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丹下紘希(Mr.ChildrenなどPV監督)インタビュー

丹下紘希(Mr.ChildrenなどPV監督)インタビュー

インタビュー・テキスト
杉浦太一(CINRA, Inc. 代表取締役)
撮影:柏井万作
2009/03/06

Mr.Childrenのメンバーが、「もう1回見たい!」って何度も見てくれました。

―このDVDに収録されている作品の中で、個人的に最も印象に残っていたのがミスチルの“くるみ”でした。このミュージックビデオの制作のいきさつを教えていただけますか?

丹下:最初に曲を聴いたとき、「くるみ」っていう名前の女の子がいるんだと思ってたんですよ。

―え? ぼくもそう思っていました・・・。

丹下:そうですよね。でも、桜井さんに聞くと「くるみ」っていうのは実は「未来」のことだったんです。「未来」を逆さにすると、「来未」。それで「くるみ」っていう風に擬人化したんだ、と。「ねぇ、くるみ」って言って、未来に問いかけている歌なんです。

―そうだったんですね。改めてそう考えて歌詞を読むと、すごく意味が強まります。

丹下:制作のいきさつについてお話しすると、この作品も、何回かプレゼンをしたんです。最初に出したアイデアは完成したものとは全然違かったんですよ。初回のプレゼン後、Mr.Childrenの方から「これじゃ違うんだ」という風に言われたんです。

Mr.Children

―その割には、あの完成形は「これしかない!」っていうぐらいクオリティの高い、具体的な物語になっていますね。

丹下:そうなんです。「くるみ」が「未来」のことであると聞いたのと同時に、桜井さんが『ドン・キホーテ』という小説の話しをしてくれました。実は今みんなに知られているのは『ドン・キホーテ』の続編で、本当は別の作者が初めのお話しを書いていたんだ、と。その後、続編を別の人が書いて、そっちがものすごく有名になってしまったんだ、と。

―なるほど。

丹下:それで、さらにその続編、つまり3番目の物語を、1番目のお話しを書いた人がつくったらしいんですね。面白いのは、その中では、ドン・キホーテという主人公がすでに有名になって物語がつくられていたんです。つまり、2番目の続編で実際の世界で有名になったドン・キホーテという主人公のことを、原作の作者がそのまま有名になった存在として物語をつくっているんです。

―あ、ちょっと見えてきました!

丹下:だから“くるみ”も、その物語の構造を利用して、Mr.Childrenっていうアーティストが、すでに一般的に有名であるっていうことを前提としてつくれないかと思ったんです。さらに、ドン・キホーテのお話しが50代くらいの男性が主人公って聞きました。それで、「Mr.Adults」っていう架空のバンド、つまりドン・キホーテで言う1番目のお話しをつくったおじさんバンドをつくったんです。バンド名を聞けば、Mr.Childrenが勝手に思い浮かぶでしょう? そのバンドがMr.Childrenの前に存在していて、そこから派生して、Mr.Childrenは生まれて、ここまで有名になったんだ、っていうお話しをつくったんです。

Mr.Children

―なるほど、わかりました! きっとラストの部分がオチになっているんでしょうね。「この映像はMr.Children結成の前日でした」っていう。

丹下:間違いなくウソだと分かるような仕掛けを最後に入れたことで、誰もが「そうだったの?」って思っちゃうようなものをつくりたかったんですよね。

―この作品が完成した時、Mr.Childrenのメンバーの感想はどうだったんですか?

丹下:ものすごく喜んでくれたんですよ。こちらがびっくりするぐらい。「もう1回見たい! もう1回見たい!」って何度も見てくれて。あの“掌”と“くるみ”のシングルはちょうどミスチル復活明けの第一弾だったので、メンバーもすごく気合いが入っていたんです。

Mr.Children

―まさに丹下さんがおっしゃる「音楽と映像の幸せな関係」ですね。ちなみに、丹下さんが一番印象に残っている作品、気に入っている作品はあるんですか?

丹下:ジブリの鈴木さんは「どこが見どころなんですか?」って聞かれると「全部が見どころに決まってるだろ!」って一喝するらしいんですけど、ぼくも同じことを言いたくなる気分ですよね、やっぱり(笑)。

―そうですよね…。「全部見てから言え」と…。ありがとうございます(笑)!

丹下:申し訳ないですけど、1つには絞れないんですよね。全作品にものすごい情熱や時間をつぎこんでいるので。

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リリース情報

{作品名など}
『TANGE KOUKI VIDEO COLLECTION』

2009年2月25日発売
価格:6,000円(税込)
TFBQ-18097

DISC1
1. ダイジェスト
2. スペースシャワーTV「We Love Music, We Love Peace.」
3. Mr.Children「and I love you」
4. MTV THINK LOUD「破滅編」
5. オリジナルムービー「Action Universe」
6. Mr.Children「Worlds end」
7. Monkey Majik「Around The World」
8. REVOLVER FLAVOUR「REVOLVER FLAVOUR」
9. Monkey Majik+m-flow「 Picture Perfect」
10. マキシマム ザ ホルモン「ビキニ・スポーツ・ポンチン」
11. 浜崎あゆみ「alterna」
12. Salyu「VALON-1」
13. 一青窈「つないで手」
14. コブクロ「蕾」
15. Fleming Pie「THE IN THE MOON」
16. WINO「New Dawn F」
17. Mr.Children「ファスナー」 (Live Screen Movie)
18. 一青窈「受け入れて」

Bonus Track
1. メイキング& ドキュメント 「a Moment of Blink」
2. オリジナルムービー 「Africa」
3. First Works 「EPO Video Works」

DISC2
1. Mr.Children Album TV SPOT 「IT’S A WONDERFUL WORLD」
2. Zoff「コンセプトムービー"Love Your Characters"」
3. 山下達郎「FOREVER MINE」
4. オリジナルムービー「LIFE」
5. Mr.Children「くるみ」
6. Salyu「Dialogue」
7. Monkey Majik「fly」
8. Fleming Pie「Sunday Morning」
9. GUN DOG「chair」
10. Joi「Cravin’」
11. SUPER BUTTER DOG「FUNKY ウーロン茶」
12. ILMARI ×Salyu「VALON」
13. Mr.Children「箒星」
14. Sakura「Oh I...」
15. 一青窈「てんとう虫」
16. RIZE「heiwa」
17. Bank Band「生まれ来る子供たちのために」(ドラマ「火垂るの墓」エンディング)

Bonus Track
1. メイキング「Making of 箒星」
2. 大野一雄「イエス 花 死 生」

プロフィール

丹下紘希

68年岐阜に生まれる。高校卒業後、大野一雄氏に師事。97年には文化庁在外派遣芸術家としてNYに滞在。現在まで数多くのMusic Videoを作り続け、MTV、スペースシャワーTVにてBEST DIRECTORS 賞はじめ受賞歴多数。近年ではグラフィックのアートディレクションも手掛けている。

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