コラム

LDH社外秘のルール本『our promise』に見る、「夢をかなえる生き方」

LDH社外秘のルール本『our promise』に見る、「夢をかなえる生き方」

テキスト
西森路代
編集:後藤美波

EXILE、三代目メンバーらが語る「僕たちはどう生きるか」――LDH社外秘の一冊が書籍化

EXILE、三代目J Soul Brothers、GENERATIONS などを擁するLDHが、所属するアーティスト、スタッフ、そしてスクールに通う生徒たちに向けた門外不出の書「our promise」を再編集し、そこに30人のメンバーへのインタビューを加えて書籍化された。

LDHと言えば、昨今はドラマからスタートし、映画やライブとして発展した『HiGH & LOW』のヒットもあり、かつてのファン層以外にも訴求し、彼らのキャラクターも物語とともに広く知られることとなった。パブリックイメージとしては、屈強で怖そうに思えたときもあったが、今では礼儀正しく謙虚なイメージも知られるようになった。

受け継がれるHIROの姿勢、受け取る後輩たちの素直さ

本書を読めば、LDHメンバーがなぜ謙虚なのか、その秘密がわかる。それは、LDHの創業者であるHIROが人一倍気を遣い、敬語を話し、そして謙虚であるからだ。

EXILE/劇団EXILE松組の松本利夫はHIROのことを「いい意味でとても心配性なんです。アイツ、やりにくくないかな、気分悪くしてないかな。そうやって、いつも周囲に気を配っています」と語る。また、三代目J Soul Brothersの小林直己は、EXILEに入る前のAKIRAに出会ったとき、「メールも敬語で、他人へもすごく気を遣う」ことで興味を持ったが、後にAKIRAから「実はHIROさんの真似してるだけなんだ」と教えてもらったという、実にほほえましいエピソードを披露している。

三代目J Soul Brothers
三代目J Soul Brothers

彼らが謙虚でいられるのには、HIROの存在がもちろん大きいが、その根底には、個々の素直さも関係があるような気がする。本書の教えの中にも「『自由』をはき違えず、背伸びせず、素直な人でいてください」というものがあるが、「素直」であるからこそ、良い先輩の良い行動を真似られるし、新しいことにもチャレンジできるし、ファンにも感謝できるのではないか。

私を含む、今まではLDHに対して壁を感じていた人々にまで、その魅力を知らしめたのにも、こんな姿勢が関係あるのではないか。ある知人も、以前はLDHに対してちょっとした思い込みを持っていたが、彼らが自意識などはねのけ、人目など気にせず、ただがむしゃらに何かに取り組む姿を見て、応援せずにはいられなくなったと語っていた。

今や韓流スターのようなファンミーティングも

2000年代中盤、韓国や中華圏から俳優や歌手が来て、ファンミーティングをするという文化が定着したが、個人的には日本の俳優や歌手がこうしたことをする日は来ないのではないかと思っていた。その理由は、こうしたコミュニケーションを照れ臭く、「そんなことできるか!」という思いを持つ人のほうが多いように見えたからだ。そして、そのころの私は、ファンミーティングから最も遠いのがLDHのような存在だと思っていた。

しかし、現在では、GENERATIONSの片寄涼太は上海でファンミーティングを開催し、北京語であいさつをし、つたない発音に現地の客は可愛さを感じさらに盛り上がる。そこには、片寄が『兄に愛されすぎて困ってます』のような、中華圏で人気になるタイプのラブコメに出演したことも大きいが、そんなラブコメに出演することも、ファンミーティングのお約束の文化を、まさかLDHの面々が取り入れることも、かつての私にはまったく想像できなかった。しかし、素直にファンの目線を取り入れ、交流を深めた結果、中国語圏での人気を確実にものにし、その結果ライブツアーも成功させることとなった。

GENERATIONS
GENERATIONS

アパレル、アジア展開…事業拡大のルーツも「謙虚さ」にあり

良いもの、良い意見は素直に取り入れる姿勢で、いまやオタク層やアジアのファンまでを取り込み、またNAOTO(EXILE、三代目J Soul Brothers)はアパレル、黒木啓司(EXILE、EXILE THE SECOND)は九州を軸にしたエンタテインメントプロジェクト「THE NINE WORLDS」を立ち上げ、TETSUYA(EXILE、EXILE THE SECOND、DANCE EARTH PARTY)はパフォーマンス研究で早稲田大学大学院を修了、橘ケンチ(EXILE、EXILE THE SECOND)は北京語を活かしてLDHアジア部門のスタッフに配属されるなど、それぞれがビジネスのチャンスを広げているLDH。

そんな風に素直に事業を拡大していく、そのルーツもやはりHIROにある。HIROは本書で「日本の社会では『イキがること』は周りからカッコいいと思われず、むしろ『謙虚であること』のほうがはるかにカッコいい」と語っている。そして、「謙虚だけど勢いがある」というアーティストのあり方こそが「世界に通用するジャパニーズスタイルであると証明していくことも使命だと思っています」ともつづっている。

「謙虚なジャパニーズスタイル」で世界を目指す

実は、これはジャパニーズスタイルでもあるし、異文化が海外で定着する大きな所以でもある。確固たるパフォーマンスや技術やスタイルがあるからこそ、違った言語や文化を取り込み、その上で自分たちの良さを伝えられる。「イキがって」ファンミーティングなんて、ラブコメなんてしゃらくせえと言っていては、こんなことになっていないだろう。

今市隆二(三代目J Soul Brothers)は「EXILEオリジナルメンバーの方々も、ストリート育ちで『リアル』を経験しています。でも、僕らの下の世代のGENERATIONS以降はそうじゃない。小さい頃からEXPGなどで“英才教育”を受けてきた」と指摘しているが、GENERATIONSより下の世代は、いまやNYで「世界に通用するアーティスト”」を目指して何年もかけて修行をしている。

素直な気持ちで、異文化を取り入れ、自分たちを知ってもらうために真剣にとりくみ、それを謙虚なジャパニーズスタイルで広げていく。本書は、一般の読者に生き方を教える本としても、もちろん有益であるが、彼らがなぜ事業を拡大していけているのか、その理由が見えてくるような本でもあった。

『LDH OUR PROMISE』表紙
『LDH OUR PROMISE』表紙(Amazonで見る

Page 1

書籍情報

{作品名など}
『LDH OUR PROMISE』

2018年2月28日(水)発売
価格:1,512円(税込)
発行:小学館

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

PAELLAS“Orange”

1stデジタルシングルから“Orange”のMVが公開。Spikey Johnが監督を務め、研ぎ澄まされたクールな表現で楽曲を彩る。次第に日が落ちていく情景はどこかメランコリックで、いつの間にか私たちは彼らに物語を見出そうとしてしまっていた。過ぎ去った夏に思いを馳せながら、映画のように濃密な4分間をゆったりと味わえるはず。(野々村)

  1. サニーデイ・サービスの生き急ぐような2年間の真相。5人が綴る 1

    サニーデイ・サービスの生き急ぐような2年間の真相。5人が綴る

  2. Chim↑Pomが、「ロボット」でなく「人間」レストランを開く理由 2

    Chim↑Pomが、「ロボット」でなく「人間」レストランを開く理由

  3. あいみょん新曲が新垣結衣×松田龍平『獣になれない私たち』主題歌に起用 3

    あいみょん新曲が新垣結衣×松田龍平『獣になれない私たち』主題歌に起用

  4. 岡崎京子原作×門脇麦主演『チワワちゃん』特報公開 主題歌はハバナイ 4

    岡崎京子原作×門脇麦主演『チワワちゃん』特報公開 主題歌はハバナイ

  5. S・キューブリック監督『2001年宇宙の旅』、2週間限定でIMAX劇場上映 5

    S・キューブリック監督『2001年宇宙の旅』、2週間限定でIMAX劇場上映

  6. TWICEドームツアー来年開催 東京ドーム2DAYS&ナゴヤドーム&京セラドーム 6

    TWICEドームツアー来年開催 東京ドーム2DAYS&ナゴヤドーム&京セラドーム

  7. 『魔法少年☆ワイルドバージン』に田中真琴、濱津隆之、斎藤工が出演 7

    『魔法少年☆ワイルドバージン』に田中真琴、濱津隆之、斎藤工が出演

  8. 松岡茉優が初主演作『勝手にふるえてろ』からの1年を振り返る 8

    松岡茉優が初主演作『勝手にふるえてろ』からの1年を振り返る

  9. のんが中原淳一の世界を表現するカレンダー、表紙は「完コピを目指した」 9

    のんが中原淳一の世界を表現するカレンダー、表紙は「完コピを目指した」

  10. 「西洋」から見た日本写真 書籍『日本写真史 1945-2017』に写真家25人登場 10

    「西洋」から見た日本写真 書籍『日本写真史 1945-2017』に写真家25人登場