川島小鳥が撮る台湾・基隆。シンガー9m88が夜市から音楽バーまで散歩

台北から車で30分と、日帰りでも気軽にアプローチできる台湾北部の港町・基隆(ジーロン)。変化の早い大都市からは消えてしまいつつある昔の台湾の雰囲気を残しながら、ここ数年の間にUターンの若者が戻り、お店をオープンしたりアート活動を始めたりと、姿を変えつつある一面も。

今回そんな基隆を旅したのは、台北出身のソウルシンガー・9m88さん。台湾の若者にいま絶大な人気を誇り、2019年には日本の音楽フェス『SUMMER SONIC』にも出演した彼女を、台湾通としても知られるフォトグラファー・川島小鳥さんが撮りました。

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

昔ながらの『仁愛市場』に店をかまえるカフェ『多好珈琲店』

まず訪れたのは、基隆駅から徒歩10分ほどの場所にあるマーケット『仁愛(ジンアイ)市場』。日本統治時代、すなわち戦前から続く、歴史ある市場です。

地元の人々でにぎわうこの市場は、1階が生鮮食品市場。2階にはインドアの屋台からジュエリーショップ、占い、美容室まで、じつに300を超える店がところせましと軒を連ねるカオスな空間。こうした昔ながらの市場は、台北などの大都市からはほとんどなくなってしまった、いまでは貴重な場所です。

2階はとにかくびっしりと店舗が並び、まるで迷路のよう。まずは美顔からネイルまでなんでもメニューにあるビューティーサロン『尖頂』に入ってみます。26年の老舗で、ネイルを塗ってもらう9m88さん。

30年余続く牛肉麺店『美華牛肉麵』では、すぐ近くを人が行き交うにぎやかな空間で、温かいスープに舌鼓。

そんな2階の真ん中に、おしゃれなカフェ『多好珈琲店』がありました。「ちょっと座ってコーヒーでもいかが?」。オーナー安安さんの弾けるような笑顔に誘われて、休憩することに。

安安さんは台北のカフェで働いたあとに、地元の基隆に戻って自分のお店をオープンしたそう。『こんなローカルな市場にカフェを開いて、やっていけるの?』と最初は心配されていたんですが、いまでは子どもからお年寄り、いろんな方が来てくれます

市場は小さい頃によく母に連れられて行っていたけど、昔はそんなにきれいじゃなかったような。ここには、こんなおしゃれなカフェまであるなんて!。9m88さんのなかでも、市場のイメージが変わったみたい。

古着ショッピングとスイーツを同時に満喫『空白服飾』『金派甜点』

次に訪れたのは、『仁愛市場』から徒歩3分ほどの裏路地にひっそりと佇む、若者に人気のショップ。2階が古着店『空白服飾』、3階がパティスリー『金派甜点』というユニークな組み合わせで、どちらも同じオーナーが経営しているんです。

大学ではファッション専攻だった9m88さん、「基隆にこんなおしゃれな古着屋さんがあったなんて!」と嬉しそう。

古着好きの小鳥さんは即、丸眼鏡をお買い上げ。「以前の台湾はヴィンテージだと日本からの輸入ものが多かったけど、ここは各国からのアイテムがそろっていて、進化を感じる」と小鳥さん。

ショッピングを終えて3階に上がると、オーナーこだわりの個性的なインテリアのなかで、手づくりのスイーツを味わえます。

「しっかりつくられていて甘過ぎず、とっても美味しかった! 買い物も休憩も両方できる、複合店っていうスタイルがいいね」と、満喫できた様子の9m88さん。

「台北だとこういうおしゃれなカフェには若者ばかりだけど、ここには家族連れもいたりして新鮮だった」と、小鳥さんも基隆ならではの雰囲気を感じたようです。

『空白服飾』の看板猫は李真愉ちゃん。「フルネームの猫ちゃんなんて、珍しい!(笑)」と9m88さん。港町だからか基隆にはとにかく猫が多くて、漁港に、市場に、洋服店にと、生活に猫が溶け込んでいました。

美味しさに定評アリの『廟口夜市』。台北から食べにくる台湾人も

日が暮れて来たので、歩いて2分ほどのすぐ近くにある『廟口(ミャオコウ)夜市』へ向かいます。こちらの夜市は、基隆観光の大きな目玉のひとつ。名前のとおり、夜市のなかに廟(お寺)があります。

観光地というより、地元の人の生活の一部として発展してきた『廟口夜市』。台湾の人々のあいだでも屋台の味に定評があるそうで、そのためにわざわざ台北からやって来る人もいるといいます。

つるんとしたゼリーのようなスイーツ「愛玉子(オーギョーチ)」の屋台で、ジンジャードリンクを買った9m88さん。シンガーの仕事は喉が大事だから、よく飲むのだそう。

スタイル抜群の9m88さんに健康法を聞いてみると、週に数回、ジムでマンツーマンのトレーニングを受けはじめたといいます。

「ステージで何曲歌っても疲れないような体力と、歌唱力をつけたいと思って。実際、前は2、3曲歌い終わると疲れていたけど、いまは7曲くらいまでいけるようになったのよ」

ジンジャードリンクを片手に凛と歩く9m88さんを追って、最後のスポットに向かいます。

音楽好きのローカルが夜な夜な集まるバー『人參民謠小屋』

デイトリップの最後に立ち寄ったのは、2016年のオープン以来、基隆でいま最もヒップなバー『人參民謠小屋』。とても見つけにくい路地裏にありながら、夜が更けるにつれて基隆の若者たちがどんどん集まってきます。

『人參民謠小屋』は、ジンを愛するオーナーのおすすめカクテルとともに、毎週金曜日・土曜日に開催される音楽イベントも楽しめるミュージックバー。イベントのない日は、お客さん自身が自由にギターを弾いたり歌ったり。音楽好きな人同士で、夜な夜な盛り上がります。

基隆を歩き回った一日の終わり、「ついにお酒が飲める!」と9m88さんも嬉しそう。あらためて、基隆の感想を聞いてみました。

「基隆には夜市に遊びに来たことがあるくらいだったけど、今回新しい顔をたくさん見られて楽しかった。ニューヨークへの留学から戻って以来、台湾各地の美しい場所でMVを撮影したりもしているので、今度基隆で撮影してみてもいいかもしれないですね」

今回の基隆ロケでは、どこに行っても瞬時にファンに囲まれてしまうほど人気の9m88さん。そんな彼女が支持される理由のひとつが、特定の事務所に所属せず、衣装から演出まですべて自分でプロデュースしていること。今回は、小鳥さんをイメージしてナチュラルな衣装を用意して撮影に臨んでくれたそうです。

「小鳥さんが自然な私を撮ってくれたので、今日はとても楽しかったです!」

2020年には日本のアーティストとのコラボレーション企画も予定しており、日本との距離がますます近づきそうな9m88さん。いつの日か、基隆を舞台にしたMVが登場するのでしょうか?

今回の特集のメイキング映像

多好珈琲店
住所: 基隆市仁愛區愛三路21號2樓 攤位B31
営業時間: 10:00〜18:00
定休日:
最寄駅: 基隆火車站
URL:https://www.facebook.com/anygoodcoffee/
廟口夜市
住所: 基隆市仁愛區仁三路和愛四路
営業時間: 17:00頃〜23:00頃(各店により異なる / 24時間営業の店も)
定休日:
最寄駅: 基隆火車站
URL:https://www.travelking.com.tw/tourguide/scenery577.html
空白服飾 / 金派甜点
住所: 基隆市仁愛區愛三路75號2樓、3樓
営業時間: 14:00〜22:30(土日祝は12:00〜22:30)
定休日: 不定休
電話番号: 02–2428–2479
最寄駅: 基隆火車站
URL:https://www.facebook.com/%E7%A9%BA%E7%99%BD-211915689231580/
人參民謠小屋
住所: 基隆市仁愛區孝一路34巷2號2樓
営業時間: 19:00〜0:00(金・土曜は翌2:00、日曜は翌1:00まで)
定休日:
最寄駅: 基隆火車站
URL:https://www.facebook.com/GinsengCafe/
基隆への行き方
台北から電車で:台北車站(台北駅)から約45分
台北からバスで:台北MRT市政府駅そばの市府轉運站(台北シティホールバスタミナール)から2088号線・大都會客運(大都會バス)で約30分、または台北MRT圓山駅そばの圓山轉運站(圓山バスタミナール)から1579号線・首都客運(首都バス)で約40分
九份からバスで:788号線・基隆客運(基隆バス)で約50分〜1時間
プロフィール
9m88
9m88

台北生まれ、ニューヨークに留学経験のあるソウルシンガー。2018年12月、日本で限定版7インチ・シングル『九頭身日奈 / Plastic Love』を発売。2019年1月、レコード発売記念ツアーで来日。2019年8月、ファーストアルバム『平庸之上Beyond Mediocrity』をリリースした。

川島小鳥
川島小鳥

写真家。1980年生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科卒業後、沼田元氣氏に師事。作品集に『BABY BABY』(2007)、『未来ちゃん』(2011)、『明星』、谷川俊太郎との共著『おやすみ神たち』(2014)、『ファーストアルバム』、『20歳の頃』(2016)、『愛の台南』(2017)、『道』(2017)、『つきのひかり あいのきざし』(2018)、小橋陽介との共著『飛びます』(2019)、『violet diary』(2019)。最新作に『おはようもしもしあいしてる』。第42回講談社出版文化賞写真賞、第40回木村伊兵衛写真賞を受賞。



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