コラム

映画館「アップリンク吉祥寺パルコ」が2018年冬オープン 5スクリーン完備

映画館「アップリンク吉祥寺パルコ」が2018年冬オープン 5スクリーン完備

テキスト
後藤美波(CINRA.NET編集部)

5スクリーン、計300席の「アップリンク吉祥寺」

新たな映画館「アップリンク吉祥寺パルコ」が2018年冬にオープンする。

東京・吉祥寺パルコの地下2階にオープンする「アップリンク吉祥寺パルコ」。5つのスクリーンと計300席の座席を備え、世界の映画祭で話題を集める作品やアート系作品、インディーズ系の作品といった現在アップリンク渋谷で親しまれている作品群に加え、地域の人々が楽しむことのできるファミリー向けの作品が上映される予定だ。

「アップリンク吉祥寺パルコ」ロゴ
「アップリンク吉祥寺パルコ」ロゴ

アップリンク渋谷は2005年にオープン

コアな作品ラインナップで映画ファンの支持を集めるアップリンク渋谷は、2005年に渋谷の宇田川町に開館した。ギャラリーやカフェもある複合施設で、今年7月には「世界で最も小さな映画館」としてCNNで紹介されている

アップリンク渋谷・UPLINK FACTORY内観
アップリンク渋谷・UPLINK FACTORY内観

DVDや書籍、映画関連グッズなどを扱うUPLINK MARKET
DVDや書籍、映画関連グッズなどを扱うUPLINK MARKET

なぜ今新たな映画館を作るのか?代表・浅井隆が明かす

そんなアップリンクが、なぜ2018年に新たな映画館を作ろうと考えたのだろうか?

1987年に有限会社アップリンクを立ち上げた代表の浅井隆はCINRA.NETの取材に対し、次のように答えた。

浅井:5年ほど前から、渋谷以外の街にもマイクロミニサイズの映画館を作りたいと考え、場所探しを行なっていました。閉館するという映画館の噂を聞きつければ、引き継げないかと駆けつけ話をしに行っていました。当初から横浜と吉祥寺が具体的な候補地でしたが、なかなかいい物件に出会うことがありませんでした。数年前からパルコとも話をして来て、今回、吉祥寺パルコに共同経営で映画館を作ることが決まりました。

「アップリンク吉祥寺パルコ」は株式会社パルコと有限会社アップリンクの共同事業。これまでアップリンクとパルコは共同で映画作品の配給宣伝を行なってきたが、共同事業は初だという。

アップリンク代表の浅井隆
アップリンク代表の浅井隆

「『吉祥寺』と『パルコ』には特別な思いがある」

吉祥寺といえば、昔から多くの文化人に愛された街。映画館としては『爆音映画祭』などで知られるバウスシアターが2014年に惜しくも閉館し、現在は吉祥寺オデヲン、吉祥寺プラザと、開館直後の休業などで話題を呼んだココロヲ・動かす・映画館○の3館がある。

浅井は吉祥寺の街に映画館を開業するにあたり「『吉祥寺』と『パルコ』には特別な思いがある」と語る。

浅井:1987年の創立時、最初に配給した作品がデレク・ジャーマン監督の『エンジェリック・カンヴァセーション』で、劇場は吉祥寺バウスシアターでした。その後、デレクの作品『デレク・ジャーマン短編集』『ラスト・オブ・イングランド』『ザ・ガーデン』を上映した劇場は渋谷パルコ・スペース・パート3(後のシネクイント)でした。僕はかつて演劇実験室天井桟敷の舞台監督をしていたので、70年代の西武劇場(後のPARCO劇場)で『中国の不思議な役人』『青ひげ公の城』などの公演をしたり、『映写技師を撃て』というタイトルで寺山修司の実験映画上映会を開催したりといった関わりもあります。そして最近では、パルコとの共同配給作品『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』が多くの観客の支持を得てヒットしました。

アップリンク・パルコ共同配給作『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』予告編

アップリンク渋谷との違いは?

現在3スクリーンを擁するアップリンク渋谷に対し、5スクリーンが装備される予定の「アップリンク吉祥寺パルコ」。渋谷を中心にカルチャーの発信源として若者文化に影響を与えてきたパルコとのタッグによって生まれる新たな可能性にも期待したい。

浅井:自分と違う価値観に不寛容であり、自分が属する社会から異物を追い出そうとする傾向が強まっている時代だからこそ、多様な価値観の文化を頭と心で理解し感じられる映画というメディアの可能性は、より重要だと思います。「アップリンク吉祥寺」はミニシアターが5スクリーンある映画館です。多様な世界の映画を上映するには、スクリーン数を多くする必要があります。3スクリーンの「アップリンク渋谷」で毎日10作品前後を上映しているので、5スクリーンの「アップリンク吉祥寺」は、毎日15作品前後を編成する予定です。新しく吉祥寺に作る映画館を観客の皆さんと一緒に育てていければと思います。

配信サービスの普及や映画館離れも。今だからこそ感じる映画館の魅力とは?

現在、NetflixやHuluといった動画配信サービスが日本でも利用者を増やし、映画館に行かずとも多くの映画を家で手軽に楽しむことができるようになっている。アップリンクもまた昨年11月からストリーミングサービス「UPLINK Cloud」を展開し、独自のセレクトによる映画を配信している。

「UPLINK Cloud」イメージビジュアル
「UPLINK Cloud」イメージビジュアル

映画館の入場者数が減少しているとも言われる中で、新たに映画館をオープンさせる浅井は映画館の魅力を次のように述べた。

浅井:個人的には、ネットのVODサービスで映画やドラマを見ています。映画館のいいところは、一緒に映画を観ている他人と会話をすることがなくても、社会に自分も参加しているだという実感を得られることではないでしょうか。人とのコミュニケーションもメールで済む時代に、昔のスタイルの映画館の暗闇の中でみんな同じ方向を向いて映画を楽しむスタイルは、逆に新鮮な時代になっていると感じます。

「アップリンク吉祥寺パルコ」は2018年冬、吉祥寺パルコの地下2階にオープンする。

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