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NY在住の挾間美帆が、革新起きるビッグバンドジャズシーンを語る

NY在住の挾間美帆が、革新起きるビッグバンドジャズシーンを語る

『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017』
インタビュー・テキスト
柳樂光隆
編集:宮原朋之

ずっと好きだったし、いつか自分も出たいと思っていた『ラ・フォル・ジュルネ』に売り込んだのが出演のきっかけなんです。

―今回、挾間さんが出演されるクラシックの音楽祭『ラ・フォル・ジュルネ』のことはよくご存じだそうですね。

挾間:中学生や高校生のおこづかいで行けるクラシックコンサートって限られている中で、大きいコンサートですごい有名な人が出ているのに安い金額で観られて、『ラ・フォル・ジュルネ』はすごいと思いながら行ってましたね。

『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017』ビジュアル
『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017』ビジュアル

―ちなみに今回の『ラ・フォル・ジュルネ』に出演されることになったのはどういう経緯ですか?

挾間:実は、私から『ラ・フォル・ジュルネ』に売り込んだのがきっかけなんです。ずっと好きだったし、いつか自分も出たいと思っていたんですよね。

自分一人で作曲家、アレンジャーとしてできることをいつも考えているんです。今年はNYのバレエのための作品を書くっていうことが決まっていたので、せっかくだし、その音楽を日本でもお披露目したいなって思った時に、来年の『ラ・フォル・ジュルネ』のテーマがダンスらしいと話を聞いたんです。それで、企画書を送って、話を聞いてもらったんですね。

『ラ・フォル・ジュルネ』みたいなクラシックのフェスティバルは、私の名前も知らないだろうし、作品も新作だし、全く期待してなかったんですよ(笑)。クラシックのフェスなので、演奏してもらうグループの第一希望に「シエナ・ウィンド・オーケストラ」って書いてたら、フェスティバルのアーティスティック・ディレクターのルネ・マルタンさんがシエナの大ファンで、企画を気に入ってくださったみたいです。

―自分で売り込んだっていうのは面白いですね。

挾間:作曲していない時期に、基本的に1、2年先のプロジェクトを考えなくてはならないんです。

―ちなみにシエナは吹奏楽ですけど、元々のバレエ用の音楽はジャズなので編成は違うんですよね。

挾間:バレエ用の音楽はビッグバンド編成ですね。でも作曲を始めた時点で、シエナ・ウィンド・オーケストラでもやるかもしれないって考えていたんです。ちなみに私は吹奏楽にドラムを入れるのは好きじゃないので、ドラムを入れなくても曲になるようなものを想定して書いていました。だから、やりやすかったです。

―その最初のバレエのための曲を書くことになった経緯はどんなことだったんでしょう?

挾間:NYシティーバレエのオーケストラの首席コントラバス奏者、ロン・ワッサーマンがすごくジャズが好きな人で、いつか自分のジャズのバンドを持って、自分の曲を演奏するのが夢だと言ってるような人なんです。彼と一緒に演奏する機会があった時に意気投合して、ビッグバンドやりたいならやろうよ、って話になって。

そこから、ロンがNYシティーバレエのプリンシパル(バレエ団の主役級を務めるトップダンサー)のアシュリー・バウダーにビッグバンドの話をしてくれたんです。彼女はその頃、結婚も出産も控えていて、大変なスケジュールなのは目に見えていたんですが、自分のバレエ団のプロジェクトでも定期的に公演をする意欲があるから、やりたいって言ってくれて。2015年から1年かけて準備をして、今年の3月にNYで公演をやりました。

NYでの『The DANCE』初演時の様子 Photo by Tokiwa Takehiko
NYでの『The DANCE』初演時の様子 Photo by Tokiwa Takehiko

自分だったらこういう曲に合わせて踊りたいなって思う曲を書いた。

―バレエのための曲の制作は、どういうプロセスで進めるのでしょうか?

挾間:まず、私が世界中のトラディショナルなダンスをリストアップして、どうしてそのダンスなのか、どういうダンスなのかを書いたものを彼女に送りました。その中からアシュリーが4つ選んで、このダンスはこういう曲の感じがいいとか、これは男の人が踊るからこういう感じの曲にしてほしいとか、全体の時間はこのくらいとか、そういうリクエストを書いて送り返してくれました。そのリクエストをそのまま反映させて、曲にしていきましたね。

―なるほど。

挾間:でも、私は元々のトラディショナルなダンスをそのまま真似するのは嫌だったので、その中の要素を抽出して、インスピレーションの一部として活用するだけにしました。例えば、1曲目の“Warrior 鼓舞”はアフリカのマサイ族の踊りなんです。本物の踊りはジャンプのコンテストなので、踊りっていうかジャンプしているだけみたいな感じなんです。

解りやすいメロディーもないし、太鼓だけだし、音楽的にもダンス的にもかなり限られた要素しかないんです。ジャンプが多くて、勇ましい感じのバレエにするから、曲もそれに合う勇ましくて緊張感がある感じがいいよねとか、そういう感じで進めていきました。

―他に印象に残っている曲はありますか?

挾間:2曲目の“Harvest 収穫”は朝鮮族の収穫祭の音楽を参考にしました。コード進行を分析してみたらすごく新鮮で、こんなコードの使いかたは今までに経験がなかったのですが、意外とジャズにぴったりだったんです。そのコード進行を活かしたりしながら、楽しみながら咀嚼して解釈しながら作曲してましたね。

―バレエのために曲を書くのが夢だったとTwitterで拝見しました。それはなぜだったんでしょう?

挾間:私は6歳くらいからずっとモダンバレエを習っていて、実は大学3年の途中まで続けていました。全然上手じゃないし、身体も堅いんですけどね。高校の頃には、私が電子オルガンで作った曲に合わせて、モダンバレエの先生に振り付けをしてもらって発表会をしたりもしていて。だから、自分だったらこういう曲に合わせて踊りたいなって思った曲を書いた部分もあります。

―今年の『ラ・フォル・ジュルネ』は「ラ・ダンス 舞曲の祭典」だから、挾間さんにぴったりのコンセプトだったんですね。

挾間:踊りにハマったからPerfumeを好きになったっていうのもあるし、今でも踊りを見るの大好きですね。だから、『ラ・フォル・ジュルネ』がこのコンセプトで開催されるのはうれしいし、出演できるのは超ラッキーです。

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イベント情報

『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017「ラ・ダンス 舞曲の祭典」』

2017年5月4日(木・祝)~5月6日(土)
会場:東京都 有楽町 東京国際フォーラム、大手町・丸の内・有楽町エリア
出演:
ネルソン・ゲルナー
レミ・ジュニエ
小曽根真
フランス国立ロワール管弦楽団
オーベルニュ室内管弦楽団
ウラル・フィルハーモニー管弦楽団
シンフォニア・ヴァルソヴィア
新日本フィルハーモニー交響楽団
林英哲
シモーネ・ルビノ
挾間美帆
渋さ知らズオーケストラ
Tembembe
and more

『JAZZ AUDITORIA 2017 in WATERRAS(ジャズ・オーディトリア 2017 イン ワテラス)』

2017年4月28日(金)
会場:東京都 御茶ノ水 ワテラス広場 野外特設ステージ(御茶ノ水駅徒歩3分)
出演:
挾間美帆 plus十(10人の先鋭ジャズプレイヤーとの共演)
料金:無料

プロフィール

挾間美帆
挾間美帆(はざま みほ)

1986年生まれ。国立音楽大学(クラシック作曲専攻)在学中より作編曲活動を行ない、これまでに山下洋輔、モルゴーア・クァルテット、東京フィルハーモニー交響楽団、シエナ・ウインド・オーケストラ、ヤマハ吹奏楽団、NHKドラマ「ランチのアッコちゃん」、大西順子、須川展也などに作曲作品を提供。また、坂本龍一、鷺巣詩郎、グラミー賞受賞音楽家であるヴィンス・メンドーサ、メトロポールオーケストラ、NHK「歌謡チャリティコンサート」など多岐にわたり編曲作品を提供する。そして、テレビ朝日系「題名のない音楽会」出演や、ニューヨーク・ジャズハーモニックのアシスタント・アーティスティック・ディレクター就任など、国内外を問わず幅広く活動している。

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ぼくのりりっくのぼうよみ、小山薫堂らからも注目される19歳のハンドパン奏者・久保田リョウヘイの“RISING”のPV。自然に溶け込むような佇まいから生み出される、まるみのある幽玄的なサウンドと情熱的なビートに身をもたげたくなる。演奏はYouTubeを見て独学で学んだらしい。圧巻です。(飯嶋)