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新しい「ルパン三世」山本沙代監督インタビュー

新しい「ルパン三世」山本沙代監督インタビュー

インタビュー・テキスト
島貫泰介
2013/02/06
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2012年、4月深夜。仕事から帰り、ビールを飲みながらぼんやりテレビを眺めていた僕は殴られるような衝撃を受けた。盗みと快楽を肯定する背徳的な詩を朗読するハスキーな女性の声、反復するチェロの音色。耽美的な筆致で知られるオーブリー・ビアズリーや宇野亜喜良の絵がそのまま動き出したようなエロティックな映像。それらが突然テレビから溢れ出たのだ。アニメである。けれども、最近流行のどんなアニメにも似ていない。それが『LUPIN the Third 〜峰不二子という女〜』だった。

誰もが知る『ルパン三世』シリーズの27年ぶりのテレビシリーズとして生まれた同作は、紛れもなくルパン三世だが、同時に圧倒的なオリジナリティーを備えていた。峰不二子を軸に据え、1960〜70年代によせた舞台設定は、原作が持っていたエロティックでアダルトで出鱈目な世界観を現代に甦らせることに成功した。菊地成孔が音楽を担当したことでも話題を呼んだ同作は、今年度『第16回文化庁メディア芸術祭』でアニメーション部門新人賞を受賞した。今回、原作のモンキー・パンチと共に同賞を受賞した監督の山本沙代にインタビューする機会を得た。人気作の看板に依存することなく、新たなルパン三世の世界を具現化してみせた彼女に、作品にかけた想いを訊いた。

これまでのシリーズを全部無視しても構わないと言われました。

―『第16回文化庁メディア芸術祭』アニメーション部門新人賞受賞、おめでとうございます。

山本:ありがとうございます。『LUPIN the Third 〜峰不二子という女〜』(以下、『不二子』)は、反社会的な内容の作品でもあったので、まさか文化庁が評価してくださるとは思ってもみなくて、嬉しい反面ちょっと驚いています。

―周囲の方の反応はいかがでしたか?

山本:賞に関してはアニメ制作関係の方から、たまにお祝いの言葉をいただきますが、基本的にはあまり知られていないようです(笑)。放映中は普段アニメを見ない人から感想をもらえることが多くて嬉しかったです。デザインやっている子とか、OLやっている子とか。やっぱりルパン三世はアニメファンだけじゃなくて、いろんな人が見ているんだなって実感しました。

『第16回文化庁メディア芸術祭』アニメーション部門新人賞『LUPIN the Third 〜峰不二子という女〜』モンキー・パンチ / 山本沙代 原作:モンキー・パンチ ©TMS ©モンキー・パンチ/TMS・NTV
『第16回文化庁メディア芸術祭』アニメーション部門新人賞
『LUPIN the Third 〜峰不二子という女〜』モンキー・パンチ / 山本沙代
原作:モンキー・パンチ ©TMS ©モンキー・パンチ/TMS・NTV

―そもそも、どんな経緯で『不二子』を監督することになったのでしょう。ルパン三世の新作は、これまでにも劇場映画や金曜ロードショーのテレビスペシャルではありましたが、毎週放送のテレビシリーズというと1985年に終了した『ルパン三世 PARTIII』以来、じつに27年ぶりです。主人公が峰不二子というのも驚きました。

山本:制作を担当されたトムス・エンタテインメントのプロデューサーが私の前作『ミチコとハッチン』(以下、『ミチコ』)を見てくださったのがきっかけですね。新しいルパン三世を作りませんか、と声をかけていただいて。

―『ミチコ』も女2人が主人公のロードムービー的な作品でしたが、最初から峰不二子を軸にしてほしい、というオファーだったんですか?

山本:ではなくて、本当にゼロからのスタートです。「これまでのシリーズを全部無視しても構わない、ルパン三世を新しくしたい」と最初に言われました。制約がないならちょっと考えてみたいなと思って、それで出てきたのが峰不二子を主人公にして、ルパンたちが出会う前の物語を描く、という案です。

原作:モンキー・パンチ ©TMS ©モンキー・パンチ/TMS・NTV
原作:モンキー・パンチ ©TMS ©モンキー・パンチ/TMS・NTV

―そのアイデアは最初からすんなり決まったんですか?

山本:そうですね。自分がルパン三世をやるなら峰不二子を中心に描きたいなって。ルパンが主役の話だとしたら、他の方が作ったほうがいいと思いましたし。でも肝に銘じていたのは「新しいけれど絶対にルパン三世である」ということです。ルパンシリーズに思い入れを持つ人はたくさんいらっしゃいますから。

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イベント情報

『第16回 文化庁メディア芸術祭 受賞作品展』

メイン会場
2013年2月13日(水)〜2月24日(日)
会場:東京都 六本木 国立新美術館
時間:10:00〜18:00(金曜は20:00まで)※入場は閉館の30分前まで
休館日:2月19日(火)
内容:展示、受賞者プレゼンテーション、シンポジウム、ワークショップ、デモンストレーション、ガイドツアー

サテライト会場1
会場:東京都 六本木 東京ミッドタウン
内容:受賞者プレゼンテーション、アート部門大賞『Pendulum Choir』パフォーマンス公演
※各イベントのスケジュールはウェブサイト参照

サテライト会場2
会場:東京都 六本木 シネマート六本木
内容:上映会、マンガライブラリー
※上映会(山本監督も含め、受賞者等が出演するトークイベントも開催)のスケジュールはウェブサイト参照
※マンガライブラリーは2013年2月13日(水)〜2月24日(日)10:00〜19:00(2月19日は休み)

サテライト会場3
2013年2月19日(火)18:00〜22:00
会場:東京都 六本木 スーパー・デラックス
内容:ラウンジトーク&ライブパフォーマンス
※一部のイベントは事前申込制。詳細はウェブサイト参照

料金:全会場入場無料

プロフィール

山本沙代

1977年生まれ。アニメ監督・演出家。マッドハウスを経て現在はフリー。代表作は、2008年に初監督を務めた『ミチコとハッチン』。渡辺信一郎監督の『サムライチャンプルー』で各話絵コンテ・演出。小池健監督の『ワールド・レコード』、長編劇場作品『REDLINE』では絵コンテ協力・バックグラウンド原案等を担当。

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