「信じること」と「疑うこと」を問い直すアート展『Doubtfulness』がSIGNALで開催

アート展『Doubtfulness』が10月10日から虎ノ門・SIGNALで開催される。

社会課題のリサーチ・提示を目的に9月に虎ノ門にオープンしたSIGNALは、SIGNING企画、プロデュースによるソーシャルイシューギャラリー。アートを鑑賞し、顕在化していない社会課題と向き合う機会を提供するだけでなく、社会課題を表現したアートを鑑賞することで湧き上がる来場者の想いがアンケートによりアウトプットされ、そのアウトプットの集合体を様々な角度で「兆し」として取り扱い、社会課題解決のアイデアに昇華させていくという。

第1回目の特別展となる同展のテーマは「信じる力」と「疑う力」。現代アーティストの千賀健史による作品と、マーケターの牧貴洋によるリサーチデータの展示を通して、鑑賞者に「何を信じ」「何を疑うのか」を問いかける。キュレーションは田尾圭一郎(田尾企画編集室)。

千賀は「石」「経穴」「バナナ」をモチーフに迷信や神話、習慣をリサーチ。石を浮揚させることで生まれる畏敬の念や、それにまつわるイメージを集めた書籍を模した作品『BELIEF SYSTEM I, STONE : Not the Power of Stones, but the Power of Will』や、石はただの物体として提示される映像作品『石が天体になる時』が展示される。

牧は人々の「信じること」についての意識調査を実施。「人に良い事をするといずれ自分に返ってくる」といった人生訓から、「恐竜は隕石によって絶滅した」といった科学にまつわる質問まで、120項目でアンケートを行ない、「Doubtfulness Map」としてまとめている。

同ギャラリーにはカフェ&バーが併設。オリジナルバーガーやカフェドリンク、自家製レモンサワー、スパイスハイボールなどが用意される。同展を記念した特別ドリンクメニューも展開予定。

【千賀健史のステートメント】
かつて私達は自然を崇拝し、呪術を信じ、儀式を行ってきた。それは現代人にとっては根拠に乏しく、間違いとされるかもしれない。生贄を捧げなくとも陽は昇るし、祈りで大砲の方角を曲げる事はできないし、死んだ人を生き返らせる事はできない。しかし、私たちが信じる根拠も1000年先では愚かな知恵かもしれない。そんな中でも人類の幼年期から現代、そして未来にわたって変わらないものが「信じる」という行為の中にあるのではないだろうか。幼い頃、頭をぶつけて泣きじゃくる私を母が抱きしめ撫でた途端に痛みがひいた事。薬と信じてビタミン剤を飲むこと。毎朝の星占い。パワースポット巡り。仕事前のルーティン。それそのものが科学的に求める効果をもっていなくても、信じる事が心身にポジティブな作用を引き起こす。それは気のせいでは無い。その効果はハーバード大卒の医学博士アンドルー・ワイルも著書「癒す心、治る力」の中で言及している。イメージする事、そして信じる事は免疫力を向上させ、集中力をあげ、前向きな気持ちにし、安心感を与え、痛みを和らげる。本作は、そのような信じる事、イメージする事について私たちがどのように作り出し、受容し、恩恵に預かることができるかという事をさまざまな説を通じて実験する場となっている。

【牧貴洋のステートメント】
“ファクトフルネス”(真実かどうか)と、“ダウトフルネス”(信じるかどうか)
事実無根の主張があたかも真実として支持を集める。根拠に基づいた正しい情報が、語る人の印象だけで疑わしいものとして糾弾される。デジタル化が進む現代において、情報の「真偽」を判定することの難しさはどんどん高まっています。目に触れた情報を鵜呑みにせず、“ファクトフル”に物事を捉えて真偽を判定していく態度はもちろん大切ですが、そもそも私たちがふだんの暮らしの中で触れる情報の多くは、真偽の確かめようのない“ダウトフル”なものがほとんどという側面も。だとするならば、結局の所、その人が“ダウトフル”なものと向き合いながら、その中で「何を信じ、何を疑うか」という意志や想像力が、その人それぞれの「真実の人生」を作っているということでしかないのかもしれません。これからの時代に私たちに必要なのは、自分にとっての“真実”を見つけて人生を楽しむと同時に、他人にとっての“真実”を認め、心地よく共存していこうとする姿勢なのではないでしょうか。本展示では、そんな多様性の時代の新しい情報リテラシー、“ダウトフルネス”をテーマに、何を信じるか?何を信じたいか?何を信じる人生が幸せなのか?を、見るものに問いかけていきます。

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