コラム

フジロック初のYouTubeライブ配信の手ごたえは? 3日間で計1200万回超再生

フジロック初のYouTubeライブ配信の手ごたえは? 3日間で計1200万回超再生

テキスト
後藤美波
メイン画像:『FUJI ROCK FESTIVAL '18』GREEN STAGE風景 ©宇宙大使☆スター

7月27日から7月29日まで3日間にわたって行なわれた『FUJI ROCK FESTIVAL '18』(以下『フジロック』)。苗場での開催がスタートしてから20周年となった今回は、台風12号の影響による暴風雨に見舞われたものの、前夜祭を含む4日間で延べ12万5千人が来場した。

ヘッドライナーを務めたN.E.R.D、ケンドリック・ラマー、ボブ・ディランをはじめとする豪華ラインナップに加えて、今年の『フジロック』の大きなトピックとなったのが史上初のYouTubeでのライブ配信だ。GREEN STAGE、WHITE STAGE、RED MARQUEE、FIELD OF HEAVENの4つのステージで行なわれた60組近くのアーティストのパフォーマンスを、2つのチャンネルを通して全世界に向けて生配信した。

『The Coachella Valley Music and Arts Festival』や『Lollapalooza』など海外の大型フェスのライブ配信はいまや珍しいことでないが、国内最大級かつ老舗フェスの『フジロック』が踏み切ったYouTubeでのライブ配信について、SMASH担当者の言葉を交えつつ振り返ってみたい。

初日のヘッドライナーを務めたN.E.R.D ©Tsuyoshi Ikegami
初日のヘッドライナーを務めたN.E.R.D ©Tsuyoshi Ikegami

同時間帯での最大視聴数は8万人以上

自宅にいながらにして大物アーティストのパフォーマンスが見られるのは音楽ファンにとっては嬉しいことだが、一方でチケットの売れ行きへの影響も考えられる。全世界に向けたライブ配信実施の背景についてSMASHの担当者は次のように明かしてくれた。

「フジロックフェスティバル自体そして、出演いただくアーティスト、特に邦楽アーティストがYouTubeによる全世界配信で世界に知ってもらえることがライブ配信を決めた一番の理由であり、狙いになります」

今年ライブ配信が行なわれたアーティストには、N.E.R.DやSKRILLEXといった海外フェスでもヘッドライナー級のアクトも含まれたが、一方でサカナクション、エレファントカシマシ、Suchmos、cero、シャムキャッツ、D.A.N.、ミツメ、小袋成彬など国内の人気アーティストや若手アーティストも名を連ねた。

2日目に配信されたSKRILLEXのステージにはYOSHIKI(X JAPAN)がサプライズ登場
2日目に配信されたSKRILLEXのステージにはYOSHIKI(X JAPAN)がサプライズ登場

海外の音楽ファンにとってはあまり馴染みのない日本のアーティストを発見することができ、またアーティストにとっても国外にアピールする機会となる。これは「YouTubeを使った全世界配信」だからこそ生み出せる効果だ。

担当者によれば3日間の2チャンネル合計の視聴回数は1200万回を突破。また同時間帯での最大視聴数は8万人以上を記録したという。

3日目にライブ配信が行なわれたceroのステージ ©Masanori Naruse
3日目にライブ配信が行なわれたceroのステージ ©Masanori Naruse

インディーバンドがTwitterトレンド入り。コメント欄はネガティブな側面も

何千人もの観客が同じ場所に集う会場の一体感は現地ならでは。とはいえライブストリーミングでの参加者もチャットやSNS上で交流する様子が見られた。また筆者がTwitterを開いた時は初日にライブ配信されたTune-Yardsの名前がTwitterのトレンドに入っていた。Tune-Yardsは素晴らしいバンドだが、このような機会がなければ日本でTwitterのトレンド入りすることは考えにくい。彼女たちのパフォーマンスが配信を通して多くの人の心を動かしたからこそ起きた現象だろう。

一方で配信ページのチャットには心無い言葉が飛び交うなど、一部ネガティブな側面も見られたのも事実だ。これに対してSMASHの担当者は「コメント機能については、現時点で具体的に対策は考えておりません」としつつ、「ただ、コメントを拝見する限り、初めてフジロックやアーティストに触れた方のコメントが多かったように感じました。一部がネガティブなコメントを書き込んでいたとしても、フジロックやアーティストを知っていただけたのは、いいことではないかと考えております」と話す。

また視聴者の国内外比は全体平均で「国内85%、国外15%」だという。国内アーティストを世界に知ってもらう、という意図を考えると、事前にもっと海外に向けてアピールしても良いのかもしれない。

3日間のうち最多となる4万人が来場した2日目の様子

率直な手ごたえは「いい反応が得られた」。来年の実施は未定

ライブ配信の来年以降の実施については現時点では未定とのことだが、今年の配信の率直な手ごたえを訊くと「いい反応が得られたと感じております」との答えが得られた。

今年のライブ配信を見て、来年は現地に行ってみたいと思った人も少なくないだろう。現地に行った人で、宿やテントで休みながらスマホで気になるアクトのライブ配信を見たという声も聞く。なにより経済的な理由や健康状態など自分ではどうすることもできない要因でフェスに行けない人も、無料のライブ配信があれば『フジロック』の雰囲気に触れることができる。いずれにせよ音楽ファンにとっては嬉しいサービスであることに間違いはないだろう。

数年前から会場で電子マネー会計を導入するなど積極的に新しいテクノロジーを取り入れている『フジロック』。今年の収穫や課題を活かし、来年も苗場から世界に向けて素晴らしいパフォーマンスの数々を発信してくれることを期待したい。

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