Apple Girlとして話題 Yeo Hee(ヨヒ)インタビュー

iPhoneを駆使したレディー・ガガ“Poker Face”のカバーがYouTubeで話題を呼び、500万回以上の再生回数を記録している韓国出身のシンガーYeo Hee(ヨヒ)。キュートなルックス、抜群の歌唱力、そしてアップル製品を自在に使いこなすその姿から、ネットユーザーには「Apple Girl」の愛称で親しまれ、国内外で支持者が急増中の注目アーティストだ。そんなヨヒの日本デビューアルバム『Green or Red?』(iTunes Store®限定配信リリース)が発売されるにあたって、彼女に幼少時代から日本デビューまでの道のりをじっくり振り返ってもらった。いかにして「Apple Girl」は生まれたのか? そして、そのネーミングは彼女の音楽にどんな影響を与えたのか? 動画からだけではわからなかった、ヨヒの真の姿を追う。

Apple Girlの誕生

まず早速、注目を集めたきっかけにもなったヨヒの動画をご覧いただきたい。話はそれから始めよう。

歌手になることは、ヨヒの幼い頃からの夢だった。テレビの中の歌手と一緒に歌い踊る毎日を過ごしていたヨヒにとって、「私もあんな風になりたい」という思いは、ごくごく自然に芽生えたものだったと言えるだろう。高校生になるとジャズに興味を持ち、特に生で音楽を作り出すインプロビゼーションの魅力にはまると、学校のテストはそっちのけで、ジャズの歴史ばかりを勉強するようになる。そんなヨヒを見ていた両親は、彼女が音楽の道に進むことに最初は猛反対していたが、テコンドーや水泳など、他の習い事はすぐに放り出してしまう中、唯一音楽だけは続けていたヨヒの熱意に押される形で、彼女の夢をサポートするようになっていった。

こうしてヨヒは本格的に音楽の道へと進むこととなり、有名な役者やミュージシャンを多数輩出している百済芸術大学の実用音楽科に入学。専攻はボーカルだったが、理論と実技を同時に学ぶ中で作詞作曲にも興味を持ち始め、高校時代から始めたジャズピアノに加え、ギターにもチャレンジ。同じように音楽の道を志す友人たちからも大きな刺激を受ける、充実した日々を送っていた。そんな中で、彼女はYouTubeに映像をアップすることを始める。

ヨヒ:今韓国は自分からアピールをする時代だから、私も歌手になるために何かしなきゃと思って。ジャスティン・ビーバーもそうだったじゃないですか? それで、最初の頃はピアノを弾きながら歌う映像をアップしていました。

Yeo Hee
Yeo Hee

ジャスティン・ビーバーのことはすでに多くの方がご存知だろうが、カナダ出身のシンガーで、いまだ18歳ながら、すでに3枚のアルバムをビルボードのトップに送り込んでいる若きスーパースターである。彼が注目を集めるきっかけとなったのは、12歳のときにR&Bのヒット曲を歌ったホームビデオをYouTubeにアップしたこと。それ以降、アッシャーやNe-Yo、スティービー・ワンダーやマイケル・ジャクソンらのカバーを次々とアップし、2008年にレコード会社との契約へと至ったのだ。

ジャスティンの成功以降、歌手を目指す無名の若者にとって、YouTubeは重要なアピールの場のひとつとなった。日本でも、今年デビューアルバムを発表した山根万理奈などがYouTube経由で話題となったが、それは韓国でも同じこと。いや、ヨヒの語り口を聞いていると、韓国ではYouTubeを利用することは日本以上にポピュラーなことのようである。ヨヒははじめページビューも意識して、アイドルの曲をアレンジして歌い、韓国国内ではすでに話題となっていたそうだが、彼女の名前が世界に知れ渡るきっかけとなったのは、iPhone4台を駆使したレディー・ガガ“Poker Face”のカバーだった。

韓国でiPhoneが発売されたのは2009年の11月だったが、ヨヒはそれ以前からiPadユーザーであり、音楽関連のアプリケーションはすでに使いこなしていただけに、発売後すぐに購入したiPhoneで音楽を演奏することも決して難しいことではなかったという。しかし、この動画がアップされると、そのアイデアの面白さ、選曲の知名度に、ヨヒ自身のキュートなキャラクターも手伝って、国内外100以上の国からアクセスが殺到、今では累計500万回以上の再生回数を記録している。

ヨヒ:YouTubeでiPhoneを使って演奏する動画は他にもたくさんあったから、正直ここまで話題になるとは思ってなかったんです。でも、演奏しながら歌うっていうのはたぶん私が初めてだったから、それで興味を持たれのかなって。

Yeo Hee

iPhoneやiPadといったアップルの製品を駆使する姿から、ネットユーザーがヨヒにつけたニックネームは「Apple Girl」。現在YouTubeには昨年亡くなったスティーブ・ジョブス氏に捧げられた、ブルーノ・マーズ“Just The Way You Are”のカバーもアップされている。

イメージとの戦いから、本当のデビューへ

ネットで大きな話題を呼んだ「Apple Girl」は、その勢いそのままにまずは韓国で2010年にデビュー。一見、現代的なシンデレラストーリーのように見えるが、実際はイメージと自身のギャップに対し、かなりのストレスを感じていたという。

ヨヒ:みんなが「Apple Girl」って呼んでくれることはすごく嬉しかったんだけど、そのイメージが広がり過ぎちゃって、私の音楽はそんなにディープじゃないって思われちゃったんです。私は小さい頃から音楽が大好きで、歌手になることが夢で、一生懸命トレーニングも勉強もしてきたのに、どうしても「ああ、あのiPhone使う人でしょ」っていう風に見られちゃって、それはすごく難しかった。

さらには、韓国ではポップスの歌手としてデビューしたため、彼女が本来持っているクリエイター気質、多様な音楽性といったオリジナリティーを十分には出すことができず、それも大きな悩みの種だったという。小さい頃から音楽一筋でやってきたヨヒだが、この頃初めて音楽以外の道も考えたそうだ。

ヨヒ:ストレスがすごく大きくて、ホントに初めて、音楽以外も考えてみたりしました。でもやっぱり、音楽以外は続かないんですよね(笑)。それにストレスでつらいときでも、結局好きな音楽を聴いたら幸せな気分になって、私には音楽しかないなって、改めて思いました。

そんな中で訪れた日本でのデビューという話は、大きなチャレンジであり、大きなチャンスでもあった。実際に来日するまでは「こんにちは」も知らなかったというだけに、ヨヒにとって日本が未知なる環境だったことは間違いない。しかし、基本的にすべての楽曲の作詞作曲に関わり、本来の自分を表現できる形でのデビューというのは、何物にも代えがたいチャンスだったのだ。それから彼女は日本語を猛勉強し、今では日本語で詞を書き、インタビューも通訳が要らないほど。話をしている最中は終始にこやかだったが、その裏には相当な努力家の顔があることは間違いない。

『Green or Red?』 〜子供と大人の狭間で

こうして完成したのが、ヨヒにとっての本当のデビュー作とも言える『Green or Red?』だ。エレクトロ寄りのトラックを軸に、ロックテイストがクールな“You & I”、キュートな魅力が際立つ“SING A SONG”、夢を追いかけることを歌ったバラード調の“Raindrop”など、彼女の多彩な表情がうかがえる、まさに名刺代わりの1枚と言っていいだろう。自分本来の色を出すことによって、多少のジレンマを抱えていた「Apple Girl」のイメージも受け入れ、むしろ有効に活用するタフさをも、今の彼女は身につけている。

ヨヒ:やっぱり最初のアルバムだから、みなさんがよく知ってる私のイメージ、「Apple Girl」のイメージを入れた方がいいと思ったんです。なので、どの曲にもガジェット感が感じられるようにはしていて、曲の雰囲気は全然違うんだけど、サウンドは統一感のあるものになってると思います。

アルバムに先駆けてiTunes Store®限定で先行配信されたシングル“You & I”には、オリジナルバージョンと、ライブバージョンのミュージックビデオを収録。2人の男性メンバーを従え、生のエレキギターをフィーチャーしつつ、彼女自身もiPadを駆使しながら歌うライブバージョンの映像は、“Poker Face”のカバーから格段の飛躍を遂げたものである。ここからは、YouTubeで注目を集めた「Apple Girl」ならではの、視覚要素に対するこだわりが感じられる。



ヨヒ:“You & I”は、一番私のパフォーミングが伝えやすい曲だと思ったんです。ライブバージョンは私が一番最初に曲を作るスケッチの段階に近いから、iPadやiPhoneを使ったプレイもやりやすいんですよね。音を聴いて私を知ってもらって、パフォーマンスを見て私を好きになってくれたら一番嬉しいですね。

“You & I”もそうだが、ネットにアップされているたくさんの動画を見ていて印象的なのは、歌っているときのヨヒの笑顔。歌うことが楽しくてたまらないといった感じのそのとびっきりの笑顔は、現在24歳の彼女が、多くの悩みを抱えながらも、音楽への愛情を貫いてきたことの証明であるかのようだ。

ヨヒ:『Green or Red?』っていうアルバムタイトルは、もちろんアップル(リンゴ)ともかかってるんですけど、子供の無邪気さを表すグリーンと、大人の強さを表すレッドっていう意味があるんです。私はちょうど大人と子供の中間ぐらいの年齢だから、実際にどう受け取るかは聴いたみなさんに決めてもらおうと思って、だから「?」がついてるんです。

Yeo Hee

共感を求めて、思いを込めて

約3万人にフォローされている彼女のTwitterには、「No where.Now here.」と記されている。韓国だけではなく、日本だけでもなく、アメリカも、ヨーロッパも、世界中に広がる彼女の音楽にとって重要なのは、「どこかではなく、今ここにいること」。音楽を奏でるツールも、それを発信するツールもある時代、愛情を失わず、努力を怠らなければ、夢を追いかける権利は誰にだってある。彼女はそんなことを体現しているとも言えよう。

ヨヒ:私が音楽で一番大事だと思うのは、「共感」です。私は本当に大変なときでも、音楽を聴けば明るい気持ちになれました。みなさんも私の音楽を聴いて、同じ気持ちになってもらいたいです。歌手とお客さんが歌を通じて共感することが一番かっこいいと思うから、歌詞も大事ですけど、それ以上に思いを込めて歌うことが大事だと思っています。

Yeo Hee

「サランヘヨ」でも「愛してる」でも「I love you」でも、たとえ言葉の意味がわからなくても、思いを込めて歌えば、きっと気持ちは通じるし、共感できる。“Poker Face”の動画が世界中で話題を呼んだのも、彼女の音楽に対するこの思いが、歌を通じて伝わったからだろう。そして、この思いをもっともっと多くの人に伝えるために、彼女はこれからも活動を続けていく。

ヨヒ:日本で今回のアルバムを準備するときに、初めてMIDIプログラムをやってみて、それが今はすごく新鮮で面白いです。ゆくゆくは人に曲を提供するような、プロデューサーとしての私の姿も見せたいと思っているので、もっともっと勉強して、みなさんにいい音楽をお聴かせしたいですね。

ちなみに、『Green or Red?』という問いに対する僕の答えはグリーン。彼女の人生は、今まさに「進め」に変わったばかりだから。

リリース情報
Yeo hee
『Green or Red?』

2012年11月7日からiTunes store限定配信
価格:1,200円(税込)

1. Tell Me
2. BOOM BOOM
3. Raindrop
4. GO GIRL!
5. HEY
6. SING A SONG
7. You & I

プロフィール
Yeo Hee

1988年10月4日生まれ。学歴、百済芸術大学実用音楽科ボーカル専攻卒業。YouTubeにアップしたレディー・ガガ「Poker・Face」のカバーパフォーマンス動画が国内外100以上の国でアクセス殺到 (500万回view)。Appleの製品である「iPhone」や「iPad」をユニークに使用したことから、ネットユーザーたちに「Apple Girl」と名付けられる。CNNニュース、NHK、 THE SUN(イギリス最大新聞)でも報道され話題に。Ashton Kutcherやゴシップ系のスターPerez Hiltonなどの国外セレブたちの絶賛も浴び、日本においてもtwitterにて「この娘はすごい」とつぶやかれるなど、ネットユーザー、クリエーター等から絶大的な支持を持つ。2012年秋、 ユニバーサル ミュージックよりいよいよ日本デビュー。



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