大森靖子・ハバナイ・WEGが鳴らす、2018年の東京の音楽

world's end girifriend、Have a Nice Day!、大森靖子が『CROSSING CARNIVAL』に集う

4月22日に開催されるCINRA主催の『CROSSING CARNIVAL』に、world's end girifriend(以下、WEG)×Have a Nice Day!(以下、ハバナイ)の出演が決定。新旧のアンダーグラウンドシーンの顔役であり、現在はともにインターネットを通じて様々な動きを展開する2組は、果たしてどのようなライブを披露するのだろうか? また、WEGは大森靖子のステージにも参加することが決まっている。これまで大森はハバナイとの共演経験こそあったものの、WEGとは初共演であり、こちらのライブにも大きな期待が募る。

『CROSSING CARNIVAL』メインビジュアル
『CROSSING CARNIVAL』メインビジュアル(サイトを見る

ハバナイの楽曲の旨みを知り尽くしているWEGとハバナイの、強固な関係性

そもそもWEGとハバナイ・浅見北斗の出会いは2年半前にさかのぼる。ハバナイが恵比寿LIQUIDROOMでのフリーパーティーを成功させた日の楽屋で対面を果たし、そのときについて、浅見は以下のコメントを残している。

world's end girifriend
world's end girifriend

Have a Nice Day!
Have a Nice Day!

「ライブを終えて楽屋に戻ると彼がいた。world's end girlfriendだ。オレたちの“Blood on the mosh-pit”のMVを気に入ってくれてて、いろいろ話してるうちに仲良くなったんだ。(中略)この出会いはアンダーグランドな世界がまだまだ存在するっていう確かな証明だ。オレはROMZの頃からの彼のファンだからかれこれ10年ほど前からworld's end girlfriendを知っているわけで。そんな人と新宿の居酒屋でたわいもない話しをしながら飲んでいるのはマジで最高に嬉しいけど不思議な気持ちになるんだよ」
(引用:Virgin Babylon Recordsオフィシャルサイト

そして、ハバナイはWEGのレーベルVirgin Babylon Recordsから初期ベスト『Anthems For Living Dead Floor』(2016年4月)を発表し、続く『Dystopia Romance 2.0』(2016年5月)にはWEGとのフィーチャリング曲“NEW ROMANCE feat.world's end girlfriend”を収録。さらに、『The Manual (How to Sell My Shit)』(2016年11月)からはWEGがアレンジやミックスにも関わり、関係性はより強固なものになっていった。

『The Manual (How to Sell My Shit)』収録曲

今年に入ってからも、両者は精力的な活動を展開している。WEGは年明けの1月19日に、昨年発表された『LAST WALTZ』のリリースパーティーを恵比寿LIQUIDROOMで開催。ツインギター、バイオリン、チェロ、ベース、ドラム、PCという編成で、『LAST WALTZ』の世界を見事ステージで再現した。今回の『CROSSING CARNIVAL』でもこの編成を予定しており、チェロには徳澤青弦が参加する。

また、3月にはこの日に初披露された新曲『MEGURI』をリリース。この曲に関してWEGは「この音楽はただ一人にむけて、この世に長くは生きることができなかったその命にむけて作られた楽曲です」「音楽は美しい、人の命は甘美なり。何度でも生まれ変わって、いつか共に音楽を奏でよう」(抜粋)というコメントを寄せているが、恵比寿LIQUIDROOMには、先日急逝したdownyの青木裕が参加していたことを思うと、この曲に新たな意味が付与されたように感じられる。

一方のハバナイは久々にクラウドファンディングを実施。300万円以上の金額を集め、新作『Dystopia Romance 3.0』を発表し、5月1日にZeppDiverCityでフリーライブを開催する。『CROSSING CARNIVAL』はその直前ということもあり、気合いの入ったステージを披露してくれることだろう。

当日はWEGのバンドがホストとなり、浅見を迎え入れる形になるかと思うが、すでにハバナイの楽曲の旨みを知り尽くしているWEGが、どのようなアレンジを施し、浅見と融合を果たすのかは非常に興味深い。きっとこれまでに見たことのないモッシュピットが広がるはずだ。

初となる、WEGと大森靖子のコラボレーション

大森靖子とWEGのコラボレーションも、ありそうでなかった組み合わせだ。ともにもともと活動エリアのひとつとして「新宿」とも縁が深く「個性の坩堝」としてのアンダーグラウンドシーンをも支持する両者。昨年ハバナイがリリースしたシングル『Fantastic Drag』では大森をフィーチャー。この曲のミックスをWEGが手掛けていた。

大森靖子
大森靖子

当日のライブがどんなものになるのかは、正直現状では予想しづらいが、むしろそこにこそ「この日限りの共演」の意味がある。ハバナイも含め、予定調和など一切求めていないはずだ。

『CROSSING CARNIVAL』で鳴らされる、ワールズエンドでディストピアな、2018年の東京の音楽

最後に、今年2月にYouTubeと東京都の公式動画サイト『東京動画』にて、大森靖子の“東京と今日”のMVが公開されていることに触れておきたい。この曲は『東京動画』とのコラボ企画で、大森が東京をテーマに書き下ろした楽曲であり、MVは都内の様々な場所で歌う大森の姿を捉え、サイトでは大森が東京について語ったインタビューも公開されている。

そして、昨年の“Fantastic Drag”リリースの際、浅見はこんなコメントを寄せている。

ヘイ、ブラザー。4月20日、午前0時になるとウィアザ Have a Nice Day!のニューシット“Fantastic Drag”がVirgin Babylonを経由してインターネット上に放出される。フィーチャリングは大森靖子。これこそが2017年の東京の音楽さ。われわれHave a Nice Day!が、〈東京にしかアンダーグラウンドはないんだよ〉と以前に歌った大森靖子を迎えてリリースするってことはえらく必然的な出来事だと思わないか?(中略)この矛盾に満ちたディストピアシティー東京を2017年現在、最も体現してるのがどうやらわれわれHave a Nice Day!だということだ。〈東京にしかないアンダーグラウンド〉っていうのはオレたちのことでしかない、いまならそう言い切ることができるよ。
(引用:Virgin Babylon Recordsオフィシャルサイト

あれから1年。都市型フェスティバル『CROSSING CARNIVAL』にて、ワールズエンドでディストピアな、2018年の東京の音楽がきっと鳴らされるに違いない。

 
『CROSSING CARNIVAL』タイムテーブル。当日券も販売する(サイトを見る

イベント情報
『CROSSING CARNIVAL'18』

2018年4月22日(日)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST、TSUTAYA O-WEST、TSUTAYA O-nest、duo MUSIC EXCHANGE
出演:
KOHH
Chara×韻シストBAND
GRAPEVINE(ゲスト:康本雅子)
大森靖子(Crossing:world's end girlfriend)
藤井隆
おとぎ話(新作の完全再現ライブ)
前野健太
Awesome City Club feat. Jiro Endo
world's end girlfriend × Have a Nice Day!
THE NOVEMBERS(ゲスト:志磨遼平(ドレスコーズ))
GAGLE(ゲスト:鎮座DOPENESS、KGE THE SHADOWMEN)
DADARAY(ゲスト:藤井隆)
WONK
Tempalay×JABBA DA FOOTBALL CLUB
King Gnu×Ryohu
LILI LIMIT(Crossing:牧野正幸)
Emerald(ゲスト:環ROY、えつこ(DADARAY))
料金:当日6,500円(ドリンク別)

プロフィール
Have a Nice Day!
Have a Nice Day! (はぶ あ ないす でー)

リーダーの浅見北斗を中心に、2011年頃より東京で活動するロックバンド。新宿LOFTを中心に開催されていた『SCUM PARK』の中心的バンドとして東京アンダーグラウンドシーンで注目を浴びる。オモチレコード、VirginBabylonRecords、KiliKiliVillaから音源をリリースするほか、大森靖子との『Fantastic Drag』、おやすみホログラムとの『エメラルド』、Limited Express (has gone?)との『Heaven Discharge Hells Delight』などコラボ作品も多数制作。2016年、その活動を追ったドキュメンタリー映画『モッシュピット』が公開される(監督:岩淵弘樹、制作:HMJM)。2018年1月12日、クラウドファンディングサイトCAMPFIREで『Dystopia Romance 3.0』をリリース。その売り上げ資金300万円で、5月1日にZepp DiverCityでフリーライブを開催することを発表した。

world's end girlfriend (わーるず えんど がーるふれんど)

1975年11月1日 かつて多くの隠れキリシタン達が潜伏した長崎県の五島列島に生まれ、10歳の時聴いたベートーヴェンに衝撃を受け音楽/作曲をはじめる。カンヌ映画祭に出品された是枝裕和監督作品「空気人形」の映画音楽を担当。クラシカルな楽曲からエレクトロニックな楽曲、ポエムコアからAKB48ドキュメンタリー映画音楽まで圧倒的振り幅で活動し続ける。2016年「LAST WALTZ」をリリース。国内の魑魅魍魎が集うVirgin Babylon Records代表取締役。

大森靖子 (おおもり せいこ)

新少女世代言葉の魔術師。超歌手。弾切れも気にせず畳み掛けるように言葉を撃ちまくるジェットコースターみたいな弾き語りや、時にギターすら持たないアカペラによる空間制圧型ライブの評判が広がりメジャーデビュー。ARABAKI ROCK FES2014からはじまりTOKYO IDOL FESTIVAL、フジロック、ロックインジャパンなど垣根なく出演、音楽の中ならどこへでも行ける通行切符を持つ唯一のアーティストとなり、本来の実力と演奏により着実に動員を増やしていく。メジャーデビュー直後2014年11月26日、道重さゆみさんモーニング娘。卒業、2017年道重再生するやいなや大森靖子自身体調も気分もお人柄もよく大絶賛音楽活動中。斬新と不思議と諦念とワガママと創造と焦燥に生きるかわいい女の子とおっさんLOVE。6月にはミニツアー「大森靖子2018「COCOROM」」を開催。同月にはアルバム発売も予定、現在鋭意制作中。



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