Alaska Jam、TENDREら出演、自由な音楽家たちが交わった夜

青い髪で清志郎を歌ったシンガー、カメレオン・ライム・ウーピーパイ

2月22日、音楽アプリ「Eggs」とCINRAの共同主催による無料音楽イベント『exPoP!!!!』が、TSUTAYA O-nestにて開催された。

この日のトップバッターは、カメレオン・ライム・ウーピーパイ。2017年2月に上京したばかり、弱冠20歳の女性ソロシンガー、Chi-によるソロユニットだ。

カメレオン・ライム・ウーピーパイ
カメレオン・ライム・ウーピーパイ

エレクトロニックなR&B調のトラックをバックに流しながら、ギターを抱えて歌う姿にはまだ初々しさが残る。だが、手拍子やシンガロングを自ら先導し、フロアを自分の色に染め上げようとする様子からは、なんとしても聴き手を自分の世界に巻き込まんとする、シンガーとしての野性を感じさせた。

カメレオン・ライム・ウーピーパイ
カメレオン・ライム・ウーピーパイの楽曲を聴く(Eggsを開く

カメレオン・ライム・ウーピーパイ

上京時、たった1曲の持ち歌としてストリートで歌い続けてきた、忌野清志郎 / ザ・タイマーズバージョン(原曲はThe Monkees)の“デイ・ドリーム・ビリーバー”も弾き語りで披露。そのダイレクトな響きが、とても印象的だった。

カメレオン・ライム・ウーピーパイ

カメレオン・ライム・ウーピーパイ

ギターノイズでリアルな心模様を描き出す、若きシューゲイザーLuby Sparks

続いて登場したのは現役大学生によるロックバンド、Luby Sparks。既にイギリスで開催されるフェス『Indietracks Festival 2017』に出演、さらに国内でもYuckやThe Pains of Being Pure at Heartなどの海外勢と共演している5人組だ。

Luby Sparks
Luby Sparks

Natsuki(Ba,Vo)
Natsuki(Ba,Vo)

Sunao(Gt)
Sunao(Gt)

演奏が始まるやいなや、音が発光しているかのような眩いばかりのメロディーとノイズがフロア全体を覆った。Luby Sparksが奏でるノイズロックには、痛み、孤独、蒼さ……そういった、大きなものに掻き消されてしまいそうな個人の、小さくて、でも豊かな心の在り様を、そっとすくい上げるような穏やかさがある。

Tamio(Gt)
Tamio(Gt)

Emily(Vo)。『exPoP!!!!! Vol.106』の翌日、2月23日のライブをもって脱退したことが発表された
Emily(Vo)。『exPoP!!!!! Vol.106』の翌日、2月23日のライブをもって脱退したことが発表された

Shin(Dr)
Shin(Dr)

ラストを飾った“Teenage Squash”のアウトロで鳴り響いたギターノイズに、懐古ではなく、いまをリアルに生きる若きシューゲイザーたちの鼓動を聴いた。

Luby Sparks

Luby Sparks

Yasei CollectiveとCICADAのリズム隊を迎えた、showmoreの艶やかなポップス

3番手にステージに上がったのは、新世代ポップユニットshowmore。この日は、メンバーの根津まなみ(Vo)と井上惇志(Key)に加えて、サポートには、ベースに中西道彦(Yasei Collective)、ドラムに櫃田良輔(CICADA)を迎えたバンドセットで登場。

根津まなみ(showmore / Vo)
根津まなみ(showmore / Vo)

井上惇志(showmore / Key)
井上惇志(showmore / Key)

中西道彦(Yasei Collective)
中西道彦(Yasei Collective)

櫃田良輔(CICADA)
櫃田良輔(CICADA)

ジャズ、ヒップホップ、R&Bなどを自由に、柔軟に咀嚼しながら生み出されるジャンルレスでモダンな感性のポップスがshowmoreの持ち味。冒頭“dryice”から、その夜風のようなメロウネスが、一気にフロアを浸食する。さらにshowmoreは、根津の描く、心象描写を綴った叙情的な歌詞も味わい深い。

この日、敏腕なリズム隊を迎えたことで生まれる、より太くドープな音像のうえで、根津の艶やかな言葉と歌は、一層、その力強さと波及力を増したように思えた。

showmore

showmore

上品で色気ある立ち居振る舞い、ムーディーな歌でフロアの心を掴んだTENDRE

4番手は、TENDRE。3ピースバンドampelのフロントマンとしても活動する、河原太朗のソロプロジェクトだ。この日は、LUCKY TAPESなどでサポートを務める松浦大樹をドラムに、サックスとシンセに小西遼(CRCK/LCKS)、ベースに亀山拳四朗(Aun Beatz)を加えたバンドセットで登場。

河原太朗(TENDRE)
河原太朗(TENDRE)

松浦大樹
松浦大樹

小西遼(CRCK/LCKS)
小西遼(CRCK/LCKS)

亀山拳四朗(Aun Beatz)
亀山拳四朗(Aun Beatz)

河原はYogee New WavesやKANDYTOWN、Ryohuなどの作品にも参加する才人だが、なぜ彼が周りの音楽仲間から信頼され、愛されるのか。それは彼のステージングを見ればよくわかる。キーボードを奏でる、その指先からも伝わってくるような色気。MCでは饒舌に冗談も飛ばすが、いざ曲が始まれば、そのムーディーでミニマルな音像のなかから「言葉にできないこと」をそっと伝えてくるようだ。

TENDRE

彼がステージにいる間、O-nestにはとても上品で、豊潤な時間が流れた。

河原太朗(TENDRE)

目でも耳でも最高に楽しませる、Alaska Jamのエンターテイメント性

そして、この日のトリを飾ったのは、Alaska Jam。メンバーにはKEYTALKでも活動する小野武正(Gt)、DALLJUB STEP CLUBの森心言(Vo)、そしてMOP of HEADでも活動する山下賢(Dr)を擁する4ピースバンドだ。

Alaska Jam
Alaska Jam

Alaska Jam

サウンドチェック時から、ソリッドなカッティングを決めてフロアを鼓舞する小野。演奏が始まれば、森の矢継ぎ早に繰り出すラップとバンドの屈強な演奏で、一気にフロアの熱量を高めていく。

小野武正
小野武正

森心言
森心言

Beastie Boysさながら、ロックとヒップホップをかけ合わせた、ファンキーでアグレッシブなサウンド。体に直接訴えかけてくる強靭なグルーヴと、マシンガンのように放たれる言葉は、どちらもとにかく快楽濃度が高い。

石井浩平(Ba)。sumikaやNegiccoをはじめ、様々なアーティストのサポートも務める
石井浩平(Ba)。sumikaやNegiccoをはじめ、様々なアーティストのサポートも務める

山下賢
山下賢

MC中、フロアからお題をもらって(「おもち」など)即興で曲作りを始めてしまう奔放すぎる小野と、そんな小野の姿に思わず笑ってしまう森の姿もまた微笑ましい。ステージ上で繰り広げられる全てが最高に楽しそうで、自由で、多幸感に満ちていた。

Alaska Jam

Alaska Jam

KEYTALK、DALLJUB STEP CLUB、MOP of HEADという人気バンドのメンバーが在籍するAlaska Jam。それに、アーティスト間の繋がりが、そのままサポートメンバーという形で反映されているshowmoreやTENDREのように、いま、日本の音楽シーンではアーティストたちの活動の在り方も、ひとつの形に固定されない、自由なものになっているのだと実感させられる。

自由な音楽は、自由な音楽家たちによって作られていくのだろう。この日の『exPoP!!!!!』は、「繋がり」の素晴らしさを感じさせる一夜だった。

カメレオン・ライム・ウーピーパイ
カメレオン・ライム・ウーピーパイ

Luby Sparks
Luby Sparks

showmore
showmore

TENDRE
TENDRE

Alaska Jam
Alaska Jam

イベント情報
『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! volume106』

2018年2月22日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
Alaska Jam
Luby Sparks
showmore
TENDRE
カメレオン・ライム・ウーピーパイ
料金:無料(2ドリンク別)

『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! volume107』

2018年3月29日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
AAAMYYY
カネコアヤノ(バンドセット)
uri gagarn
Opus Inn
料金:無料(2ドリンク別)

プロフィール
カメレオン・ライム・ウーピーパイ
カメレオン・ライム・ウーピーパイ

Chi-によるソロユニット。幼少期にジェームス・ブラウン、マイケル・ジャクソンなどのモータウン・サウンドに触れ音楽に目覚める。邦楽では80、90年代ロック / オルタナティブを聴き、それぞれがブレンドされたアンビエント且つグルーヴィーなサウンドを奏でている。ナチュラルで"枯れた"歌声から卓越したキャリアを感じさせるが、弱冠20歳。そのフレッシュな価値観で現行のヒップホップ / R&Bに一致するようなダンス・パーティミュージックたりうる次世代の世界観を表現している。

Luby Sparks (るびー すぱーくす)

Natsuki(Ba,Vo)、Erika(Vo)、Sunao(Gt)、Tamio(Gt)、Shin(Dr)、現役大学生の5名によって、2016年3月結成。7月、結成から3回目のライヴでThe Bilinda Butchers(US)、Manic Sheep(台湾)のダブル来日公演にDYGLと共に出演。同月、1stカセットシングル『Pop. 1979』(Miles Apart Records)をリリースし即完売。9月には、Yuck(UK)の広島での公演、12月、Ice Choir(US,ex.The Pains Of Being Pure At Heart)、その後も多くの海外バンドの来日公演に出演。2月、7インチシングル『Hateful Summer』(Sailyard,Fastcut)をリリース。7月、UK・ダービーシャーでのフェス『Indietracks Festival 2017』に日本のバンドとして唯一出演。9月20日、3曲入CD『Thursday』を一部店舗のみ限定で販売、10月14日、YUCKとのスプリット・カセット『Yuck / Luby Sparks』をリリース。2018年1月21日、The Pains Of Being Pure At HeartのWWW X公演にサポート・アクトとして出演。Max Bloom(Yuck,ex.Cajun Dance Party)とロンドンで制作したデビューアルバム『Luby Sparks』が2018年1月24日に発売。2018年2月末で初代ヴォーカリストEmilyが脱退、新たにErikaが加入した新体制となっている。

showmore (しょうもあ)

根津まなみ(Vo/作詞/作曲)、井上惇志(Key/作曲/編曲)の2人によるセンセーショナル・ポップユニット。その音楽性はジャズやヒップホップを下敷きに多彩な表情を持ち、キャッチーな歌詞と旋律で切なくアダルトな世界観をビビッドに描き出す。「正しい事ばかり言わないで。人は寂しい生き物でしょ」

TENDRE (てんだー)

河原太朗のソロ・プロジェクト。自身のバンド、ampelでの活動を中心に、ベース、ギター、鍵盤やサックスなども演奏するマルチプレイヤーとしてYogee New WavesやKANDYTOWNを始め様々なバンドやアーティストのレコーディングやライブに参加する他、呂布の最新作『Blur』では共同プロデュースを担当。2017年12月にTENDREとしてのデビューEP『Red Focus』をリリース。

Alaska Jam (あらすか じゃむ)

ロックとヒップホップが真正面からぶつかり合うfunkyな男4人達による音楽。骨の髄まで揺さぶるグルーヴを体感せよ。



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