頂点を目指すガールズバンド・たんこぶちん、ワンマンライブで見つけた「物語性」という成功の種

ガールズバンドブームとアイドルの関係性

読者モデルとしても活動し、今年1月にガールズバンドとしてはメジャーデビューから最速での日本武道館公演を成功させたSilent Sirenを筆頭に、メタル色の強いCyntia、SCANDALの『コピーバンド・ボーカリストコンテスト』で注目を集めたKANIKAPILA、スターダストプロモーション所属のLe Lienなど、今年作品を発表したバンドの名前がポンポン出てくるように、今、再びガールズバンドはブームと言うに十分の活況を呈している。

これはやはり近年のアイドルブームの延長線だと考えられ、昨年の『TOKYO IDOL FESTIVAL』にバンドが多数出演したのも、私立恵比寿中学の覆面バンドであったことが発表された「五五七二三二〇」のメジャーデビューが決まったのも、そんな印象をさらに強めるものだった。

そして、AKB、ももクロ、でんぱ組.incなど、現在ブレイクをしているアイドルの共通点と言われるのが「物語性」だ。そのグループと体験を共にすることにより、ファンとの間に強い結びつきが生まれ、それが成功の下支えになる。Silent Sirenの「武道館最速公演」というのもその1つであるように、今後はガールズバンドにおいても、この「物語性」が重視されるようになるのではないかと思う。

たんこぶちんは「カワイイ」だけじゃない

事務所の大先輩である中島みゆきがももクロに提供した“泣いてもいいんだよ”をカバーしたことでも知られ、「ガールズバンド頂点宣言!」を掲げる未だ十代のガールズバンド・たんこぶちんも、おそらくはこうしたアイドルとの境界線に立つバンドだと言っていいだろう。そして、彼女たちの物語は今まさに動き始めたばかりであり、この波に乗るなら今を逃してはならない。ワンマンとしては初のソールドアウト公演となったTSUTAYA O-WESTでのライブは、そんなことをひしひしと感じさせるものだった。

MADOKA(たんこぶちん)
MADOKA(たんこぶちん)

この日はミニアルバム『TANCOBUCHIN vol.2』のリリースを記念したワンマンライブ。客層は男性が中心で、ライブ中はサイリウムが振られるなど、フロアの雰囲気としてはアイドルのコンサートにも近い。しかし、彼女たちは地元佐賀県で小学生のときに結成されたバンドであり、演奏力の基盤は十分。昨年はツアーで大きな失敗を経験し、ライブのあり方をもう一度見直す年になったそうで、この日はフロントの三人がかわるがわるステージ前方に出て行ってお客さんを煽るなど、アグレッシブなステージングを見せた。

『TANCOBUCHIN vol.2』リリース記念ワンマンライブより

楽曲そのものにも変化が見られ、初期はPRINCESS PRINCESSやLINDBERGを連想させるハードロックをベースにした1990年代J-POP調の曲が多く、それは今も彼女たちの売りの1つになっているのだが、ツアーで経験した悔しさを歌詞に込めたという“トゲササル”など、より攻撃的な曲も増え、複雑なキメをしっかり合わせていく。先日のCINRAのインタビューでボーカル&ギターのMADOKAは「カワイイよりも、かっこよく見られたい」と発言していたが、こういった曲の演奏は確かに「かっこいい」の部類に入るものだった。

「みんなを大きなところへ連れて行きたい」、動き始めた物語

また、メンバー個々のキャラクターが明確になってきたのも印象的。短髪の男前キャラで、クールにソロを決めるギターのYURIと、女子力高めでファッション誌にも登場するキーボードのCHIHARUは好対照だし、グルーブを支えるベースのNODOKAとドラムのHONOKAの双子の姉妹にしても、「ボス」と呼ばれるしっかり者のNODOKAと、おっとりしたHONOKAはやはり対照的。こうしたメンバーのキャラがよりはっきり伝わると、バンドとしての魅力もさらに増してくるというものだろう。

そして、誰よりも大きな変化を感じさせたのが、フロントマンにしてリーダーのMADOKAだ。見た目は今も可愛らしい女の子。しかし、昨年高校を卒業し、ミュージシャンとしての道を選んだ彼女は、歌うことはもちろん、MCをはじめとしたステージ回しでも常に中心を担い、その姿はリーダーとしての強い自覚を感じさせるものだった。

MADOKA(たんこぶちん)

そんな変化を象徴していたのがアンコールのMCで、お客さんに対し、お互いがそれぞれにとっての光であり続けることを願い、「もっと大きなところにみんなを連れて行きたい」と強い決意を口にしてみせた。これまではただ楽しいからと音楽を鳴らしていた五人に生まれたはっきりとした目標。これからはそこに向かって一歩ずつ歩みを進めていくこととなる。

『TANCOBUCHIN vol.2』リリース記念ワンマンライブより

なお、この日はメンバー五人が上京することも発表され、それも物語が動き出したことを明確に印象付けていた。さらに言えば、彼女たちと小学校の同級生で、バンド活動の先生も一緒だったという、がんばれ!Victoryも、今年のメジャーデビューが決定済み。つまり、運命のライバルとも言うべきバンドとの切磋琢磨も始まるというわけだ。さてさて、この物語の行く末やいかに?

イベント情報
『TANCOBUCHIN vol.2』リリース記念ワンマンライブ

2015年3月22日(日)OPEN 16:30 / START 17:00
会場:大阪府 阿倍野 ROCKTOWN

2015年3月29日(日)OPEN 16:30 / START 17:00
会場:愛知県 名古屋HeartLand
※イベント出演

2015年3月31日(火)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:福岡県 Queblick
※福岡公演のチケットは完売

プロフィール
たんこぶちん
たんこぶちん

MADOKA(G,Vo)、YURI(G)、CHIHARU(Key)、NODOKA(B)、HONOKA(Dr)らが小学6年生の時にバンド結成。2013年 にヤマハ『The 6th Music Revolution JAPANファイナル』にて優秀賞を獲得。1stシングル『ドレミFUN LIFE』でメジャーデビュー。2014年1月に1stアルバム『TANCOBUCHIN』リリース。同年6月 ガールズバンドのみを集めた自主企画イベント『We are the Girls Band !!!!!』を東京・大阪でスタート(隔月で開催)。9月、たんこぶちんへの楽曲提供を募る「未来のヒットメーカープロジェクト」開催し、約2,000曲の応募を集めた。12月、半年ぶりとなるワンマンライブを東京・大阪・名古屋・佐賀にて実施。2015年1月28日にニューアルバム『TANCOBUCHIN vol.2』をリリース。



フィードバック 0

新たな発見や感動を得ることはできましたか?

  • HOME
  • Music
  • 頂点を目指すガールズバンド・たんこぶちん、ワンマンライブで見つけた「物語性」という成功の種

Special Feature

Crossing??

CINRAメディア20周年を節目に考える、カルチャーシーンの「これまで」と「これから」。過去と未来の「交差点」、そしてカルチャーとソーシャルの「交差点」に立ち、これまでの20年を振り返りながら、未来をよりよくしていくために何ができるのか?

詳しくみる

JOB

これからの企業を彩る9つのバッヂ認証システム

グリーンカンパニー

グリーンカンパニーについて
グリーンカンパニーについて