、驚いた。自分がなんとなく覚えていたMV(丹下氏は「PV」ではなく「MV(ミュージックビデオ)」と呼ぶ)が、見事にこの1人のクリエイターから生まれていたからだ。そこで、今回のDVDリリースのいきさつと、Mr.Children“くるみ”の制作秘話など、丹下氏の制作にかける情熱を伺った。
(インタビュー・テキスト:杉浦太一 撮影:柏井万作)
68年岐阜に生まれる。高校卒業後、大野一雄氏に師事。97年には文化庁在外派遣芸術家としてNYに滞在。現在まで数多くのMusic Videoを作り続け、MTV、スペースシャワーTVにてBEST DIRECTORS 賞はじめ受賞歴多数。近年ではグラフィックのアートディレクションも手掛けている。
丹下紘希 (イエローブレイン)
ぶっちゃけて言えば、
この作品は売れなくちゃいけないんです(笑)。
─今回リリースされたDVDですが、名だたるミュージシャンのミュージックビデオが30本以上収録されています。ラインナップはもちろん、このボリュームにも驚きました。

丹下:実はこういったミュージックビデオを集めたDVDを出せるというのは、本当に稀なケースなんです。レコード会社の垣根を越えて、アーティストをはじめ、関係者すべての方々の理解や協力がなかったら実現されませんでした。本当にみなさんに感謝しています。
─たしかに、権利の問題も考えると、一筋縄ではいかなそうです…。
丹下:実は構想自体は10年くらい前からあったんです。でも、状況的に無理でした。つい少し前までは、ミュージックビデオをつくる制作者は、レコード会社から仕事を受ける「下請け」的なイメージがとても強かったんですね。「クリエイティブなんていらないんだ」っていうところもありました。それから少しずつ時代が変わって、ここへ来てようやく実現することができました。
─それは感動も一塩ですね。ちなみに丹下さんはご自身の作品を「プロモーションビデオ(PV)」ではなく、「ミュージックビデオ(MV)」とおっしゃいますが、何か理由があるんですか?

丹下:そうですね。「プロモーション」って広告や宣伝のことですけど、やっぱり「作品」として見てもらいたいっていう想いがあります。その楽曲を聴いただけでは得られなかった新たな楽しみ方を提示して、音楽にとっても映像にとっても幸せな関係をつくっていきたい。そういう考えがあって、意識的に「ミュージックビデオ」って呼ぶようになったんです。
─たしかに丹下さんの作品を見ると、ただの宣伝映像には全く見えないですね。
丹下:そう言ってもらえると嬉しいです。他にも、最近は『VIS』っていうWebサイトで、ミュージックビデオの監督が集まって、作品を配信しています。これも制作者同士でがんばって、ようやく立ち上げたサイトで、画期的な試みなんです。
─『VIS』は見ているだけで楽しいですよね。「あ、あのミュージックビデオはこの人がつくってたんだ」っていうのがわかるようになっていて、映像の見方が少し変わるような気がします。

丹下:見てくださる方々にとってはもちろんなのですが、映像をつくる側にとってもこうした動きが刺激になって、もっと自分の仕事に情熱を注いだり、誇りを持てるような環境がつくれたら、という願いもあります。逆に言えば、もっと責任を持ってそのミュージシャンや楽曲を本気で考えて映像をつくることができれば、結局はミュージシャンにとっても自分たちにとっても、もちろんリスナーの方々にとってもより幸せな関係づくりができるんじゃないかと思うんです。
─ミュージックビデオをDVD化していくっていうのが、これに続いて増えてきたらいいですね。
丹下:今までは前例がなかったので、実現しようと思ってもできませんでした。でも、今回で例をつくれたので、いいきっかけになってくれたら、と思いますね。だから、ぶっちゃけて言えば、この作品は売れなくっちゃいけないんです(笑)。儲けたいからではなく、これからの映像表現の意義や、新たなマーケットづくりとしても、これが成功したらもっと可能性が見えてくる。だからなんとか売れてほしいと思ってます。あんまり言うといやらしく思われちゃうかもしれないけど(笑)。
─いえ、丹下さんの情熱がすごく伝わってきます。これがきっかけになって、音楽も映像も、色んな可能性が開けたら最高ですね。





















