特集 PR

ROGUEが語る、半身不随になってから再びステージに上がるまで

ROGUEが語る、半身不随になってから再びステージに上がるまで

フジテレビNEXT『G-Beat Gig Box 2016』
インタビュー・テキスト
矢島由佳子
撮影:稲垣哲朗

1982年に結成、1989年には武道館単独公演を成功させたものの、翌年に惜しまれつつ解散したバンド、ROGUE。2008年に再結成の話が浮上した直後、ボーカルの奥野が転落事故に遭い、半身不随となって首より下が動かなくなってしまう。

そんなどん底に落ちていた彼らを再結成に導いたのは、Mr.Childrenの桜井だった。音楽フェス『ap bank fes '12 Fund for Japan』にて、計約16万人の前で、奥野が病院のなかで車椅子に乗りながらルイ・アームストロングの“この素晴らしき世界”を歌う映像と、コラボレーションしたのだ。

2013年、ROGUEは障害者への福祉の充実を訴えるためのイベント『G-Beat Gig Box』を立ち上げるとともに再結成を果たし、今も活動の勢いは加速していくばかりだ。今回、奥野と、ROGUEのギタリストであり『G-Beat Gig Box』を主催する組織・信誠会のリーダーの一人でもある香川、それぞれに不慮の事故から今日に至るまでの話を聞く機会を得た。満面の笑みを浮かべながら車椅子に乗ってステージに立つ奥野と、それを支える香川ほど、「この世界は素晴らしい」という言葉に説得力を持てる人はいない。

絶望だったよね、最初は。全然声が出ないし、音程も取れない。(奥野)

―まずは、2013年のROGUE再結成と『G-Beat Gig Box』(以下、『GBGB』)初開催に至るまでの経緯を訊かせてください。1990年の解散後は口も利かない関係だったくらい、再結成の可能性は無に等しかったそうですね。

香川(Gt,Cho):僕は解散して以降、ずっと再結成に関して反対派だったの。昔の曲を演奏して、「懐かしい」の盛り上がりのためだけに再結成することには、あまり意味が見出せなかった。 ただ、奥野が事故に遭う前に、「一度くらい再結成していいかな」って、ホントに俺の酔った勢いで電話をしたんだよね。その数か月後に奥野が事故に遭って。俺が思いついたようにその一言を言ったら、奥野がそうなったということには、なにか歯車を動かしてしまったくらいに思ってた。「俺があれを言ってなかったら、奥野は事故に遭わなかったかな」って。

香川誠
香川誠

―電話の4か月後の2008年9月、奥野さんは、倉庫の解体工事中に屋根からコンクリートの地面に転落し、半身不随になってしまう……。

奥野(Vo):絶望だったよね、最初は。少しよくなって車椅子に乗れるようになってから、所沢の大きいリハビリ病院に移って、初めて誰もいないところで声を出してみたんだよ。そこで俺、初めてボロ泣きした。腹筋が使えないから、全然声が出ないし、音程も取れない。どん底だったよ。本当に悲しかった。

―生きがいを完全に失ってしまった感覚でしょうか。

奥野:うん、やっぱり声で食ってきたからね。歌もそうだけど、CMもやってたし、役者もやってたし。全部声だったから。 でも、先生から「腹を押せば声が出るんだよ」とか教わって、一緒に色々考えて。シートベルトでぎゅっと腹を締めて、腹筋をコントロールすることで、声が伸びたり音程が取れたりするようになった。それができるようになったときは、すっごく嬉しかったね。最後に歌だけは残っていてよかった。

奥野敦士
奥野敦士

―声が出ないと自覚してどん底を感じたときって、「それでも生きていてよかった」って思えたのか、それとももっとネガティブに考えてしまったのか……どちらでしたか?

奥野:そんなネガティブに思わないよ! ちょっと練習して声が出たら、もうそこからずっとポジティブになったね。「なんだ、やればできるじゃん!」って。なんでも挑戦していこう、やれることは自分なりに研究してやっていこう、という気持ち。もともとできていたことができなくなっているわけだから、悔しいじゃん? でも、なんでも考えればできるんだよね。そうやって生きていると楽しいよ。

―声が出なかった状態から、コンサートホールでライブができる状態にまでなられたわけですもんね。

奥野:障害者のなかには、結構やる気なくしちゃった奴らも多いんだよね。俺はたまたま音楽の仕事をしてたから、歌えるっていうのがあるけど、この手でパソコンとかiPadとかも触れるようになったし、なにかしら方法を見つければできることは色々あるんだよ。可能性を見つけてほしいなって思う。

解散したとき、俺は奥野のことが大っ嫌いになったから……嫌いの対象のままでいてほしかった。(香川)

―事故から2年後、ルイ・アームストロングの“WHAT A WONDERFUL WORLD(邦題:この素晴らしき世界)”をカバーし、YouTubeにアップされています。

奥野:選曲よかったよね!(笑)

香川:ああ、いやらしい選曲だなと思ったよ(笑)。ただ、まあ、はまってるよね。

―ここで歌われている<この世界はなんて素晴らしいんだろう>ということを、当時の奥野さんは、噓偽りなく、本心で思っていらっしゃったんですね。

奥野:そういう気持ちだったんだよね。あの映像は、「ここまで復活できました」という、ファンの人に向けたメッセージだった。SNSとかブログとかの書き込みにすごく励まされていたんだよね。本当に周りの人のおかげでモチベーションを保てていたから、その分お返ししなきゃなって思ってた。

―その映像を、香川さんはどう受け止めたのでしょう?

香川:個人的にはその映像を見たいと思わなかったから、あえて見なかったし、ずっと見ないでいようと思ってた。周りの奴らから、「泣いちゃったよ」「感動するんだよ」とか言われて、「香川も見た方がいいよ」って言われれば言われるほど、「これはだめだな」と思って。言葉にするのが難しいんだけど……たった1回行ったお見舞いも、行かなきゃよかったと思ったもんね。

―同情が湧いてしまうから、ですか?

香川:俺は結局普通の人間だから、「可哀想に」って思っちゃうんだよね。ただ、解散したとき、俺は奥野のことが大っ嫌いになったから、その大っ嫌いな奴に「可哀想」という感情が湧いちゃうこと自体が不自然で……嫌いの対象のままでいてほしかった。

Page 1
次へ

番組情報

『G-Beat Gig Box 2016』

2016年8月21日(日)20:00~22:00にフジテレビNEXT ライブ・プレミアム、フジテレビNEXTsmartで放送
出演:
ROGUE
Mr.Children
クレイジーケンバンド
FLYING KIDS
JUN SKY WALKER(S)

リリース情報

ROGUE
『DESOLATION ANGELS』(CD)

2016年10月19日(水)発売
価格:2,000円(税込)
FSCT-1003

プロフィール

ROGUE
ROGUE(ろーぐ)

メンバーは、奥野敦士(Vo)、香川誠(Gt,Cho)、西山史晃(Ba,Cho)、深沢靖明(Dr,Cho)。1982年10月、ROGUE結成。1986年デビュー。1990年、解散。2013年10月19日、グリーンドーム前橋『GBGB2013』でROGUE再結成。アンコールを含め7曲演奏。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

Teen Daze“First Rain with S. Carey”

今年2月に発表されたアルバム『Themes for Dying Earth』より新たなPVが公開。Bon IverのバンドメンバーS・キャリーをフィーチャーした同曲。自然が発する壮大なエネルギーと、見知らぬ男女が出会い、互いの心に触れようとする様子が美しく紡ぎ出されている。(飯嶋)