Ken Yokoyamaが意識する、死と感謝。挫折や抑うつからの生還

Ken Yokoyamaの5年半ぶりとなるフルアルバム『4Wheels 9Lives』が遂に完成した。2018年12月に加入が発表された新メンバーEKKUNのタイトなビートと、深みを増した横山健の歌を軸とした全12曲は、世の中の閉塞感を突き破るような非常に抜けのいい仕上がり。4人のメンバーを表す「4Wheels」と、「簡単には死なない」という意味を表す「9Lives」を組み合わせたタイトルは、メンバーチェンジ、横山の体調不良、コロナ禍といったさまざまな困難を乗り越え、図太く転がり続けるバンドの今を明確に示している。

一方、歌詞には横山のパーソナルな心情が綴られ、「死」に関連する言葉が並んでいるのは、誰もが自らと向き合わざるを得なかったこの1年の反映だと考えられる。しかし、横山の音楽はただ重苦しいものではなく、「死」を見つめることによって、「生」の実感を得ることができるもの。ライブでユナイトすることが難しく、SNSを開けば心無い言葉が溢れている時代だからこそ、僕らには生活に寄り添う人生のサウンドトラックが必要だ。そして、Ken Bandの4人の人生が投影された『4Wheels 9Lives』は、誰かにとってのそんな作品になるだろう。アルバムが完成するまでの道のりについて、横山とJun Grayに話を聞いた。

「今はテクノロジーが進化してるから、なんでも作ろうと思えば作れちゃうんです。でも僕らはアナログな感じを残したレコーディングをしてる」(横山)

Ken Yokoyama(けん よこやま)
Hi-STANDARD、BBQ CHICKENSのギタリストである横山健が2004年に始動させたバンド。2004年、アルバム『The Cost Of My Freedom』でKen Yokoyamaとしてバンド活動を開始。現在のメンバーは横山健(Vo,Gt)、南英紀(Gt)、Jun Gray(Ba)、EKKUN(Dr)。2021年5月26日に7thフルアルバム『4Wheels 9Lives』をリリースする。

―『4Wheels 9Lives』はじつに5年半ぶりのフルアルバムとなります。非常に抜けのいい仕上がりで、EKKUNのビートが推進力となり、今のメンバー4人の新しいグルーヴが構築された作品でもあると思うのですが、健さんとJunさんは今作におけるバンドの音楽的な進化や変化をどのように感じていますか?

Jun(Ba):EKKUNのスキルは当然FACT(2015年に解散。EKKUNはもともとFACTでドラムを叩いていた)にいた頃から知っていて、だからこそメンバーに選んだので、音源を作るにあたってもビートは常に意識してました。昨年出した『Bored? Yeah, Me Too』もそうですけど、単純に今までの音源よりもドラムがデカいんですよ。前まではギターで引っ張る曲が多かったけど、ドラムのレベルを上げられるようになったんです。

横山(Vo,Gt):ドラムキットを叩いて、マイクで拾うのって、誰がやってもあんまり変わらないと思うじゃないですか? 手数が明らかに違えば違う人が叩いてるってわかるけど、そうじゃないとあんまりわからない気がする。でも、やっぱり、人間がやってることって数値化できなくて。

EKKUNのドラムは粒立ちがすごくいいから、ミックスでも自然と「これドラムと歌がちゃんと聴こえてればいいじゃん」ってなるんですよね。そうすると、レベル的には下げたはずの弦楽器部隊も、なぜかうわものとしてしっかり輝きを放つんです。

―音量のレベルは下がっても、全体のバランスによって存在感は消えることなく、むしろ増しているくらいの印象を受けます。

横山:不思議なもんですよね。今はレコーディングのテクノロジーが進化してるから、なんでも作ろうと思えば作れちゃうんです。スネアを一発叩いて、音色をいじれば抜けのいい音は作れるけど、僕らはやっぱり生音を生かす方向のバンドなので、レコーディングでどう録るのかが大事で、そのためにはもちろん演奏者の技術が必要。実際のレコーディングはデジタルですけど、アナログな感じを残したレコーディングをしていて、EKKUNはそこにすごくハマってますね。

Ken Yokoyama『4Wheels 9Lives』トレイラー

Ken Yokoyama最新アーティスト写真。
左から:EKKUN(Dr)、Jun Gray(Ba)、横山健(Vo,Gt)、南英紀(Gt)

―今の4人のメンバーのあるべきバランスが見えたからこそ、アルバムタイトルに「4Wheels」という言葉を使ったわけですか?

横山:そうです。ここにきてやっと、本当の意味で「四輪」と言っていいんじゃないかなって気がしました。

Jun:でも、タイトル自体はずいぶん前からあったんですよ。

―いつ頃からですか?

横山:当然EKKUNが入った後ではありますけど、アルバムの構想を考える前から、この言葉だけポンッと思いついて。

―最初に目標を掲げて、ようやくそこに辿り着いたというか。

横山:うん、そんな感触はあるかもしれないですね。

宮本浩次から影響を受けた、「歌」から逃げない姿勢

―『Bored? Yeah, Me Too』リリース時の取材で話していただいたように(前回のインタビュー)、もともとは2019年12月にアルバムのレコーディングを予定していたけど、健さんの体調不良や緊急事態宣言など、さまざまな理由でレコーディングが伸びて、ようやく完成したのが今回のアルバムで。その長い時間のなかで、作品の全体像はどのように変化していったのでしょうか?

横山:これまではそのとき作った曲を無駄にしたくなくて、最初はイマイチでもなんとか自分たちの納得する形に仕上げて、全部収録するスタイルだったんです。でも今回は全体のバランスを見て、「この曲いいけど、アルバムとして並んだときにどうかな?」というジャッジができて、それはバンドにとって初めてのことでした。

だから、今回ボツにした曲いっぱいあるよね? 『Bored? Yeah, Me Too』と『4Wheels 9Lives』と合わせて18曲入ってるんですけど、本当は全部で25~26曲あったと思います。

Jun:なんでボツにできたかって、言い方悪いけど、この人(横山)の体調不良があったからで。それがなければ2019年の12月にそのままレコーディングしてただろうから、今回ボツにした曲がボツにならずにレコーディングをしてた可能性もあった。

横山:そのままいってたら、よく言えばバラエティに富んでるけど、ちょっと散漫なアルバムになってた可能性はありますね。『4Wheels 9Lives』はすごく統一感があるというか、整合性があると思うんです。で、『Bored? Yeah, Me Too』にはバラエティがある。

CAP:Ken Yokoyama『Bored? Yeah, Me Too』トレイラー

―その統一感とか整合性もアルバム全体の抜けのよさに繋がってるなと思います。

横山:抑うつ状態をやって、ライブはストップしちゃったけど、意外と早くリカバリーができて、その後はひたすら新曲を作ってたのでこだわる時間も増えたんです。

夜中に一人でアルバムの曲を通して聴いてみると、「この曲好きだけど、今回じゃなくてもいいな」って、素直になれたんですよね。前だったら「好きだし入れちゃおう」ってなってたけど、今回は図らずも時間に余裕があって、それがアルバムの色に繋がってると思います。

―今作は健さんの歌も深みを増していて、昨年のコラムで宮本浩次さんについて書かれていましたけど、宮本さんと活動をともにしたことの影響がはっきり表れているなと。

横山:めちゃめちゃ出てると思いますね。「歌」に関しては、僕のなかでは“Do you remember?”前後で分かれると言ってもいいくらい、それくらい影響を受けちゃいました。

2019年10月にリリースした、宮本浩次の楽曲。プロデュースとギター、コーラスを横山健が務め、Jun Grayがベースを担当

―その影響を言葉にしていただくと、どんな部分が大きかったですか?

横山:僕はもともと好きで歌ってたわけじゃなくて、「雰囲気を掌握するにはフロントマンにならないといけない。だったら、歌わなきゃいけない」という考えで歌い始めていたから、「歌う」ということそのものからは逃げてたんです。

でも宮本さんとの活動があって……もちろん、あのレベルに達するには今からじゃ遅いと思うし、もともと才能がないかもしれないけど、でも本気で向き合わないとダメだなって気持ちにさせられたんですよね。

―それは精神的にですか? それとも、技術的に?

横山:まずは精神的なところですね。技術的な部分はその後。

横山:宮本さんだってサラッと歌えるわけじゃなくて、あの人、一生懸命練習するんですよ。スタジオから帰るときに、「練習してきます」って言って帰るんです。

―宮本さんほどのキャリアの方でも。

横山:で、あの人本当にやってると思うんです。ブレスの入れ方とか、ちゃんと練習して決めてきたなってわかる。ただ、そういう具体的な部分よりも、やっぱり歌と向き合ってるかどうかだと思うんですよね。

あの人はずっと歌のことを考えてると思うんですよ。僕もギターとか楽曲制作のことはつねに考えていて、新曲を作り始めると、運転してても、飯食ってても、クソしてても、ずっと考えてるんです。ただ、歌に関してはそうじゃなかった。宮本さんはきっと歌のことをずっと考えているからあれだけ歌が輝きを放つんだなって、実感しちゃったんですよね。『Bored? Yeah, Me Too』も『4Wheels 9Lives』もその影響を受けて歌と向き合って作ったので、すごく満足してます。

―Junさんは健さんの歌の変化をどう感じていますか?

Jun:レコーディングをしてて前と違うなと思ったのは、前はピッチのことをすごく気にしてたけど、今回は歌の表情にすごくこだわってたことで。何回か歌って、そのなかからチョイスするときも、「こういう歌詞だから、こういう歌の表情で」みたいなことを気にしてましたね。

横山:だって、“Do you remember?”を聴いたらそう思いますよ(笑)。

Jun:レコーディングしてる宮本さんを見たら、「一流ってこういうことなんだな」って思ったもんね。

横山:レコーディングしてるときのあの人は、歌の化身みたいな感じなんですよ(笑)。なので、僕もそのくらい本気で逃げずにやったので、気分もよかったです。

「今回のアルバムは、死ぬことばっかり歌ってるなと思うんですよ」(横山)

―今回の歌に感情や表情が出てるのは、歌詞で自分の内面を描いていることも大きいように感じました。

横山:そうですね。今回の歌詞は『The Cost Of My Freedom』(2004年発売、1stアルバム)に近いというか、ちょっとパーソナルなところに戻った気がするんです。

「世の中もっとこうしよう」みたいに外に向けて歌ったり、政治的な事象を絡めて歌うときの気持ちと、自分の内面を歌うときの気持ちってやっぱり少し違うんですよね。自分のことを歌うときの方が心が痛いというか、身を切る作業に近い。そうやって自分の感情を乗せることが、歌の説得力であり、楽曲そのものの説得力に繋がったんじゃないかなっていう気はしてます。

―とくに印象的なのは多くの曲で死生観が描かれていることで、それが「9Lives」というタイトルにも繋がったのかと思うのですが。

横山:今回のアルバムの歌詞を見ると、死ぬことばっかり歌ってるなと思うんですよ(笑)。でもそれは当然のことで、僕、今51歳になって、しかも世の中がこういう状況で、「いつまでできるのかな?」って、自然と考えてしまうんですよね。

ロックンロールは70歳になっても80歳になってもできると思うけど、僕にそれができるという保証はどこにもないわけで、体力も落ちてきてるし、歳をとってきたのは感じるんですよ……すごい太っちゃったし(笑)。

Jun:あはははは。

横山:でも、死ぬことを歌うというのは、それだけ生きてる今を鮮明に捉えて歌うということだと僕は思ってるんです。今回のアルバムにはそれが描かれてるんじゃないかと思います。

―「9Lives」は「A cat has nine lives=猫に九生あり」からきていて、「容易には死なない、しぶとく生き残る」という意味ですもんね。

Jun:個人的なことを言うと、レコーディングが1か月後にあるときとかにバイクに乗ってると、「今事故ったらレコーディングできないから、事故るにしてもせめて録ってから事故りたい」とか思うんですよ(笑)。

横山:レコーディング終わるといつも言うよね。「これで俺が死んでも音は世に出る」って。

Jun:そういうことをよく考えるから、健とも似たところはあるのかもしれない。

横山:わかる。ツアーに出るときとかって、「もうこれで帰ってこれないかもしれない」とかよく思うんですよ。若いときはそんなこと思わなかったけど。

―今の話は1曲目の“I’m Going Now , I Love You”の歌詞にも通じているように思います。<行ってくるよ 愛してる もしオレが戻ってこなかったら><お前はオレを 忘れてくれ>という部分からは、「死」を連想することもできるなと。

横山:この曲を1曲目にしたのは楽曲がストレートだからっていうのが大きいんですけど……もしかしたら、この曲を1曲目に置くことで世界観を提示したかったのかもしれない。

歌詞は読んでくれた一人ひとりが解釈するものだと思うので、僕自身も解釈者の一人として言いますけど、僕のなかでこの主人公はやっぱり帰ってこないんですよ。きっと死ぬんでしょうね。そういう雰囲気があるから、1曲目からいきなりガツンと喰らうというか。

―わかります。

横山:タイトルだけ見るとかわいいじゃないですか? 「行ってくるよ、愛してる」ですもん。

今回の歌詞はツラッと読むとポップなラブソングが多いと思うんです。ただ、狙いとしてあったのは、ポップに見せておいて、言いたいことは他の行に忍ばせてあったりするんですよね。たとえば、“Angel”はものすごくラブソングに見えるじゃないですか? でもこの曲で一番言いたいのは、<オレは体が感じるままに動く まるで誰も見ていないかのように踊るのさ>なんです。自分が自分であれ、ということですね。

「Thank you」をストレートに歌いたくなった

―ラストナンバーの“While I’m Still Around”も非常に印象的で、<いつ永遠のさよならになるかわからないから 生きてるうちに「ありがとう」を言わせてくれ>というラインは、とても素直に言葉を紡いでいると感じました。

横山:今回の語りかけ方はキャリアのある50代のミュージシャンならではのものだと思うんですけど、この曲はその最たるものだと思います。

なぜ今このタイミングで自分の半生を振り返って、感謝を伝えるような歌詞を書いたのかというと、もし次がなかったら後悔すると思ったからで。なので、それを言葉にしてみました。僕が仮に80歳まで生きてこの歌詞を見返したときに、「青いこと言ってらあ」で済めばそれでいいんですけどね。

―<本当に大切なことは音楽の良し悪しじゃないんだ 音楽でみんなと繋がることができたかなんだ>も周りへの感謝から出てきた言葉だと思うのですが、物理的にも、心の距離的にも、人と人が遠ざけられている時代だからこそ、よりグッとくるものがあるなと。

横山:ミュージシャンだから楽曲の良し悪しを追求するのは当たり前のことですけど、本質はそこじゃないんですよね。僕たちが生み出したものでどれだけの人と繋がることができたのか、僕たちの作品をその人の人生のサウンドトラックに入れてもらえたのか、どれだけ人の生活を彩れたのかが大事で、パンクロックは結局そこだと思うんですよ。

初期パンなんて技術的にもひどいもんで、ゴリビス(Gorilla Biscuits)の1st(『Gorilla Biscuits』1988年発売)も声とかひっくり返ってるし、「これ録り直しできなかったの?」とか思うけど、でもそこにグッときて、人生のサウンドトラックになるんですよね。

―前回の取材(2020年9月)で「今はユナイトが難しい時代だから、まずは一人ひとりが生き延びて、その先でもう一度ユナイトできたら」という話をしたと思うんですけど、一人ひとりが生き延びていく上でも、誰かとの繋がりを感じられることはとても重要なことで。演奏にしても、歌にしても、「人間」が感じられる音楽というのは、人生のサウンドトラックとして、その役割を果たせるとも思いました。

横山:ユナイトか孤独かの二極論ではないということだと思うんです。人が生きていく上で人の存在は欠かせないわけで、やっぱり一人じゃ生きていけないですから。

暗がりから這い上がる「こうなったら何度でも立ち上がってやる」

―改めて、Junさんは今回の健さんの歌詞についてどんなことを感じましたか?

Jun:やっぱりしばらくライブができてないし、ステイホームの時間も長くて、人と関わってないからこういう歌詞になったのかなって。前はもう少し外に対してのメッセージがあったと思うけど、こんなご時世だから「もっと自分を見つめろ」的な歌詞が多くなってる。前までと同じ活動をしてたら、こうはなってなかったんじゃないかなって思います。

横山:なにがこういう歌詞の温度感にさせたのかって、自分でもはっきりとはわかってないんですよね。たしかに、ステイホームをしながら書いた歌詞が多いけど、僕はその時期にそんなに閉塞感を感じてたわけではなくて。もともとちょっと人とは違うサイクルで生活をしてるし、そんなに街にも出ないから、「こんなダラダラした毎日もいいな」くらいに思ってるときもあって(笑)。ただ、世相というか、世の中の閉塞感は感じてたんでしょうね。

―パーソナルな心情と世の中の閉塞感と、その両方が合わさって、今作の温度感が生まれたのだと思いますが、『4Wheels 9Lives』というタイトルが象徴するように、それでもこの4人でサバイブしていくんだという、強い決意を感じる作品になったように思います。

横山:途中でも言ったように、タイトルを思いついたのは結構前なので、コロナも含めてこんな状況になってるとは、当時は誰も予想してなかったわけで。なので、このタイトルが世の中や自分たちのことをこういった角度で映し出すものになるとは思ってもみなかったんですけどね。

―そう言えば、なぜ早いタイミングで「9Lives」という言葉が出てきてたんですか?

横山:最初はただの数字遊びだったんですよ。「4Wheels」との組み合わせを考えたときに、「9Lives」はよくサイコビリーとかロカビリーの人がテーマにすることだから、いいんじゃないかなって。

ただ、バンドにとってはやっぱり前回のメンバーチェンジのことがすごく大きくて、Matchanが「僕は1/4を担えない」と言ってやめていったのは、すごく大きな挫折だったんです(当時のインタビュー)。そこから新しいメンバーをどう迎えるのかは、バンドの根本を見直す非常に難しい作業だったんですよね。

―だからこそ、フルアルバムに辿り着くまでにはただでさえ時間を要したし、それ以外にも予想外の出来事が次々に起こって、結果的に5年半という時間を必要としたと。

横山:なので、バンドとしては死の淵から生還したというか。もともと「俺たちどん底まで落ちてもまた戻ってくるぜ」というのは気合いとして持ってたんです。その後に僕が抑うつになって、世の中がコロナになって、バンドが動けなくなるとは予想もしてなかったけど、こうなったら何度でも生き返ってやるっていう。そこがバンドのアティテュードとして大きく響くんじゃないかと思ったんですよね。

ライブでのモッシュやダイブ、コロナ禍の制限に対する本音と見解

―最後に、6月に開催される『SATANIC CARNIVAL 2021』への出演がアナウンスされて、Ken Yokoyamaとしては約2年ぶりにステージに立つことになります。今のライブに対する想いを聞かせてください。

横山:アルバムを作ってるときはライブのことは考えてなくて、もしライブができないのであれば、さらに次のアルバムに向かえばいいと思ってたんですけど……『Bored? Yeah, Me Too』も含めて、曲がどこにも着地してない気がして、着地させるにはやっぱりライブしかないんですよね。

このアルバムの楽曲も発売されれば誰かの生活に入り込んでいくわけだし、『Bored? Yeah, Me Too』の曲はすでに誰かが人生のサウンドトラックに乗せてくれているかもしれない。でもまだ僕たちはそれを実感できていなくて、誰かにとって大事な曲になってるかどうかは、ライブの現場と、ライブ後のフィードバックで初めてわかることで。なので、今はライブをやりたいと思ってます。

Jun:俺はもともとライブがやりたくてバンドを始めていて、それは昔から一貫して変わってないです。『SATANIC CARNIVAL 2021』は当然感染予防のガイドラインがあって、今までのフェスと同じようにやれるわけじゃないからうちらも探り探りになると思うけど、それは観る側のお客さんも同じだと思うから、そのなかでお互い感じることがあれば、それはそれでオッケーなんじゃないかなって。

横山:Ken Bandのライブは激しくてメンバーもお客さんも暴れてるイメージがあると思うんですけど、じつは僕、あの光景がマストではないんですよね。あれはあれで美しいと思うけど、モッシュとかダイブがなくてもいいんです。結果としてそういう光景になるのであればそれでいいけど、結果として盛り上がってなくても、それはそれで別にいい。

ただ、規制があるのとないのとでは、同じ「結果盛り上がらなかった」でも意味合いが大きく違うから、本当は規制があるなかではやりたくないんですけど……しかも今回の規制って、「怪我しないように」では済まないですからね。

―誤解のないように補足しておくと、「モッシュとかダイブがなくてもいい」「結果としてそういう光景になるのであればそれでいい」というのは、それこそ途中の“Angel”の話にも通じるように、周りを意識して「みんながモッシュやダイブをしてるから自分もやる」だったらやらなくてもいいけど、自然に体が動いちゃって、モッシュやダイブをやりたくてやるなら、もちろんオッケーということですよね。

横山:そうです、そうです。僕も20代の頃は海外のバンドのモッシュピットに混ざってグチャグチャになって……あのなかで一緒に歌うとなぜか涙が出るんですよね。

―いい方向に転ぶにしろ、悪い方向に転ぶにしろ、一回ライブをやることによって見えるものがきっとあって、それによってその先も決まってくるのかなって。

横山:そうですよね。「この調子でガイドラインのなかでもやっていけるかもしれない」と思うのか、「苦い経験だった」と思うのか、そこはやってみないとわからないですね。

リリース情報
Ken Yokoyama
『4Wheels 9Lives』(CD+DVD)

2021年5月26日(水)発売
価格:3,850円(税込)
PZCA-91

[CD]
1. I'm Going Now , I Love You
2. 4Wheels 9Lives
3. Spark Of My Heart
4. Have Hope
5. Helpless Romantic
6. Cry Baby
7. MyParadise
8. Angel
9. Forever Yours
10. On The Sunny Side Of The Street
11. Without You
12. While I'm Still Around

[DVD]
1. I'm Going Now , I Love You
2. Cry Baby
3. Out Alone
4. Still I Got To Fight
5. Angel
6. Forever Yours
7. Woh Oh
8. Helpless Romantic
9. While I'm Still Around

Ken Yokoyama
『4Wheels 9Lives』(CD)

2021年5月26日(水)発売
価格:2,750円(税込)
PZCA-92

1. I'm Going Now , I Love You
2. 4Wheels 9Lives
3. Spark Of My Heart
4. Have Hope
5. Helpless Romantic
6. Cry Baby
7. MyParadise
8. Angel
9. Forever Yours
10. On The Sunny Side Of The Street
11. Without You
12. While I'm Still Around

イベント情報
『SATANIC CARNIVAL 2021』

2021年6月5日(土)、6日(日)
会場:山梨県 富士急ハイランド・コニファーフォレスト

6月5日出演:
バックドロップシンデレラ
The BONEZ
Dizzy Sunfist
Fear, and Loathing in Las Vegas
マキシマム ザ ホルモン
NAMBA69
Northern19
ROTTENGRAFFTY
SiM
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
Survive Said The Prophet
Suspended 4th
WANIMA

6月6日出演:
04 Limited Sazabys
10-FEET
Age Factory
Coldrain
G-FREAK FACTORY
ハルカミライ
HAWAIIAN6
HEY-SMITH
Ken Yokoyama
MONGOL800
NOISEMAKER
SHADOWS
TOTALFAT
Paledusk(O.A.)

プロフィール
Ken Yokoyama
Ken Yokoyama (けん よこやま)

Hi-STANDARD、BBQ CHICKENSのギタリストである横山健が2004年に始動させたバンド。2004年、アルバム『The Cost Of My Freedom』でKen Yokoyamaとしてバンド活動を開始。現在のメンバーは横山健(Vo,Gt)、南英紀(Gt)、Jun Gray(Ba)、EKKUN(Dr)。2021年5月26日に7thフルアルバム『4Wheels 9Lives』をリリースする。



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