『ヨコハマ カルチャーガイド』 -街から生まれるクリエイティブ-

『ヨコハマ カルチャーガイド』-街から生まれるクリエイティブ- vol.1:姉弟映像ユニット「SHIMURABROS.」と行く横浜 -

『ヨコハマ カルチャーガイド』-街から生まれるクリエイティブ- vol.1:姉弟映像ユニット「SHIMURABROS.」と行く横浜

住所:横浜市中区本町6-50-1
電話:045-221-0325
料金:無料
HP:http://www.yaf.or.jp/ycc/

次はヨコハマ創造都市センター(YCC)へ。「クリエイティブシティ・ヨコハマ」という理念にのっとり、アートを愛する人々が集い、交流や発表を行う場で、2人もここで何度か作品発表を行っています。また横浜の街とアートに関する相談窓口の設置や、ユニークなアートスペースなどを巡るローカルツアーの実施、そしてアートイベントに関するフライヤーやマップも取り揃えており、横浜のアート情報を一挙に知ることができます。

かつて第一銀行横浜支店として使われていたという建物は1929年築。2004年、横浜市が進める歴史的建造物を活用した芸術文化創造の実験的プログラム(都心部歴史的建造物活用事業)の第一号として「BankART 1929 yokohama」がスタート、その後2009年より、YCCとして活用され現在に至っています。1Fの展示スペース兼カフェに足を踏み入れると、その重厚さに圧倒されます。「天井の作りが凝っていて蜂の巣みたい。しっかり造形されたものは残っていくと違いますね。天井高があるので制作にも展示にもすごくいいです」(ユカ)。

ここでは窓の内側から外に映像を投射するスタイルで『EICON』という作品を発表したお2人。映画黎明期に活躍したコメディーの帝王、バスター・キートンのアクションを抽出し、ハイスピードで撮影した「体の迫力そのものに注目した」というインスタレーションです。「夜、建物が閉まってからも、外を通る人や車から観てもらえたのでよかったです」(ユカ)。

YCCの地下にある展示室も何度か利用しています。「地下は絨毯敷きなんです。『SEKILALA』という作品を上映した時はクッションを置いて、寝っ転がってくつろぎながら鑑賞できるようにしました。中には2時間観てくださる方もいましたね」(ユカ)。こうした展示スペースの柔軟さも、アーティストから好かれる理由のひとつ。これからも横浜のアートの発信地として、大きな役割が期待されています。

住所:横浜市中区海岸通3-9
電話:045-663-2812
HP:http://www.bankart1929.com/

YCCから港に向かって歩いていくと、古い倉庫を改装して作ったアートスペースが現れます。2人が初めて個展をし、この4月まで制作スタジオとしても利用していた「BankART Studio NYK」。併設されているショップは、アートブックの品揃えがとても充実しており、横浜随一と言えるそう。時の流れを忘れて本の世界に没入できます。疲れたら、カフェで一休みも可能です。

お隣には、素敵なギャラリースペースが。「初の個展は1Fのミニギャラリーで行いました。展示したのは『X-RAY TRAIN』『SEKILALA』『EICON』の3つの作品です。天井が高いので、『X-RAY TRAIN』を上からつってワイヤーを見えなくしたりと効果的な展示ができましたね」(ユカ)。


彼らが制作を行っていたのは2F、3Fの展示スペース奥にあるスタジオ。2人のように映像装置の開発を行うには、天井の高さとある程度の広さは必須。ここはその条件を満たした場所でした。スタジオのベランダに出ると、すぐそこは海。「横浜はアムステルダムに似ている」とお2人の友人が言ったそうですが、海が運河のように入り込み、港がすぐ近くに迫っています。異国情緒を味わうことができる、まさに隠れスポット。お立ち寄りの際は、ぜひこの海辺の眺めを楽しんでみてください。

住所:横浜市中区本町6-50-1
電話:045-221-0325
料金:無料
HP:http://www.yaf.or.jp/ycc/

YCCから少し歩くと、ほどなくして象の鼻公園へ。2人が『HIBERNATION』を発表した赤レンガ倉庫もすぐそこです。大さん橋に近づくと歩道が組み木に変わります。「これを組むのはすごく大変だったと思うんです。職人さんと仕事をすることが多いのですが、国によってみなさんタイプが違います。日本人の繊細な仕事にはいつも感心します」(ユカ)。

大さん橋は1894年に完成した海の玄関。2002年のリニューアルでは、イギリスの建築家アレハンドロ・ザエラ・ポロ氏が設計を手がけました。2人の目的はその屋上にあると言います。


赤レンガ倉庫で発表された『HIBERNATION』

建物を出て屋上に出ると、そこには芝生のスペースが。やわらかな草の上を歩く経験は、都会の生活ではなかなか得られません。「ZAIMにいた頃はずっと地下にこもってたんです。その時によく来ていました。日光が直接来て、風があって、視界を遮るものがあまりない。ここで寝っ転がって何も考えずにいると、アイディアが自然に開けてくるんです」(ユカ)。「芝生の適度なチクチクが心地いいですよね。草のにおいもしてくるし」(ケンタロウ)。最先端の技術を駆使した作品を生み出す彼らでも、創作の源泉は意外なところにあったのでした。「映像というと視覚の芸術と思われるんですけど、それだけじゃない他の何かもある。そうした感覚を刺激しようと心がけているんです」(ユカ)。彼らの目線の先には、横浜めぐりの締めにふさわしい雄大な景色が、見渡すかぎり広がっていました。

SHIMURABROS.と巡る横浜の旅、いかがだったでしょうか? 「公共の場に作品を出すと、ふだんアートに触れない方にも観てもらえて、いろんな発見をしてくれる。そこから私たちが新しい見方を提供してもらったり提供できたり、そういう出会いをどんどん作っていきたいですね」という彼ら。作り手とそれを観る人が作品を媒介にコミュニケーションすることによって世の中がより面白くなっていく。SHIMURABROS.は横浜を拠点にそんなムーブメントを起こしていきたいのかもしれません。みなさんも寄り道しながらヨコハマとアートの魅力を再発見してみてください!

『INVITATION to OPEN YOKOHAMA  2010 -くわしくはヨコハマの街で-』開催!

日本にあるさまざまな観光地の中でも、特にカルチャーに力をいれている街「ヨコハマ」。開港以来、長年にわたり培ってきた開放的で自由な空気が、創造性を豊かに育んできたのでしょう。そんなクリエイティブシティ・ヨコハマが、9月10日(金)から11月3日(水・祝)の2ケ月間、街の魅力をより多くの方々に届けるためのキャンペーンを開催します。また公式ウェブサイトでは、創造界隈拠点、文化施設、街中空間などで開催される200を超えるイベントやツアーの情報が網羅されているほか、twitterを活用する団体のタイムラインも掲載され、現場の様子や最新情報を提供中。そしてさらに、市民や横浜にゆかりのある1000人から<あなた> へ宛てた招待状も公開されています。


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