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3.11を経て、舞台芸術は何を語ることができるのか? Vol.2 神里雄大と宮沢章夫が語る、表現の「ふざけかた」と「真摯さ」

3.11を経て、舞台芸術は何を語ることができるのか? Vol.2 神里雄大と宮沢章夫が語る、表現の「ふざけかた」と「真摯さ」

萩原雄太
文 萩原雄太
2011/10/19

『ヘアカットさん』が第54回岸田國士戯曲賞にノミネートされるなど、数ある若手劇団の中でも最も注目を集めるうちのひとつと言っていいカンパニー、岡崎藝術座。昨年の『古いクーラー』でのフェスティバル/トーキョー(以下、F/T)公募プログラム参加に続き、今年はF/T主催公演として新作『レッドと黒の膨張する半球体』を上演する。今回、この劇団の主宰を務める演出家・神里雄大さんと、前回に引き続き登場していただく遊園地再生事業団の宮沢章夫さんによる対談を行った。独特のユーモアに定評のあるお2人の対談は、世代による演劇観の違いも浮き彫りになる、貴重な内容となった。

PROFILE

宮沢章夫
1956年静岡県生まれ。劇作家・演出家・作家。90年、作品ごとに俳優を集めて上演するスタイルの「遊園地再生事業団」の活動を開始、『ヒネミ』(92年)で岸田國士戯曲賞受賞。10年間で10数本の舞台作品を発表後、2000年に3年間の休止期間に入る。03年、戯曲+映像+パフォーマンスのコラボレート作品『トーキョー・ボディ』、05年『トーキョー/不在/ハムレット』をそれぞれ発表し、第二期ともいうべき活動を開始。また、99年芥川賞候補にもなった『サーチエンジン・システムクラッシュ』(文藝春秋)などの小説、エッセイ、評論などの執筆活動や早稲田大学文化構想学部教授など、活動は多岐にわたる。
u-ench.com PAPERS

神里雄大
1982年ペルー共和国リマ市生まれ。演出家・作家。2003年「岡崎藝術座」を結成し、2006年『しっぽをつかまれた欲望』(作:パブロ=ピカソ)で利賀演出家コンクール最優秀演出家賞を最年少受賞。2009年、『ヘアカットさん』が第54回岸田國士戯曲賞最終候補にノミネートされた。2009年、白神ももこ(振付家・ダンサー)と、新ユニット"鰰[hatahata] "を結成した。演劇作品の演出のほか、近年は小説やイラスト、詩の分野においても活動の幅を広げている。
welcome to OKAZAKI ART THEATRE

「ふざける」というのは、いかにそれまでの枠組みから逃れるか(宮沢)

―宮沢さんと「岡崎藝術座」の出会いからお伺いできますか?

宮沢:僕が神里くんの存在を初めて知ったのは、岸田國士戯曲賞の候補になった戯曲を読んだ時でした。戯曲を読めば、舞台を観るのよりも冷静な視点で、作者が何をしようとしているのかを客観的に把握できる。って、まあ、舞台を観ない言い訳のようだけど(笑)、これは別役実さんも言ってます。だから正しい(笑)。そういう意味では、すごく面白く読んだんです。あれはなんていう作品でしたっけ?

神里:『ヘアカットさん』ですね。

宮沢:まず、タイトルがふざけていますよね(笑)。そして、戯曲冒頭のト書きが非常に優れていて、「原則として客席を凝視すること」というものでした。これは感心しましたね。舞台が始まったら役者が客席を凝視しているって、どんな芝居だと(笑)。基本的にふざけている姿勢、もちろんいい意味ですよ、そこに好感を持ちました。

左:宮沢章夫、右:神里雄大
左:宮沢章夫、右:神里雄大

神里:僕自身は結構、真面目なつもりだったんですが…(笑)。ただ、「神里は適当に書いているくらいがちょうどいい」とよく言われるんです。はじめは気合を入れて書いているんだけど、だんだんいい加減になってきますね。

宮沢:神里くんは俳優から始めたんですか? 戯曲を読むと役者業を知っていて書いている感じがしたんですが。

神里:大学に入るまではずっと野球をやっていたんですが、プロになれないということはわかっていたので、バンドサークルに入ったんです。でもチャラチャラした感じについていけなくて、演劇を始めました。

―過去には神田川を泳ぐような公演も行なっていたそうですね。

神里雄大

神里:ええ。古いバーを拠点に公演を行なっていたんですが、何回か公演をすると、どうしても空間に制限があるため作品に限界が出てきてしまったんです。そこで、場所を変えようと思い外に出たら神田川があったので、「よし、泳ごう」と思ったんですよね。

宮沢:すごい思考回路ですよね(笑)。ふざけているというのは、いかにそれまでの枠組みや文脈から逃れるかということでもある。演劇の歴史において、山ほど、いろんな試みがやり尽くされてる。たとえば劇場の外に出るという行為も寺山修司がやっていますよね。とはいえ、神里くんたちの世代はそれもわかった上で、さらに何かをしようとしている。演劇に新しいものはない、その上でこれまでの演劇とは異なる次元に飛び出そうとしている印象を受けるんです。

過去公演:岡崎藝術座『古いクーラー』より
過去公演:岡崎藝術座『古いクーラー』より

神里:僕自身は、あまり周囲と異なったことをやろうとは考えていないんです。そもそも、演劇についてもほとんど知りませんし。寺山修司も知らないし、有名な鈴木忠志さんのメソッドも「腰を落としとけばいいんだろう」くらいの理解しかないですし。

宮沢:それ、すごく正しいよね(笑)。

神里:ただ、「新しいものをやる」というよりむしろ、「これまで受け継がれてきた表現の延長をやる」という責任はあるだろうと思っています。今までの演劇史の蓄積を持ったまま、次の時代へのページをめくりたいと思っているんです。

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