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世間に誤解されてきた戸川純、貪欲に生き抜いてきた35年を語る

世間に誤解されてきた戸川純、貪欲に生き抜いてきた35年を語る

戸川純 with Vampillia『わたしが鳴こうホトトギス』
インタビュー・テキスト
金子厚武
編集:山元翔一
2016/12/27
  • 1067

これからまたどうなっていくかわからないけど、いろんな影響を受けたいし、自分の価値観を全部壊してくれるような人に会いたい。

―戸川さんの表現の根底には「諦念」が色濃く流れていて、でもそれが大きな原動力にもなっている。ここまでお話を伺ってそう感じました。現代は社会状況の変化もあって、若くして諦念を抱えている人が昔よりも多いように思いますが、そんな人たちに声をかけるとしたら、どんな言葉を伝えますか?

戸川:そうですね……例えば、いじめを苦に自殺をする前に、誰かに全部話して転校するか、あるいはひたすら我慢して卒業を待つか……私がそうだったので、今が苦しくてもその苦しみは「一生続くわけじゃない」ってことしか言えない。あくまで慰めですよね。「こうしたらいい」は言えない。

ただ、意外と運って変わるものなんですよ。少なくとも私はそうだった。自分を例にすることでしか説得力はないから、結局歌手活動と同じで、「少なくとも、私はこうだから」って言って、何かを感じとって共鳴してくれる人に届けばっていう感じ。共鳴をしてもらえなかったら、何もできません。手も足も出ないです。どんな人の自殺も止められたら、神になっちゃいますからね(笑)。

2003年に撮影されたライブ写真 撮影:池田敬太
2003年に撮影されたライブ写真 撮影:池田敬太

―それはそうですよね(笑)。

戸川:ただ、少なくとも私は、生きててよかったなってしみじみ思いますね、本当に。これからまたどうなっていくかわからないけど、いろんな影響を受けたいし、自分の価値観を全部壊してくれるような人に会いたい。まだまだそういう柔軟性もありますよ。

―今回のアルバムに関しても、Vampilliaとの出会いがあったからこそできたし、結果的に「これからも歌手を続ける」という意志のこもった作品になったわけですもんね。

戸川:“赤い戦車”は「生きる」ってことがテーマなんですけど、“わたしが鳴こうホトトギス”は「歌う」っていうことがテーマになってて、「私は歌うことにこんな執着があるんだな」って、改めて気づかされました。もちろん、女優に戻ることも諦めてなくて、今はライブと演技がちゃんと両立できるように、リハビリを必死に頑張ってる途中なんです。

――戸川さんの「生きる」という想いの背景にあるのは、「もう一度女優をやりたい」という願いなのでしょうか?

戸川:いえ、純粋に「生きる」ということに対する執着です。その後押しをしてくれたのが女優であり、歌手でもあるんです。だけどやっぱり、私がここまで生きてこれたことに対して、「純ちゃんは運がよかったから」って言われたら何も言い返せないのは、小さいころからずっと「女優」っていう目標と、生きがいがあったからなんですよね。途中から、そこに「歌手」も加わってきて、これをどっちもやりたいと思うようになった。だから、生きるモチベーションが人よりも強いのかもしれないですね。「諦念ですらもポップに歌ってしまおう」みたいな(笑)。

17歳、女優前夜の戸川純
17歳、女優前夜の戸川純

―諦念を抱えていても絶望しないのは目標があったからこそ、なんですね。

戸川:そう思います。私、「自分探し」っていう言葉が好きじゃないんです。私の場合、「自分」っていうものが子どものころから見つかっちゃって見つかっちゃってしょうがなかったから、探したことないんですよ。

でも、そういう言葉が使われるようになってきたってことは、探さないと見つからない人もいるってことなんですよね。そう思うと、大変だろうなって思います。私も一度死に引っ張られたことがあったし、結果的にそこには運もあったと思うけど、やっぱりやりたいことがあったし、これまでやってきたことに満足してないから、生き延びられたんじゃないかなって思うんですよね。やりきったと自分で頂点を決めてしまったら、そこまでだったとも思いますし。

―そもそも「女優をやりたい」と思ったのはなぜだったんですか?

戸川:それに関しては……小さいころからいじめられてたし、家庭内でもひどい仕打ちを受けてたこともあったから、どこかで「私も生きてるんだ」っていう想いを説明したい気持ちがあったんだと思います。それで「表現」っていうものへの欲が小さいころから培われてきて、結果的に女優と歌手になった。

人によっては、その想いがキャンバスに向かったり、原稿用紙に向かったりするんだと思うけど、私は体で表現する方が向いてたんです。やっぱり、伝えたいことがいっぱいあって、それを全部表現したい、そういう想いが強くあるんだと思いますね。

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リリース情報

戸川純 with Vampillia『わたしが鳴こうホトトギス』
戸川純 with Vampillia
『わたしが鳴こうホトトギス』(CD)

2016年12月14日(水)発売
価格:2,916円(税込)
VBR-038

1. 赤い戦車
2. 好き好き大好き
3. バーバラ・セクサロイド
4. 肉屋のように
5. 蛹化の女
6. 12階の一番奥
7. 諦念プシガンガ
8. Men's Junan
9. わたしが鳴こうホトトギス
10. 怒濤の恋愛

書籍情報

『戸川純全歌詞解説集――疾風怒濤ときどき晴れ』
『戸川純全歌詞解説集――疾風怒濤ときどき晴れ』

2016年11月25日(金)発売
著者:戸川純
価格:2,484円(税込)
発行:P-VINE

リリース情報

ゲルニカ『改造への躍動~特別拡大版~』
ゲルニカ
『改造への躍動~特別拡大版~』(CD)

2016年12月21日(水)発売
価格:2,500円(税込)
MHCL-30425

1. ブレヘメン
2. カフェ・ド・サヰコ
3. 工場見學
4. 夢の山嶽地帯
5. 動力の姫
6. 落日
7. 復興の唄
8. 潜水艦
9. 大油田交響楽
10. スケエテヰング・リンク
11. 曙
12. 銀輪は唄う
13. マロニエ読本
14. 夢の端々
15. マロニエ読本(Remix Version)
16. 工場見學(オリジナル・カラオケ)
17. 銀輪は唄う(オリジナル・カラオケ)
18. マロニエ読本(オリジナル・カラオケ)
19. 夢の端々(オリジナル・カラオケ)

戸川純『玉姫様』
戸川純 『玉姫様』(CD)

2016年12月21日(水)発売
価格:2,500円(税込)
MHCL-30426

1. 怒濤の恋愛
2. 諦念プシガンガ
3. 昆虫軍
4. 憂悶の戯画
5. 隣りの印度人
6. 玉姫様
7. 森の人々
8. 踊れない
9. 蛹化(むし)の女

戸川純とヤプーズ『裏玉姫』
戸川純とヤプーズ
『裏玉姫』(CD)

2016年12月21日(水)発売
価格:2,500円(税込)
MHCL-30427

1. OVERTURE
2. 玉姫様
3. ベビーラヴ
4. 踊れない
5. 涙のメカニズム
6. 電車でGO
7. ロマンス娘
8. 隣りの印度人
9. 昆虫軍
10. パンク蛹化の女

戸川純ユニット『極東慰安唱歌』
戸川純ユニット
『極東慰安唱歌』(CD)

2016年12月21日(水)発売
価格:2,500円(税込)
MHCL-30428

1. 眼球綺譚
2. 海ヤカラ
3. 戸山小学校校歌~赤組のうた
4. 無題
5. 家畜海峡
6. 人間合格
7. 極東花嫁
8. ある晴れた日
9. 極東慰安唱歌
10. 勅使河原美加の半生
11. 夢見る約束

戸川純『好き好き大好き』
戸川純
『好き好き大好き』(CD)

2016年12月21日(水)発売
価格:2,500円(税込)
MHCL-30429

1. ヘリクツBOY
2. 好き好き大好き
3. エンジェル・ベイビー
4. さよならをおしえて
5. 図形の恋
6. オーロラ B
7. 恋のコリーダ
8. 遅咲きガール

戸川純『東京の野蛮』
戸川純
『東京の野蛮』

2016年12月21日(水)発売
価格:2,500円(税込)
MHCL-30430

1. さよならをおしえて
2. 海ヤカラ
3. 母子受精
4. 諦念プシガンガ
5. 蛹化の女
6. パンク蛹化の女
7. 遅咲きガール
8. 極東慰安唱歌
9. 眼球綺譚
10. 玉姫様
11. レーダーマン
12. 怒濤の恋愛

イベント情報

『戸川純35周年記念LIVE「わたしが鳴こうホトトギス」』

2017年1月13日(金)
会場:東京都 恵比寿 LIQUID ROOM
出演:
戸川純 with Vampillia
Vampillia
and more

2017年1月20日(金)
会場:大阪府 梅田CLUB QUATTRO
出演:
戸川純 with Vampillia
Vampillia
and more

2017年2月1日(水)
会場:東京都 新宿LOFT
出演:
戸川純(ゲスト:ことぶき光、山口慎一)
dip

2017年3月11日(土)
会場:岡山県 岡山 DESPERADO
出演:戸川純

プロフィール

戸川純
戸川純(とがわ じゅん)

女優、歌手。映画、ドラマ、舞台、CMなど出演作多数。CM『TOTOウォシュレット』(1982年から1995年)、映画『釣りバカ日誌』(1作目から7作目)、映画『いかしたベイビー』(1991年。監督・脚本・主演)、近作に二人芝居『ラスト・デイト』(2006年)など。戸川純ソロ名義、ヤプーズとして音楽活動も行っている。作品に『玉姫様』(1984年)、『好き好き大好き』(1985年)、『昭和享年』(1989年)、自選ベスト3枚組『TOGAWA LEGEND』(2008年)など多数。2016年、歌手生活35周年を迎え記念アルバム『わたしが鳴こうホトトギス』を発表。

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ENJOY MUSIC CLUB“そんな夜”

原案脚本を手がけるバカリズムと、二階堂ふみ、オードリー若林の三人が出演する日本テレビ系ドラマ『住住』の主題歌“そんな夜”のPVが公開。何でもない平凡な日々にひそむ、ささやかなトキメキやきらめきをぎゅっと捉えるENJOY MUSIC CLUBの歌とラップがたまらないです。何かが始まりそうで何も始まらない、さえないけど愛おしい、そんな毎日を肯定する3分半の魔法が詰まっている。(山元)