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YUKI『The Present』ライブレポート

YUKI『The Present』ライブレポート

小林宏彰
2010/06/18

2010年6月14日。その日は、YUKIが自身初となるクラシックホールでのライブを行った記念すべき日として、長く語り継がれていくことだろう。『YUKI concert New Rhythm Tour 2008』から、はや2年。新作アルバム『うれしくって抱きあうよ』を引っさげ満を持してBunkamuraオーチャードホールに登場したYUKIは、「全肯定」のパワーで観客をヘロヘロになるまで幸せにしてくれた。「哀しみを覚えるたびに、楽しさを表現したくなる」。彼女が「感動した」というダンサー・振付家であるピナ・バウシュの言葉は、まさにYUKIが辿ってきた道筋そのものだ。『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2010』への出演、そして2ヶ月以上にわたる全国ツアーを控え気合いの入りまくっているYUKIによる、ステージいっぱいに「生きる歓び」をあふれさせた名ライブをレポートする。

生まれ落ちたばかりの赤子のような、瑞々しい魅力

開演予定時刻から15分押し、観客がジリジリしはじめた頃だった。閉ざされた幕の向こうから楽器の音色が聞こえ始め、登場したのは総勢30余名のオーケストラ。バンドの頭上には、星空をイメージした降り注ぐような電飾の数々が光っている。と、いっせいに注目が集まる舞台上とは逆方向から、突如「キャーーーーッ」という歓声が。見ると、全身をフワフワの黄色い衣装に身を包んだYUKIが、1階客席・通用扉のあたりに姿をあらわしていた。

YUKI『The Present』ライブレポート

続いて、ざわめく客席の合い間から透き通るように響いてきたのは、「雲の上で遊ぶ仔熊にも〜♪」というYUKIの声だ。新作アルバムの最終曲”夜が来る”を冒頭にもってくる、意外性のある演出がたまらない。そしてゆったりと、本当にゆったりと、まるで「いまこのとき」(=the “present” time)が過ぎ去ってしまうことを心から惜しむように、お客さんひとりひとりを見つめながらステージへと歩み寄っていったYUKI。その姿は、たったいま生まれ落ちたばかりの赤子のように、瑞々しい可愛らしさにあふれていた。

黒くてピカピカ光る高いヒールを履いたYUKIは、“Home Sweet Home”や“汽車に乗って”など、落ち着いた曲調のナンバーを次々と披露。まるで子守唄のように優しく紡がれるその歌声は、荘重な雰囲気の漂うBunkamuraオーチャードホールの空間や、彼女を暖かく見つめるお客さんの心を徐々に融かしていく。そして“歓びの種”で、衣装に身体を隠してうずくまったのち「発芽」をイメージして手足を伸ばし、「少し照れて 笑う君が 見えるよ〜」のあと縦横無尽にダンスしながら歌った彼女の姿は、観客に対する抱えきれない「感謝」や「愛」の気持ちを、懸命に伝えているように見えた。

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